第二十九話 貴族たちの宴
「う~ひどい目に遭ったよ」
やっとメイドたちに解放されて、一人部屋で待つリク。
コンコンと部屋がノックされるので、入ってくださいと声を掛ける。
入ってきたのはお風呂に入って、ドレスや身だしなみを整えたアナリス達。
「リク? その、どうかしら」
一番目に入ってきたのは緑色に金色の刺繡をあしらった森のお姫様の様なアナリスだった。いつもは金髪ブロンドのロングヘア―だが今回は複雑に髪の毛を編み込んでいる。
「アナリス! とっても綺麗だ! お姫様みたいだね」
「そ、そう? リクに褒められると嬉しいわ」
「ご主人様! 俺はどうなんだぜ?」
白い狼耳をピコピコと動かす、ケモミミ美少女のリリ。
薄水色のドレスを着ていて、白いケモ耳と合わさってとても可憐だった。
「うん! リリのドレスも似合ってるね。白いケモ耳と合わさってめっちゃ可愛い!」
「そんなにストレートに褒められると照れるんだぜ」
「リク? 私のドレスはどうかしら?」
サラがちょっと頬を赤くしながらリクに聞いてくる。
サラは茶髪ロングのさらさらヘアーだがアナリスと同様に髪を編み込んでいた。
ドレスは赤いドレスに金色の刺繍が入っている。
サラは170センチくらいの長身のためすらっとしたスタイルとドレスが似合っていた。
「サラの茶髪に赤いドレスがとても映えて見えるよ! 綺麗だね」
「フフ。リクのほめ言葉は嬉しいわ」
「我は別にドレスとやらを着なくてもいいんじゃが……まあリクに見せるためなら仕方ないな」
ハクがちょっと文句を言いながらリクにドレスを見せてくる。
白いドレスに銀色の刺繍が入ったとても綺麗なドレスだ。
ハクは銀髪ロングの175センチはある長身だ。
女性的な膨らみも大きく、アナリス達はたまにジト目を向けている。
リクはその大きな包容力から目をそらしながらハクをほめる。
「ハクの幻想的な姿にドレスもよく似合っているよ。とても綺麗だ」
「リクに褒められるとむずかゆいのじゃ。でもありがとうなのじゃ」
最後はギンだ。
銀髪の短髪に黒いタキシードを着ていてとても似合っていた。
リリーナはまだ騎士団長のため、会場の警備に当たっている。
リク達はメイドたちに案内されて会場に向かう。
「カミスの街の英雄、リク達のご入場です!」
リク達は会場に入って、貴族たちの視線を集める。
リクの女誑かしと真の勇者の効果によって、女性陣の視線を一挙に集める。
男性陣からは嫉妬の視線を向けられる。
何か、視線が外せない! 小さいのにとてもかわいい子ね。
やだ! 私のタイプだわ。絶対に落とさないと!
フッ、あんなちびが英雄だと? 確かにオーラはあるが弱そうだ。
とてもきれいな女性陣を連れているな。後で口説きに行かなくては。
リクをけなした男の貴族は周りの女性陣から白い目を向けられる。
「なんだ? 私は伯爵だぞ! このヴィクトール・フォン・ザールブルクを馬鹿にするのか!」
どうやらシェンナ様と同じ伯爵のようだ。
リク達は中央の方の席に案内される。
席の方で所在なさげにリク達は座っていると、赤毛の四十歳ほどの中年貴族が話しかけてくる。
「よう! お前がカミスの街の英雄、リクか! 背はちっちゃいがめちゃくちゃ強そうだな!」
「初めまして。リクと申します。こちらはパーティーメンバー達です」
アナリス達も挨拶する。ハクとギンも会釈はしていた。
「うわさは聞いてるぜ。魔物たちを従える力もあるんだってな。俺はレオナルド・ヴァン・グレイソンだ! よろしく頼むぜ」
赤毛で短髪で気さくな笑顔を浮かべる髭面のレオナルドは子爵のようだ。
話してみると元騎士で冒険者にも理解がある貴族のようだ。
シェンナ様とも仲が良いようで、小声でリクに話しかける。
「お前さん、あのシェンナ様に求婚されたらしいな。あの人はあの見た目だから人気は高いから男どもはお前さんを目の敵にしていたぞ」
「レオナルド様は僕を目の敵にしないんですか?」
「ああ? 様付けなんていらねえよ。そうだな。俺には愛する妻がいるからよ。シェンナ様はとても綺麗だが、妻に顔向けできないからよ」
「なるほど……」
その後も会話ははずみ、ババロの街を治めている領主であることも分かった。
パーティーの主役であるシェンナ様がそろそろ登場するので会話を一旦終わりにする。
「シェンナ様の登場です!」
銀髪ブロンドを靡かせた白色の服に金色の刺繍を基調とした大きな胸を揺らしたシェンナ様が会場に登場する。
シェンナ様はやはり美しいな。
シェンナ様は私にふさわしい。
とっても綺麗だわ!
