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手を繋いで

アイドルマスターミリオンライブがサービス終了という事実に喪失感がハンパない

4年間毎日ログインしてイベント頑張ってガシャを引いては喜び悲しみ……あぁ…俺の日常が終わる……


・・・・・・・・・・・・・・・

〜蓮名side〜


今日はお兄ちゃんと想愛と一緒に水族館に来ています!


……すずちゃんと烈さんも一緒に。


まぁすずちゃんは友達だし、烈さんも男性とはいえ昔馴染で怖くないし、なによりお兄ちゃんと仲が良いからいいんだけどさ。

だけど……ねぇ?これじゃデートにならないじゃん!

さすがに邪魔だとは言わないし思わないけど、やっぱり私達にとってはお兄ちゃんが一番大事。

久しぶりにすずちゃんと遊べて楽しいと感じるけれど、お兄ちゃんと私、そして想愛の3人きりで水族館に行きたかったと思ってしまう。

このことをすずちゃんに言ったら苦笑しながら『あいかわらずだねぇ』とか言ってくれそうだけど、今回だけはそう思ったのにはちゃんとした理由がある!


だって……すずちゃんと烈さんと一緒にいたらいつもより目立っちゃうんだもん。


学校の人達は私と想愛のことを『星鏡の双姫』とか呼んでくるけど、もしすずちゃんが星鏡学園に通ってたら『星鏡の三姉妹』とか呼ばれそう。だってすずちゃん可愛いから。

美に関して負けるつもりはないけれど、マンボウへの愛を語っている時なんかは女である私が思わず萌えてしまうぐらい可愛い。なんか心がぴょんぴょんする。

私も想愛も、お兄ちゃんを愛しているから、お兄ちゃんに恋しているから世界で一番(というか同率一位)可愛くなろうと努力してきた。

いわゆる女は恋することで綺麗になるってやつ。

だけどまさか魚類(マンボウ)への愛だけであんなに可愛くなれるとは思ってなかったな…。これでもしすずちゃんに好きな人ができたらどうなるんだろう?……私も想愛ももっと自分磨きを頑張らなければ…。


烈さんも世間的にはイケメンらしいので注目されやすい。

烈さんとは昔馴染としてそれなりに長く付き合いがあるので、確かに烈さんには良いところがたくさんあるってのはわかる。顔もクラスの女子達がよく話してる俳優に似てるっちゃ似てる気がする。

だけど、お兄ちゃんに恋してる私にとっては顔も性格もお兄ちゃんの方が圧倒的に格上だと感じるから、烈さんがなんでそこまで注目されるのかがわからない。


恋は盲目。そう言われてるし実際に私もそうだと思うけど、そこまで情熱的に、熱狂的に、狂信的に人を愛せられるって……ステキじゃん?


…ってすずちゃんに言ったら『あいかわらずだねぇ』って言われて苦笑された。なんでー!?






お兄ちゃんと私と想愛、そしてすずちゃんと烈さんの5人で水族館内を巡り、昼ごはんを食べ、深海魚コーナーへ来たところで私の体に異変が起きました。


なんとな〜く気分が悪いような気がする…。


本当になんとな〜くだけど、私達の周りにいる人混みを見てるとなんでか気分が悪くなる。胃がムカムカしてくる。

これが人酔いってやつなのかな?

今まで車酔いも船酔いも、もちろんお酒も飲んだこともないから『酔う』ってことがどんな状態なのかがわからなかったけど……なんだ、ただの体調不良って感じなんだなー。

……車酔いとお酒での酔いって根本的になんか違くない?……まぁいいや。


そんなことよりも、今重要なのは私の体調があまりよろしくないっていうこと。

お兄ちゃんを見ても気分が良くならないという程の重症ではないけれど、このままだったらわたしの体調はどんどん悪くなっていくような気がする。

せっかくお兄ちゃんと想愛、すずちゃんについでに烈さんと水族館に来ているのに楽しめないのは……嫌だ。

お兄ちゃんと私と想愛の3人だけで外出するのもそんなに多くないのに、この5人で外出するなんて本当に珍しいんだもん。だから、今日はたくさん楽しまないと—————そうだ、想愛は?想愛は大丈夫なのかな?


