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番外編・年末年始・前編

前話の追加改稿を2日に行いました

卒論から解放されたーーー!!イヤッホゥゥゥウウ!!!だってもう自由よーー!なんでーもでーきるーー!!

で〜す〜が、卒論で死にかけたりコミケに行ったりして忙しかったので12月中に投稿するのは無理だと判断

なので急遽年末年始の番外編をします!


12月31日。


つまり大晦日。


そんな一年を締めくくる日に俺と蓮名と想愛は神社に来ていた。

ちなみに明日、元日もこの神社に来る予定だ。

いわゆる二年参りってやつ……ではない。だって俺達は日をまたぐ前に家に帰るのだから。

その理由は単純、蓮名と想愛は夜更かしが大の苦手だからだ。

それと普通に家に帰ってコタツに入って紅白見たい。これぞTHE・日本の大晦日って感じ。

さらに言えばこの神社は大晦日限定で甘酒とふろふき大根が無料で提供されるし、ちょっとしたスタンプラリーをしたらくじ引きができる。


まぁそんなわけで二年参り(仮)をする為に神社に来たのだが……。



「寒いな……」

「寒いね……」

「寒いです……」



12月、それも31日、真冬。

どれだけ地球温暖化が進もうが寒いものは寒い。

田舎の冬の寒さナメんな。


そのあまりの寒さから蓮名と想愛は俺に密着して左右から両方の腕をぎゅっと抱きしめて………あ、これいつも通りだ。夏でも同じ状態だわ。

ただ冬は二人とも厚着だからなぁ……せっかく腕が胸に抱え込む形で抱きしめられたのに二人の胸の感触を味わえないのが残念。

さらに夏生まれ特有の寒がりなこの双子はモフモフモコモコした上着を着ている。

これはこれで良い感触なのだがやはり胸の感触に勝るモノは無いし……。

まぁ別の見方をすれば脱がしがいがあるとか抱きしめたら温かいとか良い点はある。

そういえば二人はハイレグ状の例のヒートテックを持ってたよな……今着てるのだろうか……確認してみるか……。


……いやいや待て待て!俺は神社に来て何て欲にまみれた事を考えてるんだ!煩悩退散煩悩退散ついでに悪霊退散。だってここ神社だし。



「寒いしとりあえず先に甘酒と大根貰っとくか?」

「賛成!……って言いたいけど……今はいいかなぁ」

「私も蓮名と同意見ですね…。今はちょっと……人が……」

「あ〜……確かに、了解、やめとく。って事でスタンプラリーから始めるか!」

「うん!」

「はい♪」



蓮名と想愛の目線の先に俺も目を向ける。

そこにある甘酒とふろふき大根の配給所には長蛇の列が、そしてその近くのテーブルと椅子は全て埋まっていた。


今並んでも効率悪いから———ではなく、単純に蓮名と想愛は人混みが大の苦手だから行かない。

いや、苦手というより嫌いかな。克服なんて出来そうにない。自分の事じゃないけど自分の事のようにわかる。確信できる。

だって蓮名と想愛は軽度とはいえ男性恐怖症なのだぞ。男が怖いのに、嫌いなのにそんな男がたくさんいる人混みが好きなわけない。

まぁそもそも人混みが好きな人なんてなかなかいないと思うけど。



「それじゃ行こっ♪お兄ちゃん♡」

「行きましょう♪お兄様♡」

「……あぁ!」



常に蓮名と想愛、2人のことを考えて行動する。

2人が俺の嫌がる事をしないように、俺も2人が嫌がる事はしない。絶対にしない。


それって窮屈じゃないの?って以前キクゴローか洋かに問われたことがある。

確かに行動は制限される。女の子に話しかけちゃダメだとか女の子を極力見ちゃダメとか女の子に笑顔を向けちゃダメだとか………あれ?本当にガッチガチに制限されてる。それどころかむしろ束縛されてる。

まぁあんまり困るもんでもないからいいけど。


それに蓮名と想愛は双子で思考が似てるとはいえ、それぞれちゃんと別々の魅力と思考を持つ2人の女の子だ。

つまり制限は倍になる。

そもそも名前の呼び順だって制限といえば制限だし。昔はよく忘れては蓮名に怒られてたなぁ……。


でも慣れた。

だから構わない。

別に困らない。

自分一人じゃないから制限かかって自由じゃない?そんなこと考え続けてたら人類は誰も結婚できなくなってしまう。

その制限を補って余る程の幸福があるから人は自分以外の特別な誰かと一緒に居たいと思うんだ。




……でも女の子に話しかけるぐらいの事は許してほしいと切に願う。

俺、そのせいでクラスの女子に『天陵はホモなんじゃないか説』を持たれてるんですけど……。

そっちの趣味嗜好の人をバカにするわけじゃないけど誤解は解きたいんですマジで……。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




スタンプラリーとして神社の境内を3人で巡る。

社に入ってはとりあえずスタンプを押してお賽銭を入れて祈る。

いや、祈ってはないな。『今年も楽しく平和に過ごせました。ありがとうございました』っていう報告と感謝だ。

信心深いわけでもないし、ぶっちゃけ神様のおかげで楽しく過ごせたなんて思った事ないのになぜか感謝する。なんでだろう?

