騎馬戦
前話の追加改稿を1日に行いました
約1ヶ月後を近日中と言う勇気
だって現実が今までで一番忙しかったんですもん……
そして今話は作者も忘れかけてたあの人が登場
せっかく名前あるんだから出してあげねば
「お兄様、あ〜ん♡」
「ちょっと想愛!?次は私の番じゃなかったっけ!?」
「さっきは蓮名がしませんでしたか?」
「いーや、想愛だったよ!忘れたとは言わせないからねー!」
「やめて!俺のために争わないで!」
なぜ俺がこんなヒロインっぽい言葉を言っているのか。
これには深い理由が………特にないな。わりといつも通りの光景だな、これ。
蓮名と想愛は仲良くケンカする事が度々ある。
俺と烈のケンカみたいなものだ。言い争いはするけど決して相手が嫌がるような事はしない。
まぁ言いかえればただのじゃれ合いだな。
蓮名と想愛は(まぁ俺もなんだけど)友達が極端に少ないからこうしてふざけ合える相手が限られてる。
だから言い争いは多く激しくなるが、決して仲が悪いわけではないので本気で仲裁に入る必要はないのだ。
「わーん!想愛のバカー!淫乱ー!!」
「なんですってぇ!?それは蓮名が言えた事ですか!!」
仲裁に入る必要は……あるかもしれないなぁ…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『騎馬戦に出場する選手は入門ゲート前に集合してください。繰り返します、騎馬戦に出場する選手は———』
お昼休憩から少し時間が経った頃、今度は俺が出場する2つ目の種目、騎馬戦の招集がかかった。
長縄跳びの疲労はなんとか抜けたけど……もう次の競技か、蓮名と想愛と一緒にいるせいか時間の流れが速く感じるな。
ちなみに蓮名と想愛のケンカは俺が「ストップ!」って言った瞬間に止まった。
相変わらずこの双子の俺に対する謎の絶対的な忠誠心ってなんなの?
幼い頃からずっと一緒に居て兄妹のように育ってきたはずなのに……どうしてこうなったのやら。
蓮名と想愛曰く『お兄ちゃん/お兄様を愛することが私達の生きがいで生きる意味なのだから敬うのは当たり前』らしいが、わかるようでわからない。
ただ、俺が『蓮名が、想愛が居ないとこの世には生きる意味も価値もない』と思ってるのとだいたい同じだとわかったらなんとなく理解できた。
こういうのを依存っていうのかな。
依存っていうんだろうなぁ。
まぁ……他人に迷惑をかけさえしなければそう悪いもんじゃないな。
新斎義父さん?新斎義父さんは他人じゃないから、家族だから迷惑かけてもOK!
「騎馬戦かぁ…。お兄ちゃん、ケガだけはしないでよ?」
「あぁ、わかってるって」
「もしお兄様がケガされた場合、加害者はケガだけではすませないので安心してください」
「なにをどう安心しろと!?」
「任せてくれて大丈夫だからね♪」
「なにも任せねぇよ!?」
ヤバイ……もしケガしたら大変なことになる…!!(相手が)
まぁ騎馬戦って騎馬から落ちたらわりとマジで大怪我する可能性が高いから最初からケガには気をつけるしかないんだけどね。
それでもなおケガした場合……対戦相手か騎馬役の人達が蓮名と想愛によって粛清される…!!
この騎馬戦は安全第一で、それでいて2人にカッコイイところを見せる。
そんなかなり難しい目標を胸に、俺は騎馬戦参加者の列へと並びに行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それでは………騎馬戦、始めッ!!!」
吹奏楽部から借りてきたのだろう、大きな銅鑼が鳴り響き、騎馬戦が始まった。
それと同時にその銅鑼の音に負けないぐらいの力強い雄叫びがグラウンド中に響き渡った。
騎馬戦はさっきも言った通り体育祭屈指の危険な競技だ。
でも……だからこそ血が滾るのが男ってもんよ!!
だからだろうか、練習の時は正直言ってかなり怖かったのに今は全然怖くない。
きっと騎馬役の人達も同じ気持ちだと思う。
……と、なれば騎手である俺が命じるのはただ一つ。
「突撃!!!」
『ウオォォォオオオ!!!』
敵陣へ突撃!!
作戦?知らん!戦略?知らん!!突っ込めばなんとかなる!ってか俺がなんとかする!!
一番槍はこの俺だァァァ!!
……って思ってたけど、どうやら俺は一番槍にはなれなかったようだ。
なにせ自チームの騎馬達が俺に並行するように、しかも数騎は俺より先行して走っているのだから。
まったく、みんなテンション上がりすぎだろ。血気盛んかよ。
……まぁその気持ち、痛いほどよくわかるけどな!!
「レッツパァーリィィィーー!!!」
『イエェェェエィイイィ!!!』
土煙が捲き上る中、大量の狂戦士達が血を……ではなくハチマキを求めて走り回る!!
