久しぶりの学園
祝・総合評価1700突破!
そしておい俺…またかよ……
いつのまにか寝ていて気づいたら日付が変わってた……なんてのはマジでやめてほしい
なんでよりによって今日寝るんだよ、俺……
前話の追加改稿を8日に行いました
〜蓮名side〜
なんだかんだいってかなり楽しかったGWが終わってしまい、今日からまた学校が始まる。
………鬱だ……。
嫌だなー、学校行きたくないなー、あのままずっと永遠に永久にお兄ちゃんと部屋でゴロゴロしたかったなー。
そもそも何で学校なんかに行かなくちゃいけないんだろうね。
お兄ちゃんと同じクラスだったなら毎日喜んで学校に行……かないかなぁ。学校じゃ邪魔者が多過ぎてイチャイチャできないし。あとやっぱり授業めんどくさいし。
自分で言うのもなんだけど私も想愛もけっこう勉強できる方だけど勉強を楽しいと思ったことは一度もないかなー。
ただ学校にいる間暇すぎるのとお兄ちゃんのことを考えすぎないために無心で勉強してるだけなんだよねー。
学校にいる間にお兄ちゃんのことを想いすぎたら愛しさと切なさと心苦しさで狂っちゃいそうだから何かに集中して無心になるしかなかったんだよね…。
もし私と想愛が……なんなら想愛の栄養全部吸い取って私だけでもお兄ちゃんと同じ年に産まれてたなら、同じクラスにどうしてもなれないこの悲しみからお兄ちゃんを救ってあげれたのに…。心苦しい…。
というか去年も思ったけどどうして学年が違うだけでお兄ちゃんは高等部、私と想愛は中等部で別れなきゃいけないんだろうか。
よくテレビとかで見る田舎の学校ってけっこう学年が離れてても同じ学校にいれるじゃん!
私達が住んでる所ってテレビに映ってるとこと同じぐらい田舎だよ!?
電車で一時間かかる学校周辺が異常に都市化してるだけで川2つ越えたらまるで隔離されてるの?ってぐらい急に何もない超田舎になるのになんでうちのトコにはそういう学校がないの!?
うぅ、やっぱり田舎でスローライフなんて幻想なんだ……結局都会に行っちゃうんだ…。
……とまぁ心の中で愚痴ったところで何も変わることはなく教室の前まで来てしまった。
はぁ…これから毎年恒例……というか休み明け恒例の苦行が始まってしまう…。
私達が学校に行きたくなかったのにはちゃんと理由がある。
基本的に無視してるのにも関わらず、休み明けはいつもの3倍くらいの男子共が私達に向かって挨拶してくるのだ。
そう、男子共がたくさん。
女子は1人を除いて誰も挨拶なんてしてこない。
大勢の女子から嫉妬されて嫌われてるなんていつものことだ。
こっちとしてもそんな奴らに興味なんてないから別に傷つくことなんてないんだけど、男子共の挨拶だけはたいへん鬱陶しく感じる。
だって私も想愛も軽度とはいえ男性恐怖症なんだよ?
