第七話「空から降るのは」
くっ……ストックが無くなってきた……!!
グランガーデン新編
第七話「空から降るのは」
「私、お腹空いたよ!」
「アカネさんいつもじゃないですか?」
「言えてんな。」
「もう、二人ともひどいよ!」
と、和気あいあいと会話をするアカネ、スモモ、シルバ。
「……いや、和気あいあいも良いですけど。とりあえず、警備兵の人に魔族の処理を頼んでおかないと。」
スモモが言う。
……そう。
先ほどまで戦闘の真っ最中だった。
まあ、魔族三体に対して無傷で終わったのだから結果は上々。そのせいで浮かれているのもあるかもしれない。
「じゃあ私呼んでくるよ。」
「いえ、私が行きますよ。」
「お前ら休んでろって。私が行く。」
…………。
………………。
……………………。
各面々は見合った。
「私が行くよ。スモモとシルバは休んでなって。」
「いえ、アカネさんもシルバさんもお疲れでしょ?私に任せてください。」
「年長者の言う事は聞くもんだ。アカネもスモモも、いいから、私が行くから。」
空気がピリッとした気がした。
「再会早々に喧嘩すんなよ。」
「……?」
男の声だ。
声のした方を向くと、そこには巨体の男がいた。
「あっ、ハゲサキ。」
「ご挨拶だな、赤チビ。」
光る頭に筋肉。
拳で語る男クロサキだ。
「よっ、二人とも。元気だったか?」
「おう。」
「お久しぶりです、クロサキさん。」
クロサキとの対面も久々だ。
1年間、長くも短い時を共に過ごさなかったせいか。
「ところで。」
と、クロサキが本題に入る。
「何で揉めてたんだ?」
聞かれた三人は顔を見合わせた。
代表して答えたのはアカネだった。
「譲り合いで。」
「平和だなオイ。」
呆れ気味なクロサキ。
「まあいいや。さっきここで雷が落ちてたろ?そっちの件は?」
「片付いたよ。魔族が出てきたけど、三人で倒したし。」
「それは何よりだが……。本当に片付いたのか?」
「え?」
「暗雲はまだ残ってるだろ。」
クロサキが人差し指で上空を指した。
つられるように、三人は上を見る。
確かに雷を落とした紫色の雲は、時計塔の上空に浮かんだままだった。
確認したスモモが口を開く。
「本当……残ってますね……。魔族を倒したら自然に消えると思ってましたけど……。」
「あれ?でも消えてってない?」
「一緒に何か落ちてきてる気がするんだが。」
「奇遇だな、シルバ。俺もだ。」
黒い点のようなものが、徐々に徐々に大きくなって。
広場に落ちると確信した彼女達は、すぐさま広場から離れた。
物陰に隠れたと同時に、何かは落下した。
「ぐっ……!でけぇ衝撃だな……!!」
腕で砂煙を遮るクロサキがそう言う。
「…………!!」
強い風圧が広範囲に渡って轟く。
十数秒した辺りで、風も収まり煙も晴れてくる。
クロサキは辺りを見回しながら叫んだ。
「…………無事かお前ら!」
「うん……なんとか。」
返事をくれたのはアカネ。
「ちっ……口に砂入っちまった……!」
「わ、私も大丈夫ですもも!」
そして、シルバとスモモも返してくれた。
……無事みたいだ。
「しかし何だってんだよ……。」
落下した対象物に視線をやる。
それは……。
「……魔物……?」
ボロボロになった魔物だった。
しかしシルバが否定する。
「いや、これまで魔族だったんだからコイツも魔族なんじゃないのか?」
シルバは「何にしろ」と続ける。
「アカネがやった奴の二回りくらいデカイな。」
「…………。」
何故、魔族が落ちてきた?
しかもボロボロで、すでに息絶えているようだ。
何者かの手によってこうなったのは間違いないが。
「……!!見ろ、上に何か居る!」
シルバが言った途端、クロサキは構えた。
見れば仰向けになった人間の足がある。
「何なんだよ……一体……!!」
睨み付けたクロサキ。
そして……むくっと上半身を起こした人影。
「…………痛い……。」
そう呟いたのは。
「…………キイ?」
「え?…………あっ、えっと……クロサキさん?」
虹色を読んでいただき感謝です。
いかがでしたか?
お次は15日の投稿です。
それでは、またお会いしましょう。
Thank You。