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決戦前の覚悟

祝・総合評価2100突破!

なんかめっちゃ久々にこれ書いた気がする……

そして平成最後の投稿!!

令和もよろしくお願いします!!


前話の追加改稿を11日に行いました


長縄跳びに騎馬戦、この2つの競技によって俺の肉体は大いに疲弊したが、精神力とやる気だけは満ち溢れていた。

『次は勝つ』、そして俺にはありがたいことに3種目目の競技が、次がある。

それも体育祭一番の見せ物競技であるクラス対抗リレーが。


そう思えば昨日突如代役にされた苛立ちもチャラになるってもんだ。春名君の犠牲は無駄ではなかった。

ありがとう、春名君。どうか安らかに眠れ。(家のベッドで)

春名君がいなくても特に問題なかったとクラスメイトに言わせるぐらい頑張るから。

春名君じゃなくて(天陵君)がクラス対抗リレーに出場してよかったとクラスメイトに言われるぐらい頑張るから。


あ、ダメだ。やっぱりまだ怒りが残ってる。






それにしても……俺はいつまでこのままなのだろうか?

と、いうのも俺は…というか俺達はいまだに抱きあったままなのだ。

最初に抱きしめられた時から結構時間が経ったというのにあれから全然動いてない、てか身体を動かせない。

なにせ俺は蓮名と想愛に2人がかりで包まれるように抱きしめられているのだ。

だからどちらかが離れてくれないと歩くことさえままならぬ。


もちろんこの状態が嫌ってわけじゃない。むしろ最高。やる気と安心感と性欲の(たかぶ)りがハンパない。

いや性欲が昂っちゃダメだろ!落ち着け俺、……あぁ無理だ。いけません、いけませんよコレは……!

だって蓮名と想愛に抱きしめられてるんだぞ!?密着してるんだぞ!?これで興奮しないわけがないだろう!!

しかも密着しているから薄い体操服越しに2人の体温が……感触が……特にそこそこ大きな計4つの御胸様の感触ががガ……!!


よーし落ち着けー俺ー、たとえそれが無理でも無理してでも落ち着けー俺ー。

こんないつ誰が通るかわからない場所で性欲を暴走させるのはいくらなんでもマズイ。


まずは深呼吸してー………



……………。



………ぅわなにこれめっちゃ良い香りする!!


あぁ……なんか頭がふわふわしてきた……。これが……ここが極楽浄土ってやつか……。





……………。




………って危な!?


危うく意識を失う……てか理性を失うところだったぜぃ。

蓮名と想愛が密着してるのに深呼吸したらそらそうなるわ。

ずっっっと一緒に居てもこの双子の魅力に慣れることなんてない。むしろ毎日が超刺激的。そしてさっきの行動は刺激が強すぎた。


……てか蓮名と想愛は何してんの?

俺は毎分毎秒刺激に耐え続けてて忙しいけど2人は暇じゃない?だってかれこれ1時間ぐらいこうしてるよ?

正直言ってずっと立ちっぱなしだからめっちゃ脚痛い。

あとこの1時間奇跡的に誰もここら辺を通らなかったけど今日は体育祭でいつもよりかなり人が多いから本当にいつ誰が通るかわからない。

俺と蓮名と想愛が一緒に居るところを見られて男共に嫉妬されるのはもう慣れきっているけどさ、女性に見られて気不味い空気になったらどうすんのさ。さすがに気不味い空気には慣れてないし慣れたくないよ、俺は。


