番外編:3人のクリスマス・後
前話の追加改稿を8日に行いました
寝落ちしましたァ!!
1月の終わりに……あ、もう2月か。2月にクリスマスの番外編って……
そして……気づけばこの物語、3周年を突破しましたー!!
相変わらず1月に1話、1年で12話しか投稿しないという超スローペースでありながらなんだかんだで総合評価が上がり続けているのはひとえに読者様方のおかげです!!本当にありがとうございます!!!
3年経った今でも私の努力不足により私の思い描くヤンデレが全然かけていませんが、これからもエタる事なく頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします!!
「それじゃあお兄ちゃん。私のお願いは———『マッサージ』です♪」
「……どこの?」
「普通に肩とか足とかだけどお兄ちゃんが望むならどこでも触っても揉んでもいいよ♪……あ、今夜の事も考えて子宮マッサージもする?」
「それでしたらお兄様、後で私にもお願いします」
「肩と足だけね!オッケー任せろ!!」
強引に話を断ち切る。
今夜の事も考えてって何!?今夜いったいナニするつもりなの!?
ちなみにマッサージといわれても俺は肩と足ぐらいしかやり方を知らない。腰とか他の部位のマッサージなんて調べないとわからないし、素人が下手やったら大変な事になるかもしれないからやらない。
だから蓮名も肩と足だけしかマッサージを頼まなかったのだろう。
でも本当なら全身マッサージを頼みたかったはずだ。
……勉強不足な兄でごめんよ…。今度ちゃんとしたマッサージについて調べてみるよ…。
ちなみに子宮マッサージには快感を伴う事があります。
なんでそんなこと知ってるかって?
……聞くな、若気の至りだ。
「じゃあまずは肩からやるから……蓮名、そこ座って」
「は〜い♪」
肩のマッサージをするために蓮名を椅子に座らせる。
プロのマッサージ師や整体師さんはうつ伏せになった人にマッサージをするらしいんだけど……まぁ俺は素人だ。下手なことはせずに基本に則って俺がやりやすい体位でやるとしよう。
「では始めるが……蓮名、できる限り優しくするつもりだけど、もし痛かったら言うんだぞ」
「……それ、夜にベッドの上でもう一回言って?」
「いや言わねーから」
「大丈夫だよ!理性をなくした激しくてワイルドなお兄ちゃんでも私たちはちゃんと受け入れるから!」
「何言ってんの!?……ええい!とにかく始めるからな!」
グニッ!
「ひゃぁあん!?」
「うぉう!?ど、どした!?痛かったか!?」
「い、いや大丈夫だから!思ったより気持ちよかっただけだから!あぁいや別にお兄ちゃんの実力を疑ってたわけじゃなくてお兄ちゃんにされるんだから絶対に気持ちいいんだろうなーって思っていたけどそれ以上だったっていうか予想をはるかに上回っていたっていうか……あぁもうとにかくお兄ちゃん最高!大好き!!」
「お、おぅ。そうか……気持ちよかったのか…」
なぜか急に逆ギレされてしかも告白されてしまった。
……相変わらず女心ってのはよくわからん。
それにしても素人のマッサージがこんなに気持ちよくなるものなのか?
肩がめっちゃ凝り固まっているのなら少しの按摩でもかなり気持ちよく感じるものらしいけど、蓮名の肩は普通だった。固くなかった。むしろ女の子特有の柔らかさがあった。
いや女の子の肩なんて蓮名と想愛のしか触ったことないんだけどさ。
でも蓮名が嘘をついたようにはみえないし、そもそも蓮名が俺に嘘をつくなんてありえないし…。
「……お兄ちゃんと私の身体の相性が最高に良かったから、かな?」
「はいはい、そだねー」
「反応が薄い!?」
素っ気なく返したけど案外ありえるんじゃないか?
