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レストラン殺人事件

予定通り、事件発生です。

ウチは靴を履き、黒崎を追い掛けた。

途中まで歩くと、黒崎は足を止めた。

「何故付いてくる?」

黒崎は聞いた。

な、何て答えよ?

先生に呼び戻して来いって言われた事言っても、シカトされるだけやろうし・・・。

「ウチ、黒崎はんの家って、何処にあるんかなと気にのうて。」

うわー、何言うとるんやろ、ウチ。

「来るか?」

「え、ええの!?」

「ああ。どうせ、帰っても暇だし、話し相手が欲しかった所なんだ。」

「せやな、ウチも暇やから、ちーとばかしお邪魔させて貰お。」

な、何言うてんやろ?ウチ、初対面の人の家には行かない主義なんやけど・・・。

でも、何でこないにも行きたがるんやろ?

それに、何やろか、この気持ち。胸がドキドキするねん。

その時のウチはまだ、その理由に気が付いておらんかった。

「そうと決まれば、はよ行くで。」

ウチはテクテクと、黒崎を通り越して歩いていった。

「何してんねん?はよ行くで?」

「いや、あの、家、此処なんだけど?」

黒崎は一軒の小さな家を指差した。

「せ、せやの?」

ウチは焦って引き返した。

黒崎はキーを取り出すと、鍵を開けて中に入った。

「なぁ、黒崎はん?」

「何だ?」

「親っておらへんの?」

いきなり、何聞いてるんやろ?

「いないんだ・・・。」

黒崎は俯いて暗くなった。

「黒崎はん、どないしたん?」

「い、いや、何でも無え。」

黒崎はそう言って、鞄を床に置いた。同時に、ウチの腹の虫が、グー、と鳴いた。

あまりの恥ずかしさに、ウチは赤面した。

「お前、腹減ってんのか?」

ウチはその言葉に頷いた。

「じゃ、何か食べに行くか?」

「え、ええの!?」

「良いぜ、別に。

今日は転校の祝いだ。奢ってやるから好きなだけ食べな。」

黒崎は微笑みながら言った。

またや。またさっきのドキドキや。

ま、そないな事どうでもええわ。

今は飯や飯!

ウチは黒崎と一緒に、近くのレストランへ向かった。

「お前の名前、奥村だっけ?」

「そうやけど?」

「ふーん。」

と、黒崎は鼻を鳴らした。

「それだけなの?」

ウチはそう言ったが、黒崎の耳には届かなかった。

そうこうしている内に、ウチらはレストランに到着した。

ウチらは早速中に入った。

店内は、わりと広く、お昼前なのか、客も沢山いた。

「何名様ですか?」

ウェイトレスが聞く。

「2名。」

黒崎が言うと、ウェイトレスは空いている席へと案内した。

「少々お待ち下さい。」

ウェイトレスはそう言い残し、厨房の方へと入って行くと、直ぐにお水を持って戻って来た。

ウェイトレスは丁寧に、おぼんの上からお水とお手ふきを置く。

「メニューはそちらにありますので、お決まりでしたらお呼び下さい。」

ウェイトレスは、テーブルの脇にあったメニューを差すと、その場を去った。

ウチはメニューを取って開くと、お目当ての物を探した。

お、あるやんあるやん。ウチの大好物が。

「黒崎はんは、もう、決めたんやか?」

「ああ。」

「ほな呼ぶで。

すみまへーん。」

ウチは店員を呼んだ。

店員は、声に気付くと、直ぐにやってきた。

「ご注文はお決まりでしょうか?」

と聞く、先ほどのウェイトレス。

「ネギトロぶっかけお願いしまんねん。」

ウェイトレスは、手に持った機械に入力した。

「じゃ、俺は大辛に挑戦しようかな。」

「大辛でございますね。

こちらは、おつゆを含め、全部完食致しますと、料金が半額になると言うサービスを行っています。また、激辛を完食・・・。」

ウェイトレスが途中まで言うと、

「説明はもう良い。」

と、黒崎が言った。

ウェイトレスは少し戸惑ったが、直ぐに冷静さを取り戻した。

「えっと、ネギトロぶっかけがお一つ、大辛ラーメンがお一つ、以上で宜しいですね?」

「ああ。」

かしこまりました。少々お待ち下さい。」

ウェイトレスは、ニッコリと微笑みながら言い、厨房へと向かった。

その際、ウチには聞こえた。

「何だよあのクソ餓鬼。」

と言う囁き声が。

まぁ、多分・・・多分やで、ウチもようしらんが多分気のせいやろ。

「おい、聞こえてるぞ。」

黒崎がウェイトレスに向かって言い放った。

ウェイトレスは、それに反応し、びくっとして振り向いた。

「お、お客様?

私は、『何だよあのクソ餓鬼』なんて一言も言ってませんわ。」

そう言って、向き直ると、歩き出した。

「待て。」

黒崎が立ち上がってウェイトレスの方を掴んだ。

「な、な、なな、何でしょうか、お客様?」

ウェイトレスが冷や汗をダラダラと垂らした。

「何で言った筈の無いお前がそれを知っているんだ?」

「いやー、何故でしょうか?」

「答えられないなら俺が代わりに答えよう。お前が俺に自分で言ったからだ。

嘘を吐くなら、もっとバレ難い嘘を吐け。」

そう言うと、黒崎は席に戻った。

何やのこの人?

ウチはそう思った。

ウェイトレスは、怯えながら厨房へ入っていった。

「く、黒崎はん、ウチ、トイレ言ってきまんねん。」

そう言って、ウチは取り敢えずその場を離れた。

その辺彷徨くのもあれやし、ホンマにトイレ行こか。

ウチはホンマにトイレへ行った。

「きゃああああ!」

トイレに入るなり、ウチは大きな悲鳴をあげた。

なんと、目の前に、胸に包丁が突き刺さった店員が倒れているでは無いか。

ウチは腰を抜かし、動けなくなった。

「どうした!?」

悲鳴を聞いた黒崎がウチの下へ駆け付けて来た。

「あ・・・あ・・・ああ・・・あ。」

ウチは声にもならない呻き声を出しながら、目の前にあるそれを指差した。

黒崎はそれを見ると、素早く駆け寄って様子を確かめた。

「駄目だ、亡くなってる。」

亡くなってるって、ホンマやの、黒崎はん?



この事件、真理絵に解かせるか?



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