表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

夜桜てるの「語ってみた」シリーズ

クソみたいな小説

作者: 夜桜てる

 突然ですが、あなたはweb小説って好きですか?


 ……ふむふむ。まあ三者三様な意見が返ってくることは承知してます。


 ちなみに私はweb小説大好きです。

 だって、無料で書けて、無料で読めて、たまにとても素晴らしい小説に出会えた時は胸が高鳴るじゃないですか。

 しかも感想で作者様にこの想いを伝えたり、レビューによって素晴らしい作品を布教したり、そんなことが気軽にできるんですから。


 でも、web小説が好きで沢山読んでるからこそ、私はいくつも見てきました。

 あなたもweb小説をいくつも読んでいるなら、読んでいくなら、こう思ってしまう小説に一度は出会うはずです。


「なにこのクソみたいな小説」と。


 ここまで口は悪くないかもしれないけれど、1話切りした作品の中には、「何も面白くない」「ふざけてるのではと思う」「正気を疑う」……そんな小説が沢山あるのではと思います。


 ここで話したいのは、「人によって感性は違う」ということ。


 web小説という界隈におけるそれについて、一作者として言いたいことがあるのです。


 私は、読み専の方は勿論、作者様方にも「こう考えてる人もいるんだ」と知って欲しいのです。



 ◇ 酷い小説の話 〜読者様へ言いたいこと〜 ◇



 つまらない、酷い小説に出会った時、あなたはどうしていますか?


 縁が無かったと何も言わずサッと切る人、評価に1-1ptを入れてから切る人、感想で「つまらなかった」と残して切る人、感想で具体的な「つまらない部分」を指摘して切る人など、それは様々です。


 1話目しか読んでない、数話読んで好きで無かったなら、そんな感じでしょう。


 ではもし、貴方が序盤を読んで「とても面白い」と感じ好きという感想を送ったとします。

 その後、2章の展開が自分にとって全く合わず、「読んでいられない」「酷い小説になった」と感じたらどうするでしょう?


 何も言わずサッと切りますか? 評価ptを入れ直して切りますか? つまらなかったと言って切りますか?


 それらが一番平和に終わりますから、良いと思います。つまらなかったという一言は無駄ではありますが、作者側がブロックしてしまえば、それで済む話です。


 でも偶に、こういう思いを持った人がいるんです。


 それが、「酷い展開を直して欲しい」と思う人。



 もちろん、それ自体は悪いことだとは思いません。

 好きな小説を好きなままでいたい、ずっとファンであり続けたい、その想いはきっと掛け替えのない大切なものですから。



 ……それでも、「その展開を変えてくれ」と強要することは御法度です。


 web小説における読者は「編集さん」に近い存在だと言う人もいますが、それは少しだけ違う。

 なぜなら、読者はあくまで「自分の望む方向へ」向かって欲しいんです。

 それは誰のためでもなく、自分が読みたい小説になって欲しいんです。


 それはきっと、正しい方向とは言えないでしょう?


 だからこそ、作者の展開に文句を付ける、というのは自己中心的な思いでしかないんです。



 展開がこうあって欲しいと願っても、そうはならないのが小説です。人が書いているんですから。


 だからもし、貴方がその小説を好きでいたいのなら、どうしてもその小説でなくてはならないのなら、その展開を好きになって下さい。


 それはきっと、作者さんが良いと思い創り出した展開です。


 貴方が好きでない展開でも、この世界中にはその展開を好きと言う人がきっと沢山います。


 それだけは、知っていて下さい。

 そして良ければ、好きな小説のその先を、見守ってあげて下さい。



 ◇ 酷い小説の話 〜作者様へ言いたいこと〜 ◇



 当たり前のことですが、「酷い小説」は人によって様々です。

 抑揚・凹凸の無い小説、主人公胸糞な小説、主人公の行動原理がわからない小説、話が進まない小説、ボーイズラブ、ガールズラブ、ハーレム、妹萌え、姉萌え、微エロ、ガチエロ、などなど……。

