30話『水晶の謎』
古沢は顎に手を当てて何かを考えている。
「ちょっと先輩、霊能者じゃないんだから、水晶持って戦うなんて馬鹿げてますよっ」
わりとツボだったのだろう、藤代はお腹を抱えて転がる。
「それも同じ原理だと思うんだがな」
真剣な顔でさらに続ける古沢に、さらにツボる藤代。
おおかた、古沢が水晶片手に「悪霊退散!」と叫んでいる姿でも想像でもしているのだろう。
「どういう意味なのだ?」
クエスはそんなことお構いなしに話を促す。
「水晶ってのは、電気に反応すると小さく一定に震える鉱物なんだ」
古沢が言うとおり、水晶はわずかな電気を流すことで小さく振動する。
その振動の正確さを利用して、クオーツ時計を初め、色々な電化製品に利用されているのだ。
「そんなの聞いたことないですよ」
なんだかそれらしいことをいう古沢に、藤代が反論する。
「たぶん中学校くらいで習うぞ」
「そんなの誰が発見したんすか?」
「キュリーだよ、習っただろ」
「婦人の方しか知らないすね」
はぁ、と古沢がため息を付くと、付き合うのをやめた、もうこいつは放って置こうと決めたらしい。
「霊能者が水晶を持つのも、その磁場の変化を感じ取るためだと言われることがある」
せっかく説明してくれているのだが、クエスにだけは届いていないようだ。
霊というのがわかっていない。
「人間の体にも電気は流れている、それを水晶で増幅して、体の外へ魔力を放出しているんじゃないだろうか?」
古沢の演説が終わった。
目を輝かせているのは一桜と、滝……は無表情だが興味はあったらしい。
「溺れるものは藁をも掴む。取り敢えずその水晶とやらを試してみるのだ」
「クエスちゃん、藁をも掴むとかよく知ってたね」
「一桜よ、そこではないのだ」
「しかし、その水晶がどこにあるのかが問題だな」
またしても頭を捻る古沢。
「取り敢えず宝石店でも襲ってみますか?」
何故か急にやる気に満ちた藤代。
「あ、大型ショッピングモールに、パワーストーンのお店ありますよね」
一桜が思い出して提案する。
確かにあそこなら何かしらの鉱石がある、水晶でなくても他の石が正解かもしれない。
「そうだな、名案だ。……しかし」
古沢が言葉につまる。
「あんな閉鎖的で人がいっぱい居るところ、ゾンビの巣窟なんじゃ?」
藤代の発言に皆で苦笑いをするのだった。