まぁ言ったら確実に蓮名が調子に乗るから言わないけど。
蓮名が調子に乗ってもっと誘惑してきたら俺の理性の壁なんて瞬時に陥落する自信しかないから絶対に言わないけど。
「というか俺ができるからという理由だけで肩のマッサージしてるけど蓮名は肩でよかったのか?中学生で肩凝りなんてしないだろうし、蓮名が望むなら別の箇所でも頑張ってマッサージするぞ?」
「女の子って肩が凝りやすい生き物なんだよ?それに私の胸って平均よりもけっこうある方だし。だから肩でいい……というか肩がいいんだよー」
「そうか、それならいいんだ」
「それに私の胸はこれからもお兄ちゃんに揉まれまくってさらに大きくなる予定だし?だから今のうちに肩は大事にしとかないとねー」
「いやそんな予定ないから。……ってかまるで俺が蓮名の胸を揉みまくった事があるみたいな言い方やめようか」
「え?あるじゃん。ほら、お兄ちゃんが中学生だった時に———」
「やめてくださいしんでしまいます。中学生の男子ってのは……欲望に忠実で現実を見てなくてこの世で最も愚かな生物なんだ……」
「じゃあ中学生の女子である私も欲望に忠実になってもいいってことだよね!?」
「頭おかしいのは男子中学生だけって言っただろ!……ええい、次は足をマッサージするから足出せ!」
「……まだ胸を揉んでもらってないよ?」
「肩と足だけだって言ってんだろ!?」
しぶしぶ足をこちらに差し出す蓮名。
中学生の頃の俺は……うん、思い出すだけでも恥ずかしい事を平然とやってたな。美少女双子に慕われてるって事で思いっきり調子乗ってた。だから烈と大喧嘩する羽目になったんだよ。
……それにしても…。
今この状況を説明すると、蓮名は椅子に座って俺に足を差し出している。
そして俺は跪いて蓮名の足を持っている。
想愛はまたいつの間にか居なくなっていた。
つまりですね、俺が少し顔を上げるだけで蓮名のスカートの中が見えるかもしれないわけですよ。
さらに今の蓮名はかなり際どい服装をしているのですよ。
つまり見えるかもしれないどころか確実に蓮名の魅惑の三角形が見えるというわけなのですよ。それもほんの少し顔を上げるだけで。
……ぐ、耐えろ…耐えるんだ俺の理性……!!
今はマッサージに集中!蓮名の足綺麗だなーとか、超スベスベしてるなーとかそんなこと考えるな!!
「……ごめんなさい、お兄ちゃん。私、想愛と同じようにお兄ちゃんの僕になる事こそが最高の幸せだと思ってたし今でもそう思ってるけど……ちょっと、新しい性癖に目覚めそう…♡」
「………は?」
蓮名…急に何言っちゃってんの…!?
そう思い、つい顔を上げて蓮名の顔を見てしまう。
そこには恍惚の表情をしている蓮名が俺を見下ろしていた。
……この状況で新しい性癖って……おいおい蓮名、冗談だろ…?
………あ、ヤバイ、目がマジだ。
「……ねぇお兄ちゃん。ちょっとだけ…ちょっとだけでいいから足を舐めてくれない…かな……?」
「セイッ!!」
「きゃあぁぅぅん!?」
全力でツボを押した。
これで蓮名も目が醒めるだろう。目覚めてはダメだけど。
その後も蓮名に有無を言わさず強めのマッサージを行い続けた。
蓮名が変な性癖に目覚めないために。いや、もう時すでに遅しなんだけども。俺に対して支配願望どころか奴隷願望じみた性癖を持ってる時点で既に相当な異常性癖なんだけども。
そして、俺の煩悩を打ち払うために。
蓮名……中学生で若干透けてる黒の際どい下着はさすがにどうかと思う…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ハァ…ハァ……お兄ちゃん、激しすぎだよぉ…♡」
しっとりと汗をかき、息を荒げて俺を蕩けた目で見つめてくる蓮名。
……どうしてこうなった。
やはり男が女に行うマッサージは健全な行為ではないのだろうか…?
「……これに懲りたらもう変なことは言わないように」
「変なこと言ったらもう一回シてくれるの!?」
「しないから!!」
「お兄様、蓮名、もう終わりましたか?」
「ぅおぅ!?そそそ想愛!?いつからそこに!?」
気がつけば想愛が俺の後ろに立っていた。
だからなんでこの双子は毎回俺の背後に音もなく立つの?
