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第十二話 カミスの街に帰還。そしてケモ耳美少女の登場!

 リクと蝶華優閃バタフライフラッシュはDランクダンジョン「山のふもとダンジョン」から帰還する。


「あれは――蝶華優閃と「ゴミ拾い」のリクじゃねえか!」

「何だって! しかもめっちゃ重そうなハルバードも持ってるじゃねえか。なんか貫禄かんろくが増したな」

「キーッツ! 蝶華優閃の皆様と私も仲良くなりたいのに! はっ! リクと同じパーティーに入れば私も美女たちとイチャイチャできるわ!」


 冒険者ギルドに入った瞬間の喧騒けんそうが騒がしい中、またも黒髪眼鏡の残念美人がこちらに突進してきたが、ギルド職員が笑顔で拘置場に連れて行った。


 受付嬢のマーシャはリクの姿を見つけた瞬間笑顔になる。

「リク! なんか成長したわね」

「うん。ああ、ゴルドさんに紹介してくれてありがとう」

「良いのよ。でも、恩に感じてくれたのなら、後で一緒にご飯でも……」


 さり気なくリクをご飯に誘うマーシャ。

 だがそれよりも報告しなければいけない案件がある。


「済まない。ダンジョンで異変を見つけた。ギルド長に会いたい」

「え? それは大変ですね。すぐに呼んできます」


 マーシャは冒険者ギルドの奥に消えて、暫くして戻ってきた。

「ギルド長が会うそうです。このままギルド長の部屋に案内します」

「分かった。皆も行くぞ」


 凛々しい顔を見せるマキだが、リクは知っている。

 リクの左手をちゃっかり握っていることを。

 ちなみに右手はアナリスが握っている。


 マーシャはそれをちらっと見て不服そうな顔を一瞬だけする。

 だがギルド職員なのですぐに切り替えて、ギルド長の部屋に案内する。

 ギルドの中の調度品は派手過ぎず地味すぎず品のいい感じだ。

 今のギルド長の趣味なのだろう。


「ギルド長、お連れしました」

「入っていいわよ」

「し、失礼します」


 リクは緊張しながらどんな人がギルド長なのだろうと考えながら部屋に入る。

 部屋に入ってすぐに、森の中に居るような気持ちの良いミントの香りがする。

 そして奥を見ると耳が細長い褐色の女性が座っていた。

 目は大きく、顎もシュッとしている。とても美人だ。そして女性的な膨らみがとても大きい。


 リクは自然とそこに目線を寄せられるのを我慢して、前を見る。

「あらあら。とってもかわいい少年とアナリスと蝶華優閃ね。よく来たわ」

「エルザギルド長、久しぶりだな」


「ええ、久しぶり。そこの可愛い少年は勇者パーティーを追放された「ゴミ拾い」のリク君ね」

「は、はい。初めまして」

「そんなに緊張しなくていいわよ。力を抜いて頂戴」


 エルザギルド長は女神のような微笑を見せる。

 リクは思わず見とれるが、両手を握る力が強くなり現実に引き戻される。


「フフフ、リク君は何か引き付けられる感じがするわ」

「上げないわよ。エルザ」

「私の物だからな」


 エルザは少し、前かがみになってリクにその豊かな谷間を見せつけてくる。

 だが、両側からの視線の圧がすごい。

 両手を握る力が万力のようになっているので谷間を見ない様にしつつ声をかける。


「それでダンジョンの異変と魔王軍幹部についてお話ししたいのですが」

「まあ! ダンジョンの異変に魔王軍も関係しているのね。それはしっかりと聞かないといけないわ」


 両側の視線がすっと消えた。どうやら許されたようだ。

 リク達は四階層にオークジェネラル、五階層のボス部屋にオークキングと魔王軍幹部のヴァンパイア、ウォーリーが出たことを語る。


 エルザはメモを取りながら、深刻そうに悩ましい顔を見せる。

「うーん。Dランクダンジョン「山の麓ダンジョン」の五階層にオークキング。そして魔王軍幹部のヴァンパイア、ウォーリー。どう考えてもこいつが何か悪さをしているのは明白だわ」


