第四十六話 ヴェネツィアの街の宴
リクは急遽決まったヴェネツィアの街の宴の間に一人で考えていた。
ミライクリス教の教徒が持ってきた人形が魔王軍幹部のヴァンパイアのウォーリーだったという事はミライクリス教と魔王軍は繋がっている?
その可能性は高そうだ。
最近は聖女ミナミがミライクリス教の聖女に戻ってきたらしい。
「聖女ミナミが魔王軍と繋がっているかもしれない、か」
リクは魔王軍との戦いに備えるべきだなと思う。
「聖女ミナミと魔王軍も許さない。セリーナ様に呪いをかけている時点で罪は重いね」
リクは聖女ミナミがどうかかわっているのかわからないが、敵だと認定する。
リクが今後の対策を考えていると、部屋の扉がノックされた。
「セリーナの呪いを解いてくださった冒険者クランの優星団の一行とシェンナ伯爵たちを皆のもので祝おう!」
ヴィクトール伯爵がヴェネツィアの街の広場で声をあげる。
住民たちは歓喜の声をあげる。
セリーナ様の呪いを解くとはなんと素晴らしい事か!
病に臥せっていると聞いていたが、呪いだったとは知らなかったわね。
リク様かっこよすぎるわ!
セリーナ様がリク様と腕を組んでいるわね! とてもお似合いだわ!
リクはセリーナ様とシェンナ様に腕を組まれて、パレードに呼ばれていた。
「リク様のお陰で、呪いは解けて、短い間でしたが一緒に戦うことができましたわ」
「そうだな。まあ後は、健康に気を使いながら、この街でゆっくりすることだ」
「嫌ですわ」
「え?」
リクはセリーナ様とシェンナ様のやり取りを黙って聞いていたが、セリーナ様の一言に首を傾げる。
「私も王都に行きますわ! 何なら一緒に冒険者として戦います!」
「セリーナ様、それはダメですよ」
セリーナ様はヴィクトール伯爵の大事な娘。
流石にそれはダメだろう。
話を聞いていた、ヴィクトール伯爵も渋い苦笑を見せる。
「セリーナ、貴族には貴族の務めがある。冒険者にはなれないよ」
「そんな⁉ お父様。ならばリク様のお嫁さんになりたいですわ」
それも流石にダメだろう、と思っていたが急にニコニコし始めるヴィクトール伯爵。
「うむ。それは大いに推奨したいな。リク様は騎士爵どころか、男爵、子爵以上になってもおかしくないお方だ」
「え?」
「だからリク様が領主となった暁にはセリーナを娶ってもらうというのはどうだろう?」
その言葉に首をヴィクトール伯爵に向けて反応するシェンナ伯爵。
「リクは私の婿になると決めているのだが?」
「シェンナ伯爵よ。リクは大きくなる。その時に一伯爵の婿で収まる器ではないのは知っているだろう」
「むう」
それを聞いて、シェンナ伯爵は頬を膨らませる。
ちょっとかわいい。指で膨らんだ頬を押したいけど我慢する。
「ならば、私も伯爵をやめる!」
「シェンナ伯爵、それはちょっと……」
「今日のリクは他人行儀だな」
シェンナ伯爵はリクをギロっとにらむ。
怖いけど可愛い。
「リクは渡しません!」
「ご主人様は俺たちの物だぜ」
「リクは王の器があるからね」
アナリス、リリ、サラがシェンナ伯爵と話している。
「ならばリクの興した国に行く!」
いやいや簡単に国は興せないでしょう。
リクは無言で首を振る。
そこに蝶華優閃のメンバーからのツッコミが入る。
「リクのスキルがあれば、優れた国ができると思うけどな~」
「俺っちもそう思う! そこで冒険者になる!」
「優星団ほどのクランであれば、もちろん受け入れてくださいますよね」
「ん。リクは最強。王になれば暗殺の心配は減る」
ハクとギンも口をそろえる。
「我もリクの興した国に行きたいぞ」
「主の意思に従うのみ」
僕は、どうなんだろう。国を作りたいとかは思ってないけど、みんなが安心して暮らせる場所を作りたいとは思ってる。
それは国を作るとかの話になるかは別だけどね。
皆が意見を交わす中、ヴェネツィアの街の宴は続く。
僕が作った醤油や味噌? っていう調味料は好評で、宴の料理にも使われている。
後は昔村に来たおじさんが言っていたお好み焼きっていう料理も作ってみた。
キャベという野菜を千切りにして、海鮮類と白銀猪の肉も使ったお好み焼きだ!
これがめちゃくちゃウケて、料理を作っているときに飛ぶように売れていく。
アナリス達や蝶華優閃のメンバーも手伝ってくれて作り方を教えて、分業しながら屋台に来る人達をさばいていく。
なんだ、この料理! めちゃくちゃ美味しいぞ!
海鮮類とキャベと豚肉みたいな肉がめちゃくちゃ美味しいわ!
これは美味しい! レシピを教えてくれ!
商業ギルドの職員にお好み焼きの作り方を教えてあげたら涙を流しながら喜んでくれた。これは後日、レシピの公開と使用料を詰めなければいけないな。
と思っていたら専属ギルド職員のマーシャが僕にサムズアップしながら商業ギルドの方に行ってくれた。
これなら悪い条件にはならないだろう。
皆の笑顔がはじけ飛ぶいい宴だな~。
お好み焼きは売り切れて、リク達は領主の館で酒を飲むことになった。
でも今回は絶対、添い寝はしないぞ!
リクはそう決意するが……。
アナリス達がリクにぐいぐいと酒を進め、飲むしかなくて飲むとどんどん酔ってくる。
あれ? これっていつものパターンでは?
シェンナ様は何故か口移しで酒を飲ませようとしてくる。
セリーナ様もワインを飲みながら、リクの肩に頭をのせていた。
そしていつもの、ドナドナ~。
リクは抵抗も虚しく、セリーナ様とシェンナ様と優星団のメンバーに引き込まれてキングサイズのベッドに案内される。
リクは目くるめく、添い寝の世界に引き込まれるのであった。
第二章はここで完結です!
王都への旅が思ったよりも長くなって申し訳ありません。
ここまで読んでくれた読者さんありがとうございます。
☆☆☆☆☆を★★★★★にしてくれると泣いて喜びます!
ブクマや感想もお待ちしています!
迷いましたがここで第一部完結とします。続きはもう少しお待ちください!
皆さんが読んでくれるからかけた作品です! 本当にありがとうございました。