「はい♪お兄様の正妻の想愛ですよー♪………それと蓮名、あなたのはしたなくていやらしい声が廊下にも聴こえてましたよ。少しは慎みを持ってください」
「えへへ〜♡お兄ちゃんとの愛の営みなのに声なんて我慢できるわけがないよ〜♡」
「……いつからマッサージは愛の営みになったのですか?」
あぁ…やっぱり今度は想愛がキレかけてる…。
無限ループって怖くね?
でも次は想愛のお願いの番だ。
そして俺がお願いを聞くのは次で最後だ。
そのせいでもし蓮名が不機嫌になっても……というか確実に不機嫌になると思うけど、それはもう仕方ない。まぁもちろんフォローはしとくけどさ。
……初めて蓮名と想愛が双子である事でのデメリットを感じたよ…。
「まぁまぁ、次は想愛のお願いの番だ。……というわけで想愛、『お願い』を言ってみろ!」
「はい♪お兄様♡……あ、でも今回の私のお願いは難しい事ではないのでそんなに身構えなくても大丈夫ですよ?」
「え?あぁ…そう…なのか……」
べ、別にちっとも残念ガッカリなんてしてないんだからな!
……自分で言っといてなんだけど普通に気持ち悪いな。
調子に乗ってました。
「……想愛、今度は何を企んでるの?」
「ふふ、聞けばわかりますよ。……というわけでお兄様♪私のお願いは———『今日一日、私の名前を先に呼んでほしい』です♡」
「……え」
「はあぁぁぁあああああ!?」
蓮名が今まで聞いたことないような叫び声をあげたぞ!?
でもそうなるのは仕方ない……のか?
だって俺は2人の名前を呼ぶ時、必ず蓮名の名前を先に言うと約束させられているからだ。
だから俺が想愛のお願いを聞いたら今日一日だけとはいえ一時的に約束を破る事になるんじゃないか?
「あら?どうしましたか、蓮名」
「『あら?』じゃないでしょこの腹黒妹ー!!お兄ちゃん!こんなお願い聞いちゃダメだからねー!!」
「私のお願いを聞いてくれるかどうかは蓮名ではなくお兄様が決める事なのですが……では仕方ありませんね、私もお兄様にマッサージをお願いしましょうかね…?」
「あぁ…うん。それなら……」
「……でも覚悟しておいてくださいね、蓮名。声、廊下にまで聞こえてきますから」
「———ッ!?」
「それと比べたら最初のお願いの方がいいと思いませんか?ただ名前の呼び順を変えるだけですし、それにどうせ呼ぶのは今日一日だけですよ」
いや、マッサージはせいぜい数十分で終わるからマッサージの方が蓮名が耐える時間は少なくなるんだがな?
それと今までその『ただの』名前の呼び順で何度もものすっごく揉めてたじゃん…。
まぁ言わないけど。
だってもしそこでツッコんだら想愛にもマッサージする事になって……これまで奇跡的に耐えてきた理性がいい加減崩壊するかもしれないし。
……だからガッカリしてないって!
「……まぁ、それなら、いいの……かな?」
「蓮名から許可がでました。お兄様もいいですよね?」
「あぁ、俺も別に構わないけど」
「で、でも今日だけだからね!今日一日だけだからねー!?」
「えぇわかってますよ♪ふふっ♪」
結局蓮名も想愛に説得され、俺は今日一日だけ、2人の名前を呼ぶときは想愛の名前を先に呼ぶようになったのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お兄ちゃん、ちょっといい?」
「お兄様、ちょっといいですか?」
「……ん?想愛、蓮名、どしたー?」
あれから時間が過ぎ、晩御飯を食べてぼーっとしてたら蓮名と想愛……じゃなくて想愛と蓮名に呼ばれた。
こうして2人の名前を呼ぶだけで想愛がどんどん上機嫌になっていくのはいいんだけど、蓮名がどんどん不機嫌になるのはどうにかならないもんかね?
