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番外編:幸せのWHITE ALBUM 2

メリークリスマス!

友達がクリスマス前におなじサークルの先輩に告白して見事に玉砕してたけどメリークリスマス!

「フラれてから俺がどれだけあの女に貢いでいたのかがよくわかったわ」とか言ってたけどメリークリスマス!

無事に時間通り予定通りレストランに着いた俺達は、安くなく、だけど高すぎない値段の料理に舌鼓を打った。

ご飯を食べている途中に『もしも天候があのままで万が一電車が運行しなかったらどうしてたか』について話した時、蓮名と想愛の目の色が変わった……というか比喩ではなく実際に眼から光が消えたというかハイライトが消えた事以外は何一つ問題なく、美味しくて、楽しくて、幸せな時間を過ごした。


そして時刻は夜8時、のんびり時間をかけてご飯を食べ、レストランから出て真っ先に俺が思ったことは—————




やっぱり自然には勝てなかったよ……。



外の天候は吹雪、1時間前には想像もできないぐらいの猛吹雪。雪の勢いがへぁんぱない。

「は?……………えぇ!?」

とっさに蓮名と想愛を雪から守るように立ち、近くの建物に入ってから思う。

え?何これ?なんでこんなに雪降ってんの?ていうかいつの間にこんなんなったの?全然気づかなかったんだけど!?

近年異常気象が多いって聞いてるけどよりによって今日かよ!今かよ!!

ところで………これ、帰れる?電車、大丈夫?

一番重要な事に気づきたくなかったけど気づいてしまった。そのせいでちゃんとこの凄まじい現実を受け入れなければならなくなってしまったではないか。

とりあえず電車がちゃんと運行しているか調べてみる。

えっと………えぇぇ〜〜……。

「電車は大雪による影響で一時運行停止。最低でも3時間は遅れるってさ…」

不安そうにしている妹達に向かって言う。

ごめんな…安心できる言葉を言えなくて……。

と、1人自己嫌悪に落ちていると妹達が口を開いた。


「そうなんだー…。ならお兄ちゃん、今日はお家に帰れないね。どこかに泊まらなきゃいけないよね?でも今日はクリスマスイヴだしこの天気だからもう既にほとんどのホテルは部屋が埋まってるかもしれないね。」

「お兄様、少し遠いですがあそこにホテルがありますよね。あそこなら人があまりいないかもしれないので私達はあそこが良いと思うのですが……お兄様はいかがですか?」


ハイライトが消えた瞳で少し離れた場所にあるホテルを指差す蓮名と想愛。

ん……?ハイライトの消えた瞳で…?

慌てて妹達の指差したホテルを見る。するとそこには光り輝くお城のようなホテルがあった。

いわゆるラヴなホテル。18歳未満は入城禁止の性域。

一応確認しておくと俺は17歳の高校2年生で、蓮名と想愛にいたっては15歳の中学3年生だ。

もちろん普通ならこのお城には入城できない。

だけど今はこの通り異常気象の大雪で緊急事態だから事情を説明すればもしかしたら……?

「それじゃあ私はお父さんに今日はお兄ちゃんと一夜過ごすから家に帰らないって連絡しておくね♪」

「それでは私は貴久お義父さんに連絡しておきますね。来年には家族が増えるかもしれない……と♪」

あるぇー?なんかかってにどんどん話が進んでない?

まぁそこで止めない俺もどうかしてると思うけど。

蓮名と想愛は俺の嫌がる事は絶対にしない。だから『天気が悪かったら泊まるかもしれない』って晩御飯の時に2人に話した次点で俺もこうなる事を本当は望んでたってことなんだろう。

と、いうことは……今この状況は蓮名と想愛が作り出したってことか!?

