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出会いと別れ

卒論がシャレにならないぐらいヤバイので今話も短めです


幽州に無事にたどり着いた3人。そこで玄徳くんはもう1人の幼馴染と再会しました。



「玄徳くん!無事でよかったぁ!!」

「伯珪ちゃん、久しぶり!」



3人が到着するなり玄徳くんに向かって抱きついてくる美少女。

そのまま美少女は玄徳くんの胸の中で泣きだしました。



「よかった……本当によかったよぅ……。玄徳くんの村が焼かれたって聞いた時は不安で心配で……玄徳くんからの手紙が来るまで生きた心地がしなかったよぅ…」

「ごめんね、伯珪ちゃん。それで……あの……文にも書いたんだけど……その……しばらく伯珪ちゃんの家でやっかいになっていい?ちゃんと仕事はするから!」

「玄徳くんなら大丈夫だよぅ!しばらくどころか……その……ずっと一緒に—————!!」



「———お義兄様、その女性は誰ですか?」

「———お義兄ちゃん、そのヒト……だれ?」



「こら雲長、翼徳、これからお世話になる家の娘さんになんて口聞いてるんだ。ちゃんと挨拶しろ」

「……ごめんなさい。これからお義兄様と妹の翼徳と共にお世話になります、雲長と申します。以後お見知り置きのほどを」

「……ごめんなさい。そしてはじめまして、お義兄ちゃんの義妹で雲長の双子の妹の翼徳です」

「…ぁ……。……え?あっ、はい。2人ともはじめまして。ここの領主の娘の伯珪と申します………ってあれ?お兄様?お兄ちゃん?……玄徳くんに妹なんていたっけ?」



玄徳くんは伯珪ちゃんから離れて雲長ちゃんと翼徳ちゃんの頭を下げさせました。

玄徳くんが離れて少し残念そうにしていた伯珪ちゃんはただ今絶賛混乱中のようです。



「あ〜……そういや言ってなかったな。雲長と翼徳は同じ村の幼馴染で、今は義兄妹の契りを結んでるんだよ」

「そうなんだ……あの村の…」

「そうなんです。なので幼馴染歴も一緒に過ごした時間も私達の方が長いですね」

「……え?」

「というかお兄ちゃん。幽州からのお客さんが来て遊べなかった時は伯珪さんに()ってたんだね。私達を放って」

「こら雲長!翼徳!」


「「ごめんなさい」」


「あ、あはは……」



苦笑いの伯珪ちゃん。

この双子と仲良くやれるか心配の伯珪ちゃんでしたが、雲長ちゃんも翼徳ちゃんも玄徳くんが絡まなければ基本的にいい子なのですぐに打ち解けることができました。


しかしいくら仲良くなっても幼馴染でもこの乱世でタダでお世話になり続けることなんてできません。

3人は勉強し、鍛錬し、領内で仕事をするようになりました。

そしてその生活の中でわかった事が2つ。

1つは雲長ちゃんと翼徳ちゃんの武芸の腕がダントツで高いこと。

そしてもう1つは玄徳くんには部隊を指揮する総大将としての才能があったことです。




時は進み、成長し、3人は幽州太守の指示で戦にも出陣するようになるとその武芸と指揮能力を遺憾なく発揮、次々と戦功を立てていきました。

そしてある程度3人の名声が世間に広まった頃、3人は幽州の太守にあるお願いをしに行きました。


そのお願いとは、暇乞い。


太守は必死に引き留めましたが、長い話し合いの結果、最終的にしぶしぶ暇乞いを承諾しました。

そしてそれから数日後、玄徳くん達3兄妹が幽州を離れる日がやってきました。



「ねぇ……ほんとに出て行っちゃうの…?」

「ごめん、伯珪ちゃん。でもこれはずっと前から……ここに来る前から決めてた事なんだ。それに今は黄巾族ってのを討伐すれば誰でも国から恩賞が貰えるまたとない機会なんだ。この好機を逃したくない。だから………ごめん」

