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2家庭で1家族

この中で高校生で尿路結石になった人はいませんかー?

…俺だよこのやろう!

学校から帰ったら俺の家に集まってお互いに学校で何があったのかを話し合う。

それが俺達の日課だ。学校ではほとんど逢えないしな。

星陵学園は中等部と高等部が離れているため、お互い行き来しにくいうえに、校舎が広いためたとえ走ったとしても時間がかかる。

そのため、学校の中で3人一緒にいられる時間は登校の時と放課後しかない。だから登校前と帰宅直後の2人はいつもの三割増しで甘えてくる。超嬉しい。

蓮名と想愛告白してくる男は双子の登校と下校を見た事がないのだろう。俺が蓮名と右手を、想愛と左手を繋ぎながら歩く姿を見てもなお告白する男はよほど自分に自信があるか、2人いるから1人はいけるとでも思っているのか、マゾなのかの3択だろう。ちなみに男子生徒ではなく男と書いたのは、過去に先生からも告白された事があったからだ。

更に自分に自信がある奴はわざわざ俺に宣戦布告してくる事もある。そいつがただのナルシストなのか度胸のある漢なのかはわからない。だって100%失敗する事がわかってるし。


夜になり、蓮名と想愛が帰ろうとしていた時、

ガチャ 「ただいま〜」

母が帰ってきた。

「母さん、お帰り〜」

「お帰り!華月お義母さん!」

「お帰りです、華月お義母さん」

三者三様の返事、華月(かづき)とは俺の母親の名前だ。蓮名と想愛は華月お義母さんと呼んでいる。

「あぁ蓮名ちゃん、想愛ちゃん、ちょうどよかった。紅葉さんから伝言があったのよ」

「お母さんから?」

「私達は何も言われてませんよ?」

二者二様の返事、紅葉(もみじ)とは蓮名と想愛の母親の名前だ。俺は紅葉義母さんとよんでいる。

「紅葉さんは先に2人に電話したらしいけど?」

でも蓮名も想愛も携帯が鳴らなかった。…ということは

「「…あっ」」

「やっぱり、2人とも携帯の電源を切ってたのね」

おいおい…なんのための携帯電話だよ…。

「呆れた顔をしてるけど銀河にも電話してたのよ?」

「えっ!?マジで!?」

マジでした。蓮名、想愛、そして紅葉義母さんごめんなさい。


「今日は新斎さんも紅葉さんも帰るの遅くなるから晩御飯はうちで食べていきなさい。なんなら今日は泊まってもいいわよ?」

「本当(ですか)!?」

紅葉義母さんからの伝言とはこの事らしい。

今日は父さんが出張に行って家に帰ってこないので、最後の泊まって〜の部分は母さんから言い出したんだろう。

…ていうか泊まるのか。一緒にご飯を食べるのはよくあることだけど泊まるのは久しぶりだな。冬休み、つまり1月以来か。

「やったー!お泊りだー!」

「少し待っていて下さい、すぐに身と心も含めて準備してきます!」

「3分間だけ待ってやる」

母さん…あんたはどこの大佐だ。

「さぁ、2人が行ったことだし早く料理を作るわよ!銀河!40秒で下拵えしな」

それは無理だ。


「「「ごちそうさまでした!」」」

「はい、お粗末さま。…ていうかこっちの方が見ていてごちそうさま。相変わらず3人ともラブラブねぇ」

この食事中、俺は自分のために箸を使うことがほとんどなかった。

理由は簡単、2人があーんを求めてきたからだ。…母さんが目の前にいるのにもかかわらず。

さすがに断ろうとしたら…2人が世界から見捨てられたような顔をしたので承諾せざるをえなかった。

そのせいで蓮名があーんをしてきたらやり返し、想愛があーんをしてきたらやり返しを繰り返して、食べ終わるのにいつもの倍の時間がかかった。なんか餌を待つ雛鳥と餌を与える親鳥の気持ちがわかってしまった。俺の前世は鳥なのか?

「私達の愛は不滅だから!」

「その通りです、増えることはあっても減ることなど絶対にありえません」

嬉しいことを言ってくれやがる…!とりあえず俺は2人を抱き寄せた。

「ありがとうな。蓮名、想愛」

「「お兄ちゃん(お兄様)…♡」」

「あー甘い甘い。苦いものが食べたいわね」

おいおい母さん、甘いものは美味いんだぜ?


「そろそろお風呂の時間ね…」

母の言った言葉で部屋全体が緊張に包まれた。

「入る順番はこの前と同じように蓮名ちゃん→想愛ちゃん→銀河でいいのよね?」

「あぁ、俺はそれでいいけど…蓮名と想愛は?」

「私もそれでいいよ〜」

「私もそれで大丈夫です」

「それと、当たり前だけど銀河は2人のお風呂を覗いちゃダメよ?」

「しないよ!」

本当はしたいけど!

「え〜、私は別に大丈夫なのに…」

「むしろ覗いて欲しいです」

「ねぇ蓮名ちゃん、想愛ちゃん、今なにか言った?」

「「いいえ…」」

母は怖…強い。

それに前回(1月)のこともある、だから余計に怖く見えた。

そう、前回おれは———

「2人は銀河のお風呂に突入しても過激な事はしないように」

急に風呂に乱入してきた2人に精神が耐えきれず、双子に襲われる直前に気絶したのだ。

「「そ、そんなぁ〜!」」

「返事は?」

「「…はい」」

母は強い。

『甘いものは美味い』小さい頃に兄から教わりました

1日1話投稿は無理っぽいです

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