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第二十二話 シェンナ様のもう一つの依頼

「リク君。見事な戦いだった。リリーナもわかっただろう。冒険者の強さを」

「はい。シェンナ様。リクは本当に強かった。私も……」


 シェンナ様は柔らかい視線でリクを見つめ、リリーナは潤んだ瞳でリクを見つめる。

 その後ろにはリクにジト目を向けるアナリス、リリ、エルザ、サラ。


 僕にどうしろって言うんだ!

 リクは内心で愚痴を言いながらも何も言わないのであった。

 皆でシェンナ様の部屋に戻って、もう一つの依頼について話を聞く。


「リク君、もう一つの依頼というのは私の催す宴のための特別な食材だ」

「宴とは貴族の方たちを招いてするのですか?」

「そうだ。だが余裕があれば、カミスの街の住民にも振舞いたいと思う」

「あら。それはいい考えですわ」


 シェンナ様の依頼に反応するリクとエルザ。

「今回のカミスの街の危機を救ったリクとそのパーティーたちがカミスの街にいるという事を示せますわ」


「そうだ。だから領主の私から依頼を出すので、取ってきてほしいんだ」

「はい。わかりました。ちなみにどんな魔物の肉ですか?」

「白銀猪という魔物の肉だ。この肉は絶品でな。年に一度の宴では欠かせないんだ」


 話を聞くと、七メートルほどの全長でとても素早いため、狩るのが難しいそうだ。

 Bランク冒険者のパーティーでも苦戦するほどでしかも倒しても地上にいるにもかかわらず、素材に還らないため一頭丸ごと持ってくるのが難しい。


「なるほど。リクのアイテムボックスの容量の多さを考えての依頼でもあるってことね」

「俺も協力するぜ!」

「私も頑張るわ!」


 リクのパーティーメンバーのアナリス、リリ、サラが気合を入れる中、シェンナ様の後ろに立ってリクを見つめていたリリーナが発言する。

「シェンナ様、私もリク達のパーティーについていってもいいですか?」

「ふむ。リリーナは騎士団長としての仕事があるだろう?」


「私は今回、冒険者に対する評価を改めました。それに……騎士団長の座をそろそろ譲ってもいい頃かと」

「うーん。まあそこはおいおい考えるとしよう。後はリク達のパーティーの名前をそろそろ決めてくれると助かるな」


 う……そうだった。他のメンバーからもパーティーの名前を決めてくれって言われてるんだった。

「そ、そうですね。パーティーメンバーと話し合って決めます」


 そんなこんなでシェンナ様の依頼を受けることに決まった。

 報酬は一人、エネル金貨十枚。宴への招待と白銀猪の肉も分けてもらえることになった。


 リク達はシェンナ様の部屋を出て、肩の力を抜く。

「リク、さっきまでの態度を謝る。本当に済まなかった」

「良いんですって。また同じパーティーになったらお願いします」


 リリーナは済まなそうにして謝ってくれた。

「リク? リリーナはパーティーに入れるの?」

「俺は良いんだぜ。でもそろそろパーティーの名前を考えてほしいんだぜ」

「そうよ? まあ勇者クリスのパーティーも名前は決まってなかったからアレだけど、今回はちゃんと決めてよね? リク」


 アナリスとリリとサラに圧を掛けられるリク。

「うん。そうだよね。リリーナさんはまだわからないけどパーティーの名前は決めないとね」

「私もそれは思ってたわ。でもリリーナまでパーティーに入ったら……蝶華優閃はどうするのかしら?」


 エルザの言葉に身を震わせるリク。

 そうだ。マキさんはどうしよう。

 そんなことを考えながら、リクは宿に向かうのであった。


 サラも含めて四人になったので同じ宿を取って、部屋を一人ずつに分けようとリクは提案したのだが。


「リク? 忙しくてうやむやになってたけど、添い寝は忘れてないよね?」

「俺もそろそろ、あ、い、て♡ してほしいんだぜ?」

「わ、私、色気ある体してないから……」


 そういえば、アナリスもリリもサラもお胸はそんなに……って考えた途端に悪寒がする。


「リク? 何を考えたのかな?」

