第2の事件、速攻解決!
速攻解決します。
また、後半はかなり盛り上がるので、期待していて下さい。
警視庁を後にしたウチら三人は、事件現場へとやって来た。
「黒崎、遺体は入って直ぐの所にあったんだな?」
「触れて確認したから間違い無い。」
「ふ、触れただと!?」
「ああ。」
「そ、それで、体温はどうだった?」
「まだ温かかったぜ。」
「ふむ、殺されたばかりだな。」
二人は遺体の状況について語り合った。
何やのこの人達は?
ウチ、全然ついて行けへんのやけど?
「発見した時間は何時だ?」
「それやったらウチ知ってる。12:00をちょっと過ぎた頃や。」
「んじゃ、12:00と・・・。」
警部は手帳にメモをした。
へえ〜、警察って些細な事までメモするんや。ウチ、初めて知ったわ。
って、ウチを無視して何処行くねん!?
ウチは二人を追いかけた。
どうやらこの二人、店員の話を聞きに行くみたいやな。
「すいません。」
警部はテーブルを拭いていたウエイトレスに、警察手帳を見せながら声を掛けた。
「ご苦労様です。」
ウェイトレスは振り向くと会釈をした。
「あの、昨日の事件の事で少々お話を聞きたいのですが、お時間は宜しいでしょうか?」
「すいみません、私時間が無いので、失礼します。」
そう言って会釈をすると、ウエイトレスは焦る様に、急いでその場を去った。
ウチは咄嗟に名札を見た。
金島 香織、そう書いてあった。
何やろ、あの人?
「しゃーねー、あいつは後回しにして他の人に聞くか。」
警部はそう言った。
「ああ。」
黒崎はそれに賛成した。
ウチらは、レジの前にいる男の人の所へ行った。
警部は、その人に警察手帳を見せた。
「昨日の事件の事で、少々お話を伺い・・・。」
警部が途中まで言うと、男は忙しいと言い残して去ってしまった。
アカン、名札見そびれてしもうたわ。
やけど、あの人もそうやけど、今の人もめっちゃ怪しいで。
「あ、すいません。」
警部は偶然通りかかったウエイターに声を掛け、警察手帳を見せた。
「はぁ、警察の方ですか。」
「あの、昨日の事件の事でお伺いしたいのですが、お時間の方は宜しいでしょうか?」
「ええ、構いませんけど。」
警部は手帳を開く。
「貴方のお名前を教えて下さい。」
ウエイターの名前は、小島 聡。
彼が言うには、事件当時の被害者は、殺される、と何度も連呼して怯えていたらしい。
また、小島は何で怯えているのかを聞いたが、被害者は理由を教えてくれなかったと言う。
「成る程。他に変わった所とかは?」
「いいえ、特には・・・あっ!」
「どうかしました?」
「そう言えば、この間、大島君と喧嘩をしてました。
大島君、彼女にこう言ったんですよ、『殺してやる』って。」
「大島君とは?」
「大島 玲次、さっきレジの前にいた男だよ。慌てて逃げたみたいだから、何か隠してるんじゃないかな?」
「彼、今どこにいるか解ります?」
「そうだな・・・。」
小島は少し考えた後、口を開いた。
「多分、トイレにいると思いますよ?あいつ、都合が悪くなると、トイレに立てこもっちゃうんです。」
「そうですか。ありがとうございます。」
警部は会釈をした。
「行ってみるか?」
黒崎は警部に言った。
「行くでしょ、普通。」
ウチらは、大島が立てこもっとるっちゅう、トイレへと足を運んだ。
男子トイレの個室に誰かが潜んでいる気配がする・・・。
コンコン!
「大島さん、いるんでしょ、出て来て下さい。」
警部は話を掛ける。
コンコン!
「大島さん?」
返事が無い・・・。
「返事が無いな・・・。」
警部は黒崎に顔を向けて言う。
ウチは気になりよったさかい、登って個室の中を確認した。
ん、死んどる!
