まだ負けてないんだからァ!
「はぁー、」
家に帰った俺は早々に大きな溜イキを吐いた。
その吐きっぷりたるやナイアガラ。
何せ俺の手には今_
マグロ物のAVが握られていた。
一体いつだ?レシートを舐め回すように
何度も見たがこの作品について一切書いてない。
しかしパッケージにはベッタリとSOLD OUTの文字が
印字されたテープが貼られている。
「あのおっさん、やりやがった……」
奴に違いない、出会って早々にアブノーマルAVを
袋に仕込む人間性には恐怖すら覚える。
まるでサルミアッキ食ったk○senみたいな顔で
固まっていた俺を他所に時が流れ、
この時間がやってくる。
そう。俺にとってシコーの時間。
しかし今日はそうともイかないようだ。
何せ初対面のおっさんに抜いたことの無いジャンルの
AVを握らされたのだ。
冒険の始まりに呪いの剣を持たされたような
緊張が走る。……しかしこの女優さんもまた
小綺麗な顔立ちにスタイルも上々、そう。
モノは悪くない。むしろ良すぎるまである。
何故マグロ物にしたのか。その一点が俺に
大量のクエスチョンマークをぶっかけてくる。
「とりあえず、開けてみるか、」
誠に不快だが、モノは試しだ。そう自分に
言い聞かせケースを開けると、紙が1枚
ヒラリと床に落ちた。
紙はメモ用紙のサイズで綺麗に折りたたまれている。
どれどれ、
【これを見てる君はきっとマグロを
好きになる。顔や秘部だけではなく。
細かいところを是非見ていただきたい。】
そう書かれていた。
「ぜってー見ねえ、!!!!!!」
ケースを閉じ、押し入れに投げ込んだその日の夜は
ムシャクシャしたあまりドラゴンカー○ックスで
抜いてしまった。抜き足りないモヤモヤと
あのおっさんの言いなりになりたくない不快感を
シャワーで洗い流し、俺はベットに倒れた。