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最弱テイマーは魔物の王と無双する  作者: ゆる弥


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51.死力

「一旦、ここで体力回復させてから下りますか?」


 一斗が慎重な意見をあげる。


「そうしたい所だが……すまん。食料をほぼ持ってきてないんだ」


『そうなんだよね。ホントにダメだよねぇ。こんなに深いとこだと思ってなかったから』


「このまま行くしかないな」


「でも、大丈夫ですか?」


「あんまり放置するとさっきの巨大トレントも復活しちまうぞ?」


「ですよねぇ」


『行くしかないね。次で終わりかもしれないし』


「よしっ! 行ってみるしかねぇ!」


 一先ず先頭に立って太刀を構えて下りて行く。


シュッ


『しゃがめ!』


 咄嗟にしゃがむと。


スドォンッ


 壁に細い幹が刺さっていた。


「新手か!?」


『小さなトレントだ! 普通に階層に魔物がいる感じだよ!』


「最悪だ。魔力は使えない……」


 脳をフル稼働して立ち位置を変えながら攻めていく。


「ウラァァァ!」


スパァンッ


 太刀の切れ味でなんとか切り倒せたが、斬る角度がシビアすぎる。


「蘇芳! 斧出せるか!?」


『今出すよ! ……どうだ! ハンドアックス二刀流!』


「よしっ! くれ!」


 投げて渡す蘇芳。

 受け取ると突進していく。


「伐採じゃぁぁぁぁぁ!」


 バッタバッタと斧で切り倒して行く。

 相変わらず階層は広くはない。

 すぐに階段をみつける。


「行けるかもな!」


『僕……魔力無くなるかも……』


「魔力なくなったらどうなる!?」


『僕は大半が魔力で動いています……という事は?』


「えっ!? 蘇芳動けなくなるのか?」


『歩くぐらいはできる』


「マジかよ……」


「それって不味くないですか?」


「でも、行くしかねぇ!」


 そこからは急いで下りて行く。

 巨大なトレントを討伐してから更に9そう下りた所で、時はやってきた。


『あっ。きれた』


 身体の感覚が重い。

 まさかと思いギルドカードでステータスを見る。


 人魔一体と感覚共有がグレーになっている。

 ここにきてゴミステータスになるのかよ。


「一斗! まずい! 人魔一体が切れた! 俺はゴミステータスに戻っちまった! 危なくなったらお前だけでも逃げろ! いいな!」


 万が一の事を考えるとそれがいいだろう。

 そう考え指示を出す。


 俯いている一斗。

 プルプルしている。


「何言ってんですか! 俺だってパーティーメンバーですよ!? 見くびらないでください! 僕は声をかけた時から翔真さんと蘇芳さんと死ぬ覚悟は出来ています! 俺だって神代の鞘の一員です!」


 怒って震えてたのか。

 お前はまだ魔力があるから逃げれると思ったんだけどな。

 そうだよな。

 パーティーメンバーってそういうもんだよな。


「はははっ! 言うじゃねぇか! 覚悟決めろ!下に行くぞ!」


「はい!」


 下に慎重に下りる。

 後ろから蘇芳が歩いてついてくる。


 目の前には大きな扉。

 ガーディアンの扉であった。


「これで最後か……行くぞ!」


「はい!」


 扉を開ける。


 りんごの木のような魔物であった。

 木には実をつけている。


「一気に決めるぞ! デカいの頼む!」


「はい!」


 一斗は魔力を溜めるために集中する。

 その間は俺が気を引く!


 走って距離を詰めるが、自分が遅いのがわかる。

 くっそ!

 おせぇ!


 懸命に走り間合いを詰める。

 すると魔物が気を揺らす。

 実がゴトゴトッと落ちると小さなトレントに成長して襲ってきた。


「そういうのありかよ!」


 目の前にトレントが来ている。

 斧を振りかぶってどうを狙う。


 視界に何かが入ってきた。

 咄嗟に身体を捻ると、掠めるように何かが通り過ぎる。

 視線をそちらに向けると、木の根がすぐ横を通っていた。


ズシュッ


 小さなトレントの幹が左腕に刺さる。


「ぐうぅぅ。オラァァ!」


 さして止まっていたところをアックスで叩き割る。

 出血してきてしまっている。


「行きます!」


「頼む!」


「落雷!」


 カッと巨大な落雷が落ちる。

 衝突する直後、何かが間に入った。


ズドォォォォォンッ


 光が収まり、魔物に再び目を向けると。

 小さなトレントが連なって雷を受けたようだ。

 りんごの木のようなトレントの周りには、小さなトレントが焦げて息絶えていた。


 絶望感が襲ってくる。

 これを防がれるのか……。

 やってやろうじゃねぇか。


「うおおおぉぉぉぉぉ!」


「援護します!」


 再びりんごの木トレントに向かって駆ける。

 小型トレントがまた産み出されるが関係なく進む。

 

「雷撃!」


 後ろについてきていた一斗が近づいてきた小型トレントを撃墜する。


「あああああぁぁぁぁ!」


ズドドォォォンッ


 りんごの木トレントの幹に斧を叩きつける。

 ビキビキビキッという音と共に幹が折れる。

 落ちた木と実は灰にかわる。


 退避しようと斧を引っ張るが抜けない。

 力いっぱい引き抜こうと苦戦していると。


ドゴォォォッ


 突如襲われた衝撃に驚く。

 空中で咄嗟に理解した。

 ぶっ飛ばされた。


 何とか体制を立て直し着地する。

 ここぞとばかりに小型トレントが襲ってくる。


 斧はりんごの木トレントにハマったままだ。

 こっちは素手。


「やるしかねぇ」


 正面から迎え撃つ。


「ウラァ!」


 右ストレートで打ち付けるが、よろめくだけだ。

 我武者羅に殴りつける。

 両拳を交互にぶつける。


 横からも攻撃されるが関係ない。

 ただ、ひとすらに殴る。


 それでも、翔真の素のステータスでは限界があった。

 徐々に傷が増えていく。

 満身創痍になりながらも食らいついていく。


 所詮は木だろう!?

 へし折ってやるわぁ!


 根っこを足で払って押し倒す。

 両肘と膝で本体を挟み込み必死に打ち付ける。

 ガッガッとひたすらに。

 力が入らない体に鞭打って必死に力を加える。


 周りのトレントからも攻撃を受けながらも打ち付ける。

 ビシッとヒビが入る。

 もう一息で折れそうだ。

 最後の力を振り絞る。


「おぉぉぉぉ!」


バキッッ


 小型トレントをよくやくへし折った。

 こんなに時間かかってたらあのりんごの木はいつ倒せるんだかなぁ。


 つうか、倒せるのか?

 くっそぉ。

 ここまでか……。

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