会場から様々な声が鳴り響く中、シェンナ様はにこやかな表情でリクに話しかける。
カミスの街の英雄、リクに一番に話しかけるなんて!
クソッ、平民風情に最初に話しかけるとは。
リクに嫉妬の声が響く中、シェンナ様は気に留めた様子もなくリクに話しかける。
「やあ、カミスの街の英雄、リク君。パーティーは楽しんでいるかな?」
「ええ。緊張していますが何とか」
「フフフ。私の将来の婿だからね。リク君には慣れてもらわないとね」
シェンナ様の求婚発言に会場がざわめき、我慢ならないといった様子で最初にリクを馬鹿にしていた金髪オールバックの180センチの鷹の様な目をした男が話しかけてくる。
「フッ、平民風情を婿にするだと? 貴族の立ち振る舞いをまだ理解していないようだ」
「私は元々冒険者上がりだが? ヴィクトール・フォン・ザールブルク伯爵」
「シェンナ伯爵は別だ。君は私にこそふさわしい。こんなちびに君の相手は務まらない」
ヴィクトール伯爵はどうやらシェンナ伯爵を狙っているようだ。
そこにレオナルド子爵が話しかけてくる。
「ヴィクトール伯爵の思い上がりは甚だしいようですな。リクはこれからもっと大きくなりますよ?」
「こんなちびが英雄かどうかも怪しい。元勇者パーティーの雑用係で「ゴミ拾い」のリクと呼ばれていたようではないか!」
「舐めていたら足元をすくわれますよ?」
レオナルド子爵とヴィクトール伯爵の舌戦がヒートアップする。
どうやら二人は険悪な仲のようだ。
「リク。カリスマ(極)を発動しなさい」
小声でアナリスがリクに指示する。
え? 僕は別になめられてても良いんだけどな。
でもレオナルド子爵のために、ちょっとやっちゃうか。
リクはパンと手を打つ。
自分に会場の注目が集まったところでカリスマ(極)を発動する。
一瞬で眩い光がリクから放たれ、リクの金髪ショートが逆立つようなオーラが放立れる。
「な、なんだ‼ この度し難い圧は!」
先程までイキっていたヴィクトール伯爵はそのオーラに押しつぶされそうになり、レオナルド子爵は目を輝かせる。
「これは……古のランドルフ王国で天下無双の将軍が放っていたとされるカリスマ(極)ではないか‼」
目をハートマークにしたシェンナ様の解説で会場は騒然とする。
これがカミスの街の英雄、リク!
リク、いやリク様、かっこよすぎ!
ふーん? これは私でもやられそうな雰囲気ね。
最後のセリフを言っていたプラチナブロンドをロングに靡かせた二十台前半の令嬢がこちらに歩いてくる。
「私はイザベラ・フォン。リヒテンシュタインよ。貴方、リヒテンシュタイン侯爵のお抱え冒険者にならない?」
170センチほどの長身の青い目がカリスマ(極)を放っているリクに釘付けになっている。気高く知的で高貴な雰囲気のイザベラ侯爵令嬢がリクを誘ったことに会場はまたざわつく。
あのイザベラ侯爵令嬢が冒険者を勧誘するとは⁉
でもあの二人がコンビを組んだらとってもお似合いよ。
こうしちゃいられないわ! 私もリクを誘うわよ!
リクのカリスマ(極)に目をやられて、ハートマークにした令嬢たちは突撃を開始する。その周りをリクのパーティーメンバーが守るが勢いがすごい。
あれ? 僕のカリスマ(極)ってこんなにすごかったの?
リクは自分のスキルに恐れおののきながら女性陣に好き勝手に体を揉まれて困惑するのであった。
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