そこに居るだけでも不快なのに話しかけられたら本当にめんどくさい。
私達と仲良くしたい男子共の方が鬱陶しくて私達と仲良くしたくない女子共の方が気が楽だ。
皮肉なもんだねぇ。
「というわけで想愛、帰ろっか」
「何が「というわけ」なんですか。私だって蓮名を身代わりにして帰りたいのに我慢してるんですよ」
やっぱりダメかー。
………ん?今なにかさらっと酷いことを言われたような…。
気のせいということにして諦めて教室のドアを開ける。
「「おはようございまーす」」
といっても私達は時間的にいつも一番最初に教室に来る。
だから挨拶しても教室には私達の担任である巣鴨 由梨先生ぐらいしかいない。まぁだから挨拶するんだけどね。
今日も今日とていつも通りの朝が始まる———って思ってたけど今日は違った。
「おー、篠宮姉妹、おはよう。今日も早いな」
「あ、蓮名ちゃん、想愛ちゃん、おはよう」
巣鴨先生だけじゃない、もう一つの声。
このクラスで私達に挨拶してくれる女子は1人だけ。
「胡蘭ちゃん!」
「胡蘭さん!」
教室に居るもう1人の人物とは、私と想愛の友達、香月 胡蘭ちゃんだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
香月 胡蘭ちゃん。
日本を代表する香月財閥の御令嬢であり、私と想愛の数少なすぎる友達だ。
私達の篠宮家もけっこうお金持ちの部類に入ると思うけど香月家とは言葉の通り格が違う。3桁ぐらい違う。
香月家は竜堂家とともに日本の2大埋蔵金と呼ばれる程の超大金持ちで、その気になればこの星鏡学園も買収できるだろうと言われてる。っていうか間違いなくできるよね。
そんな超お嬢様にただの一般庶民が仲良くすることなんてできない……とみんなには思われてみたいで、下心なしで胡蘭ちゃんに話しかけたのは私達が初めてだったらしい。
お互いに友達が極端に少ない者同士だからかな、私達はすぐに仲良くなれた。
そして、お兄ちゃんと私と想愛の関係ことを話せる『友達』にもなれた。
お兄ちゃんのことを話しても引かれない。すずちゃんや千枝ちゃん以外の『友達』がやっとできた。
この娘なら……胡蘭ちゃんなら私達と一緒に遊んでもいいと思う。
お兄ちゃんとの時間をほんの少し、本当に少しだけなら削ってまで遊びたいと思う。
別にお兄ちゃんへの愛が軽くなったってわけじゃないんだけど……なんていうかな……愛情と友情は別っていうか?
お兄ちゃんだって極々稀に私達をおいて及川さん達と街に遊びに行く事だってあるし…。
……いや別にそのことに文句があったわけじゃないよ!?
私達はめんどくさい女ではあってもお兄ちゃんに迷惑をかける女じゃないからね!
その証拠に学校行事とかでお兄ちゃんがクラスの女の子と話してるのを見てもなんとか我慢してるし!
ほ〜ら、私も想愛も全くめんどくさくない女の子!ドヤッ☆
………それが普通っていうな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〜想愛side〜
「胡蘭さんお久しぶりです」
「胡蘭ちゃん久しぶり〜!」
「蓮名ちゃん、想愛ちゃん、久しぶり。GWどうだった?」
挨拶を済ませるといきなりGWのことについて聞かれました。
ちなみに巣鴨先生は「職員会議がある」って言って教室から出て行きました。
そういえば胡蘭さんには従兄妹がGWに遊びに来るって伝えていましたね。ついでに烈さんが家に泊まる事への愚痴も聞いてもらっていたのを今思い出しました。
まぁ結論から言えば愚痴る事なんて何もないぐらい楽しい日々だったんですけどね。
私達は烈さんに酷い誤解と思い違いをしていたようです。私達が男性恐怖症になってから初めて会ったということを考慮してでも私達の烈さんへの態度は本当に酷いものでした。
烈さんは従兄だし昔馴染なのでそこらの男共とは違うというのに、なんで私達はあんなにも邪険に扱ったのでしょうか。
いつのまにか仲直りしていましたがお兄様と烈さんが大喧嘩したのが印象に残っていて敵愾心を持っていたからでしょうか?
長年会っていなかったうえに男性恐怖症になってから初めて会うとなって恐怖心を持っていたからでしょうか?