離れてほしくはないけどそろそろ離れないと体力的にも理性的にもヤバイので2人に離れるように促そうとする。

今まで自分のことでいっぱいいっぱいだった俺は、そこで初めて蓮名と想愛がこの1時間何をしていたのかを知る事になった。


まずは2人とも頭をぐりぐりと押し付けてきている。

なんだこれ。犬か、猫か、小動物か。めちゃくちゃ可愛いなこの野郎。野郎じゃねえ。

そういえばこの2人って猫耳と猫尻尾持ってたな。

犬耳や犬尻尾も持ってるんだろうか?……持ってそうだなぁ、なんならウサギ耳とかエルフ耳とかも持ってそうだ。

いつか着けてるとこ見てみたい。

というか2人とも俺に見せるためにこういうコスプレ衣装とか小道具とか買ってるから俺が言えばすぐにでも着けてくれそうだ。

……尻尾は()()()()()()()着けるのだろうか、それがものすごく気になるな。それをぜひとも確認したい。


擦り寄って甘えてくる蓮名と想愛に対してそんな超不健全な……いやでも待て、この年代の健全なダンスィならこんな事考えても何もおかしくないのでは?……いや、十分おかしいな。やはり俺が脳内思考が不健全なだけだった。

まぁそれはそれとして。

蓮名と想愛が俺の身体に頭を押し付けた後何をしているのかというと、そのままの状態で深呼吸してた。

ってか俺の匂いを嗅いでた。


……ん?匂いを嗅ぐ?俺の?

俺が蓮名と想愛の香りを嗅ぐのではなく蓮名と想愛が俺の匂いを?

長縄跳びと騎馬戦で疲れ果てて汗と土煙りだらけになった俺の?




……………。




とりあえず2人を引き剥がしておいた。


まぁ当然のように全力で抵抗されたけどね。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「なんだかんだで最終種目ー!クラス対抗リレーだオラァ!!」


『Yeahhhhh!!!』



というわけでなんだかんだあってクラス対抗リレーが始まる時間になってしまった。

なんでそんな叫んでんの?なんでそんなにテンション高いの?なんなの?バカなの?……あ、俺も叫んでた。バカは俺だった。


だってさー、もうここまできたらノリと勢いでどうにかするしかないし、それになにより蓮名と想愛の性……じゃなくてせい……でもなくて蓮名と想愛のおかげで気合いやる気元気その他いろいろが有り余って溢れてるからな、ここらで多少発散させても問題ないだろう。


今ある最大の問題は……俺の場違い感だけかな!

見てください俺の周りにいるこの人達の肌!ほぼ全員健康的に小麦色に焼けてるじゃないですかー!

夏だろうが昼間だろうがずっと真面目に運動してきた人達の努力の証じゃないですかー!やだー!!


それに対し俺はといえば放課後や休日は蓮名と想愛と一緒に室内で過ごす事が多いため、真っ白とは言わないものの周りにいる奴らと比べたら十分肌が白く感じる。


劣等感?いや別にそんなの感じてないよ?

むしろめちゃくちゃ自慢気たっぷりですがなにか。

だってそれは消去法だったとはいえクラス対抗リレーに選ばれるぐらいに、ちゃんと運動してないのに運動部と同じくらい足が速いって、運動できるって認められた証なのだから。

3年前のあの千枝ちゃんの事件以降本格的に室内で短時間でもできる筋トレを始めた成果はちゃんとあった!努力の結果はちゃんと出た!


努力が報われるってさ……素直に嬉しいよね。



ちなみにクラス対抗リレーに出場するのは1クラスにつき4人だ。

俺は3番目に走る予定だ。まぁこの中では一番足の遅いから妥当な順番だな。1番手やアンカーになれると思うほど自惚れてはいないし足に自信がない。

1番手と2番手が頑張って……俺で少し順位を落とし……アンカーが逆転する。


……なんか引き立て役みたいじゃないか?俺。

でも実際にこの4人の中では1番足が遅いのだから仕方がない……かな。

そう、俺は3番手でちょうどいい。3番手が相応しい。


だから3番目になった






———はずだった。




「……どうしてこうなった」



今俺が並んでいるのはリレーの()()()()が並ぶ列。

おかしいなー、俺はアンカーじゃないよー?


