歓迎と遠慮と気遣いと
祝・総合評価1050突破!アーンド1100突破!!こんなに嬉しいことはないぜ!
ハヤテのごとく!が終わったぁ!?こんなに悲しいことはないぜ……
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〜想愛side〜
ガチャ
「れんちゃん、そーちゃん、銀河お兄さん、お久しぶりー!そしてお邪魔しまーす!今日から3日間、お世話になりまーす!」
「蓮名ちゃん、想愛ちゃん、あとついでに銀河も久しぶり。3日間お世話になります」
時刻は5月1日の午後0時、とうとうすずちゃんと烈さんが私達の家にやってきました。
「すずちゃん、お久しぶりー♪……烈さんも、お久しぶりです」
「すずちゃん、お久しぶり♪……烈さんも、お久しぶりです」
「鈴子ちゃん、お久しぶり。……なんだ。烈、お前もいたのか」
三者三様の言葉で出迎えます。
昔馴染とはいっても烈さんとはそれほど仲が良いわけではないので(むしろ軽く苦手)挨拶は適当に。
「『いたのか』ってなんだコラァ!?叔父さんからちゃんと聞いているはずだろう!?」
「すまない、興味が無いんでね。それに俺が知っている烈という男は傍若無人で礼儀知らずな奴だから、そんな奇妙で無様で気持ち悪い、まるで恐縮しているかのようにも思える言葉遣いはしないはずなんだ」
「ボロクソに言ってくれるな!?今日から鈴子と共に3日間もお世話になるんだから恐縮ぐらいするわ!」
「……お前に…恐縮するという動作が…できたというのか……!?」
「できるわァ!銀河お前、俺を何だと思ってやがる!?」
「身の程をわきまえぬ野蛮人?」
「OK、お前が俺をバカにしてる事はよくわかった。歯ァ食い縛れゴラァ!!」
「上等だァ!滅べオラァ!!」
お兄様と烈さんとの口喧嘩もいつも通りです。
お兄様と烈さんは会えばいつも必ず口喧嘩をしていますが実際に殴り合いになる事はありません。
仲が良いのか悪いように見えますが、本当は違います。その理由として、お兄様との口喧嘩によって烈さんはこの短時間で恐縮していた状態からいつも通りに戻りました。
こうやってさらっと気にかけている事からしてやはり仲が良いのでしょう。お兄様は否定するでしょうが。
それにしても……烈さんと喋っている時のお兄様は言葉が乱暴で声が大きく、元気です。
そんなワイルドな姿と言動、お兄様は私達にしてくれません。
つまり、この性格のお兄様を私達はあまり知らないのです。
お兄様が烈さんや及川さんに向けるのは友愛です。私達に向けてくださる親愛とは格も愛の重さも質も種類も違います。
それでも………私の、私達の知らないお兄様がいるというのは心穏やかにいられませんね。正直おこです。激おこです。
男性には男同士ならではの友情があると聞いたことがあります。ですが、だからと言ってそれが私達がワイルドver.なお兄様を知らなくていい理由には断じてなりません。
お兄様には私と蓮名の全てを知っていてほしい。そして私達はお兄様の全てを知りたい。
『好きな人の全てを知りたい。そして、私の全てを知ってほしい』
乙女なら皆、そう思うものなのです。
……今度、学校で及川さん達と話しているお兄様を影からこっそり覗いてみようかな。ストーカ……尾こ……『気配を消して後をつける』のは得意ですし。
けどきっとお兄様なら私達が覗いているのを気配で察するでしょうね。なにせ、髪型と話し方以外ほとんど同じである私と蓮名を胸だけで判断できる程の深い愛と絆で繋がっているのですから!
「それじゃあ鈴子ちゃんはこの客間を使ってね、烈は……トイレでいいよな?」
「いいわけあるかぁ!?」
「冗談だ。お前は篠宮家にも入れさせんからな、外の物置で充分だろう」
「断固拒否する!」
「なんだ野宿がしたかったのか?お前とはなんだかんだで長い付き合いだが、お前がそこまでサバイバル好きな奴だとは知らなかったぞ」
「OK、お前が俺を家から追い出したいのがよくわかった。歯ァ食い縛れゴラァ!!」
「上等だァ!滅べオラァ!!」
結局、私と蓮名とお兄様は自室で(天陵家に私達の部屋があるように篠宮家にもお兄様の部屋がある)、すずちゃんは私達の部屋の近くの客間に、烈さんは私達の部屋から最も遠い客間に泊まる事となりました。
考えたくもない事ですが、正直言って烈さんが理性を放棄して私達を襲う……ということはまずないと思っています。
昔馴染として最低限は信頼しているんです。
私と蓮名が烈さんを家に泊めたくない理由はただ一つ、それをしてしまうと私達が決めたルールを破ってしまうからです。
私達のルール———それは、『家族以外の男性を家に泊めない』という貞淑な妻なら当たり前のこと。
烈さんが泊まっても、私や蓮名、そしてお兄様が害を被ることなど特にありません。
あえて言うならお兄様とイチャラブできないのが不便ですが、これはすずちゃんだけが泊まったとしても自重することなのであまり気にしてません。
つまり、私達が私達自身につけたルール破りたくないというただの意地で反対しているのです。
益の無い意地です。得の無いプライドです。我ながらめんどくさい性格をしていますね、私は、私達は。
そんなめんどくさくて一般より愛がとても重い私達を、百年先も愛を誓うと、一万年と二千年経っても愛してると言ってくれるお兄様には感謝してもしきれないです。さすがは私のご主人様です。
これからも一生従い尽くします!ご主人様との禁断の愛の物語は、これからもまだまだ続く!!