私の片割れ、私の半身、そして私の妹である想愛に目を向ける。

想愛は元気そうに振舞っていた。

だけど、私と、そしてたぶんお兄ちゃんにも今の想愛はあまり元気がないってことがわかった。

たぶん想愛も人酔いしたんだろうなー。

……想愛も人酔いかー。

学校でも街に出かけた時でも私と想愛の周りにはたくさんの人達が集まってきた。たくさんの男共が群がってきた。

そんな生活をしている私と想愛がなんで今さら人酔いしたんだろ?

確かにこの場所(水族館)は学校よりも人がたくさんいるよ?だけどそんなに簡単に酔うものなのかな?人混みに対して少しぐらい耐性があるもんだと思ってたんだけどなー。



考えてみる、


そして、


気づく。



………そういえば学校の男共は私達の周囲にはいても私達に近づくことはあまりなかったような気がする。


あと私も想愛も人混みに対して耐性なんてなかった。ただその人達を極力見ないようにしてただけだった。


学校では私と想愛の男嫌いは周知されてる。だから、よほど空気が読めない奴か自信過剰な奴かそのどっちも掛け合わせた奴ぐらいしか私達に話しかけてこなかった。

女性なら近づいても平気だけど、私も想愛も友達が多いほうじゃなかったから、やっぱり私達の近くに多くの人達が集まることはなかった。

私達に男は(よこしま)な視線を、女性は嫉妬の視線を向けて周囲にいたけど、私達に近づく人は少なかった。

それが人混みに耐性がなかった理由かなー。


まさに『星鏡の双姫』だよね。

庶民達は双姫の姿を一目見ようと、願わくはお近づきになりたいと私達の周囲に集まってくるけど、実際に話せる程の距離には近寄らない。

このあだ名を考えた人も、まさか私達が本当に姫っぽい待遇になるなんて予想してなかっただろうなー。


このあだ名は地味に気に入ってるけど……私は『お姫様』より『王妃様』の方が良いなぁ…。

お兄ちゃんが王様で〜、私と想愛が王妃様♪

だからお兄ちゃんと私と想愛の間に、私達の国に入ろうとした侵入者は全員処刑!みたいな♪

いいねいいね〜♪さっそく建国しちゃおう!

そして王族の庭城(ロイヤル・ガーデン)で毎日ずっと幸せに3人だけで暮らすんだ〜♡






………何をバカなことを考えてるんだろうか私は…。

やっぱり今の私はちょっとおかしいみたいだ…。

もう休もう……。








・・・・・・・・・・・・・・・

〜想愛side〜


想愛です。今日はお兄様と私と蓮名とすずちゃんと烈さんの5人で街にある水族館に来ています。

すずちゃんと烈さんがいるので、お兄様と久々の街デート……というわけではないのですが、久しぶりにこの5人で集まれて、なおかつ水族館に行くなんて滅多にないので、今日は本当に楽しいです!

……楽しいのですが…。


な〜んか少しだけ気分が悪いような気がします……。


これが俗に言う人混みに酔った、というものなのでしょうか?

今までこんなの体験したことがなかったので断言はできませんが、きっと人酔いなのでしょう。(断言)


……なんか今、言葉がおかしかったような……。

やっぱり今の私はちょっとおかしいようです。

とっさにお兄様を見る。

……よかった。お兄様は烈さんと喋っていてこっちを見ていません。

今の私は少し……少し?少しではないような気が……。まぁとにかく、ほんの少しばかりおかしな状態になっている今の私はとてもじゃありませんがお兄様に見せられませんでしたから、今だけはお兄様がこっちを見てなくて良かったです。

だって、好きな人の前ではいつでも完璧な自分でいたいじゃないですか。

まぁ、生まれた時から実の兄妹のように育ってきたお兄様には私の完璧な姿も、だらしない姿も、恥ずかしいところも全て見られてしまってるんですけどね。きゃー♡



急に一人で悶える。

何をやってるんでしょうか私は…。こんな姿を蓮名に見られたら笑われて—————そうだ、蓮名は?蓮名は大丈夫なんでしょうか?


私の片割れ、私の半身、そして私の姉である蓮名に目を向けます。

蓮名は………うなだれてるー!?なんで!?どうしたんですか蓮名〜!!




蓮名に小声で話しかけてみたところ、どうやら蓮名も人混みに酔ったみたいです。

……あとなんか『私達に妃はまだはやかったね…今は姫でじゅうぶんだよ…。……あ、建国記念日っていつにする?』とか言われたんですけど、いったいどういう意味だったんでしょう…?建国…?

