表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/46

第十九話 勇者クリスとの決闘

第一章完結です!

 二人はギルドの外に歩いていく。


「リクが強くなったとはいえ、相手は勇者クリスよ! 皆止めてよ!」

 サラが我に返り、アナリスやリリにすがるが、二人は冷静に落ち着かせる。


「大丈夫よ。リクはね、勇者より強いわ」

「ご主人様が負けるとかありえねえ」


 ギルドの外でアナリスとリリ、サラ、マーシャ、エルザや他のギルド職員達と冒険者達が見守る中、勇者クリスは背中に背負った剣を抜く。


 ゴミ拾いのリクはどれだけ強くなったんだ?

 腐っても勇者よ? 危ないんじゃない?

 周りの観客がざわめく。


「決闘は……どちらがギブアップを宣言するまでやめない。良いな?」

「良いよ? でもいいの? 雑用係の僕に負けたってなったらもう冒険者なんてできないよ?」


 リクは冷静に、だがあえてクリスを煽ることを言う。

 それだけリクはサラを斬ろうとしたことを怒っていた。


「貴様ぁあああ!」

 クリスは勇者のスキル、俊足を使い、瞬時にリクを斬りつける。

 その勢いは、肉厚のオークキングでも一撃で叩き斬るだろう。


 ――だが。


「効かないよ?」

 青いオーラを纏ったリクは片手で長剣を受け止める。

 クリスは驚いて、リクの目を見る。


 その目の奥には炎が燃えていた。

 クリスは怯えながら後ずさる。


 リクが使ったのは鎧術(大)。ドラゴンのブレスを受けても無事だろう。

 それくらい(大)スキルは強いのだ。


 すげえ、あの一撃を防ぐなんて。

 あのオーラは何のスキルかしら?

 観客たちはざわめく。


「クソクソクソクソ!」

 クリスは自身に身体強化(中)をかけて、闘気(中)もかけなおし、リクに迫る。

 ヒットアンドアウェイで長剣で斬りつけるが。


「何故、攻撃が通らない! 俺は勇者なのに!」

 リクはただ立っているだけ。それなのに、鎧術(大)を越えられない。


 クリスはろくにご飯を取っていないため、息切れを始める。

 長剣は段々と刃こぼれをしていることにも気づいていない。


「次は僕から行くよ?」

 リクは自身に身体強化(大)と闘気(中)をかけて突進(中)で間をつめる。

 そしてハルバードではなく、自身の拳をクリスに叩きつける。


「グギャアアア!」

 咄嗟とっさにガードポジションを取ったにもかかわらず、腕の骨を折られ、顔は陥没かんぼつするほど歪む。


 身体強化(大)と闘気(中)を使っているにもかかわらずこの威力だ。

 クリスはリクの馬鹿げた力に気づき始める。


 その後は腕をあげられなくなったクリスをリクが平手ではたく。

「サラに迷惑をかけた分! これは僕が良いように使われてきた分! 僕の大事な人達を物扱いした分!」


 リクは三発の平手打ちをしたが、クリスの顔はパンパンに腫れていた。


 その様子を見ていた観客たちは笑い始める。


 いい気味だぜ!

 女を物扱いするクソ勇者!

 さっきの声、ゴブリンみたいだったわ!


 クリスはもう心が折れかけていたが、ここに来る途中に怪しげな商人からもらった薬を思い出す。


「これがあれば、貴方の事を馬鹿にするものは全員殺せますよ?」

 藁にもすがる思いで、クリスはその薬を飲む。


「ぐおおお! 力が力が湧いてくる!」

 クリスは体を膨らませ、肉体を肥大化させていく。

 体が膨らみ、筋組織がぶちぶちと膨れ上がる。


「みんな下がって!」

「リク! ここからは私たちもやるわ!」

「ご主人様を守るぜ!」


 だがリクは首を振る。


「だめだ。まだ決闘は終わってない」

「ぐおおお! リク、コロス!」


 クリスは肥大した肉体に黒いオーラを纏っていた。

「これは! 魔物の力が顕現けんげんしているの?」


 エルザがクリスに起きた変化を見抜く。

 クリスはもう魔物になったようだ。


「コロス、コロス、周りの女全員コロシテ、お前もコロス」

 リクは覚悟を決める。元勇者を殺す覚悟を。


 しまっていたハルバードを構えて、身体強化(大)、俊敏(小)、闘気(中)、鎧術(大)を体にかけて突貫する。


 クリスは逃げ遅れたサラに手を伸ばしていた。

 残像ができる速さでサラの前に回り込む。


 ドンッ!