ではなぜこんな場所にいるのかというと、単純にクラス担任の先生(35歳♂・独身)のミスだ。

元々俺はアンカーの春名君の代わりにクラス対抗リレーに出場するハメになった。

だから先生はそのまま俺がアンカーになると思っていたらしい。

……いやおかしいだろ、常識的に考えて。代役だぞ?今回たまたま俺が選ばれたってだけで俺より足が速い奴はクラスにまだたくさんいるからな?

代役決めの時にクラス委員長に任せてさっさと帰るからこんな間違いが起こるんだよ……。


それにしても俺がアンカーか……。

蓮名と想愛の前で目立てるのは良い事だが……これは悪い意味で目立ちそうな予感しかない。

だって……ねぇ?周り(アンカーの列)を見れば……ねぇ?



「おぉ銀河、こうして選手として敵対するのはなんかものすごく久しぶりだな」

「よォ銀河、騎馬戦に続き今回も勝たせてもらうぜィ!」

「一存…。そして洋、またお前か…!!」



俺の両隣には今は生徒会の仕事に専念してるがもともとは剣道部のエースだった一存と、先程の騎馬戦で俺を完膚なきまでに叩き潰した洋がいた。


マジか、バカか、空気読め。


……あ、空気読まずにここに居て全力で場違い感味わってるのは俺だった。

マジか俺、バカか俺、空気読め俺。

まぁ居たくてここに居るわけじゃないんだけどさ。


この2人は俺の友達の中でも、そして学年の中でもトップクラスの身体能力を持つからな、できれば戦いたくはなかった。

というか身体能力が違いすぎて今まで戦う機会すらなかった。

騎馬戦みたいに大人数でやる競技で対決することはあったが、このリレーみたいに選ばれし者だけが出場できる競技なんかで対決する事なんて今までなかったからなー。


だからこれは最初で最後のチャンスなのかもしれないな……。


何のって?



俺が圧倒的強者(一存・洋)に勝って最高にカッコイイ姿を蓮名と想愛に見せつけるチャンスのことだよ……!



もし1対1だったならどうあがいても勝てる気なんてしない。

しかしこの競技はクラス対抗なんだ。集団戦なんだ。なら勝てる可能性は 0(ゼロ)ではない。

で、あるならば全力で勝機をもぎ取りにいくしかないだろう。

なにせ蓮名と想愛が見ているんだぞ?これ以上無様を晒してなるものか!


蓮名と想愛は遠まわしに負けても構わないと、大丈夫だと、カッコ悪いと思わないと慰めてくれた。

それは本音なのだと思う。たとえ俺がどれだけ無様な失態を犯したとしてもこの2人なら俺から離れていく事はないだろうと、そんな都合の良いことを純粋に信じられるほど俺達3人のキズナは深い。


しかしだからといってこれで満足してはいけないんだよ。妥協してはいけないんだよ。

2人は決してそんな事はないと言うだろうが、俺はまだ蓮名と想愛に相応しい男になったとは思っていない。

だからこんなところで歩みを止めるわけにはいかないんだよ!止まるんじゃねぇぞ…!



そんな決意を胸に俺は立ち上がる。

しゃがみ込んで俯いてても意味なんてない。

だって俺には座して待つ時間なんてないのだから。



そして歩き出す。

前に、前に、少しでも前に歩き、一歩でも多く前に進む。

だって俺には停滞している余裕なんてないのだから。



時間はあるように思えるが、本当はあまりない。

なぜなら時が経つのはとても早く、過ぎた時間は巻き戻せないからだ。



だから俺は立ち上がり、歩き出す。




一歩でも前に、目的の場所へと向かって———






「……ん?銀河、どこ行くんだ?」

「もうすぐ競技始まるぞー」



「……トイレだよ」




緊張し過ぎて腹が痛くなってきたからな!


(リレーが始まるまでの待機)時間はあるけど(銀河の腹の耐久)時間がない

頑張れ、耐えろ、銀河の腹

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