そうか……天候を司る神も美女神姉妹には敵わなかったか……。

まぁ、当然だな。





「ぶぅ〜〜〜」

「お兄様ぁ、いけずですぅ……」

「えっと……なんかごめん」

あれから約30分後、俺達は普通のホテルの一室に居た。

ラヴなホテルへの入城は最終手段として、念のために普通のホテルにも電話してみたところ、奇跡的に一室だけ空いて居た。

俺達は3人一緒でも(俺の理性以外)全く困らないので、迷いなくそこに決めた。

……いや、本当はほんの少し残念だと思ったけど。

それから電話で父さんから『がんばれ、男ならちゃんと2人をリードするんだぞ』と励まされたり、新斎義父さんから『もしもの事があった場合、いくらお前でも斬る』と脅されたりしたものの、なんとか外泊の許可は下りた。

はぁ〜〜、新斎義父さんへの説得疲れた。

もう休もう、もう寝よう、俺が変な気をおこさないためにも。

でもその前に風呂入らないとな。

「蓮名〜、想愛〜、どっちか先にシャワー浴びておいで〜」

「「はゃい!?」」

ん?どうしt………あ。

この状況で今のセリフって……完全にあれだよな。

「いや、今のセリフはべつにそういう意味ではn———」

「想愛!今日は一緒にお風呂入ろう!そしてお互い身体を洗いあおう!」

「えぇ蓮名!そして身体の隅々まで洗い残しがないか確かめ合いましょう!」

あ…行っちゃった……。蓮名と想愛が俺の言葉をムシするなんて何年ぶりだろうか…。

相当慌ててたんだろうなぁ……2人とも顔が真っ赤だったし。あれはあれで可愛かった。

さて、どうやって誤解を解こうか。2人が冷静になるのを待ってみるか?それとも……誤解を誤解じゃなくしてみようか。



40分後、蓮名と想愛がお風呂から出てきた。

シャンプーの香りとか艶やかに濡れた髪とか薄手のパジャマによって現れた美しい身体のラインとか……身に纏う色香が凄まじい。

ヤバいな…理性がヤバい。今にも崩壊しそうだ。

このままでは取り返しのつかない事になりかねない。野獣と化した兄になりかねない。と、いうわけで俺は急いで風呂場へと退散した。

そしてそれが間違いだった。


「うおぅっ!?」

風呂の扉を開けた瞬間に俺の鼻に入り込んでくるのは蓮名と想愛、2人合わさった極上の香り。

そこまで広くない風呂場にこの素晴らしい香りが充満していて………あぁ、頭がクラクラする。ここは桃源郷か?

つい今さっきまで妹達が、蓮名と想愛が入っていた湯船が黄金に輝いて見える。実際にはそんなことないのに。

ヤバいぞ……これは早く風呂場から出なければ…。今日はシャワーだけにしておこう、風呂に入ってないのにもう既にのぼせそうだ。

あぁでも外には未だ艶やかな蓮名と想愛が……前門の桃源郷(ヘヴン)、後門の双女神(ヴィーナス)とはこの事か。

あれ?そんな言葉あったっけ?もっと悲惨な言葉だった気が……まぁいいや。

ともかく今すぐこの場から離れなければ……そう思っていると———


「入るよ♪お兄ちゃん♡」

「入りますね♪お兄様♡」


桃源郷(ヘヴン)双女神(ヴィーナス)様が降臨なさった。それもどちらも『ヴィーナスの誕生』の姿で。

つまり全裸で。

「うおぉぅうっ!?」

なにごとぉっ!?てか待って俺も全裸なんですけどぉっ!?狭い風呂場に全裸の女子中学生2人と全裸の男子高校生が居るんですけどぉっ!?

しかも蓮名も想愛も扉の前にいるから俺はここから出られないっ!いや出たくないけど!!

ヤバいヤバいヤバいヤバい……俺この1時間だけで何回『ヤバい』って言った?語彙力低下が著しいな。

ってそんな事を言ってる場合じゃなくて!とりあえず落ち着け俺、COOLに行こうぜCOOLに。COOL、COOLER、COOLEST。………よし、大丈夫。


「お兄ちゃん……私達、クリスマスプレゼントが欲しいなぁ…」

「来年にはお兄様は18歳、私達は16歳です。結婚してすぐに子どもが産まれるのも良いと思いませんか?」


全然大丈夫じゃなかった。なんかもうボロボロです。主に理性が。

蓮名は俺の股間を、想愛は自分の下腹部を見て言うんだから否応にも2人の言いたい事がわかってしまう。


俺、もう………理性を手放しちゃっても良いんじゃないかな?