大島は、個室の中で洋式の便器に座って息絶えていた。
「奥村、中の様子どうなってる?」
「大島はん、中で亡くのうとるねん。」
「何!?」
「本当か!?」
「ホンマや。
今開けたるさかい、ちーとばかし待っててくれへんか?」
ウチは個室の壁を乗り越えて中に入った。
何やろ、この甘酸っぱい臭い?
ウチは臭いの元を辿った。
どうやら臭いは大島の口からするみたいだ。
こりゃ青酸カリやな。
アカン、鍵開けんと・・・。
ウチは横に動かして開閉する鍵に触れた。
ん、何や?
糸が絡まっとるけど?
ウチは糸を回収した。
他に何か怪しいもんあらへんかな?
ウチは遺体のポケットや、貯水タンクの中とかをあさってみた。
何もあらへんなぁ・・・。
「おーい、何やってるんだ?早く開けんか?」
アカン、開けるの忘れとった。
ん、壁に針が一本通るくらいちっこい穴が開いとるで。
アカン、雑念は棄てるねん。
ガチャ!
ウチは鍵を開け、扉を開いて個室を出た。
入れ替わりに、警部が手袋をして個室に入る。
「アーモンド臭、遺体に目だった外傷無しか。こりゃ自殺だな。」
ホンマにそうやろか?遺書もあらへんし、青酸カリの容器も見あたらへん。自殺にしてはおかしすぎや。
待てよ、大島はんが毒だけを持ち込んだとするやろ、ほしたら、何とでも説明が付く。
やけど、そないにまで他殺に見せかけたがるっちゅう事は、どういう訳やろか?
「ん、壁に穴が開いてるな。」
お、警部はん、壁の穴に気付いたな。
「どうせ餓鬼の悪戯だろ?」
黒崎が言うた。
「そうか。」
納得する警部。
アンタらアホやな。その穴は、糸を・・・!?
そうか、そうやったんか!密室の謎も、第1の殺人も、大島はんの事も、ぜええんぶ一つ残らず解ったで!
二人ともそこで大人しく待っとれ!悪いけど、手柄はウチが独り占めや!
ウチは先ほど話をした小島に会いに行った。
「あ、さっきの。どうしたんだい?」
ウチはニヤニヤしながら小島の顔を見つめた。
「な、何だい、そんなニヤニヤして?
僕の顔に何か付いてるかい?」
「小島はん、ウチ、ぜええんぶ一つ残らず解ったで!」
「な、何の事だい?」
「昨日、川村 美紀はん殺害したんと、さっきトイレで大島 玲次はん殺害した真犯人の事や!
とぼけさせたりはせえへんで!」
「な、何が言いたいんだい、君は?」
小島に焦りの表情が浮かぶ。
「ゴチャゴチャ言うとる場合やあれへん、要はアンタが川村はんと小島はんを殺害した犯人やと言っとるんや!」
「ハッハッハ、それは面白い。是非聞かせて貰おう。」
小島は余裕の満面で言った。
「良いやろ、何度でも言うたるわ!
アンタは先ず、男子トイレに行き、川村はんが来よって女子トイレに入るのを待っとった。
ほんで、頃合い見図り、女子トイレに入って川村はんの胸に包丁刺して刺殺したっちゅう訳や!
次に小島はんの件や!
アンタは小島はんに予め、『警察はあんたに疑いの目を掛けてる、警察が来たらトイレに来い』と、伝えておき、巧く小島はんをトイレに呼び出した。
ほんでアンタは、隠し持っていたナイフか何かを小島はんに突き付け、『これを飲め』と青酸カリのジュースかなんかを飲ませたんや。
その後、アンタは小島はんの遺体を男子トイレの洋式便器に座らせ、壁に針一本通せるくらいの穴を開け、細い糸を二重にして鍵に引っかけ、両端をその穴に通したんや。
ほんでドア閉めて糸を引っ張れば、なあんもせんとホッタラかしといても鍵が掛かりよって密室が出来上がる訳や!