……カオスだなぁ…。
数分後、数多の激戦(仮)と名戦(笑)を繰り返し、生き残っている騎馬は僅かとなっていた。
そして……俺達もなんとか生き残っていた。
中学生の時の理不尽かつ最悪な記憶のせいでこっちに伸びてくる手には敏感なんだ。
まぁその時のおかげで反射神経や身体能力が高くなったし、今現在こうして役に立っているので良しとする。
現在生き残っているのは敵チームの騎馬が3騎、そして自チームの騎馬は4騎。
これは自チームの方が優勢といえる……かもしれない。
しかし実際は違う。
「ぅおぅりゃぁあ!!」
「……あぁっ!?」
あぁぁ……ほらまた味方が一騎潰された…。
これで3騎対3騎、同じになってしまった。
……いや、本当は同じじゃない。
騎馬の数は同じだが、言っちゃ悪いが味方と敵の騎馬の質が違いすぎる。
だって—————
「———うおっ!?ぁぶな!!」
「くははっ!よく躱したな!さすが銀河だ!!」
「洋……考え事してる時に攻撃するなよ!」
「戦場でボーっとしている方が悪い!!」
戦場て……まぁそうなんだけどさ。
今俺に攻撃をしかけてきたのは生天目 洋。
俺の数少ない友達の1人であり……星鏡学園空手部の部長だ。
実力はかなり高く、全国レベルだそうだ。
実際に洋の試合を見たことあるが、正直言って俺たち凡人とは体の作りが根本的に違うのではないかと思うほど強かった。
俺の友達には優也や一存といった武闘派の奴が多いが、身体能力ではほぼ間違いなく洋がNo. 1だろう。それぐらいに強い。
そんな奴が敵にいるのだ。
俺もかなり身体能力が高い方だと自負しているが、ぶっちゃけ言って勝てる気がしない。
ただまぁ……なんの偶然かせっかくここまで生き残ったんだ。
少しぐらいなら夢を見てもいいんじゃないか?
それにこれは騎馬戦なんだ。いくら騎手の身体能力が高くとも騎馬役の3人との協調性がなくてはその力は発揮されない……と思いたい。
それと……この試合は蓮名と想愛が見てるんだ。諦めてアッサリと負けるよりは多少無様でも勝つために抗ったほうがいい!!
そうと決まればさっそく作戦会議だ。
俺は後ろにいるはずの味方の2騎に話しかけようとして—————
「———え?あれ!?」
話しかけようとしたけどダメだった。
というかそもそも味方がいなかった。
後ろにいたはずの味方はいつのまにか2騎とも潰されていた。
なんで!?洋は俺の目の前から一歩も動いてないのに!
……!まさか……!!
「悪いな、銀河。今残ってる俺の味方は実は2人ともうちの部所属なんだ」
「……本当に味方と敵の質が違った」
「本当なら銀河とは一対一で勝負したかったのだが……残念ながらこれはチーム戦なのでな、3人一気に行かせてもらうぞ!」
「………。なにこの無理ゲー……。ってうぉわあぁぁぁあああ!!?」
あぁ……夢とはなんて儚く散るものなのだろうか……。
迫り来る3騎のバケモノを前に、俺は最後にそう思った……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結論から言えば俺はその後なんとか気合いで1騎倒したあと、洋にアッサリとハチマキを取られてしまった。
そして試合終了。
負けたけど……まぁなんだかんだで最後の一人になるまで生き残れたんだ。
味方のチームでは一番の活躍をしたといってもいいんじゃないか?
……敵のハチマキを取った数はそう多くはないんだけどな!
でも少なくもない!つまり活躍した!俺はかなり活躍した!
蓮名と想愛の元へ堂々と凱旋できるぐらいは頑張った!
なら全部OK!万事解決!!
「蓮名!想愛!ただいま!!」
そして俺は堂々と蓮名と想愛の元へと帰ってきた。
さぁ2人とも!俺の可愛い可愛いトニカクカワイイ妹達よ!!俺を褒めてくれ!なんなら今なら2人揃って抱きついてきてもええんやで!!
「お兄ちゃん!」
「お兄様!」
蓮名と想愛が駆け寄ってくる。
そして—————
「………え?」
———俺は蓮名と想愛に抱きしめられた。
2人同時に抱きしめられ、俺は文字通りに2人によって包まれた。
暖かい。
そして………温かい。
「……え?あれ?蓮名?想愛?」
「お兄ちゃん、お疲れ様」
「お兄様、よく頑張りましたね」
「……ど、どうしたんだよ2人とも。そんな急に……」
「お兄ちゃん———」
「お兄様———」
『カッコよかったです!!』
「———ッ!!?」
「……………」
「そ、そうか……」
「俺は……カッコよかったか…?」
「うん!私達のお兄ちゃんは世界一カッコイイよ♪」
「えぇ、私達のお兄様は宇宙一カッコイイです♪」
「そうか………そうかぁ……」
「うん!そうだよ♪」
「はい!そうです♪」
「………蓮名、想愛」
「どうしたの?お兄ちゃん」
「なんですか?お兄様」
「ありがとう。そして………次は勝つ」
「………うん!」
「………はい!」
「頑張ってね!お兄ちゃん!!」
「頑張ってくださいね!お兄様!!」
今までやったことのない文章表現をしてみました
ちなみに私は騎馬戦も出場したことあります
開始早々背後にいた騎馬を味方と勘違いして抵抗なく超あっさりと帽子を取られてしまいましたが




