7頭目 モザイク必須だね!
誤字報告ありがとうございます、訂正しておきました。
また何かありましたら教えていただけるとありがたいです。
突如現れた巨大ドラゴンと対峙することになった俺たち二人。相手は伝説上の生物とされていた怪物であり、勝てる見込みなどこれっぽっちも無いがこのまま放っておくと街にまで被害が出てしまうためここで食い止めるしかなかった。
「デカすぎる、っていうか何百メートルあるんだよ.... 普通に攻撃してダメージ入るのか? 動きが遅いのは不幸中の幸いだけど」
「正直わたくしもこんなことになるとは思いませんでしたわ。これはわたくしの手には余りますので貴お任せしますわ。さあ、やっておしまい!」
「はぁ!? こういう時は一緒に力を合わせて乗り越えるとかそういう場面だろ!? なんで全部俺に押し付けてんだ、ふざけんなこの野郎!」
このクソお嬢様は後で殴るとして、まずはこの状況を何とかするしかない。とは言え相手がデカすぎるため、対人武装ではとても歯が立たないと思われる。
とりあえず俺は冒険者カードを取り出し、相手の情報を探る。このカードのポ〇モン図鑑みたいな機能を使ってどうにか相手の弱点を探ることにする。
『個体識別完了、ユグドラシルドラゴンと確認。ブロッコリザードの上位種かつ変異主であり、災害クラスのモンスター。特殊な能力は持っていませんが、単純なパワーと耐久性は魔王クラスに匹敵かそれ以上と考えられます』
え、無理やん。カードの説明を聞いた俺の素直な感想だった。要するにこれから俺は魔王と同じくらい強い奴に挑まなければならないということだ。転生二日目で。
手をこまねいているといきなり緑色の触俺達めがけて攻撃を仕掛けてきた。咄嗟に蜜盾で防いだにもかかわらず、俺の腕は一撃でへし折られた。
「マジかよ、防御してこれって防がなかったら肉片になってたな....」
蜂たちに回復してもらい傷は治ったが、このまま防ぐ一方だとただのサンドバッグである。どうにかすきをついて攻撃を仕掛けたいが触手の猛攻が止まらなかった。
「何か、何か俺に出来ることは.... 蜂に出来ることでこの状況を打開する方法は.... 確か蜂には寄生する種がいたはずだけど、いけるか?」
今からやろうとしていることは相当エグイことなので正直やりたくはないが.... そんなことを言ってられる場合ではないので実行する。
蜂を大量に呼び寄せ、命令を下す。するとそれに従い蜂の群れはドラゴンに向かって飛んで行った。
「は、蜂がこんなにたくさん.... 一体何をするおつもり?」
「あー、忠告しておくけど見ない方が身のためかも。下手をしたらトラウマになりかねないから」
ドラゴンの元へ飛んで行った蜂たちはそれぞれ外皮に針を差し込み、卵を産み付けていった。すると間もなくして幼虫が孵り、肉を食い進みながら成長していく。あっという間に成虫になり、その蜂らがまた卵を産み付け、というサイクルが行われた。
ドラゴンの方は肉を食い破られ、耐えられない激痛に悲鳴とも聞こえる咆哮をあげながら触手で次々と蜂を叩き潰していく。ただ、蜂の増殖スピードの方が速いようで、次から次へと新しい個体が誕生していき、最初とは比べ物にならない数まで増殖をしていた。
覚悟はしていたが実際に目にするとグロいとしか言いようのない悲惨なことになっており、もう二度とこの作戦は使わないようにしようと心に誓うのだった。
ドラゴンと蜂との攻防は1時間に渡り、気が付くとドラゴンは骨だけとなっており、残されたのは何億という数の蜂だけだった。
「た、倒しましたの? わたくし先ほどから気分が悪くて.... 少し失礼してもよろしくて?」
うん、まあそうなるわな。お食事中のお茶の間に流れたら恐らく九割以上の人がその場で戻すこと間違いなしの映像だったもん。
カードを見ると新しいスキルを大量に獲得していたけど俺は一体どのくらいレベルが上がったのだろうか? 災害クラスのモンスターとなると経験値も凄いんだろ凄いんだろう。
『群れの中に優秀な個体を確認。進化を促しますか?』
カードから音声が発せられ、そう告げられる。どうやら進化できる強い奴がいるらしいのでせっかくだし進化をさせてみることにする。
「進化っていうと巨大化とか超強力なスキルを持ってたりとかするのかな。なんにしてもメリットしかないし、ちょっと楽しみだな」
進化が始まると一匹の蜂に対して何万もの蜂が群がり融合していった。暫くして進化が完了してそこに現れたのは――
ところどころ蜂っぽい女の子だった。しかも全裸で。
数分間フリーズする。状況の整理が出来ず、頭が追い付かない。蜂を進化させたら人型になった、簡単に言うとそれだけなのだがそれが理解できなかった。
似た目は普通に可愛い女の子で、黄色いショートヘアで手足を細くモデル体型といったところか。そして何よりデカい。何がとは言わないがデカい。ここだけを見れば普通の女の子だが、頭には触角が、そして背中には羽が生えていた。お尻には蜂の腹部が付いており、蜂の亜人ってところだった。
「あの、お初にお目にかかります女王様! 私は第17攻撃部隊の二等兵であります! この度は私のような使い捨ての駒に力を与えてくださり、ありがとうございます! 誠心誠意お力になれるよう、精進いたします!」
俺が驚きのあまりなにも話せないでいると、目の前の蜂の少女はそんなことを言い出した。なんか、もう誰か俺の代わりにツッコミ入れてくれ。
17攻撃部隊って何? なんで軍隊みたいな階級制度? 俺難しいこと分かんないよ?
「俺、女王? 君、名前は?」
「はい、女王様は女王様お一人だけです! それにただの働きバチだった私に名前なんて必要ありません! 私たちは好みを呈して女王様のお役に立つために存在し、それを最大の喜びとしているのです! 名前なんてたいそうなもの私たちにはもったいないです!」
さも当然のように言ってるけどやめてくれ。何も知らない奴がこの場面だけ見たら俺がとんだ鬼畜野郎だと思われるじゃないか。ってかそういや今まで何も考えずにこき使ってたけど.... 神様、これからは悔い改めます。
「と、とりあえず服を着てくれ。そのままの格好だといらん誤解」
「服なんて私には勿体ないです!このままで大丈夫です!」
「俺が大丈夫じゃないんだよっ! こんなとこ見られでもしたら――」
「貴方、一体何をしていますの?」
突如背後から声がした。冷や汗をかきながら振り返るとそこには俺を軽蔑するかのような冷たい目線でこちらを見るマリアナの姿があった。
to be continued....
一日平均150人以上の方に読んでいただけているみたいでとても感謝しています。
未熟者の拙い文章ではありますが、これからもどうぞ