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第三十二話 盗賊の頭領、オルキッド

 捕らえた盗賊たちをババロの街の衛兵に引き渡した。

 罪が軽い者でも犯罪奴隷とされて鉱山で働かされるだろう。


「この森に盗賊の頭領のオルキッドがいるんだな」

「そうみたいですね」

 リクとシェンナ伯爵が森をにらみながら話している。



 リクの気配察知には森の中腹に百人ほどの気配がする。


「先ほど、ババロの街で確認したが、商人や冒険者たちを襲っているらしい。つまり捕らえれば死刑は免れないという事だ」

 

 つまり、元聖騎士オルキッドは取り返しのつかないところまでいっているという事だ。

 やるしかない、か。


「リク、行くわよ」

「俺たちがやるしかないぜ」

「元勇者パーティーの一員としてオルキッドを討伐しないとね」

 アナリス、リリ、サラが気合を入れる。


「シェンナ様は強いが、相手は元聖騎士だ。リク、シェンナ様をしっかりと守るのだぞ」

 リリーナも同行するが、リクにもシェンナ様を守ってくれるように頼んでいる。


「勿論だよ。ハクとギンも頼むよ」

「無論じゃ。盗賊如き、話にならんわ」

「主の頼みなら勿論聞く。切り込むのは俺に任せろ」


 ハクとギンも気合十分だ。


 騎士団の面々も装備を整えている。


「よし行くぞ!」

 シェンナ様の号令でリク達は森の中腹に向かった。



 **



 ババロの街の前の森の中を進んで行く。

 気配を探りながら進むと森の中に広場と拠点ができている場所を見つけた。


「あそこだな」

 時刻は夕方。一仕事終えた盗賊たちが酒盛りをしている。


「シェンナ様、盗賊を逃さないように騎士たちで包囲させませんか?」

「うむ。よし、頼むぞ」


 無言でうなずいた騎士たちが拠点を包囲する。

 アナリスとサラは魔力を練り上げて魔法を打つ準備をする。


「撃て!」

「ウォーターストリーム!」

「ストームトルネード!」


 サラは水魔法(大)をアナリスは風魔法(中)を撃つ。

 二つの魔法は拠点に着弾すると、水流が風に巻き上げられて、竜巻のような形となる。


 空中に弾き飛ばされる盗賊たちと武器を取ってこちらに向かってくる者たち。

「主に俺の雄姿を見せねばな」


 ギンが白銀猪の姿に戻り、突進を開始する。

 俊敏(大)の突進は恐ろしい。

 あっという間に盗賊たちは跳ね飛ばされる。


 盗賊たちは逃げようとするが……透明な壁が行く手を阻む。

「我の壁を超えられるのじゃ?」


 白い壁に武器を叩きつけている盗賊たち。

「お前ら! 武器を取って戦え! 逃げたら地の果てまで追って殺してやる」

 出たな。オルキッド。

「俺の斬撃に散らされろ!」


 水と風の混ざった竜巻を大剣の溜めからの斬撃で散らすオルキッド。

 聖騎士の鎧は血と汗で汚れて、見る影もない。


「オルキッド! どれだけの人を殺したんだ!」

「リクううううう! 全部お前のせいだ。殺す!」


 三十人ほどの盗賊たちを率いて、リク達に迫ってくる。

「周りの雑魚は任せるんだぜ!」

「私も今回はリクに譲ろう」

「シェンナ様! ご一緒します」


 リリとシェンナ様とリリーナが散開して、俊敏(大)以上の速さで盗賊たちを斬り殺していく。


 オルキッドは三人に向かって斬撃を放つが……リクも黙っていない。

 ブラックメタルで作られたハルバードを振るい、衝撃波を放ち相殺する。


「俺はな、お前がいなくなってから散々な目に遭っている。だからお前を殺す前に女共を犯して、絶望の底で殺してやる!」

「オルキッド……君はとことん堕ちるところまで堕ちたようだね。僕が全身全霊で君を倒すよ」


 リクは怒りをにじませて、自然とカリスマ(極)を解放する。

 味方には頼もしさを感じさせるエールを、敵には絶望を見せる威圧となる。


「な、なんだ! その得体のしれないオーラは!」

「君に教える必要はないね」


 オルキッドは動揺しながらも鋭い踏み込みで大剣を下から振り上げる。

 リクはそれを身体強化(大)+(中)で最小限に躱して、ハルバードを振り上げる。

「はっ! 見え透いてるんだよ!」


 オルキッドは大剣を大盾に換装し、吹き飛ばされながらも耐える。


 そうだ。聖騎士オルキッドの頃は大剣で斬撃、大盾でタンク役と勇者クリス以上の活躍を見せていた。

「死ねええ!」


 段々とカリスマ(極)に慣れてきたのか、動きが良くなっているオルキッド。

 だがまだリクは身体強化(大)+(中)しか使っていない。


「次の一撃に耐えられるかな?」

 身体強化と闘気(大)と重撃(大)からの槍術(大)!

 リクのブラックメタルハルバードとオルキッドの大剣がぶつかり合う。


 ガキィン!

 弾かれたのは、勿論オルキッドの大剣。

 重撃(大)の効果で大剣がひしゃげる。


「クソッ! まだだ! 大盾としてなら使える!」

 凹んだ大盾に換装し、リクの一撃を受け止めようとするが……。


「カリスマ(極)も加えて攻撃してあげるよ」


 森に一瞬の静寂が訪れる。そこからの……。


 ――小さき巨人の咆哮。



 ハクとの戦いで学んだ威圧(大)の使い方をカリスマ(極)で試すリク。

「うおおおおおお!」


 オルキッドは軽く振られるように見えたリクの大きな一撃に耐えきれずに体を衝撃でへこませ、内臓や骨と筋肉をボロボロにされながらハクの結界に叩きつけられる。


「なんと。我の結界にひびを入れるとは。流石リクじゃ」

 リクはあえてその言葉に返事をせず、カリスマ(極)を発動したまま、オルキッドの所まで歩く。


 周りの盗賊たちは武器を捨てて、すでに諦めていた。

「リクは英雄という器さえも超えるかもしれないな」

 シェンナ様は一人、リクの可能性を考えていた。


「オルキッド、最後に言いたいことはあるかい?」

「く、くそが……死に晒せ。「ゴミ拾い」」

「残念だよ。でも君は殺さない。ババロの街で衛兵に引き渡して、法の裁きを受けるんだ」


 リクは死なない程度にオルキッドの顔をぶん殴る。

 本当は一発だけではすませたくなかったが、これ以上やると死んでしまう。

 オルキッドは盗賊となって罪のない商人や冒険者たちを殺してきた。

 勇者クリスは魔物化したため、リクが殺したが今回は法の裁きを受けさせるべきだ。


 オルキッドが気絶した後、リクはカリスマ(極)を収めて、みんなに振り向く。

「終わったわね」

「うん。オルキッド達を縛ろう」


 リク達と騎士たちで盗賊たちを縛り上げる。

 数珠じゅずつなぎにして歩かせる形になった。


 リクはふと思う。聖女ミナミは何をしているだろう? と。

 あの性格では……何か裏で暗躍するかもしれない。

 リクはふと心配になりながら、森の中で一晩過ごすのだった。



小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

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