「そんな……!!う、雲長ちゃん!翼徳ちゃん!2人はどうなの!?」

「……ごめんなさい、伯珪ちゃん。故郷を焼かれて行く宛もなくて途方にくれてた私達の帰る場所になってくれた幽州や復讐心に駆られて荒れてた私達と友達になってくれた伯珪ちゃんと離れるのはとても寂しいですが———」

「———でも、ごめんね伯珪ちゃん。ここ(幽州)はとてもいい所だし伯珪ちゃん達もとてもいい人達だったんだけど……私達はここを離れてでもどうしても叶えたい夢があるの」

「……夢………」



そう呟きながら3人を見る伯珪ちゃん。

その声には、何かを諦めたかのような響きを含んでいました。



「うん、だから………行ってきます」

「伯珪ちゃんと幽州のこと、絶対忘れませんから!」

「何か困ったことがあったら呼んでね!すぐに行くからー!」

「………ぁ……」



そう言い残して未練を断ち切るかのように出発する3人。

伯珪ちゃんはただ……黙って見送ることしかできませんでした。


そして玄徳くん達が見えなくなるまで見送って……さらに10分ぐらい立ち尽くして、伯珪ちゃんは4人で来た道を1人で帰りました。

伯珪ちゃんが立ち尽くした場所には晴れていたのにそこだけ雨が降っていました。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






「………というわけで第2章、終わっちまったよ……亜久津……」

「誰が亜久津なのさ千石さん、蓮名ですー。テニスは苦手じゃないけどそれほど得意でもないかな」

「想愛です。まぁ確かに10年に1人の逸材(美少女)ではありますが」



10年どころか100年に1人の逸材(美少女)だと思う。

……ってそうじゃなくて。

いやそうなだけどさ。



「ここまでプレイしてみてどうだったよ、シナリオ解説の蓮名さん」

「そうだねー、なんか修行成長日常パートって感じで大きな展開はなかったねー」

「なるほど、確かに。では次にHシーン解説の想愛さん」

「ちょっと待ってください何で私がHシーン解説担当なんですか?言わせたいんですか?辱しめたいんですか?誘ってるんですか?」

「むっつりだから……」

「蓮名にだけは言われたくないです!!」

「それどういう意味!?」

「そのままの意味ですよ!!」

「なにをー!?」

「なんですー!?」


「まぁまぁ落ち着けって……」


「「お兄ちゃん/お兄様 はどっちを辱しめたいの!?」」


「あれェ!?そういう話だっけ!?」



なんか話の矛先(?)が俺に来た!?

このままではマズイ、話を変えよう。てか戻そう。

ちなみに辱しめたいのは両方です。

何言ってんだ俺。

エロゲの影響で性に素直になってしまってんな俺。



「それで、どうだったよ想愛」

「Hシーンって言われましても……そもそもなかったじゃないですか」

「え?あったろ、ほら……風呂場で雲長ちゃんと翼徳ちゃんと伯珪ちゃんに遭遇、足を滑らせて裸のまま押し倒すってやつが」

「あれってHシーンに入るの?だって挿入はなかったよ?」

「女の子がそんなこと言っちゃいけません!」

「え〜、言わせたのお兄ちゃんじゃーん」

「蓮名!お兄様に辱しめられるのは私のはずですよ!」



言わせてないよ!?


ダメだ、また話が変な方向にいってる……この双子、早くなんとかしないと……。

というか辱しめられるって……このJC(中学生)、若くして性癖が凄いことになってんぞ。

まぁ100%俺のせいなんだけど。

でも俺の趣味ってわけじゃないからな?



