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022 ハーヴェスト・ムーン

 

 あれから二週間が経った。

 ウィッテ族の里は狭い。出掛けた先で彼と出くわすのを避けたくて、バーチェはなるべく家に居るようにしていた。ただ家で無駄飯を食ってばかりというのも気が引けたので、手慰みに母から革細工などを習い始めてみたものの、どうにも上手くいかずに素材と道具を駄目にするばかりである。仕留めた獲物から皮を獲るのは得意なのだが、やはり勝手が違う。

 自分にはやはり狩りが性に合っている。その為にはやはりチャーガを説得しないと駄目だ。

 期限と決めた一ヶ月まで残り半分。

 だが、このままでは自分は後三日と耐えられそうにない。

 もう十分時間は置いた。いや、まだだ、まだ早い。

 そんな鬩ぎ合う気持ちを持て余しながら過ごしていた、満月の夜。

 ――唐突に、それは起こった。







 ズズン、と腹に堪えるような地響きに、バーチェは顔を上げた。


「……なんだ?」


 家が揺れ、壁や天井から小さな破片がパラパラと部屋に注ぐ。

 地震? いや、違う。何処かから何か重い物が地面に落ちるような音がした。地震の時にそんな事は起こらないはずだ。


 ズズン、とまたその音が聞こえた。


 気のせいだろうか? 音がさっきよりも、少しだけ近くから聞こえてきた気がする。


 ズズン。


 いや、錯覚ではない。その音は確かにこちらに近づいてきていた。

 それも音がするのは遠くからではない。

 近く……少なくとも、里の中から聞こえたと思う。


 ズズン。


 今度の揺れは更に強い。音も大きい。つまりは、近い。


 ズズン。


 それに、自分の思い違いでなければ――


 ズズン。


 この音には、何処かで聞き覚えが――


 ……ズズンっ。


 一際近くで音が聞こえたと同時に、フッと窓から月明かりが消えた。

 月が雲に隠れたのだろうか?

 思わずバーチェは窓から身を乗り出す。

 ……暗い。外は真っ暗だった。

 おかしい。曇り空の夜とはいえ、窓の外に向こうの家も見えない訳は無い。ましてやバーチェは狩人だ。目には絶対の自信がある。夜の山でも獲物の足跡を見逃した事は無いのだ。

 不思議に思って辺りを見回し、ついで頭上を見上げた。

 ――満月だ。

 真ん丸い明かりが、上からバーチェを見下ろしている。だが、月が照っているならどうしてこんなに暗いのだ?


「……え?」


 ……そして、気付く。

 満月が、二つある。

 いや、片方は月ではない。その光は時折、瞬くように消えては現れる。

 見たことのある、光だった。


『グ、グ、グ……』


「ひいっ!?」


 上から降って来た声に、思い出す。

 ああ、そうだ。

 あの光は、目だ。そしてあの巨体が月明かりを遮っているから、辺りはこんなに暗いんだ、と。

 バーチェの上げた恐怖の声に、そいつは満足そうに眼を細める。


 ――サイクロプスの眼光。


 それが、二つ目の満月の正体だった。


「バーチェ、どうしたん――あ?」


「一体、何事――」


 彼女の悲鳴に駆けつけて来た両親も、思わず思考が停止する。

 だって、それはそうだろう。

 こんな事が起こるはずが無い。

 ここは白樺の森。木々の精霊が施した結界に護られた、ウィッテ族の安息の地だ。そこにこんな魔物が現れるはずは無い。

 いや、現れたとして……結界を通る時に気付かれないはずが無かった。


「ちっ、父上! 母上! 今すぐ逃げてっ!」


「あ、ああ! ほらっ母さん、早くっ!」


「待って頂戴、何が起こって――」


「いいからっ!」


 父が母を連れ出したのを見送って、バーチェも家から出ようと動く。

 両親が去ってから動き出したのは、孝心からでも勇気からでもない。ただ、思い出した恐怖に腰が抜けて、咄嗟に動けなかったからだ。


(う、動け動け動け! え、エルフの狩人が、恐怖に縛られて立ち止まるなど――!)


