第1章:転校生
この話は、黒崎 新一と奥村 真理絵が最初に出会った時の事を奥村 真理絵視点で書いています。
真理絵は、関西弁を喋る女の子と言う設定になってるんで、意味が解らない方はご容赦下さい。
「真理絵、起きなさい」
母さんが私を起こす。
「ん? 今何時やの?」
「八時半、学校遅れるよ?」
八時半か……ん、そらアカン!
転校初日に遅刻なんかしよったら、洒落ならへん。
ウチは飛び起きると、急いで支度をした。
「行ってきまあす」
「御飯は!?」
「いらなあい!」
ウチはそう言い残し、走って学校へ向かった。
「はあ、はあ、はあ、はあ・・・。」
学校に着いた頃、ウチは息を切らしていた。
おっと、はよ校長室行かなアカン。
靴を履き替えると、ウチは校長室に向かった。
コンコン——戸を叩き。
「失礼しまあす」
と、校長室に入った。
「奥村さんだね。まぁ、そこに座りたまえ」
ウチは、校長の指示に従って椅子に腰を掛けた。
「じゃ、改めて自己紹介を」
「はい。ウチの……」
アカンアカン、標準語や。
「ん? あんはん、関西の人やろか?」
いきなり関西弁で話す校長。
「あの、もしかして、校長先生も大阪の人なん?」
「そうわ。ワイも大阪出身や。やから、普通に話してもええで」
「そうやろか。では、改めて自己紹介をしまんねん。ウチの名前は、奥村 真理絵や。今月からお世話になるさかい。シブロクヨンキューお願いしまんねん」
「はい、それやあ、職員室に行って、大山先生にこれを渡してくれへんかの」
そう言って、校長はウチに書類らしきものを渡した。
ウチはそれを受け取ると、校長に一言言い、職員室へと向かった。
「失礼しまんねん」
ウチはそう言って、職員室に入った。
皆はん、目を丸くして驚いた。
そりゃ、関西弁をしゃべる女の子が、いきなり職員室に入ってきたんやから、驚くのも無理はないちゅうわけや。
ウチは、大山先生を見つけると、その前に行った。
「大山先生、校長先生から書類預かってきたんや」
アカン、標準語を使うのを忘れて普通に話してしもた。
大山先生は目を丸くした。
アカンアカン、標準語や標準語。
「あ、すみません。校長先生から書類を預かってきました」
「あ、ど、どうも。」
大山先生はそう言って、書類を受け取った。
「えっと、奥村さんだよね。これから、教室に行くから付いて来て」
そう言って、大山先生は立ち上がり、教室へと向かった。
同じくウチも、大山先生の後を追い、教室へ向かった。
ガラガラガラ!——大山先生が扉を開けて中に入る。
「起立、気を付け、礼、着席」
号令が掛かる。
「えーと、今日は転校生を紹介します」
大山先生がそう言うと、教室が一斉に騒がしくなった。
「誰だろう?」
とか。
「女子かな?」
とか。
「可愛い子が良いなぁ」
と、色々な言葉が聞こえてくる。
「はい、皆、静かに! あまり五月蠅いと、入るにも入れなくなってしまいますよ」
するとどうだろうか。
一瞬にして、生徒が静かになった。
「す、凄っ」
ウチは囁いたが、誰も聞いてはくれなかった。
「どうぞ」
大山先生が言った。
ウチはゆっくり教室に入った。
「うほっ! めっちゃ可愛い!」
「俺、君に惚れた! 俺の愛を受け取ってえ!」
男子共の光る眼差しがウチを照らす。
その時、一人の男子がこう言った。
「おい、てめえら、朝っぱらから五月蠅え。静かにしろ」
そいつは、サングラスを掛け、制服を着用せず、派手な服装をしていた。俗に言う、不良だろう。
ウチがそいつの事を見つめていると、そいつが睨み付けて来た。
ウチは直ぐに目を逸らした。
「亀山、怯えてんだろ?」
そいつの隣にいた男が言った。
どうやら、あの不良は亀山と言うらしい。
「何だとてめえ!」
亀山は立ち上がると、男に殴りかかった。
男は亀山の腕を掴むと、立ち上がって背負い投げをした。
「あの、これは、一体、どういう歓迎の仕方なんでしょう?」
ウチはボソッと呟いた。
「これは歓迎じゃない……」
大山先生は呆れた様子で言った。
「黒崎、五月蠅いからそいつ黙らせといて」
大山先生はそう言った。
ボガッ、ボガッ、ボガッ、と数回音が鳴ると、亀山と言う男はその場で気絶した。
な、何やのこのクラス?
ウチ、こないなとこでホンマにやってけるんやろか?
「はい、じゃあ、静かになった所で、自己紹介お願いね」
大山先生が黒板に、ウチの名を書きながら言った。
「ウチの名は……」
アカン、標準語や。
「どうした? 緊張してるのかな? えっと、彼女は……」
大山先生が言いかけると、ウチが口を開いた。
「ウチ、やのうて、私は、奥村 真理絵。大阪の学校から来ました。半端な時期だけど、シブ・・・宜しくお願いします」
「そう言う事だ。皆、仲良くしろよ」
大山先生がそう言うと、皆が一斉に返事をした。
「じゃあ、奥村さんは、あの席に座ってくれるかな」
大山先生は、亀山を気絶させた男の隣の席を指差した。
ウチはゆっくりと、その席に向かった。途中、数人の男子から鋭い視線を感じたが、何とか席に座る事が出来た。
「お、奥村……ま、真理絵です。よ、宜しくお願いします」
ウチは亀山を気絶させた男に声を掛けた。
「黒崎 新一だ」
男は名乗ると、鞄を持って教室を出て行こうとした。
「黒崎、授業始めるぞ?」
「帰る」
黒崎はそう言い残し、教室を出て行ってしまった。
「お、奥村さん、悪いんだけど、連れ戻して来てくれないかな?」
大山先生に頼まれたウチは、黒崎を追いかけた。
「黒崎はん、ちょっと待ってくれへん?」
ウチは黒崎に声を掛けたが、黒崎は無視して玄関まで行ってしまった。
しゃーないので、ウチも彼の後を追った。
「シブロクヨンキュー」って、「宜しく」って事らしいです。
ん?
事件は次回辺りですよ。