梅雨と結婚計画
祝・総合評価1750突破!
そして新作『俺と許嫁のヤンデレ幼馴染との日常』を投稿しました!!
ヒロインはヤンデレ妹系幼馴染です
いかにも俺らしいですね
ちなみにこの作品の数年前という設定です
前話の追加改稿を15日に行いました
6月。
みんなは6月にどんなイメージを持っているだろうか。
アジサイ?傘?カタツムリ?でもそれらは全部雨のイメージで出てくるものだ。
そう、6月とは梅雨。雨のイメージがとても強い。
と、いうわけで今日は雨。
雨の日はイヤなんだよなぁ…。
傘が邪魔になるし強い雨の時は傘を差していても足元が濡れたりするしそれに何より……。
「ねぇお兄様、私と相合い傘しませんか?」
「え〜!?お兄ちゃんは私と相合い傘してくれるよね?」
「……どっちともしません。2人とも傘持ってるでしょ」
「「え〜〜!?」」
蓮名と想愛の仲が少しだけ悪くなるからだ。
2人が狙っているのは俺との相合い傘。
普通の相合い傘ならできるだろう。しかし俺達は3人だ。男子高校生1人とと女子中学生2人の計3人はどう頑張っても大きさ的に1つの傘には入れない。
蓮名と想愛、2人を同時に愛する者としてはどちらかを放置してどちらかを贔屓するなんてことは絶対にしない。
もし仮に万が一2人のどちらかを理由なく贔屓した時には刺される覚悟はできている。
俺が背負っているのはそれほどまでに深い業なのだ。
昔は大人用の大きな傘に3人で入ってたのになぁ…。
俺達の成長を感じるよ。
……もしこのまま蓮名と想愛の上半身のとある一部が成長し続けていったら……俺はもう理性を保てなくなるだろうなぁ…。
そんな将来が待ち遠しいような怖いような…。
いやまぁたとえどんな大きさだったとしても今までのように愛せる自信はあるんだけど。
あるんだけど……ねぇ?やっぱりその……ねぇ?あるとないだったらある方が……ねぇ?
「好きな人に揉んでもらうと大きくなるらしいよ?」
「というわけでお兄様♪私だけを揉んでくださいね?」
「なんで想愛だけ!?私は!?」
「蓮名、私達は双子でしょう?ならば胸の大きさも一緒にすべきだと思ったのです。だから私だけがお兄様の豊胸施術を受けるべきです」
「1cmしか違わないでしょー!?てかそれ絶対私怨入ってるよね!?」
「入っていますが、何か?そもそもなんで蓮名の方が大きいのですか?姉だからですか?私の姉だからなんですか?」
「うぅ……まさか想愛にこんなに敵意を向けられる日がくるなんて…。……でも私は姉として、女の子として想愛には絶対負けないよ!双子だからこそ、顔がほぼ同じだからこそ片方が……私が!大きくなるのが良いんじゃないかな!!」
「……なんですって?」
「だって私達は顔も背格好もほぼ同じ。ならせめて胸の大きさだけでも変えてお兄ちゃんをより満足させようとは思わないのかな!」
「私達は姉妹属性の前に双子属性です。なら双子らしく同じ状態でお兄様に迫る方が良いというものでしょう」
「でも———!!」
「ですが———!!」
ほらみろ、やっぱり雨の日は蓮名と想愛の仲が悪くなる。
そして2人が俺の心を読むのは当然としても……今だけは心を読まれたくはなかったかなぁ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「やっはろーキクゴロー」
「おぉ銀河、おはよう」
あれからなんとか蓮名と想愛をなだめ、学校に着いた。
朝からかなり疲れた…。
1cmの差であれ程の大喧嘩になるとは……読めなかった、この銀河の目をもってしても。
でもこれは蓮名と想愛が俺を想っての行動による疲れなので、嬉しい疲れ、嬉しい悲鳴というものだ。
つまりただの自慢。
……それをこれから自慢気たっぷりに話そうとしたのだが、目の前のキクゴローは目の前のスマホにもの凄く集中しているようだった。
……いったい何してんの?
「なぁキクゴロー。なんかめっちゃ集中してるっぽいけど何してんの?」
「ん?あぁ、ほら、今って6月だろ?」
「そうだな。で、それがどうした?」
「だからこれからジューンブライドガチャを引くんだよ」
はぁ?
……あー…。
なんだ、ソシャゲのガチャのことか。
そういえばソシャゲって6月になると一気にガチャ更新されるよな。
「待ちに待った俺の嫁達のウエディングドレス姿……これは俺の全力をもって引かねば……」
「嫁『達』かよ。1人に絞れや」
「現実で重婚しようとしてるやつにだけは言われたくないんだけど?……まぁいいや。とりあえず銀河、10連引いてみろって。もし好きなキャラが出てきたらジュース1本奢ってやるよ。……ちなみに出なかったら逆にジュース奢れよ?」
「何その超理不尽な要求。ってか全力をもって引くんじゃなかったのかよ」
「全力だからこそ俺の友達である銀河も使うんだよ。俺の知り合いの中では銀河が一番運が良いからな」
「友達に向かって使うとか言うなよな…。そもそもなんで俺がその勝負を受けねばならんのだ」
「あぁ言い忘れてたな。今ウエディングでピックアップされてるキャラが妹系の双子なんだよ」
………ほぅ?
