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第十三話 ケモミミ美少女リリ!

「全く。なんでスリなんてしたの?」

「お金がないから……だぜ」

「貴方、身のこなしはいいし、それに冒険者としてのスキルも持ってるじゃない」


 アナリスはリリを鑑定したみたいだ。

 汚れていて、目の光は小さいが、できる気配はある。


「借金がある……だぜ。それも五十万エネル」

「なんで借金を負ったの?」

「俺は獣人族の里から出て冒険者になったんだぜ。でも里親が重病になって、薬が必要だったんだ。だから俺が装備やお金を出して、それでも足りなくて、五十万エネル借金したんだぜ。もうすぐで奴隷落ちも決まっちまうんだぜ」


 リリは目に涙をためて、今にも泣き出しそうだ。

 リクとアナリスは顔を見合わせて、頷く。

 この子は優しい子だ。助けてあげたい。


「リリ。借金取りの所に連れて行ってくれ」

「なんで……だぜ?」

「助けてあげたいのよ。里親のために借金までして薬を買うなんて普通は出来ないわ」

「ううう……えーん!」


 リリはリクとアナリスに跳びついて泣き始める。

 随分と苦労してきたようだ。これからは苦労させないとリクは心の中で思う。


 ひとまず、宿を取ろうということでカミスの街の人気の宿屋に行く。

 今はそこまで人がいないので部屋は開いていたのだが、三人部屋しかなかった。

 リクはアナリスが嫌がるだろうと思って、別の宿に行こうと提案したのだが……。


「いい! ここの宿屋にする!」

「え? でも僕とリリは男だから、アナリスが不安じゃないの?」

「え?」

「え?」


 逆に二人に聞き返されてしまう。

 不安になるリクだったが、アナリスとリリはこそこそ話をしだす。


「リクって俺が女って気づいてないの、だぜ?」

「そんな男勝りの言葉遣いだからでしょ。普通にしゃべりなさい」

「そ、それは、今更変えられない、だぜ」


 二人はこそこそ話を終了して、宿のお姉さんに三人部屋でいいと告げる。

 どうして、そんなにジト目を向けられるのか、わからないリクだった。

 部屋に着くとリクだけ外に出されて、湯あみをすることになった。


「アナリスはリリの事が好きなのかな? でもリリって名前は女の子っぽいけど完全に男の子だし……」


 リクが考え込んでいると、部屋の中に呼ばれる。

 部屋に戻ってみた光景は……。


 白い狼耳をピコピコ動かしながら、恥ずかしそうにリクを見つめるケモミミ美少女だった。汚れがあった時は気づかなかったが綺麗な白い毛だった。

 後ろでどや顔をしているアナリスも可愛い。


「え? リリって女の子だったの⁉」

「別に女じゃないとは言ってないんだぜ」

「初めから女の子だって私はわかったわよ」


 うう、気づかなかった。

 アナリスはジト目をしてくる。

 リリは何故か体をもじもじさせながらリクを見つめる。


 恐らくアナリスが貸したであろう白いワンピースを着ていた。

 うん、めっちゃ可愛い。


「ごめん。気づかなかったよ」

「全くもう! しっかりしないと食べられちゃうわよ!」

「え? どういうこと?」

「もう!」


 ほっぺを膨らませるアナリスも可愛い。

 リクは何故怒られているのかわからないけど、とりあえず謝っておいた。


 その後、リリの借金を支払いに行くがそこでトラブルが発生する。

 何とリリの奴隷落ちが決まりそうになっていたのだ。



 カミスの街の商人、パピルスの商館にいくと……。

「困りますねえ。うちの商品に手を掛けるとは」

「まだリリの奴隷落ちは決まっていないでしょ? 期日前なんだから」

「それでも払えないのでしょう?」


 明らかにパピルスはリクとアナリスをなめていた。

 だがリクは怒りを覚えて、攻勢に出る。


「この国の法では、期日前に奴隷落ちは出来ないはずだよ?」

「そ、それはそうですがお金を払えない物の期日を待っていても仕方がありません」

「何エネルだ?」


「え?」

「僕がリリの分の借金を払ってやる! 何エネルだって聞いてるんだ」

「そ、それは。利子も含めて今は七十万エネルまで借金は膨れています」

「僕がきっちり、リリの借金を払う! 借用書を持ってこい!」


 リクは怒っていた。商館の応接間にエネル金貨がたくさん入った財布をドン! と置く。自然と威圧(中)も出ていた。


 パピルスは今にも失禁そうな怯えた顔をしていた。

 それを見ていたリリは胸に熱い思いを抱く。

 リクをなめていたけど、こいつは強いと。

 それに自分の事で怒ってくれている。


「リク、いいんだぜ。この商人は評判は悪いが、きっちり里親の薬は用意して送ってくれたんだ。だからそれくらいにしてあげて欲しいぜ」

「むう。リリが言うなら」

 リクは威圧(中)を抑える。

 パピルスはハアハアと息を吐いて、胸を抑える。


 冒険者ではない商人にオークキングのような威圧は健康に悪いようだ。

「そ、それではリク様! 7枚のエネル金貨を頂きます。リリはこれで奴隷落ちはありません!」

「借用書にもサインしたい」

「勿論です!」


 リクは借用書に今回の取引のサインをして、お金を払う。

 リリはその後ろ姿をしっかりと見ていた。


「リク様! この商館では奴隷商もやっております。機会があればここでより良い奴隷を見繕わせてください」

「誰が……」

「リク。この人は金にがめついけど悪い人ではなさそうよ」

「……」


 アナリスが小声でリクをとりなす。

 パピルスは鑑定で調べても違法な取引はしていないようだった。

 二つ名に金にがめつく、せっかちな商人とは出ていたが。


 一応、脅しで期日前に奴隷にするとは言ったものの本当にそれをすることはしていないようだ。していたらアナリスが鑑定で調べて、領主様に言っていたに違いない。


「リク様、貴方はいずれ大きな冒険者になるでしょう。その時はパピルス商会をご利用ください」

「考えておくよ」


 リク達はパピルスの商館を後にする。

 リリはリクに後ろから抱き着く。


「リク、俺のために怒ってくれてありがとうな。その、かっこよかったぜ」

「リリ……」

「俺、リクの事をご主人様って呼ぶよ! 発情期の時はよろしくな」

「え?」

「はい?」


 リクとアナリスは困惑の顔を示す。

 リクは意味は分かっておらず、アナリスは何故かリクにジト目を向ける。


「リク? またやったのね?」

「? 何もしてないけど」

「そういう所よ!」


 アナリスはプンスコ怒りながら歩き始める。

 リリはリクの周りをウロチョロしながら目を輝かせる。

 はて? 僕は悪いことをしたのかな?


 リクはアナリスをなだめながら考え込むのであった。







小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


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