そん時の糸の切れ端が、何でやろかウチもよー知らんが、鍵に引っ掛かってたで!」
ウチ例の糸をポケットから出した。
「なあんも確認せんとそのままホッタラかしにしよったのが仇になったなあ!」
「ほぉ、全て完璧だと思ったが、思わぬ所にミスがあったか。
あんた、何で俺が犯人だと解ったんだ?」
「オンナのカンや!」
「ふっ、まぁ良い。全て知られたからには、此処で死んで貰おう。」
そう言って、小島はウチの首を掴もうとした。
「触れんじゃねえよ、卑劣な極悪外道があ!」
ウチは小島の腹を思い切り蹴飛ばしてやった。
「ってぇな!」
小島は、ポケットからナイフを取りだし、シャキン、と刃を出した。
小島は右手でそれをウチの首に突き付ける。
「そないなもんでウチを脅せると思うたら大間違いや!」
ウチは大島が握っとるナイフの刃を左手で思い切り握った。
手の平から血が出たが、これで刺される心配は無い。
小島はナイフを引っ張った。
が、ウチは力を入れて動かへん様に固定した。
「な、何だこの力!?凄い力だ!とても、女とは思えん!」
「関西の女なめたらアカンでえ!」
ウチは右手で小島の右手首をチョップ。
ボキッ!
小島の右手首の骨が折れた。
「がああっ!」
小島は叫びながら右手首を抑えた。
「くっ、クソ!覚えてやがれ!」
小島はそう言って、その場から逃げ出した。
「逃がすかよ!」
ウチは偶々手に持っていたナイフを、逃げる小島の後頭部目掛けて思い切り蹴り飛ばした。
ズシューン!
ナイフが空気の摩擦で燃えながらもの凄いスピードで飛んでいき、熱で球体に変化して小島の後頭部に当たった。
「ぐはっ!」
小島は気絶してその場に倒れた。
ウチが犯人成敗した後、
「今凄い音がしたぞ!?」
と、黒崎と警部が駆けつけてきた。
「こ、小島さん!?」
警部は小島に駆け寄った。
「警部はん、そいつ真犯人やで。」
「な、何だと!?てか、何故気絶してるんだ!?」
「襲ってきよったからウチがのしたんや。
そないな事より、はよ手錠掛けとかんと、小島はん逃げてまうで?」
「あ、ああ。」
警部は手錠を出し、小島の手首に手錠を掛けた。
「ん、右手首の骨が折れとる。」
警部は手錠を掛ける際に呟いた。
「奥村!手、怪我してんじゃねえか!?」
「これ?
小島はんがナイフ突き付けた時に思い切り握ってやったさかい、切れてしもうたんや。」
「大丈夫かよ?」
「このぐらいウチは平気や。」
「で、肝心のナイフは?」
「あれや。」
ウチは金属のボールを指差した。
「何だ、ただのボールじゃないか。」
黒崎はボールに触ろうとした。
「熱いから触んなアホ!」
ウチは黒崎にそう言った。
が、時既に遅し、黒崎はボールに触れていた。
「あっちいいいい!」
黒崎は手に全治一ヶ月の酷い火傷を負ってしもうた。
「せやから言ったのに・・・。」
ウチはボソッと呟いた。
これで、ウチが新一君と初めて会うた時の話は終わりや。
せやけど、まだまだウチの体験話は続くんや。
次回もお楽しみにしいや。
ほななあ。
真理絵のぽろり
もの凄いど迫力やわ。
もう、ウチは何も言う事あらへん。
作者から
最後はもの凄い迫力でした。
名○○コ○ン(○多過ぎて解らんわ!)のキッ○力増強シューズより威力あるんじゃないんでしょうか?
次回もお楽しみに。
ほなさいなら。