 震える足腰に活を入れながら、転び出るようにして家を出る。

 それを待っていたかのように、


『グ、ハ、ハ、ハアァっ!』


 巨人の拳が、バーチェの生家を消し飛ばしていた。


「な……!?」


 衝撃の余波に、バーチェの身体は軽々と吹き飛び宙を舞う。

 天地が何度も入れ替わるのを感じながら、必死に体勢を立て直し落着に備えた。

 受け身。背中から地面にぶつかり、ゴロゴロと転がって衝撃を減じて起き上がる。

 狩人として野山を掛けて鍛えた、しなやかさと反射神経の賜物だった。


「コイツ、よくも私たちの家を……!」


 怒りを戦意に変えて恐怖を捩じ伏せ、聳える巨体を睨む。

 震えは消えないが、動けない程ではない。弓矢は無いが、あの時と違って父をはじめ里の仲間もいる。今度は怖気づくばかりでいるものかと、彼女は奥歯を強く噛みしめた。

 そこへ一足先に外へ出ていた父が駆け寄ってくる。


「大丈夫か、バーチェ!?」


「ええ。……それより父上、弓は?」


「家と一緒に吹っ飛んじまった……。糞っ、いくら咄嗟の事だったとはいえ、持ち出せなかったとは!」


 何ということだろう。親子揃って狩人のくせに弓無しとは。

 こうなっては慣れない魔法で戦うか、他の者の予備を借り受けるかしかない。

 恐るべき敵を相手に、不利な状況だ。だが、バーチェはまだ絶望はしない。結界に何の反応も残さず里へ侵入されたのは不可解だが、ここは自分たちの本拠である。騒ぎを聞きつけて駆け付けるはずの里人たちと合流し、多人数で一気に叩く。サイクロプスは一対一では難しい相手だが、武器は巨体と怪力のみ。遠巻きにして魔法と弓矢を浴びせ掛け続ければ、必ず倒せる。


「何だ今の音は? ……!? さ、サイクロプスっ!?」


「魔物だ! 魔物が里に出たぞーっ!!」


 近場の家から叫びが上がり始める。騒ぎに気付いたのだ。


「父上、人が来ます。彼らと合流して戦いましょう」


「ああ、分かっている。……母さん、お前は里外れの方の家に声を掛けに行ってくれ。この騒ぎに気づかん訳は無いが、それでも呑気してる阿呆がいないとも限らんしな」


「貴方、バーチェ……!」


 酷な話だが、母は戦いには無力である。夫や娘に似ず温厚な女性だ。父の言う通り、連絡役という名目で戦列から遠ざけるのが正解だろう。

 父は泣きそうな顔の母から顔を背け、里の者へと声を張り上げる。


「聞けっ! 見ての通り魔物の出現だ! 何故、急に里へと現れたか、仔細は分からぬ。だが、誇り高きウィッテ族の為すべきことは一つだ! 摂理の外なる者を調伏し、里と森の安寧を護ることにある! 弓ある者は構え、魔導を識る者は唱えよ!」


「お、おおっ!」


 経験を重ねた狩人たる父の声は、浮足立っていた近隣の者たちの心を、瞬く間に鎮めたようだった。

 その様子を感慨深く思いながら、バーチェは母を送り出す。


「さ、母上。父上の仰る通りに」


「ええ……バーチェ、気を付けて。この人の事を頼んだわよ」


「心得ております。……さあっ!」


 駆け出す母を見送って、月下に佇む巨人を見やる。

 サイクロプスは動かない。牙の生えた口、その両端を吊り上げてこちらを眺めている。

 ……笑っている。その認識に、改めて頭の芯が熱くなった。

 何が可笑しいか。己より小さき者の慌てふためく様が愉しいか。

 その増長、必ず後悔させてやる。バーチェは固く誓う。


「……それと不調法ながら、弓を二つ借り受けたい! 我らの物は奇襲で損なわれた。予備を持つ者はおらんか!?」


「何だ、猟師が無手とは話にならぬ。……誰ぞ、替えの弓を持つ者は?」


「ウチに一つある! 他は!?」


「生憎、自前の物しか」


「我が家は魔導師だ。すまぬが持ち合わせておらぬ」


 だが、困ったことに弓の予備は一人分だ。

 バーチェは言った。


「父上がお使い下さい。私は取り上げられた物も返されておらぬ故」


「馬鹿娘が。筋の話をするなら、親が子を丸腰のままで放れるわけがあるまい」


「馬鹿は貴方です。この場で音頭を執る者こそ、弓を帯びねば。それに従ってくれる者への示しもあります」


 それを考えれば、弓は父が使うのが最上だった。

 またバーチェとてエルフの端くれ。生まれついての魔力で戦うだけでも、足手纏いになりはしないだろう。

 衆に優れた狩人であり、この場を纏める立場に収まりつつある父の方が、弓を帯びるのには相応しいのだ。


「ほれ、弓だ」


「ああ、有り難く使わせて貰う。……バーチェ、お前も考えて物を言えるようになったな? しばらく狩りに出ないで血の気を抜いた成果かね」


 弦を引いて受け取った弓の具合を確かめながら言う父。


「ご冗談を。それよりも――」


「ああ。ヤツもそろそろ動き出す頃合いかね?」


 大方の非戦闘員を逃がし、こちらの準備が整い終えるまで待っていたのか。

 サイクロプスは嬉しそうに単眼を細めた。


『グ、グ、グ……! グフフフ……!』


 ズズン。

 笑い声と地響きを立てながら、巨人はこちらに向かって一歩を踏み出した。


(歩いている?)