 リリとサラもリクをジト目で見ている。


「い、いや、何でもないよ?」

「ふーん。今日はお肉をいっぱい食べましょうね~」

「今日は寝かさないんだぜ」

「リク? 私も怒るときあるんだよ?」


 三人が何故か、リクを女性物の服屋さんに連れていく。

 ドナドナドナ~。


 リクは冷や汗をかきながら女性陣にネグリジェを見せられて、感想を求められるのであった。


「リク、今日はリクのつくってくれた料理を食べたいわ」

「俺も食べたいんだぜ~」

「私も食べたい! ずっと私が雑用係を押し付けられていたけど全然うまく作れなかったの」


 リクはかまど場を借りて三人に料理を振舞うことになった。

 だけど……。


「なんで、エルザとリリーナ様とシェンナ様がいるんですか⁉」

「あら、リクが美味しい料理を作ると聞いてね」

「リクの熱いモノ(料理)が食べたいぞ!」

「私は元冒険者だからな。気にしなくていいぞ」


 いや気にするよ! シェンナ様は領主様じゃん!

 リクは何とか抗議をするも聞いてもらえず、結局料理を作ることになった。


 リクはオーク肉を大豆をアイテムボックスで熟成させた醤油もどきに漬ける。

 ジンジャーと醤油をオーク肉に揉みこませる。

 片栗粉をオーク肉にまぶすのも忘れずに。


 サラダにはリクがカミスの街で見つけたオリーブオイルから作った特製ドレッシングをかける。


「リク、やっぱり手際がいいわね」

「同時並行でここまで動けるのはすごいな」


 アナリスとシェンナ様がほめてくれる。

 リクがオーク肉をジンジャーと醤油で揉みこんだものをかまどで熱したフライパンで焼き始めると肉の焼ける音と美味しそうな匂いが立ち込める。


 なんだぁ! この旨そうな匂いは!

 すっごくいい香りよ!


 リクが料理をしている所に人が集まってくる。

 リクはオーク肉を両面焼き目を付けて、後は弱火にしてじっくり火を通す。

 できた! オーク肉のジンジャー漬け! 


「パンに挟んで食べてください!」

 出来立てのパンをアイテムボックスから出して切り目を入れて、オーク肉のジンジャーサンドにする。


「シェンナ様、先にどうぞ」

「うむ。この香りはとても食欲をそそるな」

 

 周りの人がつばを飲み込みながら見守る中、シェンナ様は豪快にがぶりとかぶりつく。

「何だ! この味付けは! オーク肉の脂と茶色の調味料とジンジャーの香りがたまらん!」

 

 シェンナ様の言葉にリクは満足そうに頷き、アナリス達はそわそわしだす。

「どうぞ、皆も食べて」


 その言葉にアナリスとリリとサラとリリーナがオーク肉のジンジャーサンドにかぶりつく。


「とっても美味しいわ!」

「パンも出来立てみたいに美味しいぜ」

「むう! 冒険者はいつもこんなに美味しいものを食べているのか!」


「フフフ、リクの料理の腕がいいだけよ。それにしてもサラダにかかっている液体もすごく野菜に合ってるわ」

「それはドレッシングって言うんですよ。昔村に来たおじさんがいろんな料理を教えてくれたんです」


 た、頼む! 俺たちにもその肉料理を作ってくれ!

 カミスの街の英雄リクの料理を食べてみたいわ!

 僕もおなかすいた~。


 周囲の街の人や冒険者たちが懇願する。

 中には金を払うから、食べさせてくれ! というものもいたがリクは調理をできる人を周りに呼んでオーク肉のジンジャーサンドの作り方を教えてあげた。


 家族連れも集まり、子供が美味しそうにオーク肉のジンジャーサンドにかぶりつく。

「リク。良かったわね!」

「うん。なんか幸せだなあ」


 リクに寄り添うアナリス。

 かまど場で酒を飲んでの宴会も始まり、皆楽しそうにしていた。

 リクは酒をどんどん飲まされて、出来上がったころに、アナリスとリリとサラに宿に連れて行かれた。


 その後の展開は想像にお任せする。



小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

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