 ハルバードをクリスに叩きつける! 

 地面がきしみ、クレーターができる。

 黒いオーラが霧散し、体がぺしゃんこになる。


 ——最後の一撃。


 思い切り振りかぶって、クリスに振り下ろした一撃は、地割れを起こし、地下深くまでクリスを吹き飛ばして、塵に変えた。


 うおおおおお!

 リクがやったぞ!

 もう「ゴミ拾い」じゃねえ! あいつは英雄だ!

 カミスの街の英雄だ!


 観衆が湧いている中、騎士たちが走ってくる。

 オーガだ! オーガの群れがカミスの街に迫ってる!


「まずいわ。何頭くらいなの?」

 エルザが騎士に慌てて聞く。

「おそらく、五百頭は超えています!」


 大変だ! 五百頭は流石に倒せねえ!

 避難しないと!


 町の住民がパニックになる中、リクは冷静に考える。

 アナリスとリリを見ると、うんうんと頷いていた。


「すみません。僕一人で何とかできます」

「え? 何を言ってるの? リクは強いけど、一人で五百頭は抑えられないわ」

「大丈夫です」


 それからカミスの街は慌ただしい雰囲気に包まれる中、リクとアナリスとリリは城壁の外でオーガを待つ。


 ぐおおおおお!

 人間コロス!


「あれは……何かに操られてる感じがするわ!」

 先頭のオーガキングはただのオーガではなく、ロイヤルオーガキング。

 つまり、群れをまとめ上げる長が進化した姿だった。


「リク! あれは倒せないわ! 城壁の中に戻って!」

 ギルド長エルザが必死に城壁の上から叫ぶ。


「じゃあ行ってくるよ」

「リク。任せたわよ」

「ご主人様なら余裕だぜ」


 身体強化(大)と闘気(中)、鎧術(大)、突進(中)、威圧(大)を掛けて、突進してくるロイヤルオーガキングとぶつかる!


 リクの小さい体が十メートルのロイヤルオーガキングを吹き飛ばした。


 リクの威圧を含めたスキルでオーガの軍隊は恐慌状態になる。

 ロイヤルオーガキングは気づく。ああ、己は王ではない。


 ここに王になるべき存在がいると。


「意識を取り戻した?」

「王よ、己はロイヤルオーガキング。何者かに操られ、ここまで来た」

「そう。ちょっと待ってね」


 リクは気配察知(小)×2でわずかに感知した気配に向かってハルバードを振り下ろす。


「⁉」


 何かを叩き潰したかに感じたが、蝙蝠の姿になり、美形の男性吸血鬼となる。


「全くとんでもない少年になったね」

「やはりお前だったか。ウォーリー」


「勇者をそそのかして、魔物にしたのに、被害も出せないなんて。しかもオーガを従えている。君は何者だい?」

「「ゴミ拾い」のリクだよ」


 そのセリフに口笛を吹くウォーリー。

「リク。花嫁にしようと思っていたが君は危険だね。だがここは引かせてもらおう」

「逃がさないわ」

「俺が首を狩るぜ」


 リリが隠密(中)で後ろから首を狩る。

 アナリスが弓術(大)で光の矢を放つ。

 

「なっ⁉ ヴァンパイア特攻の矢だと⁉」


 首を狩られて、光の矢を受けて体が崩れはじめるウォーリー。


「ウォーリー、悪いけど殺させてもらう」


 リクはとどめに強烈な衝撃波を放ち、崩れかけた体を塵にする。

「く、そ……」


 ウォーリーは消えていった。 


 ぐおおおおお!

 うおおおおおお!

 りくううううう!


 オーガ達は新たな王の誕生に沸き立ち、城壁から見守っていた冒険者たちは歓喜の声をあげる。エルザは涙ぐみ、サラは顔を赤らめて見ていた。マーシャは歓喜の舞をしている。


「リク。もう「ゴミ拾い」のリクじゃないわね」

「ご主人様は英雄だぜ」


 二人に抱き着かれて、そっと抱きしめ返すリク。

 もう雑用係のリクではない。新たな英雄のリクだった。



 **



「くそ……リクの事を魔王様に知らせねば」


 第一章 「ゴミ拾い」のリク、完結。



小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/



⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