……なんて思ったけど困った時に神頼みする際に媚を売ってると考えるとなんか納得できた。


ちなみにお賽銭は1円だ。

だって御縁ならもう特大なのを2つも頂いているからな!

だから俺がケチというわけではない、という事にしておいて。


なんて思ってる間にスタンプは全て押していた。

まぁそんなに広い神社でもないからこんなもんか。

それに毎年やってるから最短ルート知ってるし。



「……あ、お兄ちゃんあれ見て!」

「………ん?あ……!」



蓮名の指差す方向には甘酒と大根の配給所。

神社に来た時は人でごった返していたのに今は奇跡的に比較的に空いていた。



「お兄様、いかがいたします?」

「よし!こんなチャンス逃すわけにはいかないしせっかくだから先にあっち行くか!」

「おー!」

「はい!」


ってなわけで先に甘酒と大根を貰い、食べる。

受け取った際に指先はかなり温まったが、双子から解放された腕がやけに寒く感じた。


その寒さと寂しさを紛らわすためにも周りを見渡し、空席が3つないかを探す。

ちなみにこの作業、地味に重要。

だって3人で2人席に座るのはちょっとキツイからな。だから4人席を選ぶ必要がある。

さらに男性が苦手な蓮名と想愛のためにも比較的男性の少ない場所を選ぶ。

でも当然そんな席なんてなかなか見つからない。

あー……早く誰か席立たねぇかなー……



「あのー……よろしければこっち、座りませんか?」

「…んあ?」



なんて思ってると声をかけられ、振り返る。

そこにはビックリした顔をしている俺と同い年くらいの男子がいた。

そしてその男子の奥には3人の男が大きなテーブルを占拠していて、『お前じゃねーよ!』とでも言いたそうな目で俺を睨んでいた。


んー……。

あー………。

そうね。

これってあれだね。

自主的にか罰ゲームか知らないけどこれは蓮名と想愛をナンパしに来たって事だね。

それで双子と釣り合わない俺は3人で行動してると思われずに完全にアウトオブ眼中だったと。HAHAHA滅べ。


ともかく、ナンパだとしたらこの男には言うことがある。

伝えることがある。

俺と彼女達の関係を知って、ナンパを諦めてもらう必要がある。


俺は蓮名と想愛を守るように2人の前に立つ。


そして男を睨み—————告げる。




「おいお前、俺の—————()()に何かようか?」




蓮名と想愛が、俺の『()』であることを。




「……え?妹?ってことはコイツ兄?全然似てな……」

「………何か?」

「あ、いや、その……なんでも…ないです。ハハ……」



そう言って奥のグループへと戻っていくナンパ男。

そしてこの場には俺達3人だけが残された。



「お兄ちゃん……」

「お兄様……」


「蓮名、想愛—————立ち食いでもいいか?」


「……うん!私達はお兄ちゃんと一緒ならどこでもなんだってでも良いから!」

「なら先に甘酒から片付けましょうか。そしたら両手が使えます」

「よし!そうだな、そうしよっか!」



これでいい。

今までだってこうしてきた。

だから今まで通りに対応した。


ナンパって相手の家族が登場したら途端にやる気を失くすものだ。

それが父親や兄だとなおさらに。

だから何かあったら守ってくれる親や教師がいない『外』ではこうやって撃退してきた。


これが俺が『お兄ちゃん』で、『お兄様』である理由。

まぁ他にも大きな理由はあるのだが、俺は蓮名と想愛の『兄』であることで、妹達を守ってきた。

そんなことでしか守れない自分自身を少々情けなくは思う。

しかし、そんな小さな意味のないプライドで蓮名と想愛を危険にさらすわけにはいかないんだよ。

中学時代はそのちっぽけなプライドのせいで大変な目にあった。当時担任だった巣鴨先生にも多大な迷惑をかけた。

たまたま蓮名と想愛に面倒な事が起きなかったってだけで2人を危険な目に合わせる可能性はあった。


今はまだ、守る力はない。


だからまだ、兄でいい。


その思いを胸に、やるせなさとかイラつきとかを全部手に持ってた熱々の甘酒と一緒に一気に飲み込んだ。


……熱々の甘酒と一緒に。一気に。



「アッッッッッツゥ!?」

「お兄ちゃん!?大丈夫!?」

「お兄様!?大丈夫ですか!?」

「唇と舌と喉と胃が熱くて痛い!!」



どうやら俺はまだカッコイイ兄にすらなれていないようだ。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「あ〜……口の中がまだヒリヒリする……」