………なんてね。
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〜銀河side〜
「歯ァ食い縛れゴラァ!!」
「上等だァ!滅べオラァ!!」
まったく、篠宮家の敷地内に入る事ができただけでもかなりの幸運だというのににまだ文句を言うのか、コイツは。
烈は自分がどれほど幸運なのかを自覚した方がいいと思う。そうすればこんなことは言わないはずだ。
………そして、自分がどれほど蓮名と想愛から特別扱いをされているのかも自覚した方がいいと思う、マジで。
なにせ、コイツは……烈は、蓮名と想愛をマジギレさせておいてその罪を赦された唯一の人間なのだから。
普段女神だの天使だの双姫だの言っているが、蓮名も想愛もれっきとした人間だ。怒りもするし蔑みもする。人に対して好き嫌いもちゃんとある……どころか普通の人より好き嫌いが激しい。
姉妹喧嘩もあるし、千枝ちゃんや鈴子ちゃん、新斎義父さんや紅葉義母さん、そして俺も、蓮名と想愛と喧嘩したことがある。
その後死ぬほど後悔し、死ぬほど反省し、死ぬほど泣いたが、俺が蓮名と想愛に求めているのは従順なペットではなく立派なお嫁さんなので、多少の喧嘩は人間として仕方のないことだと思ってる。
けど、それらは全部口喧嘩で終わっている。
しかし烈は、とある出来事から蓮名と想愛を激怒させ、2人から同時に強烈なビンタをくらわされている。
温厚な2人が手を出す程怒らせたのに、烈はそれを赦されたのだ。
そして、蓮名と想愛が手を出す程怒らせておいて、赦されたのは烈だけだ。
それがいかに特別扱いなのかを、烈はまだ、わかっていない。
3年前……俺と烈が中学二年生の時に、一度だけ烈とガチの殴り合いの喧嘩をした事がある。
きっかけは、烈と鈴子ちゃんが篠宮家に遊びに来ていた時に、俺と蓮名と想愛がいつも通りに仲良く、仲良く、それはとても仲良く過ごしていたら、それに嫉妬した烈が突っかかってきた事だ。
お互い中学二年生という少しの事でもすぐに気が立つ時期だったので、ちょっとした事だったのにすぐに大ゲンカに発展してしまった。
しかも当時俺は厨二病を発症してたからな……。自分のことをものすごく慕ってくれる超絶美少女双子が俺の妹なんだって思うとこの世はなんでも俺の思い通りになるんだと勘違いしてしまっていて………今思い出すとかなり恥ずかしい……。
それはともかく、
大喧嘩といいつつも最初はただの口喧嘩だったのだが、その最中、烈が俺にこう言ってきたのだ。
『お前は蓮名ちゃんと想愛ちゃんの兄なんかじゃない!血の繋がっていないただの他人だ!!』———と。
言われた瞬間、一気に頭に血が上った。
そして、殴り合いの大喧嘩へと発展した。
最終的には蓮名と想愛が烈にビンタしたことで烈が放心し、喧嘩は収まった。
が、烈が俺に言い放った言葉は俺に大きなショックを与えていった。今なおごくたまにフラッシュバックする程のトラウマになるぐらいの痕を作っていくぐらいに。
なんだかんだでその後も烈と会っていくうちにお互い冷静になり、だんだんと亀裂は埋まっていき、ある事件をきっかけに俺と烈、そして蓮名と想愛と烈は完全に和解し、今に至る。
そんなこんなあって、俺と烈は大喧嘩し、烈は蓮名と想愛を怒らせ、そして赦された。
そのせいで烈は家族以外で蓮名と想愛に罪を赦された唯一の男性となってしまった。
その唯一という言葉の意味と重さ…烈にそれをわかってほしい、が、なんとなくムカつくのでやっぱりわかってほしくない。
男心というのも案外複雑なものなんだよ。
初投稿から現実では約1年と4ヶ月経ちましたが、作中では1ヶ月ぐらいしか経過してません
現実でのゴールデンウィークはもうとっくに終わったよ!!




