3人並んで川の字に
安心してください、穿いてますよ
我が家には蓮名と想愛がいつでも泊まれるように『蓮想の部屋』というものが存在している。
その部屋にはちゃんと布団が2つあるのだが、それらは一度も使われた事がない。そしてたぶんこれから先も使う事はないだろう。なぜなら———
「お兄ちゃん♪来ちゃった♡」
「覚悟も準備もしてきましたよ♪お兄様♡」
毎回パジャマ姿の蓮名と想愛が枕を持って俺の部屋にやってくるからだ。
「うん、来ると思ってたよ。けどその覚悟も準備も必要ないよ」
「えぇ〜、そんなぁ〜」
「つれないです、お兄様」
むくれた顔をする蓮名と想愛、だけどそんな顔ですら可愛いのだからまさに非の打ち所がない美少女達だ。
しかし本当に必要ないのだ。もし必要ある状況になったら俺は天陵家を追放されてしまう。
「お兄ちゃんと愛の逃避行…♡」
「お兄様と一緒だったらどこまででもついて行きます」
「いや、しないからな?」
2人はこう言ってくれてるが必要ないったら必要ない。
自分から来てくれとは言ってないものの、蓮名と想愛が俺と一緒のベッドで寝ることは、母さんや紅葉義母さん、新斎義父さんも反対しているのだ。ちなみに父さんだけが賛成してくれたが、あとで母さんに説教をくらっていた。
それでも蓮名と想愛が俺と一緒に寝たいというので2家族会議を行った結果、ある条件を出された。
その条件とは、『一緒に寝てもいい、そしてAとBまではしてもいい、というかもうしてると思うから真に遺憾だが許そう。だがCだけは…Cだけは絶対にするな!』と、新斎義父さんが血眼になって泣きながら言った。あれはいろいろと怖かったなぁ…。
それに母さんからも『蓮名ちゃんと想愛ちゃんが高校卒業する前にヤったら家から追い出す』っていわれてるしなぁ…。
…俺、もしかして信頼薄いのかな?
「さぁ、蓮名、想愛、もう寝るぞ」
ひとしきり話したあと、俺は2人に言った。
「すいませんお兄様、今日は急なお泊りだったのでネグリジェが用意できませんでした…」
「でも安心してね、お兄ちゃん♪ちゃんととっておきの勝負下着を穿いてきたから!」
「そっちの寝るじゃねえよ!」
ていうか2人とも今勝負下着なのか…ちょっと、いやかなり気になる。
「お兄ちゃん…見たいの?お兄ちゃんだったらどこでも見ていいよ♪」
「下着ですか?裸ですか?それとも…中ですか?」
「イイエ、ケッコウデス」
見たいよ!どっちも!
「えぇ〜、残念…」
「あん、つれないです」
まったく…2人が変なこというから悶々してきたじゃねえか…助けて、モンモン先生!
「私たちが鎮めようか?ゆっくり、ねっぷりと愛を込めて…」
「逆に昂ぶらせてしまうかも♪でも大丈夫、夜は長いですから…」
「べつにいいから!大丈夫だから!」
これ以上悶々させないで!てか俺の心を読まないで!
蓮名が右、想愛が左、俺が真ん中でベッドに横たわる。
俺のベッドは普通のより少し大きいが、さすがに3人で寝るとすると小さい。
だから寝るときは蓮名と想愛が俺に抱きついてくるのだが…寝れるか!2人とも俺の腕に胸を押し付けてきたり腕や足を太ももで挟んできたり…やめて!俺の理性はもう0よ!…いややっぱりやめないで!
っていうのを俺は何回も繰り返してきた。そんな理性と欲望との葛藤をしながら毎回夜明けを待っているのだ、今まで狼にならなかったことを褒めてほしい。
「お兄ちゃん、おやすみ〜。だけど…」
「お兄様、おやすみなさい。ですけど…」
「「夜は長い…よ(ですよ)♪」」
「…あぁ、おやすみ」
いい終わるやいなや双子は俺に抱きついてきた。
風呂上がりでとても良い香りのする蓮名と想愛、そして素晴らしい感触の餌食になっている我が体。さぁ、今日の俺はどこまで耐えきれるかな?
今夜も参加者俺1人の我慢大会の始まりだ!
それから30分後、蓮名と想愛はやっと眠りについた。
最初は俺を陥落させようと攻勢に出ていたのだが、2人はもともと寝つきがよく、さらに俺に密着していると安心するのかいつもより早く寝るため、30分もすればこの快感天国…じゃなくて快感地獄から解放される。蓮名と想愛の夜は短いのだ。
「ふぅ〜」
とりあえず俺は今日も耐えきった。頬を舐められた時はもうダメかと思ったがなんとか耐えたぜ!凄いぞ俺!やったぞ俺!なにやってんだよ俺…。
「…やっぱり今日もダメか」
本当なら今すぐトイレに行って欲望を発散させたいのだが、起き上がる事ができない。
なぜなら、蓮名と想愛が俺の両腕をつかんで絶対に離さないからだ。この双子は寝ていてもなお俺から離れようとしない。そのため2人は寝返りをうたず、体全体を俺に密着させて本当に幸せそうな顔をして眠る。
「まったく、蓮名も想愛も幸せそうな寝顔をしやがる…」
おかげで俺の穢れた心が浄化される。あいかわらず蓮名と想愛は天使だなぁ。
チュンチュン。チュンチュンチュン。
「………ん?」
翌朝、俺は股間部分に違和感を感じて目を覚ました。
なんか股間部分が妙に温かいような…まさか!?この年になってお漏らしを!?
そう思い急いで股間部分を見てみると、そこには
「…あ」
「お、お兄様…いつから起きて…?」
蓮名と想愛が全裸で俺の朝の暴れ馬を握っていた。
人は急にパニックになりすぎるとどうなるんだろう。発狂?失神?わからない。ただ、俺がなったのは
「…たった今、かな。ところで蓮名、想愛、お兄ちゃんの股間でなにをしているんだい?」
一周回って冷静になることだった。
「ナニをしているかって…ねぇ想愛、これって…淫語を言わせる羞恥プレイ、なのかな?」
「大丈夫です。たとえお兄様がどんな性癖の持ち主でも寝取られ以外だったら順応できます」
「な・に・を・し・て・い・る・の・か・な?」
「「ごめんなさい!だから怒らないで!嫌わないで!!」」
美少女双子は全裸土下座すらも美しかった。
蓮名と想愛は確かに天使でここは桃源郷なのだが…『手を出すな』という掟がある限り、ここは地獄に変わる。
俺はそれを毎回自覚させられている。
モンモン先生はとある昔のサンデーの漫画に出てきます
まさか悶々という言葉の意味を本気で調べる日がくるとは…