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第6話 みんなで海へ②


 フレジエ王国内は、特別な理由がない限り攻撃魔法の使用は禁止されていた。

 飛行魔法などの補助魔法や、回復魔法などは使用が許可されていた。


 海に遊びに行く日の朝、寮の前に銀のフォーク型の長杖を持って、体操着姿で立つ一年生たち。

 その中に一人だけ、自転車にまたがる者がいた。


 名をランセ・ヴァレリアンヌ。世界最強の魔女の孫だった。


「まじめに飛行魔法の練習しないからこんな事になるのよ」

「っていうかお前なんで飛べねーんだよ。逆におかしいだろ」


 ピノとエレルが責める。


「そうは言ってもしょうがないじゃない、ねーランセさん」


 ディタが甘やかす。


「誰か、ランセと一緒に自転車で行ってやったら?」


 と、ズコットが言うと、


「私まだ飛行が安定しないから、自転車で行くことにする」


ビートがそれに答えた。


 友人たちのことばを聞き終わると、自転車の魔女が声を発した。


「じゃあ、しゅっぱーつ!」


 みんなで海に行ける。そのワクワク感で胸がいっぱいだったので、そのほかのことは気にしていなかった。


「えー、まあいいや、ビート、ランセを甘やかさないでよ」

「じゃあ、俺ら先に行って場所取りしとくから」

「クリスタリーゼさん、ランセさんをお願いねー」

「じゃあ海で!」


 ビーチバレーのコートは4人以上居ないと借りられなかった。

 4人はコートを抑えるため飛行魔法で先に出発した。


「またあとでねー!」


 手をふる自転車の魔女だった。

 ビートが魔法の杖を置いて、自転車で戻ってきた。


「じゃあ改めて、しゅっぱーつ!」

「おー」


 出発進行した。





 くっきりはっきり晴れた青空のもと、いちご畑に囲まれた道をすすむ自転車の魔女ふたり。

 馬車のために整備されたその道は、学園から海へとつながっていた。

 日差しの暖かさと、すっきりとした少し強い風が気分を高揚させた。


 チリンチリン!


 無駄にベルを鳴らすランセ。


「ちょっとランセちゃん、意味もなく鳴らしたらダメだって」

「えへへー」


 チリンチリン!


(こいつ聞いちゃいねー)


 と思うも、誰もいないし楽しそうだからまあいいか、とビートが一人納得していると、海が見えてきた。


「わー海だー」


 思わず声をもらすビート。


「うおー待ちきれないから、急ぐよビートちゃん!」

「うん」


 言葉とは裏腹にゆっくりしたペースですすむふたりだった。





 ざぶーん!


 砂浜の近くには、様々なスイーツの形を模した食べ物屋や飲み物屋、海向けの服を扱う洋服屋が並んでいる。


 海に着いたふたりは、先に着いているはずの仲間を探す。


「あれー? どこだろう」

「いないねー」


 ビーチバレーのネットがあるゾーンで待ち合わせの予定だった。


「こっちこっちー!」


 ズコットが手を振っていた。


「いやー、端っこしか空いてなくてさ」


 一番端のコートにはピノとエレル、ディタが待っていた。


「みんなー!」


「あ、ランセ、ビート」

「おー、おせーぞー!」

「待ってましたわー」


 みんなと合流した。







 2対2でビーチバレーをする事にした。

 チーム分けジャンケンで、チームに分かれる。


 『パー』 チームは、ズコットとディタ。


 『チョキ』 チームは、ピノとビート。


 『グー』 チームは、ランセとエレル。


 みんなでお金を出し合って、美味しいケーキをふたつ買っていた。

 優勝チームの景品だった。

 くじで対戦相手を決めて、一発勝負のトーナメント戦をする事になった。




第一試合 ズコット&ディタ VS ピノ&ビート



「ケーキは私たちがいただく」

「右に同じ」


 ズコットとディタが腕組みしながら言った。


「いやいや、ケーキは渡さないよ」

「絶対勝つ」


 ピノとビートが迎え撃つ。


 どっちが先にサーブを打つかコイントスをしていると、


「ピー!」


突然、審判のランセが笛を吹いた。


 全員が困惑した。


「今の、なんの笛?」


 ピノが聞くと、


「え? 吹きたかったの」


ランセが答える。


「吹きたかったならしょうがないね」


 ビートが甘やかす。


「こらそこ、甘やかさないの。意味のない笛を吹かれたら困るから、審判の交代を要求します!」


 ピノの訴えを受けて、エレルがランセと交代した。


「審判やりたかったのになー」


 落ち込むランセ。


「お前は笛吹きたいだけだろ。審判はちゃんとやんないとダメなんだぞ」


 エレルが言いながらボールをビートに渡した。


 第一試合が始まった。





 ビートのサーブからスタート。


 オーバーハンドで打たれたボールが、ネットを超えて反対側のコートに落ちて行く。


 それをズコットがレシーブし、ディタがトスを上げた。



 トスに合わせてズコットが飛んだ。


 全身のバネを使って思いっきり振り抜いた。


 ドンッ!


 っと大きな音がして、ピノとビートの間をボールが勢いよく通り抜け、バウンドした。


 ズコットのアタックが決まった。


 とんでもないスピードと威力にピノもビートも動けなかった。


「何よあれ……」

「うそでしょ……」


 冷や汗を流すふたり。


「ズコットちゃんすごーい!」

「あれ、人に向けて打っていいやつなの?」


 興奮するランセと、冷静なエレル。



——2本目



「気を取り直していくよ」

「うん」


 気合いを入れ直すピノとビート。


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