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天然彼氏  作者: 湖真子
1/8

みちゃった

学校ものです。一応、高校生です。

食堂に行くと偶々見かける私の二つ上の先輩。三年生。三年生は私から見たら大人。

黒い前髪が少し長くて、青いフレームの眼鏡に少しかかっている。ワイシャツの第一ボタンまで留めて、学年ごとに色が違うネクタイを締めている。その姿が真面目で冷たい雰囲気があった。

大声で笑う事無く、時々友達の話に唇の端が上がる程度にしか表情が変わらない。

その先輩の隣には髪の毛を枯葉色に染めた先輩の雰囲気とは対照的な友達が側にいた。制服を着崩し、いつも楽しそうに笑ってた。その対照的な二人がいつも一緒なのが私の目に留まった。

本当にそれだけだった。

あの姿を見るまでは。





高校生活も慣れる五月。その頃にはお気に入りの場所とかが出来る。

(…何かブルーだなぁ…)

葉っぱが日の光で透ける木が私は好き。特に東側にある庭を特別等を繋ぐ渡り廊下の上から見下ろすのが一番好き。だから何故か理由も無く凹んでいて泣きたくなる気持ちを少しでも向上しようと朝早く来て、渡り廊下に向かった。

渡り廊下は両側を黒い柵で特別等を繋いでいる。天井は青いトタン屋根。柵の外側にガラスで出来た強化ガラスという壁で覆われている。十年ぐらい前の生徒が飛び降り自殺をしたから後からつけられたと言う噂があるけど本当のところは知らない。その噂がある所為かこの渡り廊下を渡る者は少ない。誰かに邪魔をされる事がないので私には有難いけど。

渡り廊下にたどり着くと、灰色のコンクリートで出来た床に私はしゃがみ込んだ。


(…あたたかい~お日様ぽかぽか~)

渡り廊下は日の光が入ってきてぽかぽかと暖かい。早朝の少しひんやりとした空気を優しい光で暖めてくれる。暖かさを満喫しながら柵の間から目当ての木を眺める。

(…きれ~…)

宝石のように輝く葉っぱに見とれてると先程まで凹んでいた気持ちが向上していくのが分かる。その証拠に歌いたくなった。

「…あれ?」

葉っぱばかり見て気が付かなかったけど、気の根元に人がいた事に気が付いた。ワイシャツ姿の男の人。木の近くにあるベンチに男の人の上着と思われるグレーのブレザーがたたまれて置いてあった。

その男の人は動物と戯れていた。


(えぇぇぇ?! うそぉ!! あのクールそうな先輩が!!!)

私は驚いた。きっと間抜けだと言われそうな顔をしていたかもしれない。

時々、食堂で見かけるあの冷たそうな硬い表情の先輩が子犬と戯れていた。今まで見たことの無い表情をしていた。瞳をとろける様にしては子犬見つめる。その瞳は子犬が可愛いと思っている事が見て分かるほど。

甘い甘い瞳。

「!!」

その表情に私の全身に熱が巡る。心臓がドキドキして何故かこの場から逃げ出したくなる。でも見たい。

見たいけど見てはいけない気がする。

でも、見ずにはいられない。

私の瞳は目的の葉っぱの事を忘れてずっと先輩を見つめていた。

(いいなぁ…私も混じりたい…その瞳で見つめられたい…!!)


気が付くと私は罪も無いつぶらな瞳をした子犬に嫉妬していた。

(子犬ずるいなぁ……どうしたら見つめてくれるんだろう?)


先輩が予鈴の音に気が付いて庭から去るまで私は先輩を見続けた。


読んでくださいましてありがとうございます。

誤字脱字に気をつけてますが、あったら申し訳ありません。

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