……まぁ、蓮名も今は少し大丈夫じゃなかったということなのでしょう。

これではなおさらお兄様に今の私達を見せられません…。と思っていたら、なんとお兄様の方から近づいてきたではありませんか。


「蓮名、想愛、どうした?気分悪くなったのか?」


私も、そして蓮名も気分が悪いことを隠してたのに気づかれていたとは……さすがです、お兄様。

私達のことをちゃんと見て、そして隠していた気持ちまでわかってくれた喜びと、さっきのおかしな行動を見られていたかもしれないという羞恥が湧き上がります。


「お兄ちゃん……私達と人気の無い場所、行こ?」

「へっ!?」


未だに意気消沈中の蓮名がいきなりとんでもないことを言いました。

まぁ言いたいことはわかるのでいいんですが…。

とりあえず補足しておきます。


「ここ、人が多過ぎます…。とくに男が…」

「あ…あぁ、そういう意味ね…」


案の定勘違いしていたみたいです。いえ、あながち勘違いでもありませんが。むしろお兄様が望むならいつでもウェルカムですが。私達と人気の無い場所でLET'S GO HAPPY!!しませんか?


……私は少し頭を冷やした方がいいかもしれませんね。




その後、お兄様と私と蓮名の3人は一旦すずちゃんと烈さんと別れて中庭へ向かいました。

その途中で年齢が私と蓮名と同じぐらいの男子3人組にストーキングされましたが、撒きました。

というかあれで私達を尾行してるつもりだったのですかね?普通にバレバレでしたよ?こっち思いっきり見てましたし。

女の子は視線に敏感なんですよ?だからこそ……あの3人組の視線はとても不愉快でした。

でもまぁ、まるでお兄様と駆け落ちみたいな愛の逃避行みたいな体験ができたからよかったとします。




そうして辿り着いたのはなんだかとても穏やかで温かな雰囲気の場所。

そこでは大学生ぐらいのカップルに新婚らしき夫婦、お爺さんとお婆さんがのんびり穏やかな時間を過ごしていました。

……いいですね、この場所。

この空間だけは外の喧騒から隔離されているようにすら思います。


……そう思っていたんですけど…。



「あれ~?こっちに行ったと思ったんだけどな~」

「なぁ、もう諦めようぜ。警備員さんとか呼ばれたらどうすんだよ」

「何言ってんだよ!見るだけならなんの罪もないだろ!」



またです。またあの男子3人組です。

ポジティブに『愛の逃避行ごっこができたからよしとする』なんて言いましたけどもう無理です。もうダメです。

ただただ鬱陶しいし気持ち悪いとしか感じませんのでもうここで始末するしか—————ッ!?


お兄様に手を掴まれて路地裏に連れていかされたうえに抱きしめられたぁ!?


すぐ隣に蓮名がいるので両手で抱きしめてもらえなかったことが少しだけ残念ですが……この状況…なんてご褒美なんでしょうか!?

なんなんですか!キュン死しますよ!?

おかげで倦怠感も気持ち悪さも消し飛びましたよ!さすがはお兄様です!!





「ふぅ、やっと帰ったか。……あいつら、いつか捕まるんじゃねーか?」


そう言いながらお兄様はホッとした表情をみせます。

あの3人組がいなくなったということは、もう隠れる必要がなくなったってこと。つまり、この状態……お兄様に抱きしめられている状態である意味はなくなったのです。


……まだ、もう少しこのままでいたい。


そう思うと同時に、私達がそろって体調不良になった原因がわかった気がしました。いえ、はっきりとわかりました。

それを知ったうえで、この後私達がどう行動するのが一番良いのかもわかりました。


蓮名を見ます。すると、蓮名は私がまだ何も言ってないのに頷いてくれました。

私も蓮名に頷き返します。もちろん蓮名は何も言ってません。


「蓮名、想愛、コソコソと隠れさせて悪かったな………蓮名?想愛?」


お兄様が何も言わずに頷きあっている私達に気づいたようです。

たいへん無礼なことですが、私達はお兄様の問いかけに答えることもせずに息を合わせ———


「「えいっ!」」


「うおぉっ!?」


———お兄様を路地裏の奥へと引っ張って行きました。


お兄様は抵抗することも私達の手を振りほどくこともせずに、私達のなすがままについてきてくれます。

そういうところ、大好きですよ。


先月も今月も大事な日に限って台風が直撃し、台風への恨みと殺意がへぁんぱない今日この頃

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