……どうにもならないだろうなぁ…。後でフォローしておこう。
ちなみにこの時間に至るまで特筆すべきことは特に何もなかった。
超際どいサンタ服(?)を着てる想愛と蓮名の前で理性を保つために、座るときは必ず結跏趺坐、立つときは片脚立ち、歩くときはつま先歩きをするなど、地味に集中力のいる行動をして煩悩を払ってきたから本当に何もなかったというか何も行動を起こせなかったぜちくしょう!!
いつかこの据え膳、全力で喰べてやるからな…!!
「……?どうしたの?お兄ちゃん」
「あぁいや、なんでもない。ちょっと将来のことを考えてただけだから」
「大丈夫ですよ、お兄様。お兄様は私達が養いますから」
「ヒモは確かに理想の生活だけど、男として、兄として俺が想愛と蓮名を養えるぐらい働くから。……それで、どうしたんだ?」
「えっとねー、最後にもう一回だけ『お願い』を聴いてもらえないかなーって」
「……なんだって?」
「最後にもう一回だけ『お願い』を聴いてもらえないかな、と思いまして」
「大丈夫、聞こえてる。そういう意味じゃないから」
おいおい冗談だろ?
後もう一回だけ想愛と蓮名のお願いを聞くなんて……さすがにもう無理だ。精神的にもう無理だ。これ以上2人に誘惑されたら確実にオオカミになってしまう自信がある。肉食系と超肉食系が互いに喰らいあう退廃的な未来が見える。
これはいくらなんでも無理だ、断ろう。そう思い、想愛と蓮名にそう伝えようとする。
「「ダメ…?」」
「何を言うか、良いに決まっているだろう妹達よ!」
あるぇー?なんでだー?
どうして俺は今『良い』と即答したんだー?
……本当は理由なんてわかってる。
だって想愛と蓮名の上目遣いのおねだりだぞ!?んなもん断れるわけねぇだろぉが!!
この双子の前じゃあどんな覚悟も信念もすぐに関係なくなる。
だって可愛いは正義なのだから!!
「さぁ想愛よ!蓮名よ!『お願い』を言ってみろ!!………あぁでもちょっと待って!2人で1つのお願いにして!さすがに2つはムリ!!」
「大丈夫だよー。だって最初から2人で1つのお願いにするつもりだったから」
「えぇ、さすがにこれ以上わがままを言うのはいけませんしね」
「え、ほんと?………別にがっかりなんてしてないからな?……それで、結局2人のお願いはなんなんだ?」
「「私達の『お願い』は———『一緒にお風呂入って』です♪」」
「うん!ごめん無理!!」
さすがに即答した。
というか気持ちがぐらつく前に即答せざるを得なかった。
「そもそもエロい事はダメって言ったじゃん!?」
「えー、ちゃんと水着は着るからさー」
「水着でもダメ!」
「では……襦袢ではいいですか?」
「和服の下着!ってか持ってんの!?」
水着の妹2人と一緒に入浴とか……なんかそういうのアレなサイトの広告で見たことある。
ちなみに2人とも襦袢を持っているそうだ。
あれ?想愛も蓮名も俺の期待に応える為にいろんなコスプレ服持ってるんだよな?今2人が着てるサンタ服とか。
その2人が襦袢を買うって事は……俺にはそういう趣味があるってことなのか?
