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奇襲作戦

5月の1日ですが一応3月分です

月1投稿ですら守れなくて本当にすんませんっしたァ!!

4月から社会人となったので月1投稿すらキツそうです!なのでちょっと月1投稿はたぶん諦めます!


————— 汜水関 —————




「諸君、ついにこの時が来てしまった。

我等が主君、仲穎様の覇道を阻む愚か者共が連合を組んでこの汜水関を攻めてきた。

我等は仲穎様の臣下として、なんとしてもこの汜水関を守りきらなければならない!

仲穎様の覇道の未来は我等にかかっていると心得よ!!」


『ウオォォオオオオォ!!』


「我等にはこの強固な関がある!防衛に徹すればまず負ける事はないだろう……が!勝ちもしない!!それどころか多く時間をかけすぎると連合軍がまとまり、我等が敗北する可能性が高くなる!故に我々は最初に突撃を仕掛け敵軍の勢いを削ぎ落とす!我々が関に引き篭もるだけだと思っている連中は混乱するに違いない……。———いくぞ!我が華雄隊、出陣だ!!」


『ウオォォオオオオォオオ!!!』



こうして汜水関を飛び出し連合軍へ向かって突撃する汜水関の総大将、華雄。

彼等の突撃の勢いは凄まじく、彼の予想通りに連合軍は大いに混乱し、次々と華雄隊に蹂躙され、進撃をゆるしてしまっていた。


この勢いを活かしてこのまま前進……と凡将なら考えるだろうが、そこは名将華雄。

連合軍の勢いを挫くという目的を無事達成したので、汜水関に帰還しようとしていた。


していた……のだが。



「なに?味方が突出しすぎているだと?」

「はい、どうやら敵の中でも特別混乱が酷く練度も低い部隊がいたらしくて。今はまだ大丈夫ですがこのままでは孤立してしまうかもしれません」

「それは(あや)ういし怪しいな…。その敵はどんな部隊だ?」

「それが見たこともない旗印でして……」

「なるほど…。敵の策なのかただ弱いだけなのか判断できんな」

「いかがいたしますか?」

「よし、我が直接行って確めてくる。怪しければ撤退、弱いだけなら全力で蹂躙し尽くすぞ!!」



そして華雄は実際に(くだん)の戦場の様子を見た後………全軍に突撃を命令した。




「フハハハハ!圧倒的ではないか我が軍は!!」

「はい!連合軍も大したことありませんね!華雄様の良い判断のおかげです!」

「クハハ!そうであろうそうであろ—————む?」

「いかがいたしましたか?」

「……いや、どうも急に騒がしくなったような…」

「……そう言われればそのような———って伝令兵!?何事だ!!」



「申し上げます!突如現れた騎兵部隊が我が軍の後方に突撃!汜水関への道を遮断されました!!」



「「………なにぃッ!?」」


「我々は………包囲されましたッ!!」



華雄がどれだけ勇猛であろうが名将であろうが、四面を敵に囲まれ補給も絶たれた状態で戦い続けられる者など普通いない。

背水の陣という言葉もあるが、それは背面の水が攻めてこない事が前提だ。

連合軍の雄叫びに囲まれる華雄隊の状況はまさに四面楚歌であった。



「華雄様っ!指示を!!」

「くっ…!退却しかあるまい……!!我等の後方に来たのは騎兵部隊だけだと言ったな!我直々に赴いてくれる!!」

「それは危険です!貴方は汜水関の総大将なのですよ!?」

「馬鹿者!!ここに留まる方が危険だ!!」



華雄の言う通り、このまま留まれば今は安全だろうが、やがて四方を敵に囲まれて逃げる事するできなくなって大いに混乱した兵達に囲まれて身動きとれずに軽く討ち取られてしまうだろう。

