ガールズヤンデレトーク
祝・総合評価1550突破!ヒャッフー!
前話の追加改稿を25日に行いました
……25日のどこが近日中?
超大幅追加改稿したので許してください!
〜鈴子side〜
れんちゃんとそーちゃんの部屋はとても広い。まぁ2人で1つの部屋を使ってるんだから当然なんだけど。
そんな2人の部屋は、入って右側がれんちゃんの、左側がそーちゃんのスペースになっている。双子とはいえプライバシーはあるっぽい。
まぁいくら人間ぽくなくっても一応2人ともちゃんとした人間なんだから当然だよね。
そんな部屋の中央部分に頑丈な金庫があった。
「れんちゃん、そーちゃん、あの金庫ってなに………なにしてんの?」
「ちょっと蓮名を懲らしめてました。それで…金庫ですか。あの金庫はですね、私達の宝物をしまっているんですよ」
「うぅ…想愛にいじめられた…。あと金庫の上にある箱にもすずちゃんが見たいものがあると思うよ…」
金庫の上の箱?あ、ほんとだ、あった。
色が同じだから気づかなかったよ。
私が見たいものがあるってことはまた何か変態的な………もといまた何かヤバイものがあるって意味だろうか?
「開けていい?」
「……自分でいうのもなんですけどよく私のあのクローゼットを見た後でそんなこと言えますね。怖くはないのですか?」
「開けていいけど……後悔はしないでねって先に忠告しとくよ?さすがのすずちゃんでも引くかもしれないから」
どうやらよほどアレなものがこの箱に入ってるらしい。
……気になる。
だから開けてみる。
そういえばれんちゃんが『後悔はしないでね』って言ってたけど……まぁいいか。
私は反省はするけど後悔はしない主義だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
箱の中には———
手鎖、足枷、首輪、ボールギャグ、拘束衣、ロープ、結束バンド、睡眠薬、スタンガン
———等々、さまざまな拘束器具があった。
いや、スタンガンもあるからこれは誰かを拉致した後監禁するための道具……なのかな?
れんちゃんとそーちゃんが誰を拉致し、誰を監禁しようとしているのかは聞かなくてもわかる。
銀河お兄さんだ。
れんちゃんとそーちゃんは銀河お兄さんを拉致し、監禁するための道具をこの箱に保管していたのだ。
れんちゃんとそーちゃんは銀河お兄さんの事を第一に考えている。
だから2人は銀河お兄さんの嫌がる事はしない。2人が銀河お兄さんに対して無理矢理何かするなんて絶対にない……はず……なのに……どうしてこんなものが大切に保管されているのか、私にはさっぱりわからない。全然理解できない。
そんな箱を開けて中を見て、私は後悔———しなかった。
引くことも、軽蔑することもなかった。
だって、れんちゃんとそーちゃんにはものすご〜く失礼だと思うけど私が探していたのはこういうものだったから。
私はこういうヤンデレめいたものを……常人には理解できない、病める程の愛がなければわからないものをこの部屋に、2人に求めていたのだから。
さっき私が引きそうになった……現実逃避してしまったのはそーちゃんが……2人がかなり過激で、ビックリするぐらい刺激的で、オトナの階段を数十段登った先にあるような性的なモノを所有していたからだ。まだ中学生の私には刺激が強すぎた。
……れんちゃんもそーちゃんも一応まだ中学生なんだけどなぁ…。
まぁそれはともかく、
私はれんちゃんとそーちゃんの部屋には……れんちゃんとそーちゃんならばもっとヤバイものがあると思っていたのだ。そして、それを求めて探していたのだ。
……なんて言ったらさすがに怒られるかな。
まぁ言うけど。
というわけで実際に言ってみた。
すると———
「えっ?あっ…そう……なのですか?………やっぱりすずちゃんは変ですね、さすが私達のいとこです……ふふっ♪」
「だよねー♪私達は狂ってる自覚はあるけどすずちゃんほど変じゃないよー♪」
———なんて言われた。なんか馬鹿にされたような気がする…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ま、まぁ気を取り直して最後の調査といこうかな。
私は過去を引きずらない女なのだ。
ちなみに監禁道具の入っている箱が部屋の中央に置いてある理由は『抜け駆けを禁止するため』らしい。
目立つ場所にあるからね。黙って持ち出すことはできないよね。
ここらへんが少しヤンデレ乙女チック。
もう一度気を取り直して……最後に調べるのはこの金庫。
もちろん開けてもいいという許可は取ってある。
……許可取っておいてあれだけどまさか本当に開けていいとは…。
だって金庫だよ?親族とはいえどそう簡単に中身を見せちゃダメでしょ……というか例え親族だろうと油断しないのが2人の信条じゃなかったの?まぁそれだけ私のことを信頼してくれてるってわかって超嬉しいんだけどさ。
でもそう簡単に人に見せてもいいものなら上の箱に入れてもいいじゃん。
つまり……上の箱に入っているのとは別にまた何か特別なモノが入ってるっていう意味なのかな?
