第十二話「情報探し~キイ&シルバ~その2」
ラーメン食べたい。
グランガーデン新編
第十二話「情報探し~キイ&シルバ~その2」
グランガーデンの図書館にて。
魔王について調べているキイとシルバ。
窓際の席で向かい合っている。
テーブルには何冊も本が積まれており、二人は黙々と本の中身に目を通していた。
「…………。」
「………………。」
パラッ……と。
相手がページを捲る際の紙が擦れる音が聞こえる。
それほど静かで、咳き込むのすら躊躇われるくらいだ。
「……。」
キイは思った。
何かを見つけたとしても、これでは話しづらい。
眉を八の字にして、ため息を吐く。
「……どうした?疲れたか?」
「……いえ、大丈夫です。」
シルバが心配し声をかけてくれた。
ちょっとした息でも聞こえるんだなぁ……。
…………大丈夫とは言ったものの、息が詰まってきたかもしれない。
ちらりと時計を一瞥する。
8時30分頃から読み始めて…………長針は3。短針は11を過ぎた辺り。
11時15分か。
「やっぱり休憩しません?」
「ん……。」
シルバも時計を一瞥した。
本と目を閉じながら、シルバはこう続けた。
「……そうだな。じゃあ、昼飯でも食いに行くか?」
「賛成です。」
「メンラー食べてぇな。」
「メンラー?」
「ラーメンみたいな食べ物だ。ここら辺に無ぇかな?」
「うーん……聞いた事は無いですね。息抜きがてら探してみます?」
「ああ、いいなそれ。じゃあ一旦、本を戻しに行くか。」
「はい。」
立ち上がろうとしたら少しばかり腰が固まっていた。
「うっ……。」
ゆっくり腰を上げていると、どうやらシルバも同じような状態だったようで……。「うえええ……」と呻き腕の力を支えに立ち上がっていた。
・・・・・・・・・
「お前さ。」
「はい?」
外に出て適当な食事処を探していると、突然シルバが口を開いた。
「ラーメンは何派だ?」
「それは……スープの味って事ですかね。」
「そうだな。」
「俺は豚骨ですね。」
「おおっ、お前もか。私も豚骨ラーメンが好きだな。」
「シルバさんもですか。」
意外なところで気が合ったものだ。
「ところで、何でいきなりラーメンの話なんですか?」
「ん?ああ……。」
シルバは苦笑して返す。
「お前と離れてる時に、色々とあってな。ちょっと聞いてみたかったんだ。」
「……。」
離れてる時……。
たった1年間会えなかっただけでも知らない事が多くある。
……。
ふと、キイは思った。
そもそも彼女の事をどれだけ知っているだろうか。
無理に聞き出すような事はしないが、それでも仲間の事を知りたいと思うのは自然ではなかろうか。
「……キイ?なんだよ、さっきからジッと見て。」
「えっ。」
無意識にシルバの顔を見つめていたようだ。
「ああ、いえ!何も無いですよ!」
身振り手振りで誤魔化す。
疑いの眼差しが向けられるも、深くは聞かれなかった。
シルバは若干、頬を赤らめていたようだが……。
「……あっ、メンラー屋。」
視界の端に映った屋台に、すぐさま話題が変わった為……結局お互い追及も無かった。
虹色を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
お次は25日の投稿です。
それでは、またお会いしましょう。
Thank You。