 走り寄って襲い掛かるでもなく、ゆっくりとこちらに向かってくる。

 意図を判じかねる行動だった。

 幾らこちらが敵より小さいとはいえ、数が揃っている上に弓の達者か魔法の使い手が全員だ。それを相手にのんびりと歩いて近寄るなど、愚の骨頂。

 バーチェの耳に歯軋りの音が聞こえた。

 それは自分の立てたものかもしれないし、あるいは他のエルフのものかもしれない。


「あの化け物、こちらを馬鹿にしているのか?」


「……なら、好都合だ。一気に畳むぞ」


「我らを見縊った報い、命を以って購わせてやろうぞ!」


 エルフたちの戦意が高まる。


「好機だが、深追いは無しだ。いずれ長たちも駆け付けてくる。それまでこちらが生きていれば、我らの勝ちなのだからな」


「分かっている」


「とはいえ、侮りが癪なのも確かではある……総員、叩き込めェい! 彼奴の単眼に、我らの矜持をとくと見せつけてやれ!」


「「おおおぉぉおおおお――っ!!」」


 号令一下、矢と魔法が夜空を引き裂いて飛ぶ。

 バーチェも、数年ぶりに唱える攻撃魔法でこれに加わった。

 巨人族――特にサイクロプス――は、えてして魔法に弱い。知性が低く、精神も未熟で、魔力もほとんど備えないからだ。他の単眼型モンスターに多く見られる、魔眼の力を持たないのもこの為である。それでも頑強な生命力が為に、単身の魔法使いで打破するのは困難だ。

 だが、今繰り出されたのは魔法に長けたエルフ族の術である。それも同時に十発以上だ。これを釣瓶打ちに受ければ、いかな屈強な巨体といえど一溜まりも無い。

 ――はずだった。


「……え?」


 その瞬間、バーチェは見た。

 一斉に放たれた魔法の力が着弾する、その寸前、サイクロプスの周囲に薄く半透明の光の被膜が広がったのを。

 魔法が、炸裂する。ただしサイクロプスの肌に至る、その直前でだ。

 矢が、弾かれる。やはり標的を射る前に、空中で何かに弾かれた。

 結果、


『グ、グ、グ……』


 ――無傷。


「馬鹿な!?」


「い、今のは……魔法の護りか!?」


「≪マジックシェル≫に≪プロテクション≫か……!?」


「有り得ん! 知性無き巨人だぞ!? 魔法が使えるはずは無い!」


 不可解な現実に取り乱すエルフたちを、単眼が嘲笑う。

 ズズン。

 そして、また一歩が踏み出された。


「ひっ……!?」


「怖気づくな! 例え魔法の護りとて無限ではない! 打ち続けるのだ!」


 バーチェの父が、怯んだ仲間を鼓舞する。

 確かにその通りだ。何とかあの魔法の護りを抜いて巨人を仕留めなければならない。


「魔導師の中に、あの防御魔法を解除できる者はいないか!?」


「それが……あれだけの規模と強度となると、相当強力な魔力で編まれています。こちらから解除を試みるにしても、まずはある程度減衰させないと」


「結局は続けるしかないってことか! ……もう一度だ、やるぞ!」


「「お、おおっ!」」


 萎えかけた気力を振り絞っての、もう一度の総攻撃。

 それに加わりながら、バーチェは思う。


(おかしい……チャーガの姿が見えない)


 二週間前、気まずい別れ方をした友人。それがこの場に居ない。

 いや、のみならず、この非常時にしては人数の集まりが悪過ぎる。ここに見えるのは、いずれもサイクロプスに襲撃された辺りの住人だけだ。そろそろ増援も到着するはずであるし、里の最高戦力である長らも、この事態にこれほど悠長にはしていられないはずだ。