なんなら華雄(大将)の首を手土産に投降しようと考える者が押し寄せるかもしれない。


それならば一番危険であろうとも一番包囲が薄い後方に一番戦闘力がある華雄が赴いた方がこの敗戦一色な戦況から抜け出せる可能性が高い。

それに危険であろうとも退路さえ確保できればすぐに汜水関に逃げ帰る事ができる。

総大将である華雄さえ帰れれば汜水関に戻って態勢を立て直す事だって可能になるのだ。


だから何がなんでも汜水関から退却しなければならない。それも出来るだけ早く、できるだけ敵と戦わずに。

その為にも大人数で時間をかけて移動してはならない。

それに大人数で行動すればそこに華雄(総大将)がいる事が敵にバレてしまう。

危険であろうが仕方ない。これはもう撤退戦なのだから。華雄が逃げ切る事が最優先なのだ。




そして華雄はわずかな護衛を連れて最後尾という名の最前線に到着。

逃げ切れるか、討たれるか。

このDEAD or ALIVEでこの戦の勝敗が……決まる。



「者共ォ!命を賭して敵軍を突破せよ!!お主らの活躍がこの戦の勝敗を決めると知れィ!!」


『ウオオォォォォオオオォ!!!』



叫んだのは華雄。

しかし雄叫びを挙げたの目の前に展開する敵軍だった。



「華雄様!敵が予想よりも強くてなかなか突破できません!!」

「クソッ!!何故だ!何故なのだ!!あと少しのところでッ……!!」

「———ッ!?華雄様ッ!!」

「今度はなん—————ウオォォ!!?」


「……ぁ…」




—————ビュオッ!!




副官に呼び止められ、振り返る華雄。

と、その直後、顔のすぐ横を偃月刀(大刀の一種)が通り過ぎた。



「チッ…外しましたか……。悪運強いですね、貴方」

「な!?なな、何だ!?誰だ!?貴様!!いったい何処から———」



「フッ!!」




—————ズオォッ!!




「—————ってさっきからいきなり攻撃してくるなァ!話してる最中だろうが!というか一騎討ちならまず名乗らんかァ!!」

「また避けましたか……。さすがは敵の総大将、少し厄介ですね。そしてよく喋りますね」

「貴様の方がよっぽど厄介だ!!」



息も切れ切れに叫ぶ華雄。

明らかに年下の華奢な少女から放たれる斬撃を2回避けただけで華雄の全身は冷や汗でずぶ濡れになっていた。


そして襲ってきた方の少女はというと敵の護衛を斬り伏せて総大将の目の前に立っているにも関わらず汗1つかいていなかった。

綺麗な長髪。可憐な顔立ち。出るところは出ながらも華奢な体躯。

過酷な戦場にはとても似合わないその美少女は………自分の身長程もある長い偃月刀を持ち、武器と身体は返り血で赤錆色に濡れ、残酷な虐殺現場に似合う格好だった。



「名乗り……ですか。貴方ごときに名乗る名などないのですが……」

「貴様本当に無礼な奴だな!?」

「ですが今回は特別に名乗ってあげましょう。だって貴方は私達の踏み台の記念すべき1段目なのですから。私の名前は—————」



「翼徳だよっ☆」




—————ザシュッ!!




突如華雄の後ろから蛇矛((ほこ)の一種)が薙ぎ払われ……華雄の首が飛んだ。

汜水関の総大将にして仲穎軍の幹部。猛将華雄はこうして不意打ちによって呆気なく討たれた。



総大将を討たれた汜水関は指揮系統が混乱、そして士気が崩壊し……あっという間に連合軍によって陥落した。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「お義兄ちゃーん!華雄は私が討ち取ったよー♪」

「おぉよくやったな翼徳!偉いぞ!」

「えへへ〜♡」

「……私が華雄の足止めをしたんですけど」

「雲長目が怖いぞ!?大丈夫だ、ちゃんとわかってるって。雲長もありがとな」

「……ふふっ…♡」



汜水関での戦が無事勝利で終わり、最大の功績者である雲長と翼徳が帰ってきた。

今回の2人の……俺達の活躍は孟徳にも、そして連合軍盟主である本初にも伝わっただろう。

最初の目標である『知名度を上げる』は無事達成できたといっていい……よな!よしっ!!