わざわざ部屋の中央部分に置いてあるし、金庫だし、なによりあの箱の下にあるんだもん。とんでもなくアレなモノが入ってるに決まってる!……はず!!
……気になる。
というわけで開けてみる。
「あれ?開かない…」
「そりゃ金庫だもん。鍵かけてるよ、当然」
「ちょっと待ってくださいね、今開けますから」
そーちゃんが金庫のダイヤルを回して鍵を開けた。
……たぶん、というか絶対パスワードは銀河お兄さんに関係する数字なんだろーなー。誕生日とか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
金庫の中には———
氏名記入済み、押印済みで結婚できる年齢になればすぐに市役所に提出できる状態の婚姻届と
れんちゃん、そーちゃん、銀河お兄さんの3人が子どもの頃に自作したと思われる手作りの婚姻届が厳重に保管されていた。
うん。いろいろ言いたい事はあるけれど今一番気になるのは、
『手作りの方はともかく本物の婚姻届なんてどこで貰ってきたの?』
ということだった。
そりゃまぁ市役所行けばもらえると思うけどさ。
それでも最近貰ってきたとしても14歳の女子中学生が市役所に行って貰えるものなの?しかもれんちゃん用とそーちゃん用の2枚も。
(かなり気になったから後で聞いたところ、貰ってきたのは銀河お兄さんのお父さん、貴久さんらしい。アグレッシブだね)
というかさっき『結婚できる年齢になればすぐに市役所に提出できる状態の婚姻届』って言ったけどよくよく考えたら無理じゃん!2枚とも提出したら重婚になっちゃうじゃん!法的に不可能じゃん!!
現在の日本で一夫多妻制度は認められてないから、もし本当に結婚できる年齢になった瞬間に3人で結婚するとしたら一夫多妻制度がある国に移住するか、3人が結婚できる年齢になる日、銀河お兄さんが18歳になる来年の9月27日までに日本の法律を変えなければならない。
今が5月だから後約17ヶ月で新たな法律を作る?……無理だわー。政治家じゃないけどこれが現実的に考えて不可能だということは私にもわかる。
だからそんなこと実際に親が政治家で私よりずっと頭が良いれんちゃんとそーちゃんにもわかってるはず。
なのに今こうして婚姻届を厳重に保管しているあたりさすがれんちゃんとそーちゃんだなーって思う。
この2人なら迷う事なく一夫多妻制度がある国に移住しちゃいそうだ。
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ここまで2人の部屋を漁って……もとい、捜索してみて思ったのは、全体的に見て(一部を除き)私の思うヤンデレ要素が少ないということだった。
いや別に何も問題ないし2人は何も悪くないしむしろもの凄く変で失礼な想像をしてた私の方が悪い—————あれ?何このデジャヴ。
ま、まぁとにかく、私の想像していた『ヤンデレっ娘の部屋』とは大違いだったわけですよ。
だかられんちゃんとそーちゃんに聞いてみる。
よく漫画とかで見かける『ヤンデレっ娘の部屋』について2人はどう思いますかー?と。
「部屋一面に好きな人の写真(主に隠し撮り)を貼り付けるのってどう思う?」
「う〜ん…。考え方は人それぞれだから一概に悪いとは言わないけど……私達は絶対にしないかなぁ。だって写真を眺めるんだったら本人に直接逢いに行けばいいじゃん。その程度の行動力もないのなら狂愛を名乗らないでほしいよね」
「しかもその写真って盗撮なんですよね?なぜですか?自分の事を見てくれてない写真なんか見てても虚しいだけじゃないですか。写真は思い出を記録するものです。だから、後で見た時に楽しい記憶を思い出すために一緒に写真に写るのが一番だと私は、私達は思いますね」
なるほどー。だから2人の部屋にはそういう写真がないんだねー。納得したよー。
この時、私はテンションが上がっていた。
なにせ、れんちゃんとそーちゃんからヤンデレの事について聞けたのだ。そんな機会そうそうない。
しかも2人は漫画とかによく出てくるテンプレなヤンデレの特徴の一つを否定した。
だから、ついこんな質問をしてしまった。
「じゃあさ、よく漫画とかで出てくるタイプのヤンデレっ娘についてどう思う?」
そして、この質問をしたのを後で後悔することになる。
「漫画やラノベのキャラとはいえ人の行動にケチをつけるようことは本当は言いたくないんだけど………どうしても許せない、認められないのが1つだけあるね」
「そうですね…。この先どんなことがあろうとも絶対に共感できない、理解できない、理解したくもないものが1つだけあります」
