第十話 魔王軍幹部との出会い。リクの「ゴミ拾い」のスキルが成長!
Dランクダンジョン「山の麓ダンジョン」で一晩経った。
二人ずつ、寝ずの番をして、リクはマキと一緒に見張りをしたのだが、マキの冒険者としての話はすごくためになった。
「私たちは、誰もが色々なパーティーでふるい落とされた者だらけだ。だからこそ、女性だけでBランクパーティーにまで上がったのだがな。それも終わりになるかもしれんな」
そっとリクを見つめるマキ。その横顔はとても凛々しく美しい。
リクの前では乙女の顔を見せるマキにドキドキさせられるリク。
だが、心の中ではアナリスの顔が浮かび、ドギマギさせられるのであった。
朝になり、朝ご飯を食べるリク達。
「さあ、五階層のボスに挑むぞ!」
「はい!」
リクはアナリスと声を合わせてそれに応える。蝶華優閃のメンバーはほほえましい顔をしていた。一部メンバーはリクの可愛さに悶えていたが。
五階層のボス部屋の門をゆっくり開いていくリク。
開けた門にいたのは、王座の様な所に座っている青白い顔をしたヴァンパイアと跪くオークキングの姿だった。
「なんだこれは?」
「んんん? おう! これは美しい女性たちだ。一人、可愛い少年もいるが」
「お前は誰だ!」
「私は魔王軍幹部の四天王、ヴァンパイアのウォーリーだよ」
リク達に緊張が走る。魔王とは勇者と対になる世界を滅ぼそうとする邪悪な存在だ。
その幹部がまさか、「山の麓ダンジョン」に来ているとは思いもしなかった。
それに、オークキングは本来この階層では出ない。
蝶華優閃のメンバーたちはヴァンパイアのウォーリーがその理由だと気づいていた。
リクは一人だけ、可愛い少年と言われたことにぞっとしていた。
え、僕も性的にみられてるの?
「フフフ、レディたち。そう恐れることはない。ヴァンパイアになって憎き人間たちを滅ぼそうではないか!」
「僕もレディだと思ってないよね?」
「ん? 可愛い少年は大歓迎だよ。性別など後でどうとでもできる」
それにドン引きするリク。アナリスはリクの前に出て、守るように立つ。
「リクは私の物だよ。絶対渡さない」
「いや、私の物だ」
アナリスとマキが謎の張り合いをする中、ウォーリーは声高らかに笑いながらオークキングに指示する。
「あのレディたちをいたぶって連れてこい。その後、全員僕の眷属にするからね」
「わかった」
「私たちもやるぞ!」
「俺っちに任せろ!」
「リクをあんな魔族に渡すわけには行きませんわ!」
「ん。勝つ」
「私もやるよ~」
まずウララとアナリスが詠唱し、炎の玉と風の刃を生み出して五十頭はいるオークの群れを攻撃していく。
グアアア!
ブオオ!
炎の玉と風の刃でやられていくオークもいるが大体は盾と棍棒で打ち払いこちらに突進してくる。
クルミとマキとマーレッドとリクが前に出て、オークの群れと戦っていく。
——斬。
マーレッドの進む先のオークの首が飛んでいき、血が噴き出す。
マキはスキルを使い、シールドバッシュをして、オークの武器を打ち払い、腕を切り落としていく。
クルミは瞬時に移動し、オークの振るう棍棒を回避して、その頭を殴り飛ばす。
リクはまず魔力を循環させて、水魔法(小)と土魔法(小)を左手と右手に別々に練り上げる。
「ウォーターアローからの、ロックバレット!」
リクの魔力はCまで上がっているので、威力は以前とはけた違いだ。
腕で庇って防御したオークをウォーターアローでそのまま貫き、ロックバレットはオークの腹を散弾銃のように穴をあける。
リクはそのままの勢いで、数を減らすべくオークたちに近距離で攻撃をする。
ブオオ!