 疑問を余所に放たれた攻撃は、やはり無効。


『グフッ、グフッ、ググフフフッ!』


 嗜虐的な笑みを深めつつ、サイクロプスはまた一歩こちらへ近づく。

 ズズン。

 こちらの闘争心そのものを揺さぶるように、大地が震えた。

 近寄れば近寄る程に、圧倒的なこの体躯。その口から落ちた涎が、ばしゃりと地に跳ねる。

 その光景に、若いエルフの一人が悲鳴を上げた。


「お、おい……おいィ!? 他の連中は何をやってるんだよ!? 長は!? 今この時に長たちは何をしているんだ!?」


「こ、こら! 落ち着け!」


 心中に抱いていた疑問を叫ばれ、内心どきりとしながらバーチェは叱咤する。

 だが、若者はガタガタと震えて後退さった。


「これが落ち着いていられるかよバーチェ!? お、俺らだけでこんな化け物に勝てるのか!?」


「誰かそいつを落ち着かせろ! ……ヤツの防壁はまだ解除できないか!?」


「だ、駄目です! まだ術式に乱れさえありません! 糞っ、どんな馬鹿魔力で編んでやがるんだ!?」


 魔導師の返事も、悲鳴混じりである。

 こちらの無力を玩弄しつつ、巨体が再び満月を遮った。

 エルフたちの周囲に、影が落ちる。


『グ、グ、グ、グ、グ……!』


「埒が開かないか……一旦、退くぞ! 里の外へ誘導しつつ、他の者との合流を図る!」


 父はそう指示するが、果たして自分でもその成算があると思っているのだろうか。表情は強張り、精悍な顔に脂汗が滲んでいた。

 一向に現れない増援。特に精神的支柱であり里最強の魔導師でもある長の不在はどうしたことか。先程からずっとちらつく、その疑問に答えるように、


 ――ドオォォンン……っ!


 エルフたちの長耳に、遠雷のような音が聞こえた。


「な、何だ!?」


「サイクロプスの攻撃、じゃない。今の音は遠くからだ……」


 ――ドオォォンン……っ!


 今度はまた、別方向からの爆音。

 そして同時に、サイクロプスの身体を挟んだ反対側、里の奥手から炎が上がる。


「ま、まさか……」


 バーチェは、戦慄と共にその意味を悟った。


「ここだけでなく……里のあちこちが攻められているとでも言うのか!?」




  ※ ※ ※




 やや時を遡る。

 居館の一室で日課の瞑想を行っていた里長は、やおら何かに気付いて顔を上げた。

 エルフらしい端正な顔立ちには深い法令線、更に目元には皺が刻まれている。千年の青春を生きるとされる長命種にして、この濃く表れた老いの色。果たしてどれほどの年月を経てきたのだろうか。


「おるかね、ばば様」


 落ち着いた深みのある声が、微かな緊張を伴って室内に響く。

 そこにいるのは長一人。さては如何なる独り言かと思えば、


「――ばば呼ばわりは止せと言うておろう、坊や」


 彼の眼前、手の届きそうな距離に転移で現れる、女エルフの姿。

 こちらは長と対照的に若々しい姿である。ヒトに換算すると、二十代の後半といった辺りだ。エルフは長らく二十代前半ほどの姿を保つから、いずれ古いエルフには違いないだろうが、彼女は長にばば様と呼ばれ、彼女は彼を坊やと呼ぶ。


「ばば様は、ばば様であろう? 何せ我が幼時の頃よりその姿だ。それに筋から言うならば、我を坊や呼ばわりするのを止すのが先であろうよ」


「ふんっ、そうやって女心を分からぬままだから、いつまで経っても坊やなのよ。……それより、儂を呼んだと言うことは、主も気づいたかや?」


 二人の間で恒例となった感のあるやりとりを終えると、ばば様は目付きを険しくして言った。

 長は肯く。


「里の中に不穏な魔力の高まりが生じた。肌に感じる時空の捩れからすると――」


「大規模な召喚術、か?」


「ああ。恐らくは何者かの侵攻だろう。如何にして森の結界を抜けたかは分からんが、手勢を呼び込んでこの里を制圧しようとしているのは確かだ」


 由々しき事態である。長が感知した術の規模からして、おそらく敵勢はヒトが築いた城塞都市をも陥とせるだけの戦力を用意して来たはずだった。ウィッテ族がこの白樺の森を住まいとしてから、これほどの大事は歴史上無かったことである。


「相手はヒトかの? 冒険者と呼ばれる探索に長けた者が、時折結界を抜けて森に入ってくると聞くが……いや、これはヒトが行使できるような規模では無いな」


「分からぬ。ヒトの中にも並外れた魔導師がいたか、他所のエルフが堕落し凶事に走ったか、或いは古の魔族が蘇ったか……いずれにせよ、この場で答えが出ることではない。詮議は、無用」