「おぉ玄徳、そこにいたか」

「太守様!ありがとうございます!太守様のおかげで策が遂行できました!」

「儂は兵と馬を貸しただけよ。それに華雄を討ち取ったのも華雄を誘き出す為に犠牲になったのも玄徳の隊だろう」

「いえいえ!本当に太守様のおかげですって!」



へりくだってるわけではない。

媚びへつらっているわけでもない。

本当に太守様のおかげで勝てたのだ。


俺達の性格を知り、信頼してくれている太守様でなければ———




—————半数もの兵を見殺しにする策を立てるような奴に大量の兵と馬を預けたりはしない、から。




兵数合わせで雇った兵達の大半は華雄を戦場に留まらせ、罠に嵌める為の囮になってもらった。

もちろんその囮になる兵達には説明なんてしていない。

だって戦場慣れした猛将(華雄)相手には新兵の演技なんてすぐにバレてしまうからな。

そして太守様には壊滅した俺の部隊のフォローをお願いしていた。


平気で味方を囮にするこのような非道な策を立てる奴など、普通なら信用して共同戦線なんて組めない。

だから太守様には感謝してもししれない程の恩と借りができてしまった。というか増えた。


もちろん世の名将と呼ばれる者達は戦に勝つ為ならば俺以上の非道で無情な策をたくさん実行してきただろう。

が、彼等はちゃんと信頼と信用を得ている。

犠牲を上回る功績を出して黒い部分を無かった事にする。それを繰り返して生まれるのが……『英雄』という存在なのだろう。




玄徳達は今、英雄への道を歩き出した。




「あ、それと玄徳」

「なんですか?太守様」


「今回の貸し……玄徳が伯珪の婿となり幽州に帰って来てくれるなら無しにしてやってもいいが……どうする?」


「……………考えさせて下さい」




英雄への道はまだまだ遠い。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「………はい!というわけでキリのいいところまでプレイしてみました。シナリオ担当の想愛さん、これまでどうだったよ?」

「そうですねー、今回は汜水関での戦がメインでしたから内容的には見ていてハラハラドキドキするものが多かったですね」

「確かに今回は前回と違ってはらどきっ☆とした内容でしたね。続いてHシーン担当の蓮名さん」

「何その単語!?っていうか何で私に担当が変わってるの!?そういうのって想愛の専売特許じゃないの!?」

「何が専売特許ですか。やっぱりこの話はムッツリな蓮名にこそふさわしいのですよ」

「ムッツリーn……想愛にだけは言われたくないよ!!」

「……蓮名、あなた今私のことをなんて言おうとしてました?」


「まぁまぁ、2人とも落ち着けって……」



「「お兄ちゃん/お兄様 はどっちを辱しめたいの!?」」



「なんでだよ!!結局こうなるのか!?」



なんか前にもあったぞこういうの!!

デジャヴではないからな!!

ちなみに辱しめたいのは(ry



「それで、どうだったよ蓮名」

「そうだねー、今回も……っていうか今回は本当に全くそういうシーンが無かったよね」

「確かになー、エロゲーとしてこれでいいのか?ってぐらい何も無かったよな」

「お兄様少しがっかりしてましたもんね」

「何のことだかわからない!!」



この話は危険だ!!

けけ決して図星だから焦ってるわけちゃうし!!



「そ、そういえば玄徳はなかなか非道な事してるけどそれについてなんか思うとこないか?」

「勝つ為の合理的な考えを持ってて総大将として相応しいと思ったよー」

「使えない奴等をいい感じに有効活用しているなと感心しました」



めちゃくちゃ好印象だった。

いや……当時の人間ならともかく平和ボケした現代人ならあのやり方になんか言いたい事はあるっしょ。

今にして思えば玄徳は最初から味方の新兵をただの囮としか扱ってなかったんだぞ。

わざと最低限しか鍛えずに華雄によって囮部隊が狙われ、崩壊するように仕組んでたんだぞ。


………って普通なら思うけどシナリオライターさんが上手いのか単純に俺達がおかしいのか玄徳に対して不快感は湧いてこなかった。

だって大きな事を成す為に少数を切り捨てるのは成功する為の真理だろ?何一つ間違ってない。

世の中には多くの人を救う正義の味方になりたかったのに暗殺者になってる奴だっているんだぞ。

まぁ少数を切り捨てたのを咎められて王の選定をやり直そうとした奴だっているが……俺と蓮名と想愛は間違いなく自身の夢の為なら他人を躊躇いなく切り捨てれるタイプの人間だ。


