第四話「メンラー屋で語る」
シルバさんメインなだけで落ち着いた内容になるのは……何故だろう。
答えはあなたの心の中に!
多く語らず、時には意味不明。
それが私。
銀色の軌跡編
第四話「メンラー屋で語る」
「よう、クソガキ。また会ったな。」
「げっ……。」
出会いたくなかったと言わんばかりの顔。
その顔を見て苦笑するシルバは、またこう言う。
「飯、行こうぜ。どうせ腹減ってるだろ?」
「またかよ。懐柔でもする気か?」
「お前みたいなの懐柔しても生意気なだけだしなぁ。で、行くのか?行かないのか?」
「……行く。」
「フッ。」
「鼻で笑うんじゃねぇ!!」
・・・・・・・・・
町でたまに見かける少年。
どこに住んでいるか、とか。
普段何をしているか、とか。
そういった事情のところには深く踏み込んでいない。
泥棒の噂は聞かなくなった。
ただ、それに関しては何も言わない。
見つけた時に飯に誘う。
それだけだ。
「なあ。」
メンラーをすする少年に、シルバは問う。
「なんだよ?」
「お前、名前なんて言うの?」
「…………ふん。」
「お前な……。」
「別に関係無いだろ。俺だって、姉ちゃんの名前知りたいとも思わねぇし。」
「おっ、まだお姉さんで通るか。銀髪だからよく実年齢より年上に見られるんだけどな。」
「本当は何歳なんだよ?」
「女性に年齢聞くなんて失礼だぜ?それにそれこそ無関係だよ。」
はははっ……とシルバは笑った。
「気に食わないやつめ。」
「お互い様だろ。」
またも笑うシルバ。
それから会話が無くなったものの、シルバは少年が食事をする様をずっと見ていた。
「あのさ……こっち見るなよ、食べづらいじゃんか。」
「あ?……ああ、ごめんな。」
「……。」
「…………。」
「……何か理由あんの?」
「仲間にな、美味しそうに飯を食べる奴がいるんだ。あと……まあ、家族の事をちょっと。」
「ふーん。」
「聞きたいか?」
「別に。」
「そうか。」
彼女は微笑み、一つの息を吐いて口を開いた。
「…………弟がいてさ、お前くらいの歳の。懐かしくなった。」
「語ってるじゃねえか。…………会えないのか?」
「ああ。まだ、な。いつか会えるよう頑張ってるんだけど……目処が立ってないんだ。」
「…………いるだけいいだろ。」
「え?」
「なんでもねぇよ。ご馳走さま。」
「ん。」
「姉ちゃんは今日も仕事?」
「まあな。ここら辺、強い魔物ばかりで相当鍛えられるんだ。」
「へー。」
「私は強くなるんだ。自分の為でもあるし、あいつらの為でもある。悲しむ姿を見たくないんだ。…………じゃあな少年。また会えたら飯に付き合えよ。」
両手銃を背負い、シルバは会計を済ませ店を出た。
虹色を読んでいただき感謝です。
いかがでしたか?
お次は21日の投稿です。
それでは、またお会いしましょう。
Thank You。