体育祭
祝・総合評価1800……1850突破!
新作の勢い半端ないって!
あっという間にポイントが増えてってこの作品を総合評価もあっという間に抜き去っていってジャンル別日間1位、週間1位、月間3位、四半期10位取っちまって……
こっちも負けてらんねぇなぁ!!
「体育祭?」
「そう、やることになったんだって」
6月上旬のとある日、キクゴローと世間話をしていたら体育祭の話になった。
「体育祭って先月に台風で中止になったんじゃなかったっけか?」
「それが中止じゃなくて延期だったらしいよ」
星鏡学園の体育祭は5月に行われる。
そして今は6月、本来なら1ヶ月前に終わっている行事だ。
しかし体育祭の日に台風が直撃し、体育祭は中止になった……と思いきや延期になっていたそうだ。
ちなみに5月に体育祭を行うのは俺達のいる高等部だけで、蓮名と想愛のいる中等部の運動会は10月に行われる。
『体育祭はともかく運動会はスポーツの秋にやるもんだろ!』と、学園のお偉いさんの変なこだわりがあるらしい。
もしくはPTAの変なこだわりがあるらしい。
5月より10月の方が涼しいから個人的には体育祭も10月にやってほしかったなー。
「でも確かに体育祭は『中止』って言ってなかったか?……俺の聞き間違いだったのか?」
「いいや、銀河の言う通りだぜ。確かに体育祭は1度中止になった」
「じゃあ何で…」
「どうやらどうしても体育祭をやりたいって訴えが多かったようだ」
まぁ1年に1回の大行事だからなぁ。
しかも3年生にとっては最後の体育祭。
よほど運動が嫌いな人や集団行動や人ごみが嫌いな人じゃなければやりたいと思うだろう。
俺は2年生だから来年もあるけど体育祭が中止になったって聞いた時は悲しかった。
だってせっかくのお祭り行事なんだ、非日常なんだ。楽しまなきゃ損だろう。
つまらない学校でわからない授業を聞くのは全然楽しくない。そんなつまらない学校生活に潤いを与えてくれる非日常が体育祭や文化祭なのだ。
だからそんな体育祭が中止になったと聞けば……ねぇ?リフレッシュできずにこのまま10月の文化祭まで退屈な学校生活が続くのか……と気分が滅入ってしょうがなかった。
それに、俺は帰宅部だけど運動は得意な方なのだ。
だから体育祭とか球技大会とかの体を動かす行事は活躍できるからかなり好きだ。
活躍できて……蓮名と想愛にカッコイイとこ見せられるから好きだ。
男子ってのは可愛い女の子の前ではカッコイイとこ見せたいもんなんだよ。
……ここで『好きな女の子』ではなく『可愛い女の子』にしたのには特に深い意味はないからな?
べつに蓮名と想愛以外の女の子からも黄色い声援を送られたいとかそういうのじゃ決してないからな?
その……なんていうか……そう!あくまで一般的な男子としての感想だ。だから俺の思っていることではない。
それにあれだ、もし本当に可愛い女の子から声援を送られて俺がにやけてしまったりでもしたら……その後、俺は当分の間外出禁止になってしまうだろう。
家どころかたぶん部屋からも出られなくなる。監禁的な意味で。
蓮名と想愛は俺が嫌がる事は絶対にしない。
でもなんでだろう…。今回、俺が何か変な事をやらかしたら間違いなく2人に監禁される自信がある。
というか今までも俺の嫌がる事は絶対にしないはずなのにさんざん尋問とか拘束とかされてたよね、俺。
……もしかして俺って……自分では気づいてないだけでかなりのMだったのでは…!?
いやいやまてまて違う違う。俺はただ蓮名と想愛にならどんなことをされても嫌じゃないってだけだ。
つまり俺は2人になら尋問されようが監禁されようが何されようが望むところだ!ってだけだ。
……世間ではそれをドMと言うのでは?