「それにしても……伯珪ちゃん可愛い娘だったなー」

「そうだねー。可愛くて謙虚で優しくて料理ができて母性凄くて……まさに理想の嫁って感じの良い子だったね」

「そうですねー。それに玄徳くんと幼馴染で離れてても長年想い続けてたってところがポイント高いです」



正直見た目(キャラデザ)だけなら雲長ちゃん翼徳ちゃん双子姉妹より好み……とは言わないでおこう。なんか怖いし。



「なのにここでお別れかー……。早くね?結構良いキャラだったから少し寂しいな」

「そうだけど……まぁ置いていかれても仕方ないんじゃないかな」

「ですよね、これは仕方ないです」



あれっ!?意外と辛辣な答え!?



「なんか意外だな、伯珪ちゃんは良い子って言ってたのに」

「良い子だとは本当に思うよ?でもただそれだけだったってだけで」

「良い子すぎて玄徳くんに付いて行かずに国に残るぐらいですからね」

「それは……ほら……伯珪ちゃんは幽州太守の娘っていう幽州にとって重要な人だから……」

「まぁ100歩譲って付いて行かなかった事は許すとしても……それでも伯珪ちゃんは玄徳くん達に一言も『連れて行って』も『ここに残って』言ってないじゃん」

「それに伯珪ちゃんは玄徳くんと幼馴染で逢えない時も長年想い続けてきたにも関わらず結局最後までその想いを伝えてないじゃないですか」

「それは……まぁ…確かに……」

「伯珪ちゃんは自分の本当の気持ちを玄徳くんに伝えてないんだよ。それは謙虚じゃない、ただ臆病なだけ」

「恋心はあったのに本音を言い合える関係にはなれなかった。だから幼馴染なのにヒロインになれなかったんですよ」

「……………」



納得してしまった。


納得できてしまった。


確かに物語中の伯珪ちゃんは告白しようとしてもできてなかったし、玄徳くんが雲長ちゃんと翼徳ちゃんと居る時は空気を読んでその場を去ったり黙ってたりする事が多かった。

謙虚であること、慎ましいことは大和撫子として美徳だとは思う。まぁ彼ら彼女らは古代中国人だけど。

でもどんなことでもいき過ぎればマイナスになる。ましてや本音を言えないなど……それは謙虚ではなく遠慮だ。

心を通わせたいならまず心を開け、でないと特別なヒトになんてなれはしない。



「と、いうわけでお兄ちゃん」

「と、いうわけでお兄様」

「ん?」



『愛しています♡』




—————ッ!!



この双子は……ほんとにもう……!!



「えっへへ〜♡もちろん本音だよ♪」

「えぇ♪(まご)うことなき私達の本心です♡」



まったく……急な血圧の上昇は身体に良くないんだぞ?

こうしていつも直球でくるから俺も茶化したりはぐらかしたりできないんだよ。



「「お兄ちゃん/お兄様 の本音は?」」



あぁ、だから俺も直球で答えてやるよ。


言ってしまったらこの後気恥ずかしさで悶えることになるだろう。

でもそんなもん今は知らん。

この()どれだけ悶えようが、この()もずっと蓮名と想愛と幸せに過ごすために告白しよう。


覚悟を決めて、心を込めて。



「あぁ……俺も蓮名が!想愛が!大好きだ!!愛してる!!!」



真に気持ちが繋がっていれば想いは伝えずとも勝手に伝わるもの。

だからといってそれは想いを伝えなくてもいい理由にはならない。

口に出し、言霊を宿せ。胸に秘めても意味はない。

想いは伝えるためにある。


………ま、やっぱり口にするのは恥ずかしいけどな。母さんが今家に居なくて良かった……本当に良かった……!!



「お兄ちゃん!!」

「お兄様!!」



俺の魂からの告白を聞いた蓮名と想愛が抱きついてくる。


画面の中では玄徳くんが雲長ちゃんと翼徳ちゃんに抱きつかれていた。


俺達の前世もこうだったらいいな。


単位足りてるのに卒論提出出来なくて留年とかマジでシャレにならないので死ぬ気で頑張ってます

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