「……話を詳しく聞かせてもらおうか」
「さすが。銀河ならそう言うと思ってたぜ」
そして俺はキクゴローとの賭けに乗った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まさか本当に10連1回だけで双子キャラのSSR出すとは……しかもきっちり姉と妹のSSRを2枚も……」
「当然だ。双子なら2人とも出すべきだろう?」
そして俺はキクゴローとの賭けに勝った。
……正直俺もかなり驚いてる。
いや、うん、マジか俺ェ…。
蓮名と想愛の加護のおかげなのか俺の妹系双子への執念が凄すぎるのか…。
両方かな?
両方だな。
「約束通りジュースを1本……いや2本……いや、昼飯を奢ってやるよ」
「おぉ!謝謝!!……って言いたいところだけど…。俺の昼飯はいつも弁当だって知ってるよな?」
高校では給食はない。
だから生徒は学食か弁当を持ってくる。
そして俺は弁当派だ。
そしてその弁当は余程のことがない限り蓮名と想愛が1日ごとに交互に作ってくれる。
学校で逢えないぶん、せめて昼食時だけでも側に居たいから……だそうだ。
そう、『思い出してほしい』ではなく『側に居たい』だ。
つまり……蓮名と想愛の身体の一部がこの弁当の中に入っているとか?
……ハハハ、さすがにそれはないよな。
………ない……よな……?
「そういや銀河の弁当っていつも新婚夫婦っぽいよな。なんつーか……♡マークが多い。あと全体的にピンクっつーか赤色多いよな。あの赤いのって何?紅ショウガ?………ってどしたの?」
「あぁいやなんでもない。きっと気のせいに違いない。そうだ、きっと気のせいだ」
「え……でも銀河の弁当って本当に赤色が多い—————」
「それでなんの話だっけ?あぁそうだ、俺の弁当が新婚夫婦みたいって話だったよな。あれは2人が花嫁修行も兼ねて作ってるからあながち間違いではないな。ちなみにちゃんと栄養バランスも考えられてある」
強引に話を続ける。
別に何もやましい事なんてないし2人がそんなアホなことするわけないし、俺は2人を信じてるからこの強引さにはなんの意味もない。
意味もない……うん、そうだ、きっとそうだ。
赤色が多いのはただの愛情表現だ。♡マークは真紅でなければない。想いの深さは色が濃さに比例すると思っている蓮名と想愛らしいじゃないか。
まぁそのせいで最初の頃の弁当は赤黒すぎて あまり食欲がわかなかったけど…。
それにしても……新婚……夫婦……花嫁……か。
なんかついさっき聞いたような単語が続々と出てきたな。
……………。
「なぁ銀河、蓮名ちゃんと想愛ちゃんのウエディングSSRはいつ出るんだ?」
「うん言うと思った。最短でもおよそ2年後じゃないかな?」
「2年後?……あぁそうか、3人の結婚できる最低年齢か。……いやでもまだ学生じゃん」
「そんな些細な事気にすると思う?」
「ごめん全く思わない」
「即答かよ…。まぁあくまで最短なら2年後ってだけだしな。それに年齢が法律的にOKになってももう一つの方はまだアウトっぽいし」
「重婚ハーレムの方かー」
「2人をハーレムって言うのか?」
むしろハーレムなんて築いたら2万回殺されそうだぞ。
いや殺されはしないだろうけど死ぬぐらい強烈な罰を与えられるか、昇天するぐらい幸せな空間に閉じ込められたりするぞ。
というか簡単に蓮名と想愛のウエディングSSRまだー?って言うけど結婚なんてそんな簡単にできるものじゃねぇんだぞ。
金銭的問題や社会的問題はもちろん、なにより覚悟が必要だ。
好きだからって簡単に結婚はできないんだよ。大きな覚悟と責任がいるんだよ。
覚悟についてはもうとっくにできている。蓮名と想愛は覚悟も無しに付き合えるような軽い女じゃないからな。
でも責任については……まだ全然ダメだ。
結婚の責任はただの高校生が背負えるようなものじゃない。
俺は自分が普通じゃないとは自覚しているが、それでも高校生である事は変わらない。
そしてそれは2年後の……正確には1年と3ヶ月後の俺にも当て嵌まることだ。
哀しいかな、本気だからこそ本気で考えて、本気で悩んで、本気で迷って、その結果、どうしても無理だということがわかってしまう。
今のままの俺では蓮名と想愛を幸せにはできないということがわかってしまう。
だから今は努力しよう。自分を磨き上げる事に専念しよう。
そして蓮名と想愛と共に過ごす今この時間を大切に、楽しく過ごすとしよう。
いつになるかはわからない、だけど絶対におとずれるであろう運命の日のために。
支配人のおにーさんとか兄(C)とか呼んでくれる可愛い妹系双子がいてもう最高ですよ