「お兄ちゃん大丈夫?お水飲む?」

「お兄様大丈夫ですか?病院行きます?」

「ありがとう大丈夫、水は飲む。病院は大げさ」

「でも私達の唇が……」

「でも私達の舌が……」

「……ケガしたのは俺の口だぞ?」



なんてなんともない会話をしながらくじ引きの場所へ向かう。

甘酒と大根は美味しかった。味わかんなかったけど。



「着いたー!……ってあれ?まだ一等出てないみたい!」

「あっ、本当ですね。この時間帯にしては珍しい……」

「そうだなー、俺達にも可能性はあるってわけだ。ま、とりあえず引いてみっか」


「あ、じゃあ私からー……………せいっ!!」



蓮名が勢いよくクジを引く!


その結果は!?



「………5等」



5等とかいう残念賞一歩手前の等級だった。

残念賞よりは良いんだけどなんとも言えねぇ……。

地味に使えそうなちょっとした日用品があるのが良いところ。確か選べるはず。



「5等かー……喜べるような喜べないような……」

「安心してください蓮名、仇は私がとってあげます。というわけで……………はいっ!!」



想愛が勢いよくクジを引く!


その結果は!?



「………5等」



またもや5等だった。

これぞ5等の双姫。もちろんヒロインは双子だ。

何言ってんだ俺。



「双子のこういうとこ、嫌いです……」

「残念賞じゃないだけマシだって。というわけで最後は俺か……………はぁ〜〜〜銀河っ!!」



勢いに任せてクジを引く!


その結果は!?



「………1等……1等!?」


「お兄ちゃんすごーい!!」

「さすがですお兄様!!」



え?うそ、マジ?え??マジで1等!?

繰り返しクジを見るが……そこに書かれてあるのはちゃんと『1等』の文字。



「マジで1等だ!!」



マジか!俺スゲェ!!

あぁ!くじ引きの箱を渡してくれたおじさんが鐘(ベル?)を鳴らしてくれてる!!

悪目立ち以外で初めて蓮名と想愛より注目されたかも!



「おじさん!それで1等の景品は……!?」

「はい、これから持ってきますので少々お待ちください」

「なんなんだろうねー!」

「楽しみですね」



おじさんが奥のテントの中に入って……持ってきたものとは……!!



「………コーヒーメーカー?」



コーヒーメーカーだった。それも豆から入れるタイプの。



「はい、こちら一等の景品です。おめでとうございます!」

「……あっ、はい!ありがとうございます!!」

「おめでとうお兄ちゃん!!」

「おめでとうございますお兄様!!」

「おぅ!2人ともありがとな!」



受け取ると同時になんか拍手が巻き起こった。

なかなかに気持ちいい。そして気分良い。

気分良い……のだが……。



豆から入れるタイプのコーヒーメーカーかー……。



俺、コーヒーよりは紅茶派なんだが。

飲むとしたらM◯Xコーヒー。

コーヒー豆なんて当然持ってない。

そして豆を買ってまでコーヒーを飲みたいとも思わない。


………。



……………。




…………………。




来年の父さんへの誕生日プレゼントが決まった瞬間だった。




「それで、2人は何を貰ったんだ?」

「私達は同じ物にしたの!」

「用意しますから私達に付けてくださいね?」



付ける?イヤリングか何かか?

そんな高級そうな物このくじ引きには無いと思うが……一等だってコーヒーメーカーだし……。



「……じゃん!!」

「私達が選んだのはこれです!」



そう言って蓮名と想愛が出したのは—————!!



「………首輪?」


「「はい♪」」



首輪だった。

それも大型犬サイズの。

さすが5等、地味に使えそうなちょっとした日用品だ。


……いや、『はい♪』じゃねぇよ。(おんぷ)付けてまで何言ってんの!?



「何で首輪!?犬飼ってないじゃん!」

「そうだねー、今後飼う予定もないねー」

「なら何で!?」

「だから、私達に付けてって言ったんです」

「………は?……えぇ!?」



付ける?首輪を?蓮名と想愛に?俺が?

………うそーん。


俺の心の混乱をよそに両手で首輪を持ちながら密着してくる蓮名と想愛。



「今はまだ兄妹だけど……私達のこと、ちゃんと繫ぎ止めててね?」

「お兄様がご主人様になるまで、私達はずっと待ってますから!」

「は、はは……うん、そうだな……」



結局、今年も最後まで蓮名と想愛に振り回された毎日だった。

そして、それは来年になっても変わらないだろう。



「来年もよろしくね、お兄ちゃん♪大好き♡」

「来年もよろしくおねがいします、お兄様♪大好き♡」



来年も再来年も……ずっと、変わらないだろう。


人生初コミケは最高に楽しかったです

今年もよろしくおねがいします!!

ちなみにこんなにも遅くなった理由は単純に書けなかったと前話のあとがき的に遅くした方が面白そうだったからです

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