トロッコ問題が出されてもこの双子を救う為なら何十人だろうが何百人だろうが他人を見捨てる自信がある。そしてそこに後悔はないはずだ。

そもそも人間なんて数十円募金するだけでアフリカの子ども達が救われますーなんて言われても無視するようなもんだぞ。興味のない他人がどうなろうと知ったこっちゃない。


だからその分好きな人には親身になりたい、大切にしたいって思うんだ。

それが俺と蓮名と想愛は顕著過ぎるだけなんだ。

よって……俺達が異常なわけではない!…と思う!!



「そういえば作中で雲長と翼徳が人に師事出来る程諜報活動が上手かったけど……2人はそんなこと上手くないよな?……やらないよな?」


「「やりますねぇ」」


「なにぃ!?」



マジで!?誰に!?

俺に決まってんだろバカ野郎!!



「何故に!?」

「別にお兄ちゃんのことを信用してないってわけじゃ断じてないんだけど……ねぇ?」

「やっぱり平日は学校の高等部と中等部で離れてますから……ねぇ?」

「そんな疑問形で言われても」

「あ、でも大丈夫!機材(盗聴器)とかは使ってないから!」

「お兄様のプライベートな時間は決して侵害してませんから!」



使ってたらビックリだよ。


それにしても諜報って……。

同じ敷地内とはいえ校舎違うのにどうやって俺の情報を収集してるんだよ。

機械を使ってないとしたら人を使ってるのか?

となると俺の事よく知ってて蓮名と想愛と連絡とれる奴……まさかキクゴローか?


……いや、それはないな。

すぐに解消したとはいえ昔馴染みで従兄弟の烈にさえも苦手意識があった2人だ。

確かにキクゴローや一存達も蓮名と想愛と昔から知り合ってはいるが、それでも連絡を取り合うような仲ではない。

そもそも蓮名も想愛も男性の連絡先は俺と親斎義父さん、俺の父さんの三件しかなかったわ。

だからキクゴロー達とは連絡のしようがねぇわ。



「だとしたらどうやって……」


「あぁ、それは———」

「あぁ、それはですね———」




「「以前いきなり難癖つけて突っかかってきた奴を徹底的に叩き潰して命令———ゴホン!知り合いの先輩にお願いして情報を得ました」」




「嘘だ!?」



前半部分はともかく後半は確実に嘘だ!!

ボッコボコに叩き潰したのが肉体的なのか精神的なのかもしくはその両方なのか……怖くてとても聞けない。

蓮名も想愛も女子から嫉妬されやすいんだからそういう時は俺を呼べって言ってるのに……。危険な事はしないで欲しい……。



「ただあんまり連絡ないんだよねー」



逃げたんじゃないかな?



「お兄様に何も問題がなかったって事ですね。良かったです」



それ、たぶん逃げたと思われます。



何だろう、情報収集系女子の恐ろしさを味わったような気がする。

好きな相手の事は全部知りたいと思うもの。

つまりこれは愛ゆえの行動。

愛されている証拠。


………なんだけど……。



玄徳くん、頑張れ……。



創作の人物なのに思わず同情の念を禁じ得なかった……。


私の小説の中で一番ポイント高い作品が運営からR18相当として警告を受け、削除されました

よってこっちもマイルドにします

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― 新着の感想 ―
[一言] 電波系のヤンデレの素質もあったのかと驚いた。 でもよく考えたらもともとそうだったなあとも思う。
[一言] 予想だけど絶対そうだろうくらいにはキャラが本編とマッチしてる。 せめて活動報告くらいしてほしい。 失踪しないかちょっと不安だった。
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