「そうなんだ。ギルド長としてはどうするんだ?」

「そうね。まず、蝶華優閃には王都に行って、魔王軍幹部について国王に報告しに行ってもらう必要があるわね」


 蝶華優閃の顔は優れない。何故なら……。

「嫌だ! リクと離れたくない!」

「ん。リクも一緒に来るならあり」

「それですわ! リクも来ましょう?」


「それもいいけど、リクのランク上げといたほうがいいと思うぜ。とんでもない強さだからな」

「そうだよね~」


 珍しくクルミが的を得た意見を言うので、議題はそれに移る。

「あら、確かにそうね。オークキングを単独で倒せるのであればCランクまで上げてもいいと思うけど……」


「流石にそれはやりすぎですよ」

 リクは断ろうとする。


「そんなことないわ! 「ゴミ拾い」はとっても有用なスキルだし、最初がGランクだったのがおかしいくらいだわ」

 アナリスの意見にエルザも頷き、リクのランクが決まる。


「FランクからCランクは流石に無理だけど、Dランクなら上げれるわ。前例はほとんどないけれども」


「やったね、リク!」

「アナリス、ありがとう!」

「ああ、アナリスもFランクからEランクに昇格よ」


 二人の冒険者ランク昇格が決まり、部屋が騒がしくなる。

 だが蝶華優閃の王都行きは免れないようで……。


「ああ、飯がまずくなる」

「高速アイテム回収もなくなりますわ」

「リク成分を今のうちに摂取する必要があるもんね~」


 リクを抱きしめようとする蝶華優閃のメンバーたちでリクはもみくちゃにされた。

 ルナはいつものように生暖かい目で見ているかと思いきや。


「ん。寂しい」

「ルナがデレた⁉」


 ルナもリクを抱きしめていた。アナリスとマキは唖然としていた。


 エルザの流し目を必死に見ないようにしながら、ギルド長の部屋を後にする。

蝶華優閃は王都にすぐに報告に向かうことになった。


「リク、また会ったら……パーティーに入ってくれるよな?」

「う、それは、その、考えておきます」

「リクは私とパーティー組んでるからいいの!」


 マキとアナリスは視線で火花を散らす。


「あ、魔物の素材どうするんですか?」

「ああ、譲ろう」

「え? 大量にありますよ!」


「大丈夫だ。私たちはお金に困っていないが、リクとアナリスはまだまだ大変な時期だろう。先立つものはあってもいい」

「ありがとうございます!」

「あ、ありがとう」


 蝶華優閃は寂しそうな顔をしながら冒険者ギルドを出ていく。

 リクとアナリスは胸が熱くなる思いでそれを見送った。


「さあ、素材を売却しに行きましょう」

「うん」


 再びマーシャに話しかけ、冒険者ギルドの解体部屋に案内される二人。

 いかついギルドの職員がリクをなめた目で見ていたが、ゴブリンからホーンラビット、オークの群れ、オークジェネラル、ロックフロッグ、そしてオークウォーリアーとオークキングを出すと腰を抜かしていた。


「お前さん、どれだけのアイテムボックス持ちなんだ! しかもどれも急所で仕留めてある。これは驚いたわい」

「えへへ。まあ大したことないですよ」

「このオークキングはお前さんが倒したのか? ハルバードでぶちのめした感じだな」

「はい。僕が倒しました」


 後ろでアナリスは誇らしげに胸を張っていた。まあ張っても出るところはほぼないが。


「しかも全身の素材を持ち込んでくるとはな。地上だから消える前に解体しないといかんな」

「そうですね」

「これは腕がなるぞい!」


 ダンジョンの魔物は地上に運ばれてから一日経つと細かい素材は取れなくなる。

 その前に解体しなくてはいけないのだが、なんといかついギルド職員は解体スキル持ちだった。


 魔物の死体や素材を解体するときにその速さが早くなるというスキルで神業のような速さで解体をしてくれた。

 締めて百頭はあったのだが、一時間で済んだ。


 二人は素材をすべてギルドに売ったのだが、オークキングの素材やオークジェネラルやロックフロッグの全身素材は価値が高く、オークキングの素材だけで二百万エネルを越えた。


 他の素材も併せて、計三百万エネルとなった。



「スリに遭わないように気を付けるのよ!」

「うん」

「私が取っ捕まえてやるわ」


 ポケットの財布にエネル金貨三十枚を詰め込み、外に出る。

 ちなみに通貨は金貨一枚で10万エネルだ。


 そんな会話をしていたのが良くなかったのだろう。

 二人で会話をしていると人通りの多い、カミスの街でぶつかってくる子供がいた。


「ちっ! 気を付けろ、だぞ!」

「ん~。その悪い手は何を持っているのかな?」


 リクはぶつかってきた瞬間にポケットに回された手を捕らえていた。

「く、くそ。離せ、だぞ!」

「全く。これはマーシャのせいじゃないかしら」


 リクは子供の手を掴むと町の広場に連れていく。

 よく見ると白いケモ耳の狼耳の少年っぽい見た目だった。

 尻尾はシュンと垂れており、哀愁を感じる。


 体と服は汚れており、痩せていた。

 リクとアナリスは顔を見合わせて、うーんと唸る。

 男の子っぽいし、パーティーに勧誘するチャンスではないか?

 リクはそう考えた。


 次話、リクとアナリスとケモミミ美少女リリ!


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