第五話「ビリング通信」
ぱちくり。
銀色の軌跡編
第五話「ビリング通信」
「…………。」
「おや?今日は飲まれないのですか?」
「ああ……禁酒してるんだ。体力落ちるから。」
「…………なら何故注文されたのでしょう。」
「我慢できなくて……。くそっ……。」
と、シルバはグラスを手に取り、中のレモン色の液体を飲み干した。
「くっ……美味い……。」
「…………。あまり騒がれませぬようお願いします。」
シベヤの町・酒場。
BARに似た、薄暗い光で静かな雰囲気の場所だ。
カウンター席には常連となっていたシルバが座っている。
「…………。ん?マスター、これは?」
「そちらは週刊『ビリング通信』です。この国のほぼ全土に配られる広報誌なんですよ。」
「へぇ、新聞みたいなもんか……。」
何気なく手に取ってみた。
暇を潰すには丁度良さそうだが。
「…………え……?」
その表紙、大々的に取り上げられていたネタに目を疑った。
見知った顔があったのだ。
「キイ……?」
・・・・・・・・・
「うわーー!?」
「うわっ!?」
この日、白いベッドで目覚めた少女が居た。
叫び声とともに。
「…………あれ?」
「せ、先生!アカネさんが目を覚まされました!」
院内がどたばたと慌ただしくなる。
少し騒がしいビリングの朝だ。
「…………え?あれ?」
キョロキョロと辺りを見回す少女・アカネ。
「この匂いは……病院……。」
何故病院に?
理由を知るため、記憶を掘り起こす。
「…………あっ…………そっか。」
死にかけたんだ。
戦いに負けて。
「…………キイ……?キイは?」
「キイちゃんならいない。」
そう言いつつ、灰色の髪をした女性が部屋を訪れた。
「あっ、グレース。」
「起きたか。」
「うん!」
「そうか、元気そうで何よりだ。」
「それでグレース。キイがいないって?」
「……これを見てみろ。」
グレースが取り出したのは一冊の広報誌。
「……ビリング通信?あっ、キイ。」
写真とともに取り上げられていた男。
キイは仲間であり大好きな人だ。
「…………。」
アカネは黙って、その内容に目を向けた。
「………………。分かったよ、キイ。」
「…………私からの提案だった。怒るか?」
「ううん。」
首を横に振り、アカネはビリング通信をグレースに返した。
そしてグレースの目を真っ直ぐに見た。
「だって、キイが決めた事だもん。私は私でやらないと。先陣を切る私が道を作ってあげないと。」
週刊ビリング通信。
トップを飾ったのは、とある青年だった。
「生きてるって信じてる。戻ってくるって信じてる。俺はお前らを笑顔で元の世界に帰したい。だからごめん。強くなるまで暫くお別れだ。1年後……グランガーデンで会おう。」
バスバロの町。
「キイさん……待っててください……。私……キイさんの為に強くなりますから……!」
シベヤの町。
「面白い事を考えるじゃねえか。……待ってろ、キイ。背中を預けてもらえるようやれるだけやってみる……!」
ビリング王国。
「大丈夫だよ、キイ。強くなってから会おう……!」
1年後!
再会はグランガーデンで……!!
虹色を読んでいただき感謝です。
いかがでしたか?
というわけでごめん!暫く休載!
1年後……もちろん小説内のね。
その準備をする!挿し絵とか入れたいからね。
再開は10月1日!
それでは、またお会いしましょう。
Thank You。