 これらの他にもまだまだ沢山あるでしょう。


 始めに言わせて頂きたいのは、どれだけ酷い小説だったとしても、それがネタでない限り、必ずその作品の作者はその作品が好きな筈だということです。

 そして同時に、似た感性を持つ人は何処かに必ずいます。


 だからこそ、どんな小説にも必ず、多かれ少なかれ需要はあると思います。それを前提としてここからの話を読んで頂きたい。



 ある日、現実世界ランキングの上位になっていた小説がありました。私の作品ではないので作品名は伏せさせて頂きます。

 もし「これかな?」と思う作品があったとしても、心の内だけに秘めて頂けると幸いです。



 ……その作品がランキングに載っていたのは序盤の頃。1章でヒロインと主人公が付き合うあたりが一番PVが伸びていた頃ではないかと思います。

 それはかなりの高評価を獲得していて、感想欄にも「好き」という声が多く見られました。


 でも、2章序盤で、それは脆く崩れました。

 キッカケは単純に、主人公がヒロイン以外の女子に対して「好き」と言ったためです。その話が投稿された直後、感想欄が荒れました。


「クズ主人公」「酷い」「人間味がない」「1章は良かった」etc……


 ここまでは、本当によくある話です。感性に合わなかった人がその作品に対して否定的な感想を書いた、ただそれだけのことなんです。


 でもそこで、その作者さんは、読者の要望に応えるためか、展開を変えました。心中どのような思いでその決断をしたのかは知りませんが、きっと並々ならぬ葛藤があった筈です。


 それは、本当に凄いことだと思います。

 そう簡単に、変えられるものではありませんから。



 ……でも私は、どうしても思ってしまうのです。


 多数の読者がその「展開」を否定したとしても、それを曲げてしまったら「その人の書きたい物語」にはなるんでしょうか?


 始めに言った通り、私はどんな物語にも需要はあると思っています。だって作者は「そうなって」欲しくて、「その展開を」書くんですから。

 なら当然、似た感性を持ち、その展開を同じく愛していた読者はいたのではでしょうか?


 上に挙げた例がもし、「自分の本当に書きたい形」を感想によって違うものだったと気づかされて変えたのなら良いのです。


 でももし、「変えたくなかったけれど、変えざるを得なかった」のなら。

 自分の望む話はそれで本当に書けるのでしょうか?

 自分と同じ感性を持つ読者を、心の底から面白いと思わせることはできるのでしょうか?


 もちろん、そうして変えた結果、ちゃんと変えた後のそれを好きになり、作品として書き続けられれば良いと思います。

 でも、書いてる自分がどうしても好きになれない展開だったなら、どれだけ評価が上がったとしても、それはきっと作者にとっての駄作になります。


 そもそも好きでない物語を作るというのは、モチベーションの問題もあり、段々と無理を生じていくのではないでしょうか?

 そうなったら、軌道修正はそう簡単にはできなくなります。




 私は、読者は何を言ってもいいと、そう思っています。

 ですが作者側は、読者に振り回されたら「危険」なのです。

 それは、下手をすれば貴方の世界を一瞬で崩壊させ得る力を持っています。



「酷い小説」は人によって大きく異なります。



「酷い小説」は人によって全く別のものを指す言葉になります。



 もし数人の読者が展開に感想欄で文句をつけたとしても、その展開を作者様が好きだと思って書いているのなら、必ず好きと思ってくれる読者もいます。



 そして何より、自分の小説の一番のファンは、自分だと思うんです。


 その「一番のファン」としての好きの気持ちを、決して忘れずにいて欲しいのです。



 他の人にとっていくら酷い小説であったとしても、作者にとっては良い小説で、面白い小説で、神作品です。

 自分の需要を完璧に叶えた、世界で唯一の作品です。


 それをどうか、大事にしてあげて下さい。



 ◇◇



「クソみたいな小説だ」

「クソみたいな展開になった」


 そう思うのは、きっと普通のことです。

 人によって「酷い小説」も「クソみたいな小説」も、指すものは全く違うんですから。


 でもだからといって、その展開自体を貴方が嫌いだからと言って、否定しないで欲しいんです。


 百合を好きな貴方が、「気持ち悪い」と言われたら傷つくでしょう?

 妹モノを好きな貴方が、「気色悪い」と言われたら傷つくでしょう?

 BLを好きな貴方が、「うわぁ」と言われたら傷つくでしょう?


 それと同じことです。


 クソみたいな主人公でも、ダラダラ続く展開でも、笑っちゃうくらい突拍子のない話でも。


 書いてる人がいるのなら、好きな人はいるんです。



 クソみたいな小説を好きになれとは絶対に言えません。だって、無理ですから。


 それでも、クソみたいな小説を全否定することだけは、やめてあげて下さいね。

「テメェ何言ってんじゃボケェ!」と思ったことや共感、その他考えたことなどありましたら感想でどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 感想欄失礼しますm(_ _)m 私は先日、1人の読者様から作品を馬鹿にするコメントとこの展開はこうするべきだとの作品を否定するコメントを頂きました。その方にとっては私の作品はクソみたいな小…
[一言] 初めまして。ランキングから参りました。 掲載から三ヶ月も経っているので感想もどうか、と思いましたが、じーんと染み渡るものがあったので書かせてください。 読者様は、作者の人格否定やらをしな…
[一言] 展開に不満が出てしまうのは、起承転結の起を書くのが下手だからじゃないでしょうか。 正直、手直しするなら、文句を言われる場所ではなく、最初の方だと、私は思います。 序章というのは、「主人公が…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