12頭目 切ってだめならぶん殴る
今回のクエストの現場は輝きの洞窟という多数の鉱石や宝石が発掘されている洞窟で、クリスタルスパイダーの住みかとしても有名な場所であった。
このクリスタルスパイダーが駆除してもなお出現し続けるために発掘作業が中断されているそうで、今後出現しないように徹底的に駆除してほしいとのこと。
まあ所詮は蜘蛛退治、そう高を括っていたのだが現実はそう簡単にはいかなかった。まず数がとんでもなかった。10や20なんて可愛いものではなく1000単位でいるのではないかというくらいだった。
しかもこの蜘蛛は鉱石や宝石を主食としているためか外骨格がとてつもなく固く、まったく刃が通らない。そんな蜘蛛が1000匹以上、地獄というほかない。
「あっはっは、無理」
「マスターこの蜘蛛殴っても死なないですよー!」
「いくら何でも固すぎますわ! ど、どうしますの!?」
「よし、俺達には無理だ。シア先生あとはお願いします!」
俺達の攻撃が全く通じないならば魔法使いのシアに任せよう、ということであとのことは全てシアに丸投げした。マリアナの視線が痛かったがこればっかりはしょうがないもんね! うん、俺は頑張ったもん!
「えと、じゃあ洞窟内なので威力を抑えて.... 『竜の炎』」
杖を構えたシアがそう唱えると火炎放射器のごとく杖の先から炎が噴き出し、目の前一面が火の海と化した。い、威力を落としてこれなんですか? ほら、みんなドン引きしてるよ....
ま、まあこれで一件落着だし細かいことは気にしないでおこう。そう思った瞬間、火の海の中からわらわらと無傷の蜘蛛たちが押し寄せてきた。
「先生効いてない! 魔法が効いてないよ!?」
「これは.... どうやら魔法耐性も高いようですね。この魔法が効かないとなると.... ほかの魔法では洞窟ごと破壊しかねないので僕にはどうにも....」
マジで!? 先生でもお手上げなの!? というか他の魔法じゃ洞窟崩れるってどんな威力してるんですかね?
「とのことなので貴方が何とかしなさいな。そもそもこのパーティのリーダーは貴方でしょう。リーダーらしいところを見せてくださいな」
「結局俺なの!? そうやって俺に押し付けるの!?」
「自信満々にこのクエストを受けてきたのは貴方でしょうがっ!!」
そうもめていると蜘蛛たちはいきなり糸を吐き出し攻撃してきた。いち早く気が付いた俺は皆を突き飛ばして何とか攻撃を回避させた。
俺も回避行動をとったのだが避けきれず糸が服をかすめたのだが、かすめただけで服がビリビリに破け落ち下着のみの姿となってしまった。かすっただけでこんなことになるなんて直撃していたら....
「あの糸どうなってんだよ.... こうなったら流石に戦わない訳に行かないよなぁ。アレ使うかぁ....」
俺の能力である『蜂戦化』はとても便利な能力ではあるのだが、使用した後の疲労感が半端ないのだ。次の日まで引きずるということはないが数時間は歩くのですら辛くなる。
初めて生成した槍と盾はだいぶ使い慣れたためか症状もだんだん軽くなってきたが、今回の相手には有効であるとは思えない。ということは新しいのを生成しないといけないわけで....
「今日帰ったらノックダウンかなぁ.... まあ今悩んでも仕方ない、後のことは後で考える! 蜂戦化 3式 ディッパーハンマー!」
俺の手元に新たな武器が生成された。今回生成されたのはハニーディッパーという、分かりやすく言えばイラストなどにもよく出てくる蜂蜜をすくう先端が丸い棒である。ただし滅茶苦茶巨大かつ重い。
巨大なハニーディッパーを振り回し蜘蛛を次々とぶん殴っていく。殴られて吹き飛んだ蜘蛛は洞窟の壁に勢いよく激突し動かなくなった。
コイツらはあの脳筋のレンゲが殴ってもビクともしなかった。つまりそれだけ防御力が高いということであり、今の俺たちの物理攻撃ではダメージを与えられない。
それならばと俺は外的に破壊するのではなく、内的に破壊する作戦に移行した。殴った時の衝撃を蜘蛛の脳に一旦集中させることにより、脳を直接破壊するといった戦法をとった。
流石の防御力でも脳を直接破壊されてしまってはどうしようも無いのだろう。あれだけしぶとい蜘蛛たちは次々と息絶えていった。
「どうだ蜘蛛ども、ピンチからの逆転というまさに主人公ムーブ! さあさあもっとかかってこい、全てぶっ殺してやるわ!! ははははは!」
「ちょっとなんていう恰好で暴れてますの!? 早く服を着なさい!」
「何をそんなに騒いで.... あ、そうか俺今下着姿なのか。別に騒ぐことでもないだろ、お前たちしかいないんだし。俺は別に構わないよ」
「少しは女性としての自覚を持ちなさい! 嫁入り前の娘がはしたない! この場には殿方もいるんですのよ!?」
ああそうか、今日はシアもいるのか。よく見たらシアは真っ赤になってうつむいてるし。でも別に下着くらい見られても別に何とも思わない。もともと男だしな。なんてことを引き続き蜘蛛をぶん殴りながら考える。
「別に俺は気にしないからよくないか? 下着くらいどうってことないけど」
「帰ったら面貸しなさい、今日という今日は許しません」
あ、ヤバイ俺死んだかも。マリアナが見たことのない不気味な笑顔をしてる。なんで? なんでそんなに俺キレられてるの?
暫くハンマーを振るい続けているとようやく蜘蛛たちからの攻撃が止み、ほとんどが地面に転がり動かなくなっていた。これで一件落着と安心しきっていた時、突然洞窟の壁が崩され中から何かが姿を現した。
「え、もう終わりなんじゃないの? やめてよここで親玉とか出てくるの」
なんとなく嫌な感じがしたのでそう口にしたのだがその嫌な予感が的中した。出てきたのは巨大な蜘蛛の上に人の体がある、いわゆるアラクネというやつだった。どう見ても親玉だし、どう見ても強敵である。
「えー、冒険者カードさん説明よろしく」
『解析の結果、クリスタルスパイダーの突然変異種と判明しました。討伐難易度はSSSです。恐るべき耐久性と各種魔法による体制を保持しておりダメージを与えるのは今の状況では不可能です。比較としましてはユグドラシルドラゴンの難易度が同じSSSです』
何難易度SSSて。初めて聞いたわ。しかもあのくそデカい奴と同じくらい強いの? なんで俺がクエストに出かけるとこう面倒ごとが起こるの?
拝啓お姉様、貴方の妹は今またもや命の危機に直面しています。今夜は帰れるかわかりません、ごめんなさい。
最近忙しすぎてなかなか投稿できませんでした....