それとも……せっかくのGWをお兄様と2人きりで過ごせなくなったからでしょうか?……あ、これですね。これが理由です。
まぁ理由がわかったところで過去を変える事など出来ませんし理由がわかったからこそあの態度は仕方のない事だったから特に考える意味はなかったんですけど。
「GWは……とくに何も起こらずに楽しい日々でしたよ」
「そだねー。胡蘭ちゃん、心配させてごめんね?」
「いやいや、何もなかったんならよかったよ」
やはり少し心配させていたようです。
ちょっと申し訳ない気持ちになりますね…。
「ところで蓮名ちゃん、想愛ちゃん」
「ん?」
「はい?」
「本当に『何も起こらなかった』の?その従兄妹さん達が帰った後も銀河さんとは本当に、『何も起こらなかった』の?」
「「……………」」
先程まで感じていた申し訳ない気持ちが瞬時に消え去りました。
そうでした…。胡蘭さんは普通なら聞くに堪えないであろう私達の激し過ぎる惚気話を興味津々で聞いてくる人でした…。
それが嬉しいような面倒くさいような…。なんとも微妙な気持ちにさせられますね。
ただ今のように超ニヤニヤ顔で聞かれると嬉しいというよりかなり面倒くさいという気持ちになりました。
「話すのもやぶさかではないのですが……この時間帯だと朝のHRまでに終わりませんよ?絶対に」
「え……まだHRまでにはそこそこ時間あると思うんだけど…。なんとか省略できないの?」
「ムリだねー。だって私達だよ?そんな短時間で終わるわけないじゃん」
「それに省略できる話なんてあるわけないじゃないですか。お兄様と過ごす日々は全部大切すぎる思い出です。省略なんてできません」
「……さすがだね」
そういう胡蘭さんの声はドン引きしたものではなく、心から感心した声でした。
流石なのはそっちですよ、胡蘭さん。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「私達はともかく……胡蘭さんの方はどうだったんですか?」
「そうだよ!胡蘭ちゃんこそ許婿さんとはどうだったの?」
「え?わ、私!?」
そう、胡蘭さんには許婿がいるのです。
このご時世で許婿って……なんて思われると思いますが、こういうのって意外とあるものなんですよね。
胡蘭さんの香月家と共に『日本の2大埋蔵金』と呼ばれる竜堂家の御令嬢も許婿と結婚して今は社長夫人となったと聞いています。
胡蘭さん曰く許嫁も婿入りも世間では圧倒的に少ないだけで格式高いお金持ちの家ではよくあることなのだそうです。
ちなみにお見合いもよくあることなのだそうで、実際に胡蘭さんも小さい頃に何度も許婿候補と会ったそうです。
小さい頃から仲良くなる事で自然的に恋愛結婚にさせるためだとか…。
一応本人達の意思を尊重させてる……みたいですけど会う人達は決められているんですよね。厳しい制限の中での自由って本当に自由って言えるんですかね?
でもまぁ確かに幼馴染だと恋に落ちやすいですよね。
どんな『裏』を持っているかもわからないポッと出の人よりは小さい頃から一緒に過ごしてきた幼馴染の方が良いに決まってます。えぇ決まってるんです。
そういえば竜堂夫人も許婿は幼馴染だったとか…。
やはり幼馴染は正義。はっきりわかるんですね。
「私の方も別に……その……とくに何もなかったよ?………本当に、何も……」
「……あっ…」
「……えーっと…」
「本当に、本っ当に何もなくて……蓮名ちゃんと想愛ちゃんと銀河さんみたいなことは何一つ起きなくて……私大樹の許嫁なのに……」
「えーっと……そう!照れてたんだよきっと!私達まだ中学生だもんね!九条君も好きな子と一緒にいてテンション上がって変なことしないように必死に自分を抑えつけてたから素っ気なく感じただけだって!!……たぶん!」
「そ、それに私達とお兄様がするようなコトは自分で言うのもなんですけど普通の中学生なら絶対しないようなコトばっかりですから!正直言って私達が異常なだけですから普通は真似しない方が……というか普通なら出来ないコトですから!絶対に私達を基準に考えてはダメですからね!?」
どうやら私達は盛大な地雷を踏んだようです。
ちなみに九条 大樹さんとは、胡蘭ちゃんの許婿で私達と同じ中学3年生の14歳です。
14歳で許婿ってすごいですよね。まぁ私も蓮名もお兄様の許嫁みたいなものなんですが。
こうして私達は朝のHRが始まるまでの間、胡蘭さんを慰めて続けたのでした。
そして今年も、クラスメイトの女子達には挨拶されませんでした。
まぁ別にいいんですけど。
レポート「提出〆切来週だと思った?残念!明日でした!!」
このあと滅茶苦茶頑張った
蓮名と想愛にとっての本当の『友達』は鈴子、千枝、胡蘭の3人だけです
しかし鈴子とはあまり会えない、千枝とは二度と会えなくてなってしまったせいで蓮名と想愛は『友達』に対してとても特別な思いをもっています
まぁ銀河への想いとは比べ物になりませんが