「そうじゃな」


 長の言葉に、ばば様も肯く。今必要なのは、下手人の特定ではない。速やかに里に向かって敵を討ち、氏族の者を救うことだ。


「では、愚かな余所者に教えてくれるとしようかい。この里には誰と誰がおるのかを、のう」


「頼りにしているぞ、ばば様。いやさ、お師匠」


「ほほほっ! その呼び名も久しぶりじゃな。出藍の弟子にそう言われると、儂の鼻も高うなるわい。では――」


 行くか、と続く言葉は、




「コンバンワ、と、挨拶を致しマス」




 奇妙に平坦な声音によって、立ち切られた。


「! 何者だ!?」


 長の鋭い誰何の声に、静かに部屋の扉が開けられる。

 そこに立っていたのは、小さく頭を下げている一人の女だ。

 精緻に整った部品が象るのは、落ち着き払った若い女性の顔。造形の黄金比を踏まえたような、見る者の感嘆を誘う美貌である。浮かべる表情は冷静であると言うよりは虚無的であり、それでいてどこか顔立ちにそぐわぬ幼さを匂わせる。身体には銀の胸当てに同じく銀色の無骨な手甲。放胆にも素肌の腹を曝け出し、大きくスリットの入ったスカートなど履いているが、紛うこと無き戦支度である。またよく見ると足の膝下までも具足に鎧われている。奇妙なのは、豪奢なプラチナブロンドの髪を掻き分けるように伸びる耳飾りである。遠目には角かそれこそエルフの長耳かと見紛うそれは、よく見ると金属質の覆いだ。これでは耳が聞こえまいと思われるが、その女は至って不自由を感じていないように見えた。

 女はゆっくりと顔を上げる。そして伏せていた目を開き、超自然的な金色の眼を二人に晒した。


「ハジメマシテ、と、自己紹介しマス。ワタシの名前は、フェム、デス。オーパス05、とも呼ばれておりマス」


「……何故、ここに参った? ここに来るまでに控えていた者はどうした?」


 重ねた問いに、フェムと名乗った女はぎこちない動作で首を傾げる。


「構文にエラー、デス。質問は一つずつで、お願いしマス」


「ええい、坊や! 問答などしておる場合か!? 斯様な時に長の居館に現れた余所者ぞ、敵の一味に決まっておる!」


 苛立たしげに割り込むばば様に、長も正気付く。

 確かにこんな事態の最中、取次ぎも通さずにここまで現れたのだ。この女の所属は分からないが、敵である可能性が最も高い。

 果たしてフェムは答えた。


「正解デス、と、採点しマス。現在、我々は作戦行動中であり、ターゲットは該当地域に存在するエルフの身柄、デス」


「やはりか! 貴様――いや貴様ら、何処の手の者だ!?」


「黙秘、で、回答しマス。現在、その情報は制限されておりマス」


 そして彼女は右拳を引いて左手を突き出し、構えを取る。

 徒手格闘の構えである。女性の格闘家は珍しいが、ここまで単身で押し入ってきた身だ。実力の程は並々ならぬだろうと長は推量する。相当な難敵であると見えた。


「だが――」


「――足止め目的は明白、なら相手にせねば良いだけよ! ≪グレーター・テレポート≫!」


 戦端の開かれる直前、転移の魔法陣が床に広がる。

 詠唱省略での転移は危険を伴うが、向かう先は勝手知ったる里の中だ。座標の設定ミスなど、万に一つもあり得ない。

 しかし、


「……何?」


 転移魔法の陣は、効果を発揮せぬまま光を失い、やがて消える。

 ……妨害である。既に転移での移動は防がれていたのだ。

 これでは今まさに窮地に立たされているだろう里へ、救助に向かえない。二人の顔に焦慮が浮かぶ。


「ワタシとの接触と同時に、妨害を展開しまシタ。……戦闘評価試験、開始しマス!」


 そして、その動揺の隙を見逃さず、フェムの拳が唸りを上げて飛来する。

 狙いは、長だ。


「ぐぬうっ!?」


 直撃の寸前、何とか≪ディフェンダー≫の魔法で防壁を紡いで受け止める。

 無詠唱とはいえエルフの高位魔導師が紡いだ護りだ。容易く貫通はされない――されなかったが、防壁越しに重い衝撃が伝わる。そしてそれを殺し切れずに長の身体は後ろへと飛んだ。

 背中に壁の固い感触。それも一瞬のことで、激甚たる痛みと共に破砕音が響き、


「――坊やっ!?」


 遠ざかるばば様の声を聞きながら、長は外へと弾き出される。

 身体がのけぞり、視界が上向く。頭上の星空が全て流星と化す。いや、流れているのは自分だ。余りにも凄まじい勢いで吹き飛んでいる為、視界の全てが高速で過ぎ去っていく。この後の顛末を悟った長は、苦痛と酸欠に喘ぎながらも魔法を唱える。


「≪プロテクション≫っ!」


 発動したのは先程の瞬間的な超硬度防壁ではなく、継続的な物理干渉緩和。周囲を魔法の被膜が押し包んだ次の瞬間、木立に激突し、折り飛ばし、それを数回繰り返してから長の身体は地面に跳ねた。

 腐葉土が巻き上げられ、辺りに降り注ぐ。

 秀麗な初老の顔を泥だらけにし苦痛に歪めながら、長は何とか身を起こす。木々との衝突で砕けた肩を、魔法で治癒して元通りにすると、搾られて空になっていた肺腑に空気を吸い込む。


