表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第一話「研究」


《ピピピピッ!ピピピピッ!》


様々な本や書類が雑に置かれている、とある部屋のアラームが鳴る。


「ん…く…朝か…"おはよう、毎日ありがとう"」


毛布を()いで一度、背伸びをした白髪(はくはつ)の男性が時計に向かって言う。

すると、時計の[am-8:02]の表示が[起床確認]に切り替わり話しだした。


《おはようございます、アトラス博士。

本日のバージスト地区の天気は快晴です。》


アトラス博士と呼ばれた先程の男性は洗面所に向かった。

顔を洗い、タオルで拭いているとブザーが鳴り、続いて女性の声が聴こえた。


「博士ー?起きていますか?」


「ああ、起きてるから入っても構わないよ」


入口に向かって言うとアトラスは続いて(ひげ)を剃る。

ドアが開き、赤毛をポニーテールにしている白衣を着た女性がサンドイッチの乗った盆を持って入って来た。

そして、テーブルの上の書類を少し退()けて盆を置く。


「おはようございます」


アトラスが剃り残しが無いか、顎や頬を撫でて確認しながら洗面所を出て来た所を挨拶する。


「おはよう」


ソファに腰掛けてカップの薄い金属で出来たラップを剥がす。

プシュッと空気が流れる音が聴こえると、カップの中のコーヒーの湯気が昇った。


「今日のサンドは…ベーコンと卵か」


一口、コーヒーを(すす)(つぶや)くとサンドイッチを頬張る。

数回噛んで飲み込むと溜め息を()いた。


「元の…ベーコンの味は本当にこんな味だったのだろうか…」


外では青い空に小さな雲が(いく)つかと太陽が輝き、木々は風に揺れて小鳥が(さえず)っている。


「人類とは(しぶ)とく(いや)しいな…」


「たとえ偽物でも、日常が在るだけで幸せなだけですよ」


アトラスの言葉に女性は優しく言った。

そして続ける。


「でも、ウイルスによって失われた幸せを取り戻す為に…我々は研究を続けるんですよ」


「ああ…だからこそ、早く造り上げたいものだな…"完璧な人造人間"を…」


アトラスは食べ終えると立ち上がり、白衣を着て部屋を出た。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