まぁ確かに和服は好きだが……それは綺麗だから好きってだけで性癖的な意味ではない……はずなんだがなぁ…。
でも俺のことに関しては俺以上に詳しい想愛と蓮名だ。
気づいてないだけで本当はそういう性癖があるのかなぁ…。
「身体洗うの手伝ってくれるだけでいいから!」
「それもダメ!」
「じゃあ髪!髪洗うだけでいいから!」
「……まぁそれぐらいなら…。……あれ?なんかこういう交渉術があるって聞いたことあるぞ?」
「今それならいいって言いましたよね?ちゃんと聞きましたからね?……もし嘘をついたら今夜お兄様のベッドに裸リボンで襲撃しますから」
「今度は脅された!?」
「それで、どうするの?お兄ちゃん」
「それで、どうしますか?お兄様」
そして最後に駄目押しとばかりに答えを急かし、焦らせてくる想愛と蓮名。
……これって立派な交渉術じゃね?この双子、やはり天才か…。
しかもちゃんと証言を取って俺が断れないようにしてる。
だから俺は諦めて2人のお願いを聞き入れるしか—————あれ?俺『それぐらいなら…』とは言ったけど、はっきりと『それならいい』とは言ってなくない?ちょっと曖昧な答えしか言ってなかったよな、俺。
「お兄ちゃん……ダメ、なの…?」
「お兄様……ダメ、なのですか…?」
「その御役目、謹んで承ります!」
そしてトドメに泣き落としときたか。
だから上目遣いはやめろって!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……もーいーかい?」
「いつでもいーよー!」
「むしろ待つ必要なんてなかったですよ?」
俺は今、水着を着て篠宮家の風呂場の前に居る。
……どうしてこうなった…。
いや、理由は至極簡単だ。ただ単に俺が想愛と蓮名の『お願い』を断りきれなかっただけって話だ。
……このドアの向こうに水着の想愛と蓮名がいるのか…。
水着の2人を見たことは何度もあるし、ってか毎年見てるし、なんなら下着姿の2人を見たことも何度もある。
家の中、というか俺の部屋では結局今日一日ずっと着てたサンタ服のような超過激な服を着ることが多い想愛と蓮名と何年も一緒にいるんだ。
俺がそっち方面に注目して2人を見たら一日だけでも何回もいろんな種類の◯◯チラを見ることができるだろう。
そんな世の中の男子に寄ってたかってフルボッコにされそうな生活をしているが、それでも想愛と蓮名の水着姿には今でもかなりドキドキしてしまう。
だってしょうがないだろう!想愛と蓮名という超絶美少女双子の魅力に衰えなんてないんだから!
それに想愛も蓮名もまだ中学生だ。つまりまだまだ成長期ってことだ。つまり……胸も成長期ってことだ。
これで魅力が衰えるわけがない。
むしろどんどん魅力的になっていく。
まったく、中学生は最高だぜ!!
「お兄ちゃーん、まだー?」
「こちらから扉開けますよー?」
「待って!?まだ心の準備が!」
このセリフ、普通言うの逆じゃない?
とか思ったけど……うん、今さらすぎるな。
すー……はー……煩悩退散煩悩退散……よし!
扉を開けて……いざ、出陣!!
ガチャ
「あ!お兄ちゃんおっそーい!ふやけるかと思ったよー。……もしかして焦らしプレイ?」
「残念ながら特殊なイスやマットは用意できませんでしたが……それでもお兄様を満足させる自信はありますよ♪」
うぉッ!?
何故か眩しい…!後光が見える…!!
しかも相変わらず髪をおろしたら超そっくりだな。家族以外だったら千枝ちゃんぐらいしか想愛と蓮名の見分けがつかないんじゃないか?まぁ双子なんだから当然なんだけど。
それにしても……よりによって2人とも紐ビキニかよ。俺を悩殺する気満々じゃねぇか。
マジで勘弁してくれよ……今、俺も水着なんだぜ?万が一のために相当ゆったりした物を穿いてるけど、それでも反応してしまったらわかりやすい。
この水着の美少女2人を前にして反応を最小限に抑えろとかどんな拷問だよ。耐えられるわけないだろ。
やっぱり襦袢を着てもらった方がよかったかな…。
「さぁお兄ちゃん!まずは私の番だよー♪優しくし・て・ね ♡」
「はいはい…。—————あ」
やばい、大変なことに気づいた。
この任務を遂行するうえでとても重要なことに今さら気づいてしまった…!
「ぅん?どしたの?」
「……女の子の髪ってどうやって洗えばいいんだ…!?」
そう、洗い方がわからない。
男なら適当にシャンプーつけてワッシャワッシャとすればそれでいい。
だけど女の子は違う。
シャンプーやらトリートメントやらをその長い髪に至極丁寧に馴染ませないといけない。
想愛と蓮名とは幼い頃に何度も一緒にお風呂に入ったことがある。その時はお互い髪どころか全身まで洗いっこしたものだ。
でも当たり前だがその頃と今とでは状況がまったく違う。
2人ともオシャレに気をつけるようになったし、もちろん髪にも気をつけている。
それに髪は女の命って言うしな、そんなとても大事な部分を素人の俺が適当に洗っていいのか?……いや、いいわけがない。
蓮名に『髪を洗うだけ』って言われた時、どうして俺は『それぐらいなら…』と言ってしまったんだろうか。
女の子にとって髪がどれだけ重要なものなのか、それを全然理解していなかった…!!