『聖なる夜は性なる夜』と昔のことわざにもあるし、クリスマスは恋人が愛を確かめ合う日とも家族で過ごす日とも云われているし……。なにより蓮名と想愛の裸を見ながらここまで我慢したんだ。我慢は身体に悪いし、もう楽になっちゃっても良いだろう。誰も文句は言えないだろう。

「いいのか?蓮名、想愛。悪い子にはブラックサンタがオシオキに来るんだぜ?」

崩壊した理性を拾い集めての最終勧告。これ以上は俺が己を制御できない。

「私達の部屋に無断で入れるのってお兄ちゃんぐらいだよね?」

「それにサンタというのは幸せを届けるもの。つまりサンタはお兄様ですね」

サンタは俺、か…。そういえば蓮名も想愛も小さい頃からお爺さんのサンタさんが嫌いだったな。『知らないおじいさんが部屋に入ってくるのは嫌ー!』って言ってクリスマスイヴは俺と一緒じゃないと寝なかったなー。ハハハ♪懐かしい。あの頃から2人は可愛かったなー。

あの頃は俺達がこんな関係になるなんて想像………できてたな、余裕で。俺は蓮名と想愛と結婚するって疑ってなかったし。

むしろ今の俺が世間体を気にするあまり蓮名と想愛との結婚を延期している事について怒るだろうな。

なぜなら、昔3人で立てた人生予定表では俺達が結婚できる年齢になったら、つまり来年の俺の誕生日に俺は蓮名と想愛と結婚する予定であり、本来なら今の時期には結婚に向けての準備をしているはずなのだから。

でも安心してくれ昔の俺、今この状態の俺は遠慮も躊躇もない。ただ自分の欲望に、蓮名と想愛を悦ばしたいという俺の願いに忠実に行動する。

目覚めろ、俺の野生。

解き放て、獣としての本性。

今から俺はオオカミになる。

据え膳を全力で喰らい、大切なものを全力で守れる気高き狼に。


「お兄ちゃん、メリークリスマス♪」

「お兄様、メリークリスマス♪」

「「プレゼントは……わ・た・し♡」」


「蓮名、想愛、メリークリスマス。プレゼントは……俺の愛だ!行くぜぇ!!」


「「きゃー♪オオカミさんに食べられちゃうー♡」」




このあと滅茶苦茶はぴはぴした。






翌日、12月25日。

天気は快晴、昨日の大雪が嘘みたいな雲一つない青空。

朝起きて右隣に蓮名が、左隣に想愛が居る事を確かめ、昨日の事が夢ではないことを確認した。もしも夢だったら神様を殴りに行ってる。

ふと携帯を見て見たらそこには新斎義父さんからの大量の着信履歴があった。

あぁ、これは後で怒られるな……。

そして今、新斎義父さんから電話がかかってきた………が、俺はそれを無視し、再びベッドに戻って未だ寝ている蓮名と想愛をまとめて抱きしめた。

そのせいで2人とも起きてしまい、蓮名も想愛も寝起きに突然の出来事が起きたせいで盛大に慌てていたが気にしない。

今はまだ、こうして3人の世界に浸りたかった。



これで……俺と、蓮名と、想愛の、3人の思い出で、アルバムの空白を埋めることができただろうか。



家に帰れば新斎義父さんの説教が待っているが………まぁ、クリスマスに説教というのもたまにはありだろう。


だって、クリスマスは家族と過ごす日なのだから。


タイトルに因んで胃が痛くなるエピソードを一つ


3ヶ月ぐらい前に、幼馴染みだった女の子が俺と同じ大学に通っている事がわかった

親は「一緒に学校行けば?」と言ってくるけど小4以降1度も話した事がないんだよ

現実の幼馴染みなんてこんなもん

今はイケメンの彼氏がいるらしい。昔、頬にキスされたり結婚の約束までしたのになぁ

ま、向こうはその事どころか俺の顔ももう覚えてないだろうな

ほんと、現実リアルなんてクソゲーだ


みんなこれを読んで悲しみのクリスマスを過ごせばいいんだー、ふははー

………はぁ

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