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格差の親愛ヒエラルキー

もう過ぎたけどハッピーバレンタイン!(ただし二次元に限る)

徳永と話した後、俺は自分の教室へと向かった。

星鏡学園は何度も言うが校舎が無駄にデカイため、たとえ校舎の中に入っても教室にたどり着くまで少し時間がかかるのだが、俺は誰にも挨拶されることなく教室に着いた。

それは朝早い時間帯だから人が少ないということもあるが、いろいろな意味で有名人な俺に挨拶が一つもないのは自分がぼっちだからだと認めざるを得ない。

俺がぼっちなのは、もともと俺自体が社交的じゃないということもあるが、多くの生徒にあの『星鏡の双姫』をはべらせている最低独占二股野郎だと思われているからだ。

そのため、俺に話しかけてくるのは蓮名と想愛に近づきたい、話したいという目的の輩か、

「よっす銀河、今日はいつもより一段と冷めた顔してるなー」

俺の数少ない友達か、だ。

「おはようキクゴロー、冷めた顔ってなんだよ」

その数少ない友達の1人であるこいつは及川(おいかわ)菊五郎(きくごろう)、俺と同じ2年B組のクラスメイトだ。

『ここだけ少子化が止まっている』とまで言われるマンモス校の星鏡学園で小学校の時も含めて6年間同じクラスという偉業を成し遂げている友人でもある。

クラス替えの結果を見て思わず『なにこれ?運命?』と言ってしまい、蓮名と想愛を凍りつかせてからもう1週間経つのか、時間の流れは早いもんだな。

あの後蓮名と想愛の機嫌を直すの結構時間がかかったなぁ…。

「なんか難しい顔になってるが…一体全体どうしたっていうんだギャラクシア、何か悩み事か?」

「誰がギャラクシアだ、そんな壮大な名前じゃねーよ。ちょっと運命を嘆いていただけだっつの」

「猫っぽい名前よりはいいだろ。ていうか運命ぃ?…あぁ、そういうことか。銀河の運命は蓮名ちゃんと想愛ちゃんだけで充分ってか?」

「あぁそうだ、だからお前との運命なんかいらん」

「相変わらずのシスコンだな…だから男子に疎まれ女子に嫌われてんだよ」

誰がシスコンだ、ただちょっと兄妹愛が強すぎるだけだ。

「女子と話せないのは悲しいけど下心満載の欲にまみれた男子と仲良くなる気はない」

「女子と話せなくて悲しいって…そんなこと言ったら蓮名ちゃんと想愛ちゃんに怒られるぞ〜?」

そう、菊五郎は蓮名と想愛がヤンデレだと知っている数少ない人物だ。

たから蓮名と想愛にちょっかいを出さない。そのため俺と仲良くできるのだ。

「さすがに2人の前では言わねーよ。でも今は大丈夫だろ、2人が盗聴でもしてない限r———」

プルルルル プルルルル

「………」

「………」

「…誰から?」

「…蓮名からだ、でも絶対想愛もいる」

「まさか本当に盗聴器を…」

「ありえそうだけど!たぶん違う…と信じたい!これはあれだ、きっと…テレパシー?」

「それもありえそうなんだが…とりあえず出てみたらどうだ?」

「あぁ、そうだなそうしよう………もしもし蓮名?いったいどうした?」

『あ、お兄ちゃん?これといって特に用はないんだけど…なんでか知らないけど私も想愛も今お兄ちゃんに電話した方が良いって気がして…なんでだろう?』

「…なんでだろうなー」

俺の妹達には隠し事はできない。えぇ、わかってますよ。


あっという間に4時間目の授業も終わり、昼休みの時間となった。

ちなみに朝の蓮名と想愛からの電話には『ちょうど俺の可愛い可愛い妹達の声が聴きたかったんだよ、電話してくれてありがとな。さすがは俺の妹達だ』と言っておいた。

隣で菊五郎がなにやら変な顔をしていたが、気がついてないふりをしておいた。

「腹減ったー!さぁ銀河、さっさと飯食おうぜー!」

「おう!少し待ってろ、今弁当箱出すから」

レッツlunchタイム!


「ところで銀河、その弁当って蓮名ちゃんと想愛ちゃんの手作りなんだよな?」

「あぁ、だから絶対にやらんぞ」

「残念…でもまぁ仕方ないか。血とか入ってたら俺が食べちゃいけないもんな」

血って…こいつ世の中のヤンデレが全員同じ事をすると思ってんのか?