それに想愛も蓮名も髪を長く伸ばしている。
長い髪を洗うのがどれだけ大変な事なのか、それを何年間も続けているのがどれほど大変で時間のかかる事なのか、男の俺にはわからないが、きっと間違いなく俺の思っている以上に大変な事なのだろう。
女の子の髪を洗うという事は……『髪』という女の命を預かるという事。
決して気楽な気持ちでやっていい事ではないんだ…!
それを理解できた俺がこれから言うことはただ一つ。
「ごめん……想愛、蓮名…。今の俺の技術では2人の髪を洗うことなんてできない…!!」
「えー!?」
「ごめん…」
「……仕方ありません。それにもともとは私達のわがままなんです。そんなに落ち込まなくてもいいですよ、私達はお兄様と一緒にお風呂に入れただけで幸せなんですから♪」
「……まぁそれもそうだねー。水着着用とはいえ久々にお兄ちゃんと一緒にお風呂に入れたんだもん!それだけで満足だよー♪」
うぅ……2人の優しさが身にしみる…。
待ってろよ、ちゃんと勉強していつか完璧に想愛と蓮名の髪を洗えるようになるからな!
……あれ?俺がそこまでして女の子の髪の洗い方を学ぶ必要なんてあったっけ?
2人と一緒にお風呂に入るのは今日が特別ってだけで、別に髪の洗い方を覚えても使い道なくない?
「じゃあ今回は私達が自分達で髪を洗うからそのやり方をちゃんと見ててよねー?」
「結婚したら毎日お兄様に身体と髪を洗ってもらうのですから、ちゃんと見て覚えててくださいね?」
「お、おぅ…?」
そして気づけば俺の目の前で想愛と蓮名が髪を洗い、それを俺が眺めるという構図が出来上がってしまった。
なんぞこれ。
いや、うん、ほんと……なんでこうなった?
ザー……
「〜〜〜♪」
「〜〜〜♪」
俺の目の前で仲良く髪を洗っている想愛と蓮名。
ちなみに俺は先に風呂に入ってる。だって外で待つのは寒いし。
篠宮家の風呂場は天陵家の風呂場と比べて結構大きいため、2人が同時に髪を洗える。
俺は風呂が大きい方が嬉しいから篠宮家の風呂に入る方が好きだったけど、小さい頃、3人で一緒に風呂に入ってた頃は想愛と蓮名の要望によってよく俺の家で風呂に入ってたなぁ。
『狭い方がより近くに居られるから』って言われても……昔の俺はその意味をちゃんと理解していなかったなぁ。まぁ幼かったから当然といえば当然なんだけど。
あの頃はほんと無邪気だった…。
それが今や欲望にまみれたお風呂タイムですよ。
大人になると欲が生まれ、そしてそれを抑えねばならない。
大人になるって……悲しい事なんだね…。
まぁ今のこの状態、悲しいか?って言われたら全力で嬉しい!!って答えられるんだけどね。
そしてそうこう考えているうちに2人は髪を洗い終えた。
けっこう時間がかかったけど……うん、見ていてまったく飽きなかった。
というか何故か目が釘付けになってた。
これが生活感のあるエロス…!!
そしてなにこれ風呂場がめっちゃ良い香りがするんですけどォ!!
そういえば想愛も蓮名もシャンプーはかなり高い物を使っていると聞いたことがある。
女の子ってのはやっぱり髪に対して特別な思いを持っているんだなぁ…。
これから2人の頭を撫でる時はもっと優しくしよう……そうしよう…。
「お兄ちゃん、終わったよー」
「あぁ」
「というわけで次はお兄様の番ですね。私達2人がお兄様の髪を洗ってあげます」
「あぁ…。……ぁあ!?」
なんだって!?
