事件現場
「行ってきまあす。」
私はお母さんにそう言って、事件のあった現場へ向かった。
「(警部、まだ来てないや。)」
私は外で警部が来るのを待った。
30分後、ようやく警部が現れた。
「すまんすまん、ちょっと道が混んでてのう。」
警部はそう言って頭をペコペコ下げた。
「道ってあんた・・・警視庁は目と鼻の先ですよ?」
私はボソッと呟いた。
「ん、何か言ったかね?」
「いえ、何も。それより、現場を良く見たいんですけど。
(ふぅ・・・。)」
「お、そうだったな。」
[キンコーン!]
警部はチャイムを鳴らした。
「警部、伐山弁護士は今、取材で留守ですよ。」
「じゃあ、どうしようか?」
警部は静かに考え事を始めた。
私は警部を一人置いて扉の前に立った。
[ガチャガチャ!]
「(やっぱり鍵掛かってるよ。よーし。)」
私はポケットに手を入れると、針金を取り出し、鍵穴に挿して適当にいじくり回した。
[カチャ!]
鍵が開いた。
[キューン、カタン!]
私は家の中へ入った。
「(あそこか。)」
私はKEEP OUTの黄色いテープが張られている部屋を見付けると、土足のままその部屋に入った。
「(こうなってんか。)」
私は部屋の隅々を見て思った。
部屋は、二人分のベッドがあり、それ以外に目立つものは何も無い。つまり、一言で言えばそこは、ただの寝室。
私は寝室に手がかりが無いか探した。
何でもよい。髪の毛一本さえあればそれで良い。
「何も無いなあ。」
私は立ち上がりざまに呟いた。
それもそうである。
何故なら、警察が皆持っていってしまったからだ。
現状保持とか一般市民には言ってるけど、結局は警察が現場踏み荒らしてるではないか。
私は警察のやり方に不満を覚えた。
て言うか怒り心頭?
[キューン、カタン!]
「(誰か来た!?)」
私は、人が一人やっと入れるスペースを見つけると、とりあえずそこへ身を隠した。
「何だこの足跡は!?」
玄関の方から男の驚いた感じの声が聞こえた。
「(足跡?も、もしかして!?)」
私は恐る恐る自分の足元を見る。
「あ!
(!?)」
私は思わず口を押さえた。
「だ、誰だ!?誰かそこにいるのか!?」
そういうと、男は私が隠れている所へ近寄ってきた。
「(バ、バレた!?)」
私はかなり焦り、それと同時に光が差し込んだ。
「誰だ貴様!?」
私は見つかってしまった。
男は私に向かって拳銃を突きつけた。
「(ここは逃げるか?それとも正々堂々と?)」
私は二つの内一つの選択を求められた。
「殺されたくなければ両手をあげな。」
拳銃如きでサイボーグである私を殺せるとは思えないが、一応言うことに従って両手をあげた。
「ようし、そのままこっちへ来い。」
男は私を引っ張り出した。
「さあ、歩け!」
男は拳銃を突きつけたまま、私をリビングまで押していく。
「ねぇ、ひとつ聞いて良いかしら?」
「何だ?」
「あなた、有名な弁護士の伐山さんでしょ?こんな事して大丈夫なの?」
「黙って歩け。」
伐山はそう言って私を突く。
仕方なく私は黙って歩いた。
やがて、私たちはリビングに到着した。
「そこへ椅子を持ってきて座れ。」
伐山は私に椅子をリビングの中央に置く様支持した。
私は何も言わず、そばにあった椅子を持ってきて座った。
伐山は、拳銃を突き付けたまま私の後ろに回り、どこからか縄を持ってきた。
そして、それで私を拘束した。
無駄だろうとは思うけど・・・。
作者と真理絵の会話
えぇ、あ、真理絵ちゃん?
「はい?」
あのさ、何で逃げなかったの?
「だって、もし撃たれたら死んじゃうじゃん。」
何を言いますか。
君はサイボーグでしょ。
「サイボーグだって、拳銃の弾丸には敵わないよ。」
ふっふっふ。
「な、何が可笑しいのよ?」
君は気付いていない。
「ほえ?」
君の体はヒヒイロノカネで作られている。
「ヒヒイロノカネ?何それ?」
ヒヒイロノカネは、世界で一番硬い金属で、ダイヤモンドの刃でも傷付ける事が出来ないんだ。
「へぇー。」
だけど、巨大なネオジウム磁石には近付かないでね。
「何で?」
君が金属だからさ。
「なるほど、くっついて離れなくなるって訳だ。」
ご名答!
と言う所で、次回からナレーターさんがナレーションを担当します。
「え、私じゃ駄目なの?」
お前がナレーション勤めたら突っ込む所で突っ込めないからな。
「そんな理由は通らないよ。ナレーターに来るなって言いなさい。。」
俺は誰の指図も受けない。
俺がやる事は俺が選ぶ。