従兄妹との別れ
祝・総合評価1650突破!やったね!
前話の追加改稿を10日に行いました。
その後夕食を食べて風呂入って寝て、あっという間にGW3日目になった。
そして、今日は烈と鈴子ちゃんが帰る日でもある。
ちなみに昨日の夜帰ると言っていた新斎義父さんはやっぱり仕事が終わらなくて帰って来れなかった。だから今日の昼に帰ってくるらしい。
2人は昼頃に帰るというので、今日はどこにも行かずに家でゴロゴロすることに決まった。
というかどこかに行くとしたら移動時間的に夜まで帰ってこれないので必然的にこうなった。
街へ行くのも一大行事、田舎民あるあるであ〜る。
ちなみに今日の昼に帰ると言っていた新斎義父さん達だが、2人が帰る時刻までに家に帰ってこられるかどうかはわからないらしい。
さて、2人が帰るまでの間何をしよっかなー。
「とりあえず……トランプでもするか」
「……前から思ってたけど銀河っていつも突発的だよな。やるけど」
何を言うか、俺だってちゃんと考えてんだぞ。
だってテレビゲームするとしてもゲームって基本最大4人対戦だろ?で、プレイするのが俺、蓮名、想愛、烈、鈴子ちゃんの5人だからどうしても1人余るんだよ。
まぁ一番負けが交代すればいいだけの話なんだけどね。
あとごく単純にトランプがしたかった。
なにせせっかく5人もいるんだ。なら大人数だからこそ楽しめるゲームがしたいって思うじゃん?
というわけでトランプを用意する。
あ、UNOでもよかったかも。……まぁいいか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「5。……なぁ烈、お前と鈴子ちゃんってこのゲーム初めてなんだよな?」
「6。あぁそうだぞ。ルールも今日初めて知った」
「7。……ならさ」
「8。……ん?」
「なんで俺と烈が最下位争いしてんだよ!しかもかなりのいい勝負を!普通こういうのって初心者同士が最下位争いするはずだろう!?それと9ッ!!」
「まぁ『普通』ならそうなんだろうけどさ……一体いつから俺達が普通だと錯覚していた?………それとその9、ダウトだ」
「………チッ。やっぱ篠宮の一族を普通って言うのは無理があったか」
ダウト成功。さっき出したのを含め大量のカードが俺の手元に帰ってくる。
お前達、帰ってこなくてよかったんだぞー…。
それからおよそ5分後、最下位争いは烈の勝利に終わった。チクショウ。
「あ〜…負けた……」
「ハハハッ!俺だって銀河とは長い付き合いだからな。蓮名ちゃんや想愛ちゃんほどじゃないけど銀河が嘘をつくタイミングはわかるんだよ」
「……実際に負けたからなんとも言えん…。っていうかさっきのダウトでもそうだったけどなんで七並べだろうが大富豪だろうが毎回俺と烈が最下位争いなんだよ……」
「すみません…。いくら相手がお兄様とはいえ勝負は勝負ですので…」
「というか相手がお兄ちゃんだから…かな?ほら、昔敗者は勝者の言うことをなんでも聞くってルールでよく勝負してたじゃん」
「ん?今なんでもって…。……というか銀河、お前昔から2人にそんなことを……」
「兄ちゃん…引かれるよ…。あ、もう引かれてるか…」
「え゛」
「まぁそんなことより銀河お兄さん。いくら大人っぽいっていうかもう大人の体つきをしてるっていってもれんちゃんもそーちゃんもまだ中学生なんだよ?そういうことはせめて2人が高校生になってからにした方がいいと思うなぁ、さすがに」
……あれ?なんか会話がおかしな方向に進んでる気が…。
「ってちょっと待て!そんな賭けをしていたのは昔の話だ!」
「昔…。つまり性欲に目覚め始めた中学生の銀河お兄さんが女性の体つきになり始めた小学校高学年のれんちゃんとそーちゃんに…!」
「いや違うから!それよりずっと前の話だからな!?」
いくら俺が中学時代に馬鹿丸出しだったとはいえ、さすがに蓮名と想愛にそんな下衆なコトはしなかった。
ただ……バレてない、気づかれてないと思って2人にちょっとしたチョッカイを出したことは何回かあるけどな!
