“葬儀屋”、伝承。
「これで、其は立派な“葬儀屋”だ。」
「…え?」
「“葬儀屋”は、消えなければならない。
“葬儀屋”は一人で十分だ、そういう決まりだ。」
「なんで…です…か!」
「だから、君に全部教えた。これで安泰だね。」
「“葬儀屋”さん…っ!」
さらさらと、“葬儀屋”のあちこちが砂になって消えていく。
「私は長く行き過ぎた。弟子なんていなかったから。」
「…そ…んな!」
「君は早く弟子を取って、人間として死んでくれ。」
「…!」
たった一人で、300年の間“葬儀屋”をしてきた、“葬儀屋”と、違うようにね。
と、“葬儀屋”は最期まで笑って見せた。
「あ…あ…ぁ、つまん…ね…」
ガラガラと“葬儀屋”は砂になって骨だけが残った。
葬儀屋は一人でなければならない。
葬儀屋は死と対面した存在ではならない。
フィクションだからこそできる終わり方です。
葬儀屋シリーズを連載して、いろいろな葬儀に出会えてよかったです。
まだ、葬式の仕方があるよ~と言うなら、ぜひ教えて欲しいです。