「ごほっ、ぐほっ……うぐっ」


 気道に多量の血が混じっていたのか、激しく咽た。

 ……間一髪だった。もしも≪プロテクション≫の展開が遅れていたら、今頃身体を粉々に砕かれ、母なる森に肥やしとして撒かれていたところだろう。

 そして幸か不幸か居館から出ることには成功した。ここならば転移の妨害が働いていない可能性もある。魔法の師であり幼い頃から守り育ててくれたばば様を置いて行くのは辛いが、この森を統べる長として最優先すべきは里の安寧だ。

 断腸の思いで転移を行おうとした瞬間、


「――無駄、デス」


 投石機の弾着めいた衝撃。

 再び森の土壌が引っ繰り返り、土砂の嵐が吹き荒れる。

 円錐が倒れ込んだような形に捲れ上がった地面、その先端で追っ手は身を起こす。

 言うまでも無く、フェムだった。自分でぶち空けた壁の穴から、一息にここまで飛んで来たとでも言うのか。先程の馬鹿げた威力の拳撃といい、一体どんな身体をしていればこんな真似が出来るものか。


「妨害は広域に渡っている、と、宣言しマス。作戦領域へは、行かせまセン」


 巻き上げられた土砂の雨が止むのと同時に、フェムは再び拳を構える。

 対して、長は不敵に笑った。


「あくまで我を狙うか」


「計測された魔力等から、脅威度はアナタの方が高い、と判断しマス」


「左様か。だが、これで憂いは無くなった」


 長も掌を向け、魔法戦の構えを取る。

 敵は此方を優先して来た。ならば、ばば様が――自分の師匠があの場に残っている。

 彼女も里の古老、その次席だ。ならば冷静に判断を下し、里の救援に向かってくれるだろう。己は命を懸けて――否、捨ててでも、この相手を留めておけば良い。

 それで里は救われる。彼は自分の師匠に絶大の信頼を置いていた。


「――果たして、そうでしょうか? と、疑問を呈しマス」


「何?」


「失礼、と、謝罪をしマス。今のは不要な発言でシタ」


 人形めいた女の言葉に、胸中へ不安が広がるのを感じる。

 何か。何か重大な見落としをしているのではないか?

 その疑問を酌もうともせず、オーパス05・フェムは宣言する。


「戦闘評価試験、続行。有為なデータを期待しマス」




  ※ ※ ※




「……死ぬなよ、坊や!」


 ばば様と呼ばれるエルフの女性は、フェムが自分を放置して長を追撃したと見るや、部屋を飛び出していた。数え切れぬ年月を過ごし、共に里を育んできた愛弟子を見捨てることに、胸を締め付けられるような悔いを覚える。が、ここで彼を助けに走ることこそ、その在り方への侮辱だ。

 彼女の愛弟子は里の長である。身命に換えても森の秩序と民の暮らしを守り、それを誇りに永きを生きてきた男だ。ならば彼が里を救いに行けぬ時、代わって赴くのが師の務めである。


「くっ……」


 ないことに、森の魔女とも大賢者とも呼ばれるばば様の目に、涙が浮かぶ。

 長は、十中八九死ぬ。魔導師が前衛も無くあれ程の怪力の持ち主と当たるのだ。切り札となる高位の術を唱える隙も与えられず、無惨な嬲り殺しとなるのが関の山である。残酷な戦闘の摂理は、既に彼の敗死を導き出していた。

 いや、彼ほどの術者であれば無詠唱魔法の乱打で活路を開けるかもしれない。敵は五体を武器とする拳闘士、仮に足にでも痛撃を与えれば動きを鈍らせ戦闘力を大幅に殺ぐことも――

 薄甘い期待である。だが、そんな期待に寄りかからないと、立っていることも難しい。可愛い弟子で、今や上司で、同志で、そして……いや止めよう。

 年甲斐が無いにも程がある感慨に耽っている暇は無い。今必要なのは冷徹で明晰な判断だ。前後の状況を踏まえて、里の存続を維持する為の最適解を得る思考だ。弟子を想う気持ちは捨て、今は里を導く『ばば様』として振舞わなければ。

 冷静になれ、と己に念じる。

 そして冷静になると……気付いてしまう。


「……妙だな」


 里長の屋敷は、不気味な程に静まり返っている。これが常ならば、エルフらしく静謐の好ましさに小さな満足を覚えるところだが、今は違う。長の居室にまで敵の手が伸びているのである。

 屋敷に詰めている者は、全滅したのだろうか? だが、それだと一つの矛盾が生じる。

 襲撃者、フェムと名乗った女の戦い方。アレは馬鹿力に任せた、洗練とは程遠い荒々しいものだ。そんな方法で館の人間を殺して回っていたら、いくら何でも長や自分が気づかぬはずはない。