若気の至りだったんだよ…!
俺まだ16歳だけど。
「そうなんですよすずちゃん。いやぁ、あの時のお兄様は激しかったですねぇ…♡ランドセルが衝撃を受けすぎてちょっと変形しましたもん」
「だよねー。でも安心してねすずちゃん。お兄ちゃんは性欲に負けても優しいお兄ちゃんだったから!ちゃんとゆっくりじっくりねっとり時間をかけて私達を愛してくれたよ♪」
「ちょっ…!?」
蓮名!?想愛!?
2人とも完全に俺をからかって楽しんでいらっしゃる…。
……西●くんじゃないけど美少女にからかわれるのも悪くないもんだな…。
「銀河、お前……。………あの時にもっと殴っておくべきだったかな…」
「俺は今すぐお前を殴り飛ばしたいよ」
美少女にからかわれるのはいい。ただし烈、テメーはダメだ。
……っていうか烈、お前今本気だったよな?からかいでも冗談でもなく本気で信じ込んでるよな?
……うん。やっぱ殴ろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後も—————
「誰だぁぁぁ!!♡の8を止めている奴はぁぁ!!」
「私じゃないよ?」
「俺じゃねーぞ」
「私じゃない…かも?」
「私じゃないですよ」
「ぬぐぐぐぐ…!パスだ…!!」
「あ、烈はこれで3回目のパスだからもうパスは使えないぞ。そして♠︎の2」
「ありがと銀河お兄さん!それを待ってました!♠︎のA!」
「次は私だねー。そうだなぁ……♢の10!」
「私は……♣︎のKを出しますね」
「誰か♡の8を出してくれよぉ!!パスだよ!ムリだよ!負けたよ!!チキショーメ!!」
「誰だぁぁぁ!!ジャンプ台の前に大量のバナナと偽アイテムボックス置いた奴はぁぁ!!」
「ごめん兄ちゃん、それ私」
「すまん烈、それ俺」
「ごめん烈さん、それ私」
「ごめんなさい烈さん、それ私です」
「俺以外の全員……だと……!?」
———等々、いろいろなゲームをして楽しい時間を過ごした。
そして、とうとう烈と鈴子ちゃんの帰る時間となった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「3日間お世話になりました。……って、本当は叔父さんに言うはずだったんだけどなぁ」
「しかたない、だって帰って来れなかったんだからな」
結局、新斎義父さんと紅葉義母さんは烈と鈴子ちゃんが帰る時間までに帰ってくることができなかった。
「どうせまたお父さんがなにかやらかしたんでしょ」
「ですねぇ…お父さんですからねぇ…」
「叔父さんならありえるかなー」
反抗期だからってのもあると思うけど新斎義父さんへの女性陣の言葉が辛辣ぅ。なんかさすがに不憫に思えてきたな…。
でも正直言って俺も新斎義父さんがなにかやらかしたから帰って来れなかったのかな、とは思ってる。
篠宮の一族は美形で何に対してもハイスペックなかわりにどこか極端にポンコツな部分があるからなぁ。
完璧な人間なんていないという神様からの暗示だろうか。
「でもまぁいないならしかたないかな。銀河、叔父さん達に『お世話になりました』って伝えといてくれ」
「わかった。一生のお願いならしかたない、聞き受けよう」
「いやそこまで重いお願いじゃないから!……とにかく、頼んだぞ」
「へいへい、頼まれた」
「よし、ならあとは……スズ、忘れ物はないな?」
