第二話「自由な者たち・棒立ちにあらず」
ラフだけどアカネを挿し絵として。
グランガーデン新編
第二話「自由な者たち・棒立ちにあらず」
「あら……?」
「よいっす!シロハネ!」
「嘘……!?アカネちゃん!?」
「そうだよ。」
「アカネちゃ~~ん!心配してたんだよーー!?」
シロハネがガバッと抱きつく。
体格の差から、まるで親子のようだった。
グランガーデン・森林の民の拠点である酒場に一人の少女が訪れた。
それが今しがた抱きつかれている赤い髪の少女・アカネだった。
「苦しい……。」
「あっ、ごめん。」
解放されるアカネ。
「ねえシロハネ。キイとかシルバとか、スモモとか見てない?」
「え?見てないけど……みんなも居るの!?」
「そのはずだよ。グランガーデン集合だから、ここに来てるかなって思って。」
「アカネちゃんが頭を使うなんて……1年以上見てなかったけど、成長したのね……。」
「うわっ!失礼だよシロハネ!」
アカネはため息を吐いた。
しかし酒場に来ていないとなると……。
「それじゃあ私、探してくる!誰か来たら待ってるよう言っておいて!」
「分かった。気を付けてね、アカネちゃん。」
「うん!」
別れの挨拶にと、シロハネに大きく手を振りながら、アカネは酒場を出ていった。
・・・・・・・・・
「グランガーデンも久々だな……。」
マントを羽織り、フードを深く被った女性が歩いていた。
「賑わってんなー……。まあ、復興も進んだって事か。」
「そこのマントさん!アクセサリーでも見ていかないかい!?」
「悪いな、人を待たせてるんだ。」
屋台のおじさんに話しかけられたが、歩みを止めることもなく即座に断る。
実際、人を待たせている。……はず。
「にしてもグランガーデンって広すぎだろ。グランガーデン内のどこだって指定しとけよな……。」
ブツブツと一人言を呟く。
すると。
「おっと、すまん。」
すれ違いざまに通行人と肩がぶつかってしまった。
「……おいおい、今のわざとだろ?」
「あ?」
がらの悪い、モヒカン男が因縁をつけてくる。
……運が悪かったようだ。
「わざとじゃねえって。ぶつかってしまって悪かったな。」
「あーあ今ので怪我したわー……いてて……!」
左肩を押さえるモヒカン男。
あまりの猿芝居に、女性は思わずこう言った。
「下手くそ。」
「ああ!?いいから素直に治療費払えよ!」
「いや、元気じゃねえか。」
「あら、そうみたいですね。」
と、割って入ってきた者が居た。
「誰だお前。邪魔すんなよ!」
振り上げた右手を、割って入った女性が掴んだ。
桃色の髪をした彼女はにこやかに笑い。
「こちら側は本当に折ってさしあげましょうか?」
「は?」
腕を絡め取り背中に回ると、モヒカン男を取り押さえた。
体重をかけられて倒れたモヒカン男は、痛そうに歯を食い縛る。
「いだだだ!!は、はなせよちぐしょう!!」
「3カウントで折りますね。1……3……。」
「2は!?いででで!?す、すみませんでした!俺が悪かったです!!嘘ついてすみませんでした!!」
「分かれば良いんですよ。」
ぱっと腕を離して、桃色髪の女性は立ち上がった。
「くそっ、覚えてろよ!」
「良い思い出として残しておきます~。」
見事な捨て台詞を吐き、モヒカン男は逃げていった。
「大丈夫でしたか?」
「…………お前……スモモか?」
「え?……あっ、えっ!?もしかしてシルバさん!?」
虹色を読んでいただき感謝です。
いかがでしたか?
お次は5日の投稿です。
それでは、またお会いしましょう。
Thank You。