そう思うのもつかの間、水着姿の想愛と蓮名がそれぞれシャンプーとトリートメント片手に俺に迫ってきた。
「ちょっ!?ちょっと待てって!!」
「逃げなくてもいいじゃーん♪きっと気持ちいいよー?それにほら、昔はよくお互いに洗いっこしたでしょー♡」
「なんなら……昔のように髪だけじゃなく全身も洗いっこしますか…♡」
いやいやいや!?さすがに全身はダメだから!
それをしたらいろいろ耐えられなくなるから絶対にNO!!
……でも髪だけなら……まぁ……その……いいんじゃないか…?
とっさに逃げようとしたけど……俺だって最初は想愛と蓮名の髪を洗おうとしたじゃないか。
なら逆に想愛と蓮名に髪を洗ってもらっても……なにもやましい事はないんじゃないか?
俺がおとなしくなった事で想愛と蓮名の動きが止まる。
そして俺は風呂から出て、2人のもとへ行こうとする。
そこから先は、まるでスローモーションのように感じた。
まず、風呂から出て想愛と蓮名のもとへ行こうとした。
しかし、長い間風呂に入っていたからなのか、想愛と蓮名のシャワーシーンを見て興奮したからなのか、のぼせてしまったようで前にふらついてしまう。
そして転けるのを防ぐためにとっさに手を伸ばし—————
ふにょん♡ ふにょん♡
———俺の右手は蓮名の、左手は想愛の胸をガッシリと掴んでいた。
「………え?」
「………へ?」
「……………あ」
突然のことに思わず沈黙する想愛と蓮名、そして俺。
そして今になって気づく衝撃の事実。
想愛と蓮名が着てるこの水着……胸当てがない!!
つまり……本当に胸にただ布一枚付けてるだけという状態。
手のひらには突起の感触もバッチリある。
……この突起って……つまりその……想愛と蓮名の……!?
「ごごごゴメン!?」
「ひゃん!?」
「きゃん!?」
正気に戻り、急いで手を離す。
そして2人から距離をとろうとして……水に濡れたタイルに滑り、今度は後ろに倒れそうになる。
「———ぅあッ!?」
「———ッ!?お兄ちゃん!!」
「———ッ!?お兄様!!」
ドッスーンッ!
右手を蓮名に、左手を想愛に掴まれるもそのまま倒れてしまい、両手を前に出したまま盛大に尻もちをついてしまう。
そしてそのまま浴槽に頭をぶつけてしまう。
「ッ痛ぇ〜〜!!頭も打った……!!—————って、え?」
……ラブコメの神様ってのは本当に存在するらしい。
今までいろんな誘惑に耐え続けてきたからだろうか、神様はなんというか……某リトさん並みの幸運を俺に授けてくれたみたいだ。
何があったかというと……俺の両手にはそれぞれ水着が収まっていた。
それも、下の。
どうやら転んだ拍子に水着の紐の部分を掴んでしまい、そのまま引っ張ったことでとれたようだ。
そして俺の目の前には下の水着がなく、下半身を露わにした美少女中学生双子が……。
「……………」
「……………」
「…………………ぁ」
そして俺は—————
「……お兄ちゃん!?」
「……お兄様!?」
———盛大に鼻血を噴き出し、気絶した。
あぁ…真っ赤に染まる…。
風呂場の白さと……俺の血による赤で……サンタ色…。
鮮血の……メリー……クリスマス…。
………ガクッ
「お兄ちゃーーーん!!!」
「お兄様ぁーーー!!!」
性欲強い人は濃いって聞くけど、実際はそうではないんだなと知ったクリスマスとなった。
次話からは本編に戻ります
これからも現実が忙しかったり、他作品にうつつを抜かしたり、現実でゲームし過ぎて時間がなくて投稿した翌月に追加改稿する事が多くなると思いますが、月一投稿だけは守ろうと思ってます!
……まぁ新年早々寝落ちしてその月一すら守れなかった奴が何言ってんだって話なんですけどね!
だいたい月一投稿を守ります!!