時々、オークの棍棒が迫るが、身体強化(中)や俊敏(小)×2と闘気(小)×2で身軽にかわし、逆にオークの腹に思いっきり殴りつける。
そのオークはリクの拳で血反吐を吐きながら飛ばされていった。
「ヘイヘイ! 可愛い少年、やるじゃないか!」
「僕の名前はリクだよ!」
「リクか。オークキング、相手してやれ」
「わかった」
オークキングがオークジェネラルやオークウォーリアーを引き連れてリクに向かってくる。
それを見ていたアナリスは考える。風魔法だけでは不十分だと。
「私も力になりたい! そうだ、あれなら――!」
アナリスはエルフとしての才能を開花させる。
「木の精霊よ、敵を拘束したまえ! ウッドバインド!」
リクに向かってくるオークたちの足元に植物の芽が開き、大木となり、オークを締めあげる。
これでリクに向かってくる相手はオークキングだけになった。
素早く蝶華優閃のメンバーたちがオークジェネラルとオークウォーリアーの相手に向かう。
「リク、サポートは任せて!」
「お前の精霊魔法、邪魔。お前から倒す」
「させない!」
リクは大斧を装備するオークキングに身体強化(中)、闘気(小)×2、俊敏(小)×2を自分にかけて、アナリスの前に躍り出る。
「うおおお!」
「ブモオオオオ!」
お互いの大斧とハルバードがぶつかり合う。闘気(小)×2の効力によってオークキングの持っている鋼鉄製の大斧と鉄製のハルバードは互角以上の効力をもたらしていた。
ハルバードで大斧と何合も打ち合うリク。
オークキングは不利と見たのか、何か恐ろしい雰囲気を醸し出す。
「まずい、キング系統が持つスキル、「威圧」だ!」
マキがリクに叫ぶがもう発動していた。
だが、アナリスを絶対守るという気持ちが威圧を払いのける。
「負けない! 突進からの! 棒術からの重撃!」
威圧を払いのけて、リクは突進して五メートルはあるオークキングを押し倒し、マウントを取って、ハルバードの斧の部分でチャージアックスを放つ。
オークキングは腕で守ろうとするが、重撃(中)の効力により、腕ごと潰されて、悶絶するオークキング。
リクはその隙を見逃さず、槍術(中)をチャージし、心臓めがけて必殺の一槍を穿つ。
「チャージランスインパクト!」
「……見事なり」
オークキングは心臓を貫かれて、その命を終える。
魔物らしくない武人のような言葉にリクは少し切ない気持ちになる。
オークキングじゃなかったらお互い分かり合えていたかもしれない。
「ふっふっふ、はっはっは! まさか一人でオークキングを倒すとはね!」
「うるさい! お前は何が目的なんだ!」
「それは決まっているよ! 魔王様のために君たちを滅ぼすのさ。まあこの街で実験をするためでもあるがね。でも君は特別可愛い! 僕の花嫁にならないかい!」
こいつ、狂ってる。てか、僕は男だよ!
「その前にお前を滅ぼしても良いんだが?」
「私のリクに手は出させない」
マキとアナリスが前に出て、拳を握る。
どうやらオークたちは倒し終わったようだ。
「また、君たちとはどこかで会えそうだ! また会おう、可愛いリク」
「願い下げだよ!」
ヴァンパイアのウォーリーは美しい美少年の顔で丁寧に礼をすると煙となり、どこかに消えた。
『リクの「ゴミ拾い」がスキルアップし、「リサイクル」ができるようになりました』
突如、スキルアップの声が頭に響く。「リサイクル」?
どんなスキルだろう。
考え込んでいると、リクはまたも蝶華優閃とアナリスにもみくちゃにされる。
「リク! 私を守ってくれて、ありがと!」
「全く、オークキングをソロで倒すFランクの冒険者など存在しないのだがな」
「リク、お姉さんがよしよししてあげる~」
「俺っちも混ぜろ~!」
「リクってもしかして女たらし?」
その賑わいを見て、生暖かい視線を向けるルナであった。
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