………ハハハ、そんなわけ………ほんまや。
「銀河?どうした?なんかぼーっとしてたぞ」
「あ、あぁ、悪い。ちょっと考え事してた」
「なるほど、蓮名ちゃんと想愛ちゃんのこと考えてたのか」
「なぜわかったし」
「むしろなぜわからないと思ったし」
俺、そんなにわかりやすかったのかなぁ…。
……いや、俺が悩むことなんてあの2人の事しかないってことか。ことことこと。
……何言ってんだか、俺は。
「そ、それで体育祭はいつやるんだ?来月?」
「再来週らしいよ」
「再来週!?早くないか!?」
「つっても来月……7月はテスト週間とかで忙しいから仕方ないんじゃない」
「まぁそう言われれば確かに…。………あ!!」
「うぉ!?急にどした!?」
「体育祭ってことは……体育の授業にまた行進の練習とかしないといけないよな!?」
「まぁ……そうだな」
「じゃあ今やってる卓球は…」
「 ……中止、かな」
Oh……マジか……。
卓球好きだったのに……。
「それにしても……体育祭をやるって決まったのに誰もその事について話してないな。その情報って本当なのか?」
「だってそれはまだ発表されてないからな。たぶん今日の帰りのHRで話すと思うぞ」
「なんでまだ発表されてないのにキクゴローは知ってんだよ」
「いやー、ほら、俺って生徒会にコネ持ってるし?」
「……あぁ、一存から聞いたのか」
「せっかくちょっとカッコつけたのにネタばらしが早いぜ銀河……」
やっぱり一存からだったのか。
なんてったってアイツは生徒会副会長だもんな。アイツから聞いたのならこの事は本当で間違いないだろう。
その後、本当に放課後のHRにて先生から体育祭を開催する事が伝えられた。
その感想は歓声より悲鳴の方が多かったような気がする。
せっかくの体育『祭』じゃん……もっとみんな楽しもうよ……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……というわけで体育祭をすることになった」
「高等部で『中止』になった体育祭が延期になってまた開催されるという噂は私達の方でも話題になりましたが……本当だったのですね。良かった……。………あ、この煮物凄く美味しいです。華月お義母さん、後で味付け教えてくれませんか?」
「噂にはなったけどもし嘘だったらショックが大きいから今まで信じられなかったもんねー。…って事は今年もお兄ちゃんの活躍が見れるってこと!?やったー!!………あ、本当だこれ凄く美味しい!華月お義母さん、おかわり!」
「はいはーい。想愛ちゃんと銀河はおかわりいる?」
「あ、私もおかわりお願いします」
「母さん、俺もー」
今の時刻は夜7時。晩御飯を食べながら今日あった事を話していく。
ちなみに当たり前のように蓮名と想愛が天陵家でご飯を食べているが、これは今日たまたま新斎義父さんと紅葉義母さんが仕事の影響で夜遅くまで帰ってこれないからであって、いつも俺の家で食べているわけではない。
「……あ!そういえば華月お義母さん、体育祭の日って予定空いてるの!?」
「えぇ、空いてるわよ」
「良かったぁ…。それでは華月お義母さん、今年もカメラ係をお願いできますか?」
「えぇ、任されたわ!」
体育祭や運動会の時はいつも母さんがカメラ係をする。
……正直言ってなんか気恥ずかしいからあんまり来てほしくないんだけれど蓮名も想愛も俺の競技中は写真もビデオも撮らないんだからしかたない。
いや、別に撮ってくれなんて頼んだ事は小学生以来一度もないんだけど、蓮名と想愛が求めてるんだから大人しく撮られることにしてる。
ちなみに以前、2人に俺が競技中に写真やビデオを撮らない理由を聞いてみたところ、
『写真やビデオとかの記録はいつでも見れるけど、お兄ちゃんが走っている姿を記憶できるのはその時だけだからねー。撮影に気を配る余裕あるなんてないよー』
『映像より実物を見たいと思うのは当たり前の事ではないですか?カメラ越しに見たら魅力が半減してしまいます』
ということらしい。
なんとも蓮名と想愛らしい特殊な考え方だ。
……と思ったけど俺も2人が運動会等で活躍する時は撮影は新斎義父さん達に任せて俺は何もせずに心の底から応援してるだけだったわ。
せっかく生で走っているのを見れるのにそれをわざわざカメラ越しに見る必要はないからね。
俺の中では体育祭は5月、運動会は10月にやるもんだと思ってます




