長縄跳び
前話の追加改稿を2日に行いました
そしてまたもや寝落ちしましたァ!!
前日に徹夜したのがその理由でございまする……
そして寝落ちした場合、次の日|(1日)に投稿するのが自分ルールだったのですが………またもや寝落ちしましたァァ!!!
本当にすいませんっしたァ!!
体育祭が始まってから数時間、俺はクラスの応援席でボーっとしてた。
なにせ俺の出場する長縄跳びは午前中最後の競技、騎馬戦は午後の後半、そしてクラス対抗リレーは体育祭の最後の競技だ。
だからぶっちゃけ暇なのである。
もちろんキクゴローとか一存とか友達の応援はクラス関係なくしたりするが……それでも暇だ、だって俺友達少ないし。
クラスメイトの応援は……まぁ別にいいかな。
俺のクラスが勝ったら嬉しいし負けたらかなり悔しいが、友達でもないただのクラスメイトは心から応援しようとは思わないなぁ。
しかも蓮名と想愛が来るのは俺の最初の競技、つまり長縄跳びの直前らしい。
2人が来たらいろいろと忙しくなるのは必然だが、それまでが暇な事に変わりはない。
たとえ滅多に訪れない束の間の平穏であろうとも蓮名と想愛がいなければそれはただの暇で無意味な時間でしかないのだ。
……やはり俺は妹達に依存されている側ではなく妹達に依存する側なのではないのだろうか。
……って話をキクゴロー達に話したら「……え?今さら?」って言われた、何故だ。
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あれから少し時間が過ぎ、体育祭の前半、午前の部が終わろうとしていた。
つまりもうすぐ俺の出番だ。もうじき『長縄跳びに参加する生徒は集合してください』というアナウンスが流れるはず。
でもまだ蓮名も想愛も来ていない。
しかし心配はしていない。あの2人ならばどんな事があってもどんな事をしてでもちゃんと来ると思っている、というか信じている。
という俺の予感を察知したかのように校門付近が急に騒がしくなった。
そしてその騒ぎの中心がだんだんと俺に近づいてきた。
何があったのかなんて聞くまでもない。
誰が来たのかなんて聞く必要もない。
蓮名と想愛がついに来たのだ。
騒がしいのは生徒や観客が2人の美貌を褒め称えているからだろう。
蓮名と想愛の中学生離れしたプロポーションや『可愛い』を凝縮したような顔は、俺や烈、優也といった高校生をも恋に落とす魅力を持っているのだ。まぁ俺達3人がこの双子に恋したのは高校生になるずっと前からだったけど。
男というものは心理学的に年齢が低い女子に魅力を感じるものなんだよ。
悲しい実例として蓮名と想愛の親友だった千枝ちゃんは大人の男に付け狙われた。
そして悲劇が起きた。
そのせいで蓮名と想愛は男が嫌いになった。
男が多く集まっている人混みももちろん嫌いだ。
だからこの体育祭も俺の出番が直前に迫るまで来なかった。否、来れなかった。
蓮名1人だけ、もしくは想愛1人だけだったならきっとここに来る事ができなかっただろう。
蓮名と想愛が双子だから、2人だからお互い支え合ってこの人混みに入る事ができたのだ。
その勇気に敬意を表し……俺は2人に背を向け、校舎裏へと歩いていった。
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「お兄ちゃん!」
「お兄様!」
「蓮名!想愛!」
いつも放課後に蓮名と想愛と待ち合わせている場所、滅多に人が来ない校舎裏にて俺達はやっと逢うことができた。
そして同時に2人から抱きつかれる。2人同時に抱きつかれると、しかも2人ともかなり強く抱きついてくるので割と痛かったりするのだがそこは男の意地で我慢する。
蓮名も想愛もかなり強く抱きついてくるので2人で4つのふくらみが俺の身体に押し付けられるが……そこは男の理性で耐えきる。
一度2人から背を向けた後、俺はこの場所で蓮名と想愛を待っていたのだ。
そして蓮名と想愛はなんとか周囲の人だかりを振り切ってここまで来てくれた。
2人が学園に来た時に出迎えず、わざわざ人だかりを振り切らせてまでこんな人気のない場所に呼び出すという超面倒くさいやり方で逢う事にしたのには理由がある。
というかこの場所を集合場所に指定したのは蓮名と想愛だ。
2人曰く、『私達の本当の笑顔はお兄ちゃん/お兄様にしか見せたくないから』だそうだ。
ちなみにこれは登校時や下校時に人目を避けているのと同じ理由でもある。
だからお互い好意を一切隠してないにも関わらず、俺と蓮名、想愛の3人の関係を知らない生徒も少なくはない。