 つまり、屋敷に攻め入った者は最低二人。フェムともう一人、別の誰かだ。

 それは里の方で召喚を使った術者だろうか? しかし、そうなら何とも慌ただし過ぎる。フェムの露払いとして屋敷の人間を攻撃し、その足で里に向かって事に及ぶなど、段取りが悪い。万が一、ここにいる際に自分たちに捕捉されたら、里へ襲撃を掛けるどころでは無くなってしまう。

 つまりは……最低でも、もう一人いる。戦えば目立ち過ぎるフェムや、里への襲撃を行った輩とは別にもう一人、静かな殺しを行える襲撃者が。

 その時である。


 ――ゴトリ。


 通路の先の曲がり角、その向こうから音がした。

 何か、重い物が床に落ちた音だ。


「何じゃ……?」


 口の中だけで呟き、注意深くそちらを見る。

 よもや偶然屋敷の調度が落ちた訳でもあるまい。誰かが動き、音を立てたのだ。あの向こうにいるのは、何だ?

 まんじりともしない時間が、しばらく流れる。ここに来てばば様は己の迂闊を呪っていた。

 何も素直に通路を通り玄関から出る必要はあるまい。壁に空いた穴から直に外へ出れば良かったのだ。それはそれでフェムに脱出を感知される恐れがあるのではあるが。

 ともかく、こうなったら角の向こうから来る何かを迎え撃つしかない。今背を向ければ、これ幸いとあそこから飛び掛かってくるかもしれないのだ。

 耳が痛くなるような沈黙。それを破って、通路の向こうから何かが這い出て来る。

 ばば様はそれに向けて魔法を放とうとし、


「え?」


 思わず目を丸くした。


「ぁ……ぁ……」


 乾いた呻き声と共に現れたそれは、断片的にはエルフに似ていた。耳が長いし、髪の色も金である。

 だが、同時に断じてエルフではない。

 かさかさに干からびた肌、艶を失った髪、枯れ木のように細い肢体。

 生きているとは思えない程に衰えきり萎えきったそれは、それもそのはずで確かに死んでいた。しかし死んでいるのに動いている。

 アンデッド、である。


「レッサーヴァンパイア、じゃと……?」


 思わず呆然とした声が漏れる。

 レッサーヴァンパイア。ヴァンパイアの成り損ない。吸血鬼に生き血を吸われ、適性の足りなかった者がなるか、死体に血を与えて蘇らせるかされた、哀れな死に損いである。

 そんな者がいるということは、つまり――


「あはっ、ご名答ォ~っ!」


 確信を証明するように、また新たに何かが現れる。

 見たところ、端正な顔立ちの若い男だ。気品があると言ってもいい。仕立ての良い上下の礼服に袖を通し、蝙蝠の翼めいたクロークに身を包んでいる。その姿はいっそ滑稽な程に、巷間に流布される吸血鬼の伝承をなぞっていた。

 そう吸血鬼。レッサーヴァンパイアの親たる、知性を備えた高位のヴァンパイアだ。


「ヴァンパイア、それもロード級!?」


 驚愕の声を賛辞としてか、吸血鬼はニィっと笑う。その拍子に口元から、長く伸びた犬歯が覗く。


「またまた正解い~ぃ! いやあ、分かる人には分かるんだねえ! この僕の身体から滲みでる、夜の貴族のオーラ? っていうのがさァ! 嬉しいなァ、見る目のある人に会えて! 久しぶりに外へ出た甲斐があるってものだよ、エルフのお姉さん?」


 そしてクロークの裾をはためかせながら伸ばし、くるくると踊り出す。道化じみた仕草だが、ばば様にそれを笑う余裕は無い。

 吸血鬼、それもロード級となれば、如何に卓越した術者といえど単身では手に余る脅威だ。ましてや相手は長や自分に気取らせぬまま、屋敷の者を殺しつくした化け物である。どんなに馬鹿げた振る舞いをしようとも、まったく笑いごとにならぬ怪物だった。

 油断無く窺っていると、化け物は、ピタリと動きを止め、


「でもさァ、ちょっと期待外れかなァ……。森の奥の結界の中で、目撃者が出ないって言うから、出して貰えたんだけどさ……。本命の里は先輩の仕事だし、こっちはチンケな家でむさ苦しい男どもの相手ばっか。ここって長の家なんでしょ? だったら、ピチピチで未通女(おぼこ)なエルフのお嬢様とかいても良いんじゃない? 駄目だよ、エルフは繁殖力が乏しいんだから。長たる者、マメに子どもは作っておかなきゃね。なのにさっきから、会うヤツ会うヤツ、どいつもこいつも、男で非童貞ばかりだよ……まあ、殺してから吸ったんだから、どれもこれもレッサーになるのは仕方ないかなァ? 例え中に清童が混ざってても分からないかァ。それに死体の割に血の味は良かったし――ねっ!」


