表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

114/126

【114話】騎士の誇り(ペトラ視点)



「邪魔をするんじゃねぇぞ!」


「はぁっ!」


 騎士科の生徒と剣をぶつけ合う。

 圧倒的な実力があるというわけではないが、押し負けているということもない。


「てめぇ……今いいとこなんだ。すっこんでろ」


「それで簡単に逃げ出すほど、薄情に育ってないんだよな」


「ちっ」


 彼と私が出会ったのは、本当に突然だった。




 ピンチに現れた救世主……というには、少しばかり不安を覚える立ち振る舞いであったものの、まだ私のことを助けてくれる人がいるということに驚いた。

 ただ、スティアーノが助けに来てくれたとしても、状況が大きく好転したということはない。

 相手の数があまりにも多く、彼一人で前衛を押さえ切れるなんて思わなかった。


「アンタ、今すぐ逃げなさい! このままだと酷い目に遭うわよ!」


 だから忠告をした。

 誰かを巻き込もうなんて思っていなかったから。

 助けてくれたことは素直に嬉しかった。

 でも、それ以上は……望んではいけないと感じていた。それでも、スティアーノは表情を一切変えずに剣を構える。


「逃げないぜ。俺は」


「なん、で……?」


「なんでって、俺は騎士になりたいからな。助けが必要な人を置いて自分だけ助かろうなんて……そんなのは騎士じゃねぇ。それだけはしたくない」


 この時、私は彼に親近感を覚えた。

 スティアーノと私が似ているということは決してない。

 ただ、守るべき信念を貫き通すその姿勢が、頑なな感じがして……この人も、色々と苦労しているんだろうなと思ってしまった。

 自身の道を曲げずに歩くというのはとても大変だ。

 それは身に染みて理解している。

 相容れない相手からは煙たがられ、敵対的な視線を向けられる。

 それでも、諦めずに進み続けるのは、その先に自分が成し遂げたい目標があるから。


「…………後悔しても知らないわよ」


「後悔なんてしないっての。それに、これで勝てたらメチャクチャ格好いいし、成績も爆上がりだろ?」


「本当……馬鹿な人ね」


「よく言われるよ」


 絶望的に重い状況。

 しかし、彼の言葉に大きな勇気を貰った。


「……ペトラよ。助けてくれて、ありがとう」


「スティアーノだ。騎士らしい振る舞いが出来てたなら、本望ってやつだな」


 今出会ったばかりであるものの、スティアーノは前に出て剣を構え、私は彼のすぐ後ろの方で魔術の構築を開始した。

 魔術師の戦い方は身に染みて理解している。

 火力が高く、一方的な攻撃を行えることが魔術師の大きな利点である。その反面、接近を許せば途端に弱くなる。その弱点をカバーするかのようにスティアーノは堂々と立つ。


「ふん、邪魔をするなら……貴方にも苦しんでもらうしかなさそうですわね!」


「恨むなよ、平民」


「そんな女庇うなんて、本当にアホなんだなぁ」


 ボロクソに言われても、スティアーノは決して狼狽えない。


「馬鹿で上等。屑に成り下がるよりはマシさ」


 素直な分、意趣返しが直接的過ぎる。

 程良い挑発になったのだろう、スティアーノを取り囲むように各方面から襲い掛かってくる。


「よっしゃ、来いよ!」


 ──え、待って。まだ何か来る?


 スティアーノが気合を込めた叫びを上げる中、私はどこからか接近する強い気配を察知していた。

 その気配はドンドン濃くなっていく。


 ガサガサと茂みが揺れる。

 そして真っ黒い剣を片手にアイツが登場した。


 それも、深く脳裏に刻まれるような、ふざけた登場の仕方で──。




アキバblog様に『反逆者として王国で処刑された隠れ最強騎士1 蘇った真の実力者は帝国ルートで英雄となる』の紹介情報を掲載していただきました!

よろしければ、ご一読くださいませ!



URLはお手数ですが、下記よりコピペしていただけたらと思います。↓


http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51631856.html

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

  『悪辣傭兵と正義の女騎士の穴だらけ共闘計画』〜裏切り者のクズ公爵を制裁すべく、女騎士との共同戦線を張り巡らす〜

新作です。
よろしければこちらもご覧ください。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
― 新着の感想 ―
[一言] ま、まさかここで来ちゃうのか!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