徳永がその代表だな。アイツは蓮名も想愛も好きになったくせに2人と俺との関係を知らなかった。
その程度の好意で蓮名と想愛が振り向くはずないだろ、滅べ。
「来てくれてすぐで悪いが……もうすぐ長縄跳びが始まっちまう。だから俺はもうここを離れて列に並ばないといけないんだ」
「えー!?もう行っちゃうのー!?もう少しここでのんびりゆっくりしっぽりしていこうよー!!」
「ごめん、2人とも。競技が終わり次第すぐにかえってくるから。………ん?しっぽり…?」
「いっそのことサボりませんか?全てほっぽらかして家でのんびり過ごしましょう?……一生」
「それはさすがにダメでしょ…。………ん?一生…?」
さらっと過激な言葉が入ってたような気が…。……ま、気のせいだろ!(現実逃避)
しかし本当に急がないといけないんだよなこれが。
もしクラスの誰かが探しに来てこの場所を発見されるのは面倒だ。
だってここは俺と蓮名と想愛が3人きりになれる数少ない場所なのだから。
この思い出深い場所を誰かに知られてたまるかってんだ。
「お兄ちゃん……どうしても行っちゃうの…?」
「あぁ、だから俺の勇姿をしっかり見ていてくれよ!」
「……わかりました。最前列でしっかり目に焼き付けますからね!」
そして俺は競技、NAGANAWAをしにグラウンドへと向かっていったのだった……。
……あれ?長縄跳びってこんなに覚悟してやらなきゃいけない競技だったっけ?
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「悪い、遅くなった」
「本当に遅かったなー、銀河。後もう少しで捜索しに行くところだったぞ」
「まぁちょっとどうしても外せない用事があってな」
「どうせ蓮名ちゃんと想愛ちゃんに会いに行ってたんだろ?」
「なぜわかったし」
「むしろなぜわからないと思ったし」
さすがキクゴロー、俺の昔からの友人なだけはある。
「蓮名ちゃんも想愛ちゃんもあれだけ目立ってめっちゃ注目されてたのによくあの人だかりを振り切る事ができるなぁ」
「蓮名も想愛も何故か気配を消すのが尋常じゃなく上手いからな。音も無く俺の後ろに立つ事だってできる、てかしょっちゅうされてる」
「へぇ〜……それはまた尾行とか浮気調査に役立ちそうスキルだな」
「……………」
「……………」
「………あっ、確かに」
「……そうだろ?」
「……………」
「………とりあえず……競技に集中しようか?」
「……うん、そうだな……」
蓮名と想愛が俺を尾行だなんてそんなこと………ない……よな……?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
長縄跳び—————
———終了。
『これより1時間のお昼休憩に入ります。選手の皆さんは午後の部も頑張ってください』
「その……銀河?大丈夫か……?」
「これ……っが!だいっ……じょ……っぶに……みえるかァ!?」
「いや全然」
「誰だァ!!俺を一番端に追い詰めた奴はァ!!」
競技が始まる直前、真ん中らへんに陣取ろうとしてた俺は気づけば一番端へと追いやられていた。
まったくもって意味がわからない。
でも俺がどうこう言う前に競技の始まりを告げる笛が鳴り—————
———そこから先は地獄だった。
なにせ長縄跳びの一番端というのは一番高く跳ばないといけない場所。
しかも頭上にも気をつけないといけないので、毎回膝抱え飛びみたいなことをしなければならなかった。
それがキツイのなんの……!!
蓮名と想愛が見ている以上、俺がミスることは許されない。
しかしどう頑張っても、頑張れば頑張るほど時間が経つにつれてどんどんキツイくなっていく……!!
正直言えば誰かがミスするのを本気で祈った。
「しかしそんな状態で午後の競技は大丈夫かー?むしろ午後からが本番だぞ」
「それは大丈夫だ。なんせこれからお昼休憩だぞ?」
「いやでも…。……あ〜、なるほど」
「わかったか?さすがキクゴロー」
「うん、わかった。……さすが銀河。と、こっちも言っておくよ」
そう、これからお昼休憩が始まる。
そして体育祭のお昼休憩といえばお弁当。
そして俺はこれから蓮名と想愛の元へと向かう。
そこで導き出される答えは1つ。
俺はこれから……蓮名と想愛の手作り弁当を食べに行く!!
「というわけでキクゴロー、また午後に会おう!」
「おぅ、じゃーなー」
「さらばだ!」
そして俺は長縄跳びでボロボロになった脚で蓮名と想愛が待つ場所へと急いで向かったのだった。
ちなみに私は長縄跳びに出場した事があります
長縄跳びの一番端……マジでキツイ……