 ブツブツと愚痴を言ったかと思うと、何を考えてか配下のレッサーの首に踵を叩きつける。

 殺された挙句に血を吸われ、動く死体に成り果てていたエルフは、今度こそ本当の死体に……すらなれず、灰と化して消えていった。


「……無体な」


「アハハハハハハっ! でも、ラッキィ~~~っ!! 最後の最後に残っていたのが、綺麗なエルフのお姉さんでさァ! ねえ、お姉さんって処女? だったら殺さないで生き血を吸ってあげるけど? 今ならさっ、その後たっぷり可愛がってあげるってオマケ付きだよォ!? やったね!」


 躁鬱が激しく入れ替わる、独特な話し方だった。調子を乱されるな、とばば様は強く肝に銘じる。流されれば、何も出来ないまま血を吸われる。ヴァンパイアロードとそれ以外の種族には、それだけの性能差があるのだから。


「生憎と死に別れたが夫も子もおった身じゃ。ご期待には沿えんな」


「なァんだ、残念……って、死に別れた? エルフが、連れ合いだけじゃなく子どもとも? ふゥん――」


 名も知れぬヴァンパイアは、そう言うとスンスンと鼻を動かす。


「――お姉さん、随分と古い魂の匂いがするねェ? 少なくとも二千年くらい? おっかしいなァ。いくらエルフでも、そんなに生きたら老いるはずだけど」


「先程から、女子に向かって無礼な口ばかり叩きよるわい」


 喋りながら、冷や汗が止まらないのを感じる。それを拭うような真似は出来ない。隙を見せれば、やられる。だが逆にこちらが相手の隙を見つければ、あるいは。

 吸血鬼はその強力さの代償か、弱点が多い。それを突ければ勝機はある。


「御託はもうよかろう、死体が着飾った起き上がりめが。貴様の察した二千年……その重みというものを、改めてとっくりと噛みしめさせてくれるわい」


「……あ、あはっ! あははっ! あひゃあははははっ!!」


 ばば様の啖呵に、ヴァンパイアは狂いきった哄笑で応えた。

 その目が爛々と赤い輝きを放つ。


「いやいやいやいや! やっぱり僕ってラッキーじゃないかっ! こんな、こんなところでェ! マスターの目的の手掛かりが見つかるなんてさァ!? 良いね良いね良いねっ! すっごく良いっ! ついでにお姉さんも超ラッキー! もしかしたら、殺されも血を吸われもしないかもよォ!? まっ、もっと酷い目に遭う可能性も高いけど! ああ、それじゃやっぱりお姉さんはアンラッキーかァ!?」


 そして牙を剥き出しにした狂相。

 これで良い、とばば様は強がり混じりに笑う。

 吸血鬼は冷静なままで戦わせてはいけない。奴らの恐ろしさは、怪物の力をヒトの知性で振るえることにある。狂わせ飢えさせ悶えさせ、人型の獣にまで貶めてから狩り殺すが上策。そして狩りはエルフの本分でもある。


 ――さあ、化け物狩りの始まりじゃ。


 彼女は若い顔へと、それに似合わぬ渋い闘志を滲ませた。




  ※ ※ ※




 エルフたちが、狩られている。

 里の中はあちこち魔物で溢れかえっていた。

 冒涜的なまでに人に似た頭と蝙蝠の翼を持つ虎――マンティコア。

 数え切れないほどの多頭をうねうねと蠢かす蛇――ヒドラ。

 毒々しい色の吐息を漏らす、鱗持つ巨体の雄鶏――コカトリス。

 その他にもオーガ、トロル、ワーウルフにワータイガー、ダイアウルフ……。

 押し寄せてくるのは、いずれも魔に染まったか、闇より生まれたかの怪物たち。

 エルフも、ヒトも、獣も殺す、全ての生命に対する敵対者たち。

 モンスターの、大群。

 その恐るべき脅威に出くわし、立ち竦む者には、背後からあの足音が聞こえてくる。


 ――ズズン。


 如何なる術者に魔法を掛けられたか、未だなお無敵の護りを帯びたままのサイクロプス。

 それが後ろから、時折思い出したように迫っていく。

 単眼の巨人は、まるで勢子だ。仕留め役の前に獲物を差し出し、存分に殺させているのだ。

 呼び出された魔物たちは、追い立てられてくる中から、条件に合った者を殺せばそれでいい。

 今この里で起こなわれているのは、つまりはそういうことなのだ。

 もう一度言う。

 エルフたちが、狩られている。


「――フンっ。存外、不甲斐無いな」


 女は眼下の惨劇に、何ら痛痒を見せずに鼻を鳴らす。

 彼女の酷薄な嘲りは、誰にも聞かれること無く夜空に溶けた。

 

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