第一話「夢想の始まり・不安の終わり」
ただいまと言える相手がいるのさ。
グランガーデン新編
第一話「夢想の始まり・不安の終わり」
喧騒ざわめくこの町に、一人の少女が訪れた。
「ふんふんふん……♪」
鼻歌まじりに彼女は歩く。
人混みの中、キョロキョロとある物を探しながら。
ふと、赤い髪が風に揺れた。
・・・・・・・・・
辺境の地・グランガーデン。
辺境といっても、人が多く住み商業も盛んな大きな町だ。
周りを塀、北は海で囲まれた、比較的安全な地である。
ところで『森林の民』というものをご存知だろうか?
グランガーデンを拠点とし自由を謳う彼らは武器を持つ。
魔物の狩猟を主な生業としているからだ。
その武器や防具……はたまた戦利品を使用したアクセサリーなども売買されている為、さらに人は集う。
…………森林の民には有名な話がある。
そこに属する者達のほとんどが異界から来た者達だと。
彼らに共通していたのは、ここではないどこかの世界へ居たこと。そして、この世界へ来る『直前の記憶』が没落していること。
行く宛が無く、最終的に彼らが辿り着くのが『森林の民』という道なのだ。
・・・・・・・・・
喧騒ざわめくこの町に、一人の女性が訪れた。
ポニーテールに括られた桃色の髪が、風になびいた。
・・・・・・・・・
一年と三ヶ月。
彼が初めてグランガーデンにやって来たのは、それくらい前の事だ。
森林の民となった彼は槍を掲げ、戦いの日々に身を投じた。
元はただの高校生。
基礎すら備わっていなかった彼には苦しい戦いだった。
出会いがあれば別れもあった。
それでも仲間という存在に支えられながら何とか生き抜いてきた。
転機があったのは一年前。
傷付いた彼を癒すものは無かった。
正確に言えばあったのだが、それは彼に簡単に届くものではなかった。
幾度の後悔で彼は決意した。
元の世界に笑顔で帰る。
そして帰すと。
だからその為に彼は強くなろうとしたのだった。
『再会は一年後。
グランガーデンにて。』
そう言い残して。
虹色を読んでいただきありがとうございます。
いかがでしたか?
新編として帰って来た庭には虹色。
ぜひ最後までお付き合いください。
次回は10/3の投稿です。
それでは、またお会いしましょう。
Thank You。