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11頭目 臨時メンバー加入

 目を覚ますと目の前でバトル漫画のような戦いが繰り広げられており、俺が入り込む隙は無かった。というか何故レンゲは素手で戦っているのにいとも簡単に茨をぶち抜いているんだ?


 「あ、女王様お目覚めになられたんですね! 今ちょっと取り込んでいるので少々お待ちください!」


 「貴方もう目を覚ましたの? 普通なら最低でも三日は眠り続けるのに。全く邪魔が入ったせいで予定が狂ったし、今日はこの辺で帰ることにするわ」


 俺が目を覚ましたのを確認すると茨姫という名の魔族は自身を茨で包んでいき、次に茨が晴れた時にはもうそこに彼女の姿は無かった。


 大人しく撤退してくれたのは幸いであった。さもなければまだ駆け出し冒険者の俺がいきなり強敵と戦うことになっていた。雰囲気からしてあれは魔王軍幹部ではないかと推測しているのだが、今の俺が幹部とまともにやりあって勝てるはずがないだろう。


 「そういえばレンゲはよくやりあえてたね、しかも素手で」


 「戦に生半可な武器など必要ありません! 拳こそ最大にして最強の武器です! 拳と拳のぶつかり合いこそ真の戦いなのです!」


 あーヤバイこの子脳筋かもしれない。武器を持たずに敵の懐に突っ込んでいく勇気は羨ましいけど。それにしてもさっきの動きは凄かったというか、ちょっとバケモノじみているというか。もしかしたら俺より強いんじゃないの?


 俺も戦える方だとは思うがあんなに素早い動きはまず無理だ。というか駆け出しなのにできるわけがない。にもかかわらず一応配下という扱いになっているレンゲの方が強いって.... なんか俺の強さってかなり蜂たちに依存してて俺自体はそんなでもないのでは? そう思うとなんだか泣けてきたんだが。

 


 


 

 

 翌日ギルド内は昨日の事件で大騒ぎだった。当事者の俺は上層部から色々と質問攻めにされた。上層部は結界の張ってこの街中一度ならず二度も、しかも幹部が侵入したという事態を大変重く見ているようだった。


 聞き取り調査も終わり、ようやく解放された俺はマリアナとレンゲの元へ戻った。マリアナは昨日の事件のことを聞き、俺のことをすごく心配してくれていた。最初はどこぞの生意気なお嬢様かと思ったけど本当にいい子だよ、うん。


 昨日のこともあり、マリアナが気を使って今日はお開きにしようと言ってくれたがあまり心配させるのも申し訳ないのでいつも通りにクエストを受けることにした。


 「本当に大丈夫ですの? やはり無理はしない方が....」


 「大丈夫だって。それにいつまでも心配させたままじゃ悪いしね。でもマリアナって最初のイメージだと我儘お嬢様って感じで苦手意識あったけど実際は優しくて可愛くていい子だよなぁ。結婚したらいい奥さんになるんだろうな」


 「な、何を言ってますの!? か、か、可愛いだなんて.... お世辞を言っても何も出ませんわよ? …それにわたくしなんかより貴方の方が可愛いと思いますわ」


 何気なく口にしたことだがマリアナは顔を真っ赤にして照れていた。照れる姿は初めて見たがすごく可愛いな本当に。最後の方は小声だったから何を言っているか聞こえなかったけど。


 「んじゃ今日もお金稼ぎしに行きますか」


 早速クエストボードを確認する。Cランクともなるとある程度受けることの出来るクエストが多くなってくるため、ある程度の難易度かつ稼げるクエストを選別していく。


 選別した上で今回選んだクエストはクリスタルスパイダーの討伐だ。クリスタルスパイダーは鉱石を好んで食べる蜘蛛で功績を食べることによりとても固い外骨格を持っているのだそうで、討伐難易度も高めであるそうだがその分報酬は高い。


 やっぱお金の魅力には逆らえないよね。難易度高いって言ってもCランクのクエストだし平気平気。


 早速クエストに出かけようとした時、一人の少年が俺の元までやってきた。歳のころは俺達と同じくらいでとても可愛らしい中性的な顔立ちだった。

 

 「あ、あの、実はそのクエスト僕も受けたかったんですけどパーティメンバーがいないので受けられなくて....よろしければご一緒させてもらってもいいでしょうか」


 オドオドしながらその少年が聞いてきた。少年が言うには、彼は俺と同じくCランクの冒険者なのだが人見知りが激しいせいで今までパーティを組めず難易度の高いクエストには行けなかったそう。

 

 今回のクエストの討伐対象であるクリスタルスパイダーのドロップ品が彼の研究には欠かせないものだそうでこのクエストは何とかして受けられないかと考えていたところ、丁度俺たちが受けようとしていたため声をかけてきたそうだ。


 「なるほど、用件は分かった。別に俺としては全然かまわないというかむしろウェルカムって感じだけど。二人は?」

  

 「わたくしもかまいませんわよ。それよりも貴方はまだご自分のことを『俺』だなんておっしゃってますの? 前にも言いましたが淑女としてはしたないですわ。もっと丁寧な言葉遣いを心掛けなさい」


 「はい、ごめんなさいお母さん」


 「誰がお母さんですかっ!!」

 

 もう定番のネタと化してきたなこのくだり。マリアナもノリがいいからついついやっちゃうんだよな。


 「レンゲも構わないかな?」


 「はい、マスターがいいとおっしゃっるなら私はそれに従うまでです!」


 「あー、うん、はい」


 そういうことじゃなくて君自身の意思を聞いたつもりなんだけどね.... まあレンゲはこれが平常運転か。ちなみにこのマスター呼びは俺が「流石に女王様はやめようか」といったところ、危うく陛下呼びになりそうだったため妥協して今のマスターという呼び方になった。


 「仲間もこう言ってるしこっちとしては全然構わないよ。あ、俺はヒナタでお嬢様の方はマリアナ。もう一人の方はレンゲっていうんだ。よろしく頼むよ」


 「ご丁寧にありがとうございます。僕はシアって言います」


 こうして一時的とはいえパーティに新しい仲間を加え、討伐へ向かうのだった。


評価、ブックマークともにとても感謝しています。


こんな文章でも読んでくださる方がいると思うと大変励みになります。


これからもよろしくお願いします。



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