「ないよー、兄ちゃんじゃあるまいし」
「いや俺もねぇよ」
「へー…。なら兄ちゃん、いつも付けてる腕時計はどしたの?」
「え?………あ!?すまん!取ってくる!!」
烈がこの3日間使用していた部屋へ急いで戻る。
何やってんだあいつは。
「まぁ兄ちゃんのことはほっといて…」
ほっとくのか…。
「れんちゃん、そーちゃん、銀河お兄さん、3日間お世話になりました!近いうちに……とは言えないけど夏休みぐらいにまた会おうね!」
「うん!また会おうね!すずちゃん!!」
「はい!また会いましょう、すずちゃん!」
「あぁ、またいつでも来てくれ。……つっても、ここ俺の家じゃないけどな」
「でもすぐに銀河お兄さんの家になるんでしょ?来年ぐらいに」
来年……には俺が18歳になって蓮名と想愛が16歳になって……結婚できるようになるな。
だから鈴子ちゃんは来年って言ったのか。
いやでもまだ日本に重婚の法律ないじゃん。
来年はちょっとムリかなー。
「ならないと思うよ?だって私達は周りに人が居ない場所に小さな家を建てて3人だけで暮らす予定だし」
「そこで3人で退廃的な生活を送るのが私達の夢です。……まぁさすがにムリでしょうが」
「そうなんだよねー。だって子どもを授かったらそんな乱れた生活はできないからねー」
「あ、やっぱり赤ちゃん欲しいんだ」
「そりゃそうですよ、愛の結晶ですからね。育児はかなり大変なのでお兄様との時間が削られると思いますけど……やっぱり欲しいものなんですよ。だって女の子ですから♪」
「へー、そういうものなんだ…。 ちなみに銀河お兄さんはどうなの?やっぱり赤ちゃん欲しいの?」
……この場合、俺はなんて答えればいいんだ…?
俺達にはまだ早いとは思うけれど、別に子どもが欲しくないわけじゃない。それは断じてない。普通に欲しい。
でもだからといって今ここで正直に『子どもが欲しい』と言うのは……なんかその……セクハラにならないか…!?
だって赤ちゃんを授かるにはそのための行為が必要なわけであって…。それを欲しいというのは即ちその行為がしたいと間接的に伝えることになるのでは…?
ダメだ…。やっぱり言えない…。
セクハラとかは関係なく普通に恥ずかしいから言えない…!
俺だってそのぐらいの羞恥心はあるんだよ!
「お兄ちゃん…」
「お兄様…」
ぐっ……2人して俺をそんな期待を込めた目で見るんじゃない…!
あと鈴子ちゃんはそのニヤケ顔をやめろ!
わかったよ!言えばいいんだろ!?言えば!!
「ほ…ぃ……ぇす」
「ん〜?銀河お兄さん今何か言った〜?ぜんっぜん聞こえないな〜」
……鈴子ちゃんに殺意が湧いたのは生まれて初めてだよ。
「ほしい…です」
「まだ聞こえないかな〜♪もっと大きな声でハキハキと〜♪」
「あぁもう!!欲し—————
「いやー、遅れてすまない!ようやく腕時計が見つかったよ!」
—————おぉそうか烈!それは良かった!!早く見つかってなによりだよ!でも本音を言えばもうちょっと早く見つけてほしかったかなぁ!!」
ナイス烈ぅ!!
お前が最高に空気が読めない奴で助かったぜぇ!!
いやー、普通ならこんな空気の中部屋に突入しようとは思わないはずなのに堂々と正面から入ってくるなんて……そこに痺れる憧れるぅ!
烈って顔と性格と学力だけが取り柄じゃなかったんだな!
あ、やっぱ滅べ。
「兄ちゃん…」
「烈さん…」
「烈さん…」
「え……何この空気。俺なにかした!?」
したよ。最高に間が悪くて最高に空気が読めてないことを最高に間が良い時に。
「兄ちゃん…空気読んでよ……あ、兄ちゃんだからムリか…」
「烈さんだからねぇ…」
「烈さんですからねぇ…」
「OK、よくわからんが俺が何かしたってのがよくわかった。……え、マジで俺なにしたの!?」
烈は実妹と従姉妹公認の空気読めない奴だった。ちなみに昔馴染も公認。
「そ、それはとにかくスズは別れの挨拶は済ませたのか?女の子同士の話は長いんだから今のうちにしとけよ?」
「兄ちゃんが腕時計取りに行ってる間にもうしたよー」
「なんとぉ…」
「あ、タクシー来た。お父さんが手配したのってあれだよね?っていうかこんな場所まで来てるんだからあれしかないよね」
「え、待って、俺まだ別れの挨拶もなにもしてな———」
「ほら行くよー兄ちゃん」
「あぁもう!じゃあな!銀河!蓮名ちゃん!想愛ちゃん!楽しかった!また会おう!!」
そう言ってタクシーに乗り込む烈と鈴子ちゃん。
ここから最寄駅じゃない方の駅に行って、そこで旅行に行っていた烈達の両親と合流、それから電車で帰るらしいので少しだけ急がないといけないのだ。
「じゃあなー!烈!鈴子ちゃん!また会おう!!」
「すずちゃんバイバーイ!また来てねー!烈さんもまた会いましょう!」
「すずちゃんバイバイです!またいつでも遊びに来てくださいねー!烈さんも暇なら来てください。お茶ぐらいは出しますから!」
三者三様の返事を返す。俺のは烈のをパクった。
そして俺達が言い終わると同時に2人を乗せたタクシーは駅へと向かって走り出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……行っちまったなぁ…」
タクシーが見えなくなるまで見送ったあと、ついそう呟いていた。
「行っちゃったねぇ…」
「行ってしまいましたねぇ…」
蓮名と想愛も同じような言葉を返す。
なんつーか……終わってしまえばあっという間にだったなぁ…。この3日間は長いようで短かった。
数年ぶりに水族館に行ったりストーカーに追われたり釣りしたりカラオケしたりしてものすっごく忙しかったはずなのに、こんな日がもっと続いて欲しいと思っていた。
さっき別れたばっかりなのにまたすぐに会いたいと思ってしまう。
おかしいなぁ…俺は蓮名と想愛とイチャイチャする時間が一番大切だから3人の時間を潰されるのが一番嫌いなはずなのに…。
これが……『寂しい』ってことなのかな。
俺も蓮名も想愛もお世辞にも友達が多いとは言えない……というかかなり少ない方だから烈や鈴子ちゃんみたいになんでも言い合える友達がいるとどうしてもテンションが上がってしまう。
やっぱりよほどの狂人でもない限り3人だけで周りの人達に関わらず生きて行くってのはムリなんだろうな。
それにしても……まさか蓮名と想愛が烈に「また来てね」と言うとはねぇ。
最初に烈が家に泊まると聞いた時の拒否反応や会った時の塩対応が嘘のようだ。
友人と妹達との確執が消えたのは嬉しい。
嬉しいんだけど……イケメンが蓮名と想愛が話してるのを見るとやっぱなんかムカつく。
我ながら俺の嫉妬深さには呆れるよ。これじゃどっちがヤンデレなんだか。
まぁ俺の方は烈に対する劣等感もあるから余計に拗らせてるんだけど。
でも……それでも烈と鈴子ちゃんにはまた泊まりに来て欲しいと思う。
だって、俺の劣等感を刺激する昔馴染は、俺の大切な幼馴染でもあるのだから。
だから……また会おう、烈、鈴子ちゃん。
銀河は烈との関係性を昔馴染と言っていましたが、烈が帰った後で彼をのことを「友達」と言っているのは銀河のちょっとしたツンデレ、という謎設定
シャニマスの大崎甘奈・甜花姉妹、良いよね…
やっぱり双子は最高だぜ!




