表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
庭には虹色~異世界幻想曲~  作者: アフロペンギン
森林の民編
7/132

第七話「癒しの篝火・垣間見えた綻び」

今日はもう1話投稿するぞー。

 第七話「癒しの篝火・垣間見えた綻び」

 

 

 

「彼女?……って、誰のことですか……?」

「あそこのウエイトレスの事です。貴方がたもよくご存知だと思いますよ。」

 知っている人?

 キイは秘書様の見やる方向へ視線を傾けた。

 あいにく、この世界で見知った女はアカネと秘書様くらいだが……。

「…………ん……?」

 どこかで見たことがあるような……。

「あっ……。」

 あの女……もしかして、一緒にこっちの世界へ来た内の一人じゃないか。

「明るい女だ。」

「明るい女?」

 アカネは覚えてないようだ。

 こちらの世界にやって来た12人の男女。

 キイとアカネを除く10人の内の1人にあの明るい女がいた。

「呼びました?」

 こちらを見る明るい女。

 とてとて……と、歩いてきた。

「あれ?確かあなたたちは……。」

「ど、どうも。」

「よいっす!」

「よいっす。」

 アカネの意味不明な言葉に乗ってくれた!

 何ていい人なんだ……!!

「私に何か用?」

「あっ、はい。えっと……急な話で悪いんですが、俺の怪我を治してほしくて。」

 指先で、自身の左太ももを指した。

「あら……それは痛かったわね。すぐに治してあげる。」

 明るい女が両手を、キイの左太ももにかざす。

「癒しの篝火。」

 と、明るい女が口にした瞬間……両手から緑色の穏やかな光が溢れだした。

「ん……おっ……おお……!?」

 太ももの痛みが和らいでいく。やがて傷口をふさがり、本当に怪我をしていたのかすら分からない程度にまで回復した。

「す、すごいですね……これが戦闘系職業クラス・僧侶……。」

「まだ序の口。最初に教えてもらえる低レベルな治癒魔法だけどね。」

 両手を引っ込めて苦笑い。その謙虚な姿勢に拍手喝采を……いや、やめておこう。

「でも助かりました。ありがとうございます。」

「いいのよ。あちらの世界に帰るまで、こっちで死ぬのは嫌だもの。」

「……そうですね。」

 下手すれば死ぬ。

 キイは改めて、自分の不甲斐なさを悔いた。

「ところであなた達、随分と仲が良いのね。知り合いだったの?」

 恐らく、キイとアカネの事を言っているのだろう。

 キイは正直に否定した。

「いえ、面識はありませんでした。余り物……みたいな。結局踏ん切りがつかなくて、色々あって、一緒に行こうかって。」

「へえー……。でも賢いかもね。一人だと心細いし、私だって秘書様がいるから何とかなってるようなものだもの。」

「成程……。お互い大変ですね。」

「そうね。」

 ……。

 …………。

 いやいやいや。会話を止めてどうする。

「そう言えば、お名前は?俺、結局アカネ以外の事をまったく知らないまま生きてる……し。同じ境遇なのにおかしくないかなって。思って。」

 少しどもったけど聞けた。

 女性を相手にするのは少々苦手かもしれない。

「私?私はシロハネ。宜しくね。」

「俺はキイです、こっちはアカネ。」

「よいっす!」

 気に入ったらしい。

「よいっす。」

 そして返してくれる、とてもいい人。

「また怪我したら、いつでも来てね。本当は僧侶を連れていった方が良いんだけど……中々新参者はパーティーに入れてくれないからね。」

「…………パーティー?」

「え、うん。知らないの?」

「ゲームでなら知ってます。」

「なら、それと同じ感じよ。」

「………………あっ、そうか。パーティーか。二人でどうにかしようと思ってたけど、パーティーを組めば何とかなるかもしれないのか……!」

「それが難しいって言ってるんだけど……まあ、そうね。」

 希望の道もとい肉への道が見えてきた。

 新参者は入れてくれないというのも、そこは当てがある。

 ……同じ境遇の仲間。

 あと9人、どこかにいるはずだ。

 同じように困っている者が。

 キイはアカネを見た。

「アカネ!肉への道のりは意外と近いかもしれないぞ!」

「本当!?お肉食べられるの!?」

「ああ!」

 明るい女、シロハネへと向き直る。

「シロハネさん、俺達みたいな他の新参者がどこにいるか心当たりはありませんか!?」

「っ……。」

 シロハネは言葉に詰まった。

「……?どうかしました?」

「…………いいえ、何でもない。ごめんね。心当たりは無いかな。」

「そうですか……分かりました、俺達行きます!怪我を治してくれてありがとうございました。」

「ううん。気をつけてね。」

「はい。アカネ、早速クエストボードを見に行こう。」

「お肉!」

 アカネはタタタッと元気よく駆け出していった。

「速っ!?あ、じゃあシロハネさん!また!」

 片手を顔辺りまで挙げて挨拶をした。

 すぐにアカネを追いかける。

「……。」

 シロハネは笑顔で手を振った。

虹色を読んでいただき感謝です。

いかがでしたか?

ゆるゆるなような、ゆるくないような。

それでは、またお会いしましょう。

Thank You。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