その瞬間、2人の雰囲気が変わった。
これはマズイと思ってさっきの質問を取り消そうとしたけどもう遅い。言ってしまった言葉はもう取り消せない。
だからもう……私は黙って聞くしかない。
「それは」 「それは」
「「『好きな人を殺す』ということ」」
「愛と憎しみは紙一重って言葉があるよね」
「可愛さ余って憎さ百倍って言葉もあります」
「確かにその言葉の通りだと思うよ。その言葉の真意は愛に生きる私達が一番よくわかってる」
「もしも、万が一にも、ありえないけれど、何かの気の迷いでお兄様が私達を裏切るような行為をした場合、私達が何するか、自分自身でもわかりませんからね」
「でも」 「それでも」
「「殺してしまっても何の意味もない」」
「心中、もしくは無理心中して天国で再開する?」
「バカみたいですね。あるかどうかもわからない死後の世界を勝手に信じて今の幸せを自ら捨てるなど愚かの極みです」
「心中した後、天国で2人だけで永遠の時を過ごす?」
「これまた愚かですね。仮に死後の世界があったとしてもそこは死者が住民。神や仏が誕生してから今までの死者の数は今現世で生きている人達の何倍いると思っているんですかねぇ。2人きりで過ごすのは難しいでしょう」
「最高の気分の時に相手を殺し、その相手との時間を最高の記憶として残し続けたかった?」
「なぜその時が最高だと決めつけるのでしょうか。それは相手と進む未来に不安があったからです。その行為は相手を信じてなかったと証明してしまうだけです」
「マイナスしかない」
「不幸にしかならない」
「そもそも現世で幸せになることを諦めてるよね」
「それは自分をみくびり、相手もみくびっている証拠です」
「自分を信じられずに諦めて、しかも好きな人ですら信じられないと侮るの?」
「それははたして『愛してる』と言えるのでしょうか?」
「そもそも」 「何よりも」
「残された人の事をまったく考えてないことがとてもムカつく!!」
「残された人の事をまったく考えてないことが非常にムカつきます!!」
それは、れんちゃんとそーちゃんの心からの、魂の叫びだった。
2人の叫びはまだ続く。
「親や兄弟、そして友達……よっぽどのことがない限り人との繋がりは誰にでもあるのに…」
「なのにその人達の事を一切考えてないのが人として最低です。それはただの狂人です。そんな奴が人に好かれるはずないというのに…!」
「人って殺そうとしなくても、生きようと頑張っててもほんの少しの偶然が重なっただけで簡単に死ぬんだよ?」
「どうせ人は最終的には死ぬんですから死ぬまで好きな人の隣で愛し愛されあって全力で生き抜いた方が何倍も良いというのがなぜわからないのでしょうかね…」
これは、れんちゃんとそーちゃんだから言えることだ。
れんちゃんとそーちゃんはおよそ3年前、雲居千枝ちゃんという友達を、親友を亡くしている。それもストーカーに追い詰められた末に。
2人はその可愛すぎる見た目によって多くの女子達に妬まれ(私も経験ある。ドヤッ☆)、しかも男性恐怖症により男子からは距離を置いていたので、友達と呼べる関係の人はかなり少なかったそうだ。
本人達曰く銀河お兄さんがいたから少しも寂しくなかったとのことだけど、私への対応からして数が少ない分その友達への友情が深いっぽい。
千枝ちゃんはそんな2人に親友とまで言われた御方だ。それほどの人を失った悲しみは私の想像をはるかに超えているだろう。
そもそも私に想像できるはずなんかないんだ。
だって大切な親友を亡くした悲しみは、その人にしかわからないんだから…。
「あ…!ゴメン!急にこんな暗い話して…」
「すみません…。ちょっと熱くなりすぎてしまいました…」
「いやいや!?むしろこっちこそ2人に辛い事思い出させちゃってごめん!」
「いやいや、私の方が…」
「いやいや、私の方が…」
「いやいや、私の方が…」
……………。
「「「……ふふっ♪」」」
「なぁんか可笑しくなっちゃったね♪」
「そうですね、謝り合うなんて私達らしくないです…♪」
「だよねー☆」
「話を暗くしたお詫びに想愛の日記見ても良いよー♪想愛の、ね♪」
「ちょっ…!?蓮名!?あなた何を言って…!!」
「あ、見る見るー☆」
「すずちゃんまで!?」
こうして、
途中ちょっと不穏な空気が流れたけれど、基本的には楽しく、和やかな時間を私達は過ごしていった。
ちなみに…
結局手錠とか首輪とかの拘束道具については詳しく聞かなかった。
だって……その……なんというか……ね?詳しく聞くのはさすがに怖かったから…。
4月になったばっかりなのにもう桜が散ってる…