いや、そもそも世の中にヤンデレがたくさんいるとは思はないが。

「大丈夫だ、そんなことはねーよ。蓮名と想愛には自分の身体を傷つけたら怒るって言ってあるからな」

「そうかー、なら大丈夫だな。蓮名ちゃんも想愛ちゃんも銀河に絶対服従だからなぁ」

そう、もう既に『言ってある』のだ。さっき菊五郎には世の中のヤンデレが〜と言ったが、蓮名と想愛は昔俺の食べ物に自分達の血を入れようとした事があるのだ。

その時は紅葉義母さんが気付いてくれたからよかったものの、もし誰も気づかなかったら蓮名と想愛の肌が俺のせいで傷つくところだつた。

そのため、俺は2人に『いくら俺のことを想っての行動でも絶対に自分の身体を傷つけるな』と命令したのだ。

蓮名と想愛は俺に絶対服従しているので、俺が命令すればもう二度とそれをすることはなくなる。

そして、蓮名も想愛も俺の嫌がることは絶対にしないのに俺の食べ物に血を入れようとしたということは、2人の『()に自分達の全てを捧げたい』という気持ちが強すぎたということもあるが、俺が心の奥底で『妹達(蓮名と想愛)の全てが欲しい』と思っていたということなのだろう。

これではいったいどっちがヤンデレなのやら。

でもあの時の事のおかげで今まで若干鉄の味がする食べ物は作られていない。

それなのに…バレンタインのチョコレートだけはなにやら変な味がするのはなぜだ?

2人には命令しているから血ではないことは確かだ。

そして蓮名と想愛は渡す時に『愛を込めて作った』と言っていたが、『愛』の部分がなぜか意味深な感じがしたのはきっと俺の気のせいなのだろう。

チョコを食べたら2人の顔が赤くなっていたのはきっと俺が食べてくれて嬉しかったからなのだろう。

味の感想を聞かれ、『おいしい』と答えたら2人が嬉しさと羞恥が混ぜ合わさった顔をしていたのも俺の気のせいに違いない。

そう、きっと何もかも俺の気のせいだ。俺が蓮名と想愛を変な目で見たから生まれた妄想に違いない。そうだろう、そうであれ。


「そういやさー、さっき蓮名ちゃんと想愛ちゃんが銀河に絶対服従って言ったけど2人の中では銀河はどんな存在なんだ?」

「そりゃ兄だろ」

まったく、何を言ってるんだこいつは。

「あー、いや、そういうことじゃなくてだな…なんというか、こう…ヒエラルキー?みたいな?」

「なんだそういうことか。え〜と、確か…

『兄≫≫(超えられない壁)≫≫2家族≫自分達≫友達≫知り合い≫男』

だったな」

「2人にとってお前は神か!?てか男最下層かよ!」

神ではない、兄だ。

「ちなみに俺の場合は

『妹達≫2家族≫自分≫友達≫知り合い≫妹達の敵』

だな」

「妹達の敵ってなんだよ!?」

「ほら…蓮名も想愛も我が妹ながら超美少女だろ?だから味方も多いけど敵はもっと多いんだよ、女子とかに」

「あぁ〜なるほど、嫉妬ね。そりゃ敵も多いわ…。それでなんで蓮名ちゃんと想愛ちゃんの最下層が男なんだ?」

「昔いろいろあってな、2人とも軽度の男嫌いなんだよ。でも安心しろ、キクゴローは俺の友達だし蓮名にも想愛にも何回か会ってるからランクは『知り合い』だぞ」

盛大に喜べ。

「お〜やったぜ!」

「でも男である限りこり以上ランクが上がることはないがな」

盛大に悲しめ。

「…査定厳しいなぁ。てかそれもう軽度っつーか重度の男嫌いだろ」

「いや軽度だよ。男嫌いになる前から俺以外の男には興味がなかったから重度に見えるだけだ」

「ふ〜ん…ちなみに俺以外で男の『知りあい』ランクの奴はいるのか?」

「そうだな…一存とか閬とかかな?ほら、あいつら彼女いるし」

「優也は?あいつも彼女いるだろ」

「優也はなぁ…あいつ彼女いるけど蓮名と想愛をまだ完全に諦めきれてないっぽいからなぁ」

「マジかよ…」

マジなんだよ…残念なことに。

「まぁとりあえず蓮名と想愛の『知りあい』になる条件は俺に利益を与えている者で、なおかつ蓮名と想愛を変な目で見ないことかな」

「対人関係まで銀河が関係するのかよ…」

「まぁな、自分で言うのもなんだけど蓮名と想愛にとっては俺が2人の全てだからな」

そう、だから俺は2人にとって最高の人物でなければならない。

俺が最高の人物であり続け、蓮名と想愛を幸せにする。それが俺の使命であり、役目なのだ。

二次元→女子が男子に手作りチョコ

三次元→女子が女子に市販チョコ

だから俺が三次元でチョコが